PART・1
(月刊コミコミ 1984年7月号)
"PART 1"
Bentaro Ekino, commonly called "Eki-Ben" is weak in actual girls and he is an enthusiast who builds figurines of lovely girls by himself.
"But you have to change your such personality, or you will be awkward. You will not able to be a straight member of society, much less to be in love......"
His senior is anxious(?) about his future and takes him to a restaurant which is "just the right spot for the people like you".
現実の女の子はどーもにが手、という駅野弁太郎、略して駅弁君は美少女フィギュアを自作するほどのマニアである。「しかしお前そーゆー性格なおさんとまずいぜ 恋人はおろかまともな社会人としても……」と彼の将来を案じた(?)先輩に連れられ、「お前みたいなのにピッタリの店」へ行くのだが。
*ポリパテなどで作った原型をシリコンゴムで型取りし、キャストを流し込んで複製を作る「ガレージキット」は、簡易インジェクションキット(いわゆる普通のプラモデル)では製造に適さないもの、とりわけ人形などの領域でマニアたちにより1980年代前半に普及した。しかしここでとりあげられ描かれているのは模型の世界の事ではなく、フィギュア(人形)をはじめとする”架空の異性に熱中するようになった若い男性(たち)”の姿である。
むろんそうしたピグマリオニズムは人間の本質として古代から存在した。だが、日本の大衆文化独特の「可愛い」至上主義と結びついて発展し現在にまで至っていると思える点は興味深い。そしてそうした事情を基礎にすえ作品に結実させたこのシリーズは、時代と、若い日本人男性の特徴とをうまくとらえたコメディとして特筆に価するのではあるまいか。
掲載誌がハイティーンの読者層を対象にしていたためだろう、女体とセックスへの感傷的な夢が描かれ、時に純真な一面をみせる主人公は、子供向けと大人向けの両極端が多い(?)吾妻マンガの中でやや特異な存在になるのではないかと思われる。起承転結は明解で、かつ笑えるあたり、読者が男性というのであればほぼ万人向けかも。