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12 ななこSOS

(はじめに)

"Nanako SOS"

Schoolgirl Nanako is a supergirl. She is a charming girl of good conduct, but she is too timid to be active as a champion of justice. She has 2 boyfriends, Yotsuya and Iidabashi. Yotsuya is a genius, but on the other hand he is an eccentric miser. Iidabashi is an ordinary person, but he cannot much help for Nanako, and he is sometimes self-satisfied ......

Nanako

 公式サイトの情報によれば、「ななこSOS」がフランスで出版されるそうだ。TVアニメ版が海外でも放送されたようなので、それを観てななこを知っている人も多いのかも知れない。ちなみにアニメの海外版タイトルは以下のとおり。"Azuma Hideo"の名前と共にそれぞれの題名を合わせて検索すると、外国のデータが発見できるだろう。
フランス:Supernana
イタリア:Nana Supergirl
アメリカ:Nana the Supergirl
(どうも他国では「なな」という名前になっているらしい。)
 日本語原作は早川書房から全話が刊行されており、おそらく入手に困難は無い。とはいえ良い機会だと思うので、このブログでも取り上げてみることにした(テキストには単行本として最新のものであるハヤカワコミック文庫版(画像はそれらの表紙)を用いています)。

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 それにしても……。
 もし”正義の味方”として見るならば、およそこの世にななこほど、役に立たなさそうな超人も珍しいのではないかという気がする。
 そもそもにおいて彼女には、何が正義で何が悪なのかといった、基礎の基礎になるような定見は無いようだ(?)。だからそれを行動理念として、自らが正義と信じるところを実現する為に悪と戦ってこれを駆逐するといった自発的な能動もまず見られない(?)。
 おまけに、ななこにはどこか人をイライラさせるところがある(?)。素早くカッコよく行動して欲しい時に何をやってるんだかモタモタしているし(?)、そんなことしてたらみっともないぞと思うような真似でも命じられるとやってしまうし(?)、鮮やかな斬り返しを期待して見ていればてんで頓珍漢な事を大真面目でやってのける(?)。
 かくて、一緒に行動している四谷くんはしょっちゅうあれやこれやの指図をせねばならなくなり、それをはたで見ている飯田橋くんはいいなりになっているななこの為を思って叫ばずにはいられなくなる。そしてそれによってななこは板ばさみになり、どうしたら良いのか分からなくなって、とうとう泣き出してしまうのだ。
 これほどなさけない超人があるだろうか?

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 といって、では、いつでもか弱いばかりのななこなのかと思っていると、これがどうしてどうして。食中毒により(?)不良少女としてたぐい稀な適性(?)と才能(?)を発揮している時がある。嫉妬心からか、料理のような体裁をつくろいつつ四谷くんにお仕置きを加えるなど、むせ返るくらい濃厚に”女”を匂わせている時がある。ななこは、あどけない容貌の奥に、一筋縄ではいかない謎や秘密を泉のようにたたえているのだ。
 それでも、ななこは殆どいつも、いたいけな娘である。おとなしい性格で、揉め事を嫌い、平和を愛し、物柔らかで従順だ。が、それは毎度のように災いし、ありとあらゆるイザコザがまるで逆らえない引力によるかのように、彼女の身に引き寄せられてしまい騒動が絶えない。美徳の不幸、というのだろうかこれは。
 読者はあきれ果てて考える、「この子は命令されるのが好きなのではないか? いじめられて泣いてしまう、そういう”かわいそうな女の子”としての自分が好きなのではないか?」と。しかしみんな口には出さない。余計な事を言うとまた、ななこはポロポロ涙をこぼすだろうから。

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 なんとも頼りない超人ではある。けれどそういうななこだからこそ、見ていて誰もがひとこと言いたくなるのかも知れない。瞬時に戦略を算出する四谷くんの頭脳は彼女の行動をサポートし、傷つきやすい乙女心をかばっていたわる飯田橋くんの優しさは彼女の精神を守っている。彼らがななこを太陽としてその惑星のようになっているのは、ななこがそれだけ魅力ある少女だからなのだろう。
 ななこは「SFな大和撫子」(?)として、今のままで良いのだろうと思う。いつまでも、いつまでも。



ななこMYLOVE 吾妻ひでお イラスト・ブック

Nanako_m_l

(光文社 JUST COMIC 増刊 1983年11月10日初版)
"Nanako MY LOVE Azuma Hideo Illust-Book"

This is a collection of pictures of "Nanako SOS".
"Illust" is a Japanese English word which shorten "illustlation" to.

 東京では『ななこSOS』のアニメ版が1983年4月2日から1984年1月14日まで、全39話がTV放送されている。この書籍はその時期に出版されたようだ。画集なのだけれど、マンガとしては描き下ろしで『悪魔のような貴男(あなた)』を収録。巻頭に折込でポスターが4枚ついている。
 カバーからして目を引くのはその色調の鮮やかなことで、いかにも正義の味方(?)のヒロインらしく健全そのものといった印象を受け、まるで少女マンガのようにソフトな色使いとなっている。ギャグを最前面に押し出した70年代の吾妻マンガ『ふたりと5人』の単行本カバーなどと比べると、配色がまるで違うようだ。イラストはフルカラーや2色の原稿のほか、連載時は白黒だったものに彩色を加えた作品が収録されており、「総集編」ふうに場面をまとめている。
 少し不思議なのは、アニメ版ななこについての言及が皆無に近いことで(p.84に「国際セル密売組織売人」が「アニメ版ななこの長万部の原型、といった記述はある)、その理由は不明。巻末には手塚真との対談が収録されているが、この中で吾妻ひでおは『ななこSOS』を実写でやるなら「堀ちえみがいい」と発言している。また掲載されている写真を見ると、この時すでに作者は口ひげをたくわえていたようだ。
 ななこの家庭環境などについて特に記載が見当たらないのは、連載中だった本編でまだ両親が登場していなかったゆえか(『海より深い父母の愛』掲載は1983年11月号で、この書籍の発行とほぼ同時期になる)。
 ななこの部屋や、学生鞄の中身がどんななのか、体重、身長、住所などといった事柄についての記述は収録されていないようで、こうした点ななこは、同時期に活躍している女学生である猫山美亜(『スクラップ学園』のヒロイン)とはいろいろ違っている。



ACT.0 悪魔のような貴男

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(『ななこMYLOVE』 1983年11月)
"ACT.0 demoniac you"

Yotsuya tries to summon up a demon. He seems to become impatient because his ambition cannot come true at all. Yotsuya is successful in summons, but ......

* This story is arranged a head of book. But, in fact, it was published at about same time as "ACT.37 deeperthan sea is love of parents' ".

 いきなり四谷が、悪魔の召喚を試みている。遅々として進まない彼の野望の実現のため、とうとうかような選択に至ったらしい。果たして召喚には成功したものの……。

*単行本では冒頭に来ているけれどこれは連載第1回ではなく、発表時期としては「ACT.37 海より深い父母の愛」の頃になる。初めてこのシリーズを読む人にとってはこれから展開する物語の全体を概観するパイロットフィルムのような役目を果たし、1度でもななこの活躍を読んだ(或いはTVで観た)ことのある人にとっては懐かしく当時を思い出すものになるだろう。何と言ってもやはりフルカラーなのは楽しい。
 徹底的合理主義者であろう四谷が、悪魔を召喚しようとするのは何とも意外なことである。もしかすると彼にとって悪魔とかの存在は、「異次元の、地球人類とは違う環境下に生息する生物の一種」といった程度の、さめた認識しかもたらさないのかも知れない。だとしたら、悪魔召喚というおどろおどろしい儀式も、単なる特殊な通信方法の実験と、珍種生物の観察でしかないということであろうか。
 名前のことで少々。あまりにも有名な手塚治虫の「鉄腕アトム」に”お茶の水博士(おちゃのみずはかせ)”という科学者が毎回のように登場するのはご存知の通り。ななこの友人である”飯田橋博士(いいだばしひろし)”は、この人の名前をもじっているものと思われる。東京のJRには中央線というのがあってそこに”御茶ノ水”という駅が実在するが、その2つ隣が”飯田橋”駅で、その更に2つ隣が”四ツ谷”(地名なら四谷と表記する)駅なのである。



ACT.1 ななこ目覚める

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(ポップコーン 1980年4月号)
"ACT.1 Nanako awakes"

Iidabashi is a schoolboy. He is moved by a comics "Ajima Shideo's Super Sanzou". Iidabashi wishes to be a great comic artist in the future. Then, textbooks and so forth fall on his head. A girl is flying in the mid air, and she is alike the very girl who Iidabashi was making a plot that he would write for. Iidabashi goes into raptures, but the girl is easily moved to tears, and too much frail.
"My name is Nanako",
The girl tells her name, and gets away because be chased after by a crow. Iidabashi wonders at his discovery, breaks off going to school, chases the marvelous girl ......

* There is a comic "ESPer Sanzou (Super Sanzou)" actually, but this short story seems have nothing to do with this episode of "Nanako SOS".

 ”あじましでおのスーパー三蔵”というマンガに感動している男子学生、飯田橋。未来の大マンガ家を目指す彼の頭上に、空から教科書やら何やらが降ってきた。なんとそこには空を飛んでいる少女がおり、それこそはまさに、彼が描こうと構想をまとめていたマンガのヒロインそのものだった。飯田橋は大感激するのだが、少女は涙もろくなんとも弱弱しい。「あたしななこです」と名乗った少女はカラスに追われて逃げてゆくが、大発見したと驚く飯田橋は決意をかため、登校もとりやめにして少女の後を追う……。

*これが連載の第1回になるのだが、『ななこSOS』にはその元になったらしい読みきり短篇が1つ存在する(『どーでもいんなーすぺーす④ すーぱーがーる』(Peke 1978年12月号))。おとなしい人柄ゆえみんなからいいように利用されてばかりいる超能力女学生の物語だ。世界最強かと思える人物がご町内最弱というまるっきりひっくり返った状況で話が進んでいる。
 しかしこのシリーズでは強力な登場人物が加わったことで物語はより広く大きく発展している。1人は、天才だが冷血な変人の四谷で、もう1人は常識的で思いやりはあるが全く非力な飯田橋だ。まるっきり正反対で、顔をあわせれば火花が散るに決まっているようなこの二人組によって、万事が受身でいつももじもじしているななこの前途には、否応なく活躍せざるを得ない運命が展開してゆく。見事な人物配置だと思う。
 ここに出てくる”その他大勢”である生徒たちなどの連中はえげつない奴ばかりで、なかば悪役みたいな印象である。飯田橋はそれを怒ってみんなをなじるのだが、四谷は平然としたもので、そのように醜悪愚劣な一般大衆の為に社会貢献しようなどというのがそもそも虚しい理想論なのだとばかりに「ふるい」の一言で否定する。そのうえ、そんな正義の行動は、トンボ捕りよりも下らない無価値な努力だと言わんばかりの行動を示す。
 第1話でのっけから、定石であろう約束事を次々と否定して、このとんでもない物語は幕を開ける。自分のこれからの運命を知らないななこが、この時はまだたいそう幼い顔立ちをしているのが印象的だ。
 なお”スーパー三蔵”というマンガは吾妻作品に本当にあるのだがこれは読みきり短篇で、今回冒頭に描かれているものと特につながりは無いのではないかと思われる。



ACT.2 ななこ怒る

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(ポップコーン 1980年6月号)
"ACT.2 Nanako gets angry"

Nanako flies in the sky of a residence area, sits properly on a floor cushion in Japanese style with eating. Iidabashi is disillusioned by the posture of her in the sky, and scolds Nanako, but she cannot conduct herself sharp be suitable for supergirl.
"First of all, super heroine has got to dress herself in a cool costume"
Iidabashi thought so, and goes shopping clothes for Nanako at a department store, with Yotsuya and Nanako. But Iidabashi and Yotsuya cannot agree with choose. While they boys have a dispute, Nanako is left alone and witnesses "shoplifting" ......

 街中。そこへ、座布団に正座してごはんを食べながら、ななこが空を飛んできた。飯田橋は幻滅してななこを叱るが、まだまだ「超人らしくカッコよく」振舞うには程遠い。「スーパーヒロインたるものまずはコスチュームを」ということで服を買いに行く飯田橋・四谷・ななこの3人組なのだが、ここでまた飯田橋と四谷は意見が合わない。二人がもめている間、独りになったななこは透視能力により”万引き”らしい現場を目撃して……。

*やはりここでも定石の否定が見られる。スーパーヒロインらしいコスチュームというのがまず頓挫(とんざ)するし、何よりも”善良な一般大衆の中に、ごく少数の悪人がいる”といった大前提があっさり否定されている(これがどうにも現実的なので読者は苦笑させられてしまうだろう)。
 定番とされているツボをあえて否定し、常に新しい独創的なものを追及するのは吾妻マンガにしばしば見られる方法論ではないかと思うのだが、それによって”TVアニメというメディアでは(たとえ真実であっても)言ってはいけないこと”が浮かび上がってしまう場合もあるのだろう(例えば、何十年も続いている国民的アニメ番組の世界には、現実的な社会問題は完全殺菌されて全く登場しないようだ)。アニメ版のななこにはそうした面で、原作の基本方針が改変されていたかも知れない。



ACT.3 ネコの首風雲録

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(ポップコーン 1980年8月号)
"the Nekonokubi showdown"

A space ship passes by the earth. Butanoashi (meaning : pig's leg) the emperor of Nekonokubi (meaning : cat's head) nebula Empire, is on board the ship. He shows no interest in the globe, but he loves Nanako in school uniform as soon as he sees her on a monitor. He sends a gigantic robot to the ground and commands,
"Steal that schoolgirl uniform !" ......

 地球のそばの宇宙空間を、1隻の宇宙船が通る。それには「ネコノクビ星雲帝国」の「皇帝ブタノアシ」が乗っていた。彼は地球に何の関心も持たないが、一瞬映像にうつったななこのセーラー服姿に一目惚れし、巨大ロボットを送って「あのセーラー服かっぱらってこい!」と命ずる……。

*いきなり話がでかくなって、飯田橋は「異星人の侵略が始まったぞ!」と狼狽するが、四谷は「センスもワンダーもあったもんじゃない」と馬鹿にしきって黙殺するばかり。いっぽう宇宙人の皇帝はといえば「どーして地球を訪れた異星人はあんなものをいちいち美しいとかいわにゃならんのだ 異星人としての独自な美意識を持っとらんのか!」と吐き捨てている。やる気の無い(しかもいい加減な名前の)宇宙人と、やる気の無い(しかもナメきった戦術を使う)地球人とが対決する破目になるわけだが、よりにもよってその原因は”セーラー服”であったという、絶句するほか無いような宇宙戦争になっている。当時流行していたSF映画の傾向に作者が失望してその胸中を吐露しているかに見える回である。全くの未知の世界を(豊かな空想力によって)垣間見るといった要素は、主に映像でよく制作された”戦争テーマのSF”にはたしかに乏しく、その興味の中心となっていたのは専(もっぱ)ら兵器などのメカニックにあったようだ。そうした「人手によるデザイン(だからコスチューム等も含まれるだろう)」の産物に作者はあまり夢や魅力を感じることができないのではないかと思われ、そのへんが吾妻ひでおの正統的なSFマインド、資質なのかも知れない。

 このエピソードはゲーム化されているが、21世紀になってから作られたアニメ版も存在する。神戸芸術工科大学の「'06年度入学生が、一年次~二年次の実習授業の課題として制作した」(冒頭字幕より引用)という『ななこSOS ネコの首風雲録』(10分8秒?)がそれで、BGMや効果音、声のお芝居、主題歌(? エンディングテーマ)までちゃんとついており、指導は安彦良和らによるらしい。原作に忠実な内容であるが、オリジナルのギャグも入っている。



ACT.4 すーぱーがーる会社

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(ポップコーン 1980年10月号)
"ACT.4 Supergirl company"

Nanako flies and carries a baggage bigger than herself on her back. She says,
"Mr.Yotsuya said this is for the sake of justice and love".
Yotsuya has built a hut of office of "Supergirl company" on a large tree, and has started a new business for Nanako to be active (?). Save money, and "At last we conquer the world, then a permanent lasting peace comes true !". It seems that that is his plan ......

 自分よりも大きな荷物を背負って、ななこが空を飛ぶ。「正義と愛のためだって 四谷さんがいってた」と彼女は言う。四谷は「スーパーガール会社(カンパニー)」の事務所を大木の上に建て、ななこに活躍(?)させる事業を始めたのだった。金をため、「ついには世界を征服して 永遠の平和が訪れるのだ!」というのが彼の構想らしいのだが……。

*ななこ・四谷・飯田橋のトリオはここで確定している。四谷が見せる「ちちち」というのは相手の発言内容を否定する仕草で、1980年代初頭に少し流行したようである。”スーパーラット”が登場し、ななこと親しくなるが、レギュラー出演には至らなかった。



ACT.5 ななこ初恋

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(ポップコーン 1980年12月号)
"ACT.5 Nanako's first love"

Mr.Ajima is chased by girls who are fun of him. Riding on a bicycle, he collide with Nanako, and they fall down. He kisses Nanako in the confusion, Nanako is to be absent-minded. Yotsuya finds out that Nanako falls in love. He scolds her because of "It's only interfere with business", and invents "Nanako controler". But this controler starts some trouble ......

 ファンである少女たちに追われている”あじま先生”は自転車に乗っていて、ななこと衝突し(?)転倒する。どさくさでななこはファースト・キス(おそらく)を彼に奪われ、放心状態となった。四谷はななこが「恋をしている」と見抜き、「仕事にさしつかえる」と叱って、「ななこ操縦機(コントローラー)」を発明。しかしこのコントローラーが思いもよらぬヤブヘビな事件を引き起こす……。

*ななこ達の宿敵となるマッド・サイエンティストDr.(ドクター)石川が初登場する回。兵器としてのロボットを描いたマンガのおそらく元祖になるであろう、横山光輝「鉄人28号」のパロディがあり、元ネタ漫画を知っていると苦笑させられることだろう。「とにかくなんでもいいから巨大にすりゃうける」等、当時の和製エンタテインメントに見られた約束事への風刺らしき台詞がある。
 初めての接吻に目を閉じる、ななこの姿が初々しく可憐だ。



ACT.6 ねらわれたななこ

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(ポップコーン 1981年2月号)
"ACT.6 Nanako is aimed"

Going to school in the morning, Nanako is taken a picture of herself by a strange man. What is worse, she faints away by anesthesia or something, the man takes her away by a car. And another suspicious men have been watching everything. When Nanako recovers consciousness, she finds herself be stark naked ... !

 朝、ななこは登校するところを怪しげな男によって写真に撮られた。そのうえ男は麻酔薬でも使ったのか、気を失ったななこを車で連れ去ってしまう。しかも、別の胡散臭い男達がその一部始終を見ていたのである。やがてななこが意識を取り戻すと、自分が全裸になっているのに気づく……!

*連載6回目にしてオールヌードにされてしまうななこも気の毒だが、せめてもの幸いは、犯人である「変質者さん」(ななこはそう呼んでいる)が奇妙にクリエイティヴな男であった事か。彼は別にななこの貞操が目当てではなかったのである。
 生身の女よりもそこから昇華されて生まれた作品のほうに熱中するという青年像は、何故か流行していたロリータ趣味と共に当時しばしば人口に膾炙(かいしゃ)したようで、作者はこうした時代の特徴にいちはやく気づきこれを作中人物として描きとめていたものと思われる。
 作劇として興味深いのは、彼「変質者さん」がななこにとって(厄介な存在とはいえ)「敵」なのではなく、事件においてななこが戦う相手は後で別に登場してくる点ではあるまいか。それによって物語は一本調子の単純な展開とはならずにすみ、複数の層から成る、ひねった構造を持つようになっている。一見、単に軽いおふざけを描いているようでありながら、こうした設計に作者の力量がでていると思う。
 ”キャベツ”のくだりはアニメ映画「カリオストロの城」からとったパロディか。また、今はデジタル着色となって使われなくなったらしい(アニメの)「セル」が事件に関係してきたりと、発表当時の世相が出ているようだ。



ACT.7 SG・2号登場

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(ジャストコミック 1981年5月号)
"ACT.7 SG No.2 appears"

In the morning, Nanako flies to school for fear of tardiness. Seeing it, Iidabashi asks her,
"Pick me up, with you, please".
Other schoolmates ask her one after another,
"Please pick me up",
finally Nanako falls on the ground. While she flies again with Iidabashi, they find under their eyes ......

* "SG" represents "supergirl" in the subtitle.

 朝、遅刻を心配したななこは空を飛んで登校する。それを見た飯田橋は「おれもたのむ~」と助けを求める。他の学友たちからも次々と「乗せてってくれ」と頼まれ、とうとうななこは墜落してしまった。再び飯田橋と2人で飛んでゆくと、その眼下に……。

*サブタイトルのSGとは「すーぱーがーる」の略字。しかしその「すーぱーがーる2号」が登場するのは殆ど終盤になってからであって、これはちゃんとななこが主人公の話になっている。正義のヒロインの物語というとどうしても、毎回毎回いろいろな「敵」が登場することになりそうだが、ここではライバル(?)が登場するという工夫が凝らされているようだ(悪役も出てくるのだがこれといって新鮮味や独創性は無い人物像である)。
 「すーぱーがーる2号」登場の理由もくだらなければ、その意外な弱点もこれまたくだらないもので、読者は脱力させられてしまうことだろう。
 トビラではななこのセーラー服にポケットがあり、”N"の文字が読めるが、校章なのか「ななこ」のイニシャルなのか詳細不明。またナレーションによればななこが(中学生ではなく)「女子高生」であることがこの回で初めて明言されている。

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 ジャストコミックでは読者欄の掲載記念に、販促景品として、ななこのワッペンを用いていたらしい(画像提供:大西秀明氏(吾妻ひでおFC「シッポがない」事務局長))。



ACT.8 宇宙キップを買おう!!

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(ジャストコミック 1981年6月号)
"ACT.8 Buy the space ticket !!"

Nanako sells something ticket to her schoolmates. It is a boarding pass of space shuttle that seems to be handmade by Yotshuya. "Space shuttle Nanako" somehow managed to succeed in launching. But it is involved in a sudden accident in space ......

 ななこが学友達に何やらキップを売っている。それは四谷が自作した(らしい)スペース・シャトルへの搭乗券だった。「スペース・シャトルななこ号」はどえらいオンボロではあったが、どうにか宇宙へ飛び立つ。しかしそこで事故が発生し……。

*初めて実現した”繰り返し使用できるロケット”として、スペース・シャトルは当時、全世界が注目した乗り物だった。お話は、科学的な部分とむちゃくちゃな部分とが混在して進んでいる。ここではスペース・シャトルが実験を終えて実用段階に入り、既に複数の機が就航しているようだ。これからするとななこが活躍しているのは「現在」ではなく、近未来の世界なのかも知れない(?)。



ACT.9 財宝をさがせ!

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(ジャストコミック 1981年7月号)
"ACT.9 find out the treasure !"

Nanako, Yotsuya and Iidabashi go to the sea. Yotsuya has a scheme to salvage the treasure from the bottom of the sea, become rich, and,
"Supergirl Company will rise to the worldwide multinational corporation".
Thus they dive into the sea, rely on a dubious map ......

 海へやってきた、ななこ・四谷・飯田橋の3人。海底に眠っている宝を引き上げ大金持ちになれば、「すーぱーがーる会社も世界に広がる多国籍企業へと成長する」というのが四谷の計画なのだった。かくて地図を頼りに潜水する3人だったが……。

*今回は”悪と戦う”のではなく財政難との戦いで、シリーズに変化をつける物語になっている。宝探しというオーソドックスな冒険も少年マンガらしくて楽しい。



ACT.10 すーぱームービー

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(ジャストコミック 1981年8月号)
"ACT.10 Super movie"

It is decided to make a film for advertisement of the Supergirl Company. However, several spaceships come, and true space monsters emerge in succession. Nanako scrambles immediately and stands bravely up to them, but ......

 宣伝のため、すーぱーがーる会社(カンパニー)のPR映画を製作することになった。ところがそこへ宇宙船がいくつもやってきて、本物の宇宙怪獣が次々と出現してしまう。ななこは急いで出動し、敢然と立ち向かうのだったが……。

*嘘が本当になってしまう、というのは物語によく見られるパターンかも知れないが、「古臭い展開だなあ」と先入観で読み進んでゆくと、実はこの後に”どんでん返し”が起きる。この演出は巧みだと思う。しかも話はその”どんでん返し”では終わらず、更にややこしい問題が発生してその解決が必要となる。たったの8ページなのにその構成は単純なものではない。しかも最後では駄目押しのように意外なオチまでが用意されている。お見事。



ACT.11 Dr.石川の逆襲

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(ジャストコミック 1981年9月号)
"ACT.11 Dr.Ishikawa strikes back"

"I feel like somebody keeps watch on me",
Nanako thinks so when she gets out the entrance of her house in the morning. Her intuition is right. Dr.Ishikawa the old enemy, collects data about Nanako, and develops "Robot Nanako". Finally the robot has completed, Dr.Ishikawa and his men put their idea into action ......

 朝、自宅の玄関を出たななこは、「見張られているような感じがするわ」と考える。まさにその通り、宿敵Dr.(ドクター)石川がななこに関するデータを収集し、”ロボットななこ”を開発していたのだった。そしてそれはついに完成してしまい、Dr.石川と部下たちは行動を開始する……。

*主人公のニセモノが現れる、というのもシリーズとして続く物語にはよくあるパターンのようで、結末は最初から分かりきっている。ニセモノより本物のほうが強いに決まっているのだ(普通は)。それで、物語としての興味は勝敗ではなくて、決着が付くまでの過程と、勝敗を決した理由とが、どれほど独創的であるかという点になるだろう。ここではとあるスポーツ(ショー? 当時に流行した)が絡み、いかにもと感じさせる理由が用意されていて、笑える。



ACT.12 ななこの騎士(ナイト)

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(ジャストコミック 1981年10月号)
"ACT.12 Nanako's knight"

Reading comic book for girls (?), Nanako thinks,
"It's the proper procedure to fall in love with the man who bumps into at a corner".
When she turns the corner, many schoolboys have waited in a line. Nanako runs away as be chased by them, and, she collides with a huge cat ......

* A gesture which lie on one's back, may be cat's expression of a surrender.

 少女マンガ雑誌(?)を読むうち「曲がり角でぶつかった男の人と恋におちるのが正しい恋愛の方法なんだわ」と信じるようになったななこ。そんな彼女が角を曲ると、男子学生たちが列を作って待っていた。追われて逃げるななこ。すると彼女は巨大な猫とぶつかって……。

*16ページとやや長めの回。大雑把な解析なら、4等分して起承転結を見ることができるだろう。実際8ページ目で前半のヤマがあり、9ページ目はその種明かしで後半が始まって、結末へと向かっている。
 腹を上にして寝そべるしぐさは、ネコ科の動物が相手に「降参します」という意思表示をする時のものだろうか。



ACT.13 体育祭で金もうけ

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(ジャストコミック 1981年11月号)
"ACT.13 make money on an athletic meet"

Yotsuya goes into business of a packed lunch. It is a scamping commodity, but he doesn't examine himself at all and says,
"Some dojinsi (meaning : a coterie magazine) of comic make more undue profits in spite of their contents are good for nothing".
He recalls that today is an athletic meet when Iidabashi points it out. Yotsuya thinks,
"A packed lunch and bloomers are associated with an athletic meet", so that,
"We will be able to make immediately big money, we only sell off Yotsuya Packed Lunch !".
In this way, Yotsuya takes action ......

 四谷は弁当屋を始めることにした。手抜きな商品だが「漫画の同人誌なんかヒドイ内容でもっと暴利をむさぼってるのがある」と全く反省は無い。飯田橋に言われて思い出せば今日は体育祭だった。「体育祭といえば弁当とブルマはつきもの」と考えた四谷は「学校でいっきょに四谷弁当売りさばけばたちまちにして大金持ち!」と行動に出る……。

*(キャラが立っている、と言うのだろうか)冷徹な四谷が今回は錯乱しまくっていて笑える。結末のオチも絶妙。女生徒の体育着として当時はまだ定番だったブルマをななこも着用している。『やどりぎくん』の奥さんらしき女性がゲストでちょっとだけ出演しているのはファンサービスだろうか。



ACT.14 ちかんとスランプ

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(ジャストコミック 1981年12月号)
"ACT.14 a pervert and a slump"

Nanako suffers damage from a pervert in the train, gets into a slump by self-reproach ever since.
"A serial child abuduct case has broken out, and there is a prize for its culprit".
Yotsuya says so, tries to have Nanako to be active, and takes his party to the place where is suspected ......

 ななこは電車内で痴漢の被害に遭うが、以来、自責の念からスランプに陥る。四谷は「連続児童誘拐事件が発生して犯人には賞金がついてるぞ」と言ってななこを活躍させようとし、疑惑のある場所へと一同を連れてゆくのだが……。

*新たな宿敵、Dr.(ドクター)チャバネが登場。意外なきっかけでななこが救われるなど、話にひねりが効いている。
 今回の内容などからしても、「ななこSOS」はやはり近未来が舞台と考えるべきなのだろうか?
 トビラでななこのセーラー服を見ると、ネッカチーフを通す輪の部分には"N"のイニシャルがある。



『ななこSOS』第1巻(JUSTCOMIC増刊)

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 『ななこSOS』最初の単行本は、昭和58(1983)年6月15日に第1巻が「JUSTCOMIC増刊」(カバーにある文言)として光文社から発行された(日付は、書籍の奥付による)。

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 これはACT.1からACT.14までを収録しており、描き下ろしピンナップとして「鏡の国のななこ」と「ななこの7つの超能力」(右下隅には”幼稚園時代のななこ”もちょこっと登場)が綴じ込み付録になっている(1枚の裏表)。
 また「吾妻ひでおの誌上DJで、ななこのすべてを語ろう①」という文章が4ページあって、これは作者自身が執筆したものなのかインタビューから構成したのか不明だが、いろいろ興味深い発言がなされているようだ。

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 ななこは読みきり短篇の『すーぱーがーる』をふくらませたところから出発している事が明言されており、作者は「あれのパラレルワールド的な作品として考えてもらえればいい」としている。

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 ななこの名前は筒井康隆の”七瀬”からとったのではとたずねられるが関係はなくて「とにかく弱そうな名前で、おまけにすがすがしさを感じさせる名前ということで、語感を大切にしたことから生まれた」とのこと。四谷と飯田橋は中央線の駅名、さらに手塚治虫『鉄腕アトム』の天馬博士とお茶の水博士が念頭にあったらしく、「アトムが女の子だったら、きっとななこみたいな性格になるだろうななんて」考えたらしい。

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 TVのほうのキャラクターについては、「オオトモ星人」が「Dr.石川のヘリの操縦士役」なのは「日本SFマンガ界の一大損失だ。独立させて、もっと派手に活躍させてほしい」と発言している。文章の冒頭をみるとこの時点でアニメ版は第2話まで放送されていたらしい(? 単行本のコシオビには放映テレビ局と放送時刻が書いてある)のだが、こうした作者の要望はアニメ版において後に取り入れられたとみるべきか?
 「あえてアナクロな設定を主体にしている」がこれは「かつて”漫画”あるいは”マンガ”と呼ばれていたころの波乱万丈さを出してみたいと思った」ゆえらしい。

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 「それ以前に描いていたパロディー物は、続けているとアイディアが煮つまって」きたりして苦しいが、「その点『ななこーー』は、キャラクター物だから、キャラの魅力が出さえすれば、多少ストーリー的にずっこけても、なんとかなる」し、「ストーリー物はアイディア勝負というわけではないから、キャラクターさえ一人立ちしてくれれば、後は楽に描ける」という。
 この文章は大変面白い(と僕は思う)のだが、残念ながら単行本の2巻以降に、その続きは掲載されず、企画変更が行なわれたようである。



ACT.15 超能力者製造機てん末記

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(ジャストコミック 1982年1月号)
"ACT.15 the details of ESPer manufacturer"

Yotsuya invents and completes a machine "ESPer manufacturer". At once, he experiments on himself and turns on, but the machine blows up. Yotsuya and Iidabashi are unhurt, but Nanako disappears. After looking for, Yotsuya and Iidabashi find Nanako who is changed into a dwarf, can ride on their palm ......

*This story may reminds you of Lewis Carroll's "Alice in Wonderland" or Hans Christian Andersen's "Thumbelina".

 四谷は「超能力者製造機」なるものを完成させた。さっそく自らを実験台としてスイッチを入れるのだったが、機械は爆発してしまう。四谷と飯田橋は無事だったものの、ななこの姿が見えない。捜してみると、手のひらに乗るほどの小人になってしまったななこがそこにいた……。

*ルイス・キャロル(Lewis Carroll)による『不思議の国のアリス』(Alice in Wonderland)だか、アンデルセン(Hans Christian Andersen)による『おやゆび姫』だかをほうふつとさせる回。後半でななこは危機に陥るのだが、ちゃんとその伏線を描いたコマが前半にある。



ACT.16 セーラー服の流れ者1

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(ジャストコミック 1982年2月号)
"ACT.16 a drifter in a schoolgirl uniform 1"

"The Nanako Show" is performed on the stage of a banquet hall in a hot spring hotel. In fact, Yotsuya, Iidabashi and Nanako play as itinerant entertainer while their winter vacation. Nanako sings and plays with all her might. But they are envied by "Getemono Ichiza (meaning : bizarre tastes troupe)" for success of Nanako ......

 「ざ,ななこショー」が温泉宿の大宴会場、舞台の上で演じられている。四谷、飯田橋、そしてななこの三人組が冬休みを利用して旅回りをしているのだった。音痴(?)ながら意欲的に努力し取り組むななこ。しかし彼らの成功を妬む、”ゲテモノ一座”の面々がいて……。

*独裁者である四谷のせいで珍妙な冬休みになってはいるが、ななこの従順と真面目さゆえに事は支障も無く進んでいる。では全て四谷の思い通りかといえばそうではなく、ななこの”性格”によって事態は予想外の形で展開する。内気で受身で、自分からは何もしていないかのようでいて、実は主人公が運命のカギをにぎっているあたり、吾妻マンガの特徴であろうか。



ACT.17 セーラー服の流れ者2

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(ジャストコミック 1982年3月号)
"ACT.17 a drifter in a schoolgirl uniform 2"

Unexpectedly, Nanako ends up doing performance for monsters. She wins over the audience fortunately, but they take her away for perform at "Monster Broadcasting Station". Yotsuya and Iidabashi watch Nanako on TV when they turn on it at midnight. Is there anything means of rescue her ...... ?

 ひょんなことから妖怪たちの前で芸を見せる破目になったななこ。どうにか受けたのは良かったけれど、”妖怪放送局”で出演すべくさらわれてしまった。真夜中にTVを観ていた四谷と飯田橋はそこにななこの姿を発見するが、果たして救出の方法はあるのか……?

*「セーラー服の流れ者1」に続く後編。妖怪の話といえば夏にでも取り上げられそうなものを、敢えて冬にやっている。定石の逆を仕掛けたのだろうか。ありとあらゆるトラブルに巻き込まれる運命にあるかに思えるななこと、なんでも活用してしまう四谷、常識の領域から逸脱するこれら2人をつなぎとめる飯田橋。登場人物たちがうまく作用していると思う。
 ネコ耳とシッポを与えられた”妖怪版”ななこが可愛らしい。



ACT.18 海底魔王ポセイドン

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(ジャストコミック 1982年4月号)
"ACT.18 Poseidon the Devil of the seabed"

A beautiful naked girl asks for help in a river. Nanako rescues the girl from there, but to her surprise, the girl is a mermaid. She says,
"I'm chased by Poseidon the Devil of the seabed".
Then, Nanako is caught by a huge bubble, and it drags her into the river ......

 裸の美少女が、川の中から助けを求めている。ななこが救出したら、なんと人魚だった。「海底魔王ポセイドンに追われている」という彼女、そしてななこは、現れた大きなシャボン玉のようなものに捕らわれ、川の中へと引き込まれる……。

*(警告:以下、結末に言及しています)
 人魚の美少女がたくさん登場し、男の読者には見ているだけでもうれしい回。
 その人魚が”改造人間”だったというあたり、おとぎ話というよりはSF的であるが、そのことは、ななこに危機をもたらす要因としても作用し、前半のヤマになっている。
 後半は、人魚たちを救出すべく敢然と戦うななこが、別の危機に陥る(このことは冒頭部分に、さも単なるボケみたいに思わせておきながらしっかり伏線が置いてあって、不自然にならぬよう設計されているようだ)。
 そこへ四谷と飯田橋が登場して劇的な逆転が再び起きるものの、そのまた逆転がとんでもない形で(しかしキャラクターの性格ゆえのことなので不自然は無い)起きてしまい、あらためてななこの危機となる。
 そして、思いもかけぬ方向から救出がやって来て、最終的な解決へと向かう。
 二転三転して話が進むので緊迫感があり、読んでいて引き込まれる。楽しい冒険譚だ。
 悪玉がどうなったのかはあえて全く描写を切り捨ててあるようで、このことはお話を説教くさいものにせず、また読者があれこれ推理で補えるゆとりを生んでいるようだ。



ACT.19 赤ン坊地獄変

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(ジャストコミック 1982年5月号)
"ACT.19 baby inferno"

Supergirl Company starts a day nursery, so that today, members go hiking with children. Iidabashi is exhausted, Yotsuya deplores about this business is not profitable. Only Nanako pleasantly leads children. All of a sudden, a huge baby drops from the sky (?). The crying baby has something looks like feelers on his head ...... ?

 すーぱーがーるカンパニーは託児所を始め、今日は子供たちを連れてのハイキングである。へとへとに疲れている飯田橋、儲けが少ないと嘆く四谷、ただひとりななこだけが楽しそうに子供たちをまとめている。そこへ空から(?)巨人のような赤ン坊が落ちてきた。泣き出すその赤ン坊の頭には、触角のようなものがあるのだが……?

*(警告:以下、結末に言及しています)
 冒頭、一見ただのギャグで登場しただけと見えたDr.石川が、後でクライマックスのお膳立てをしている。こうした伏線は実に巧みだと思う。ななこが、いつもならたやすく脱出できそうな状況なのに逃げられないあたりも理由が自然で納得できる。良妻賢母(男の夢ですな)型のななこも素敵な女の子に描かれている。
 ”謎”なのは赤ン坊の身長の変化だが、はて? 「地上にいる時の巨人状態が通常サイズで、恒星間航行をする時のみ、地球人と同程度の大きさへ自らを縮小して質量を減らし、航行に要するエネルギーの節約をするのではあるまいか」などと僕は考えたのだが、みなさんの説はどうだろう?



ACT.20 カウンセラー開業!!

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(ジャストコミック 1982年6月号)
"ACT.20 open a counselor !!"

There is a new student who worries about freshmen's hypochondria. For him, Yotsuya introduces a counselor. The couselor is Nanako, but she does nothing but cry together with the boy out of sympathy. However Nanako is successful in healing people.
"I'm not qualified to counsel",
Nanako is disappointed of herself, and says,
"I want to be a strong person who can give advice to people" ......

 五月病になりふさぎこんでいる1年生男子に、四谷がカウンセラーを紹介するという。そのカウンセラーというのはななこなのだが、相談者に同情して一緒に泣いてしまうばかり。それでもお客たちをいやすのは成功する。しかし当のななこは「とても人の相談を受ける資格なんてありません」と自分に失望し、「人にアドバイスしてあげられるような しっかりした性格になりたい」と言い出して……。

*全く別人のようなキツい表情のななこが後半で登場し、ちょっと驚かされる。やはりななこは「気が弱くて泣き虫」なままで良いのかも……。
 トビラで四谷の学生服には"Ⅲ"の襟章が見られ、3年生なのかも知れない。彼は何やらあぶないものを「いつも飲んでいる」らしい事がこの回で判明する。
 1年生の台詞から察するに、ななこたちの学校は「必死に受験勉強」しないと入学できないような高校であるらしい?



ACT.21 エスパー・ユキ!!

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(ジャストコミック 1982年7月号)
"ACT.21 Yuki the ESPer !!"

A beautiful girl is caught. But she is a supergirl who can escape by herself from a flooded dungeon, be able to stand up to falling rocks or cannonballs. Dr.Ishikawa seems have a plot to have her fight against Nanako. On a drizzly day, the girl is fainted away and lies down on the street, Nanako finds her when she passes by ......

 美少女が囚われている。が、彼女は水牢から脱出し、落石にも砲撃にも持ちこたえる超能力者だった。Dr.石川が彼女をななこと戦わせようとしているらしい。そして小雨の降る日のこと、道に倒れて気を失っている彼女を、通りかかったななこが発見して……。

*ななことはおよそ対照的な少女、ユキが登場。ななことはまた違った真面目さから悩み、カゲのある(欄外書き込みに従えば”暗い”)雰囲気で存在感があり、きわめて正攻法なキャラクターとなっているようだ。自分と似た立場で年齢も近い少女に出会えて喜ぶななこの姿はいかにも年頃の娘らしい。作者はななこに、四谷と飯田橋のほかにも、同性の友達を与えてやりたかったのかも知れない。
 制服からしてユキは別の学校の生徒らしいが、その後のななこと彼女の交友がどうなったのか、気になるところではある。



ACT.22 スーパーモデル誕生!?

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(ジャストコミック 1982年8月号)
"ACT.22 supermodel is born !?"

A swimsuit show is held. At a dressing room of that, Iidabashi and Nanako work part-time job. Not long afterward, a model goes down with a sunstroke. Nanako is ordered to fill her place, and has to appear on the stage. But her supernatural power is the ruin of her ......

 水着ショーの会場、楽屋裏でアルバイトに励む飯田橋とななこ。そのうち、モデルのひとりが日射病で倒れてしまった。この非常事態でななこは俄(にわ)かモデルをやらされ、ステージへ出る事になる。しかし超能力者であることが災いして……。

*ななこが序盤で愛らしい水着姿を披露しているのだが、今回活躍するのは日ごろ脇役に徹している四谷たちのようである。ななこファンには不満もあるかも知れないが、シリーズとして見ると変化がつく回になっていると言えるだろう。



ななこ1ページ劇場

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(描き下ろし 2005年3月)
"Nanako 1 page theater"

* a deserted cat
* a high-speed pizza
* I'm a crow
* octopuses are grilled
* Safety First
* a joggig club

・ 捨て猫
・ 高速ピザ
・ あたしはカラス
・ タコタコ焼けた
・ 安全第一
・ ジョギング・クラブ

 以上の6篇が収録されている。たった1ページで”話”が描けるのだろうかといぶかってしまうのだが、ちゃんとやってのけている。つくづくプロはおそろしい。



あとがき

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(描き下ろし 2005年3月)
"a postscript"

* There are descriptions of mysterious "abstain from Lolita club", "characters who appear for once", and so on. Are all these makebelieve, or not ?

*謎の「断ロリ会」のこと、「1回かぎりであと出てこないキャラクター」のことなどが書いてある。はたして本当なのかフィクションなのか?
(ハヤカワコミック文庫「ななこSOS 1」はここで終わっている。)



ACT.23 消えた超能力

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(ジャストコミック 1982年9月号)
"ACT.23 disappeared supernatural power"

Nanako, Yotsuya and Iidabashi go swimming in the sea. While they make money by all kinds of means, a doubtful character watches them from a distance. On the other hand, Nanako tries to help a boy who is drowned, but she falls all of a sudden. It seems she lost her supernatural power ...... ?

 海水浴場へ来たななこ、四谷、飯田橋の3人。あれやこれやで金を稼いでいると、それを遠くから見ている不審な人物がいた。一方、おぼれる少年を救助しようとしたななこは、とつぜん墜落してしまう。どうも「超能力がなくなった」らしいのだが……?

*”超能力研究家Dr.O(ドクター・オー)トモ”が登場する回。読み進むうちうまく騙(だま)されてしまい、ひっくり返しがあるたびに楽しめるだろう。とある理由から「新しいコスチューム」をななこが着ることになり、これもなかなか面白い。



ACT.24 どろぼう台風

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(ジャストコミック 1982年10月号)
"ACT.24 a thievish typhoon"

Nanako and Iidabashi walk on the road in the typhoon area. Strangely enough, the typhoon makes a sound likes a scream of girl, stirs up money and goods of people on the street. Nanako and Iidabashi fly and go in the eye of the typhoon. What they watch at there is ......

 台風のなか、道を行くななこと飯田橋。しかしその強風には奇妙なところがあり、女の悲鳴のような音を立て、さらには道行く人々の金品を竜巻によりまきあげてゆくのだった。ななこと飯田橋は空を飛び、台風の目の中に入る。するとそこには……。

*まさにこれは「マンガ」ならではの話、アイディアだろう。また、予想外の方向へと展開し、意外な手段によって事件を解決する物語が楽しい。一見オンボロに見える「すーぱーがーるカンパニー」事務所に実は秘密施設がある、という特撮番組ふう(?)の仕掛けも興味深い。



ACT.25 スーパー・ヨガ

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(ジャストコミック 1982年11月号)
"ACT.25 super yoga"

"Let's go home together",
Iidabashi calls out to Nanako, but she answers,
"I've club activities, today".
In fact, she thinks that she got weight in summer, so that she wants to do practice yoga in secret. Reading a how-to book, Nanako studies by herself, but she can't do well. Then Yotsuya appears with disguise himself as "Yogaban the space detective of justice" ......

* This story is a parody of a special effects tele-film.

「いっしょに帰ろう」と飯田橋が声をかけると、
「今日は部活があるの」と答えるななこ。しかし実は「夏太り」したと悩み、独りでヨガに取り組む為だった。入門書を見ながらやってみるがうまくできないななこ。そこへ四谷が「正義の宇宙刑事ヨガバン」に変装して現れ……。

*「谷山浩子のポーズ」などが登場するが、それによって作者はお叱りを頂戴してしまったらしい(?)。「宇宙刑事」は東映のTV番組シリーズからきたパロディのようだ。



『ななこSOS』第2巻(JUSTCOMIC増刊)

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 これは昭和58(1983)年7月5日に光文社から発行された(日付は、書籍の奥付による)もので、ACT.15からACT.25までを収録している。

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 描き下ろしピンナップとして「ななこ対Dr.石川」と「吾妻ひでおアニメ講座 ななこ飛びまーす!!」が綴じ込み付録になっている(1枚の裏表)のだが、とりわけ珍しい(?)のは後者で、なんでも「本職のアニメーターさんに手とり足とり教えていただいて描きあげた」ものなのだとか。おまけとして「オーデヒ・アヅマのふりむきアクション!!」なる動画も描かれている。



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 巻頭の8ページだけは2色刷りなのがこの単行本のさらなる特徴のひとつで、初出の雑誌連載時にどんなふうであったかをうかがい知る事が出来る。そのうちの2ページ、扉(標題紙)およびその裏にある目次も2色刷りなわけだが、後者は単行本のために描き下ろされたものなのか、その絵のサイズが独特なことに気付く。この巻では主役たち3名のセピア写真みたいな感じの1葉があり、そのすみに三角形が2つ描かれている。これは当時まだ、アルバムというと、写真の四隅を固定するのに、かようなシールが良く用いられていたのを模しているようだ。

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 第1巻にあった文章ページ「吾妻ひでおの誌上DJで、ななこのすべてを語ろう」はなくなってしまい、かわりに「ななこアラカルト」というのが4ページあり、作者によるラフスケッチが見られる。本文によると「吾妻さんは、アイディアをB5判の無地のノートに書いていく。ストーリーのアイディアはもちろん、次から次へとわいてくるななこのポーズもていねいに描かれる」のだそうで、なかにはアニメ版ななこの模写も1葉入っているのが面白い。

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 そして「近頃流行の入浴シーン」もあるのだったが、ここでななこは何故かカチューシャ(ヘアバンド?)をつけたままで風呂に入っているかに見える(?)。



ACT.26 四谷の陰謀

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(ジャストコミック 1982年12月号)
"ACT.26 Yotsuya's plot"

Iidabashi is moaning about something. Asking Nanako the reason, he explains that Supergirl Company is recording a deficit. Then Yotsuya appears and presents Nanako and Iidabashi with clothes. But they are both woman's dress ... ? Yotsuya says,
"So work you both at a night club from next day onward !"

 飯田橋が何やらうなっている。ななこがたずねてみたら、すーぱーがーるカンパニーは赤字続きらしい。と、四谷が現れ、ななこと飯田橋にプレゼントだと言って服をくれた。しかし2着とも婦人用ドレスのようだが? 四谷いわく「とゆーわけであしたから銀座で働いてくれ!!」

*ななこが超能力を発揮して夜の蝶、すなわちクラブのホステスをやるという、正義の味方もへったくれもない話(未成年が酒を飲んだり飲ませたりしちゃあ……)。それというのも四谷のヘンな弱点が全ての原因なのだが。銀座というのは東京都中央区にある地名で、東京駅の隣に位置するためか昔から金回りの良い街になっている。



ACT.27 スキー場の怪

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(ジャストコミック 1983年1月号)
"ACT.27 an incident at a ski resort"

At "Henpi (meaning : a remote place) ski resort", a couple grumbles,
"We have come to terrible place".
Yotsuya, seems to work at a hotel, teaches them that this resort is haunted by a snow fairy. To tell the truth, it is a fake by Nanako and Iidabashi. They disguise themselves as fairies for attract customers. But, unexpected things happen ......

 ”へんぴスキー場”でアベックの客がこぼす、「ひでえところへ来ちまったなー」。するとそこへなぜか番頭姿の四谷がやってきて、このスキー場には雪女が出る、と教える。実はななこと飯田橋が変装して”客寄せ”しているのだったが、全く予想しなかったことに、そこへ……。

*副題に明記は無いが、これは前編で、次にくるお話に続いている。

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*アニメイトから、ななこの絵葉書が6枚組で発売されたことがあるようだ(資料提供:大西秀明氏(吾妻ひでおFC「シッポがない」事務局長))。上の画像に見るとおり、絵柄はACT.16,17,23,25,26,27各話のトビラからとられている。この絵葉書がいつ発売されたかは不明なのだが、TVアニメ版「ななこSOS」の放送開始が1983年4月2日だったので、その頃のものかも知れない?



ACT.28 時間流の中で

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(ジャストコミック 1983年2月号)
"ACT.28 in the time flow"

(This story is the sequel to ACT.27)
Nanako is in peril, but the rescuer breaks into there. A battle starts, and Nanako is involved in it.
Are she doomed ?

(ACT.27から続く)
 危機に陥ったななこだが、救出者が出現。しかし戦闘が起きて更なる危機に巻き込まれてしまった。果たして助かる方法はあるのか?

*今回はななこも正義の味方(?)をしており、かつオーソドックスなSFマンガになっている(?)。色っぽい装束のななこも見ものだが、幼少時の四谷が登場していて「さもありなん」と思わせられるのが笑える。



ACT.29 老人と動物たち

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(ジャストコミック 1983年3月号)
"ACT.29 an old man and animals"

Nanako finds a sign of "Yamashita zoo", and decides that to stop in it. However, there is no visitor but Nanako, even worse there is no animal. Hearing the reason from an old man who seems a zoo director, Nanako makes up her mind to help this zoo ......

 下校の途中だろうか、ななこは”山下動物園”の看板があるのを見、立ち寄ることにする。しかし入園者はななこ1人だけで、それどころか動物もいない。園長らしき老人に事情をきいたななこは、手伝う決心をするのだが……。

*動物達がたくさん登場する、となると、ななこの人柄もあっていかにもほのぼのとしたお話になりそうなのだが、その行き着いた結末は……あえて申しません。読者によっては興奮してしまったりして。



ACT.30 好敵手登場

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(ジャストコミック 1983年4月号)
"ACT.30 a good match appears"

A good-looking boy moves in Nanako's school. Schoolgirls are fascinated with him, but he takes no notice of them. He asks Nanako,
"Please associate with me".
Nanako flies away through a window, but he flies and chases her.
"He is an ESPer, too !"
All classmates are surprised, but ......

* This is the first part, and to be continued.

 ななこのクラスに美男子の転校生がきた。さっそく女生徒たちに大人気となるが彼は目もくれず、ななこに「ぼくと付き合ってください」と言う。窓から外へ飛び出して去るななこを、彼もまた空を飛んで追う。「やつも超能力者だったのか!」クラス一同は驚くが……。

*これは前編で、次のACT.31へ物語が続いている。



ACT.31 超能力吸い取りロボット

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(ジャストコミック 1983年5月号)
"ACT.31 supernatural power absorber robot"

(This story is the sequel to ACT.30)
Dr.Ishikawa is to be an ESPer, and he flies to the school that Nanako goes to. Yotsuya is defeated by him, Nanako cannot do anything because she has lost her supernatural power. Are the world doomed to be conquered by Dr.Ishikawa ...... ?

 超能力者となったDr.石川が、ななこたちの学校へ空を飛んでやってくる。四谷はやっつけられ、ななこは超能力を失って何も出来ない。いったい世界の運命は……?

*ななこのため必死になる飯田橋が、残念ながら報われないのがどうにも気の毒。とはいえその歯がゆいところがドラマなのだろう。

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 画像は、製造年月日その他のデータが不明なのだが、おそらくこの頃以降に用いられたのではないかと思われる絵葉書。記載されている文言から、アニメ版「ななこSOS」が放映中だった事が分かる(資料提供:大西秀明氏(吾妻ひでおFC「シッポがない」事務局長))。



ACT.32 屋根より高い鯉のぼり

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(ジャストコミック 1983年6月号)
"ACT.32 carp streamers flutter above roofs"

Today Nanako asks Yotsuya to eat out with her. Then Iidabashi in a carp streamer comes and gets angry,
"This is a partiality, though you have me to do such a part-time job".
In conclusion, Nanako gets in the carp streamer and flies, Yotsuya and Iidabashi walk hand in hand. After that, an advertiser who hired Iidabashi comes ......

* "carp streamer" is used for a Japanese annual event that people pray for health of their children.

 ななこのほうから頼み込んで、今日は四谷と外食。そこへ鯉のぼりを着込んだ(?)飯田橋が現れ「おれにはこんなバイトさせといて」と怒る。結局、ななこが鯉のぼりに入って空を飛び、四谷と飯田橋が手をつないで歩くことになった。そこへバイトを依頼した広告主がやってきて……。

*これは日本ならではの話だが、海外版で意味が通じるだろうか? ちょっと心配?



ACT.33 超能力オリンピック

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(ジャストコミック 1983年7月号)
"ACT.33 the supernatural power Olympics"

Every 4 years at Neaster Island, ESPers are invited from all over the world, the supernatural power Olympics is held. If Nanako wins the championship of this, she can acquire fortune and glory. So that Yotsuya, Iidabashi and Nanako go to the island. But at once, they are attacked by a rival ESPer ......

 ニースター島で4年に1度、世界中の超能力者を一堂に集めて超能力オリンピックが開かれる。これにななこが優勝すればカネと名誉が手に入るというので、四谷、飯田橋と共に3名で島へ向かった。が、島の上空でさっそく、ライバルの超能力者から攻撃を受けて……。

*複数の敵が登場して超能力戦になるのだが、およそありきたりな対決とはならず、奇策珍策でななこが勝利してゆくのがアイディア豊富で楽しい。



ACT.34 海底都市の秘密

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(ジャストコミック 1983年8月号)
"ACT.34 the secret of the seabed city"

Yotsuya receives a letter. It was sent from his friend Nemomo the scientist. According to the letter, he has completed his seabed city, so he asks Yotsuya come and see him. Nanako, Yotsuya and Iidabashi go to the city, but they meet a happening at there ......

* (Next this story, there is a 1 page comic "Daily work of Mr.Yotsuya the gifted scientist".)

 四谷のもとに手紙が届いた。友人の科学者ネモモからで、海底都市をつくったから遊びに来いとのこと。ななこ・四谷・飯田橋の3人組はさっそく出かけるが、そこには事件が待っていた……。

*封筒の宛名に「四谷永一郎様」とあり、これが彼のフルネームらしい。東宝の特撮映画に「海底軍艦」(1963)というのがあるが、そうしたものに通じるムードもあちこち見られて面白い。
(このあと「天才科学者四谷くんの1日」(『ななこSOS 3』(光文社)描き下ろし 1983年9月)というマンガが1ページ入っている。)



ACT.35 一夏のできごと

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(ジャストコミック 1983年9月号)
"ACT.35 an affair in summer"

A swimming competition is held at school. Nanako wears a swimsuit which she used last year, but it tears at her breast because it is a little tight. Nanako cannot swim, and hides on a bottom of a swimming pool. Then, saying "Mammy", a child of kappa (water spirit) flows into the pool from somewhere through a feed-water pipe. The child catches a glimpse of Nanako's breast, and clings there ......

* "kappa" is an imaginary creature in Japanese legend.

 学校で水泳大会が行なわれるが、ななこは去年の水着がきつく、胸元が破れてしまう。泳げなくなったななこがプールの底に身を潜めていると、「おかあちゃん」と言いながら、カッパの子供が給水口(?)からプールへ入ってきた。カッパは、ちらりと見えたななこのおっぱいにしがみつき、離れなくなってしまい……。

*円谷プロダクションのTV番組「ウルトラセブン」(1967)にはテペト星人というのが登場するが、ひょっとしてお知り合いであろうか? しかし別にそれのパロディらしき部分は無いようで、予想外の方向へ物語が展開している。



『ななこSOS』第3巻(JUSTCOMIC増刊)




(昭和58(1983)年9月15日発行)

 これはACT.26『四谷の陰謀』から、ACT.35『一夏のできごと』までを収録している。カバーのななこはちょっと眉を吊り上げているが、彼女のこうした表情はやや珍しい?





 綴じ込み付録の描き下しピンナップは、『雨に歌うななこ』と『ななこ シーサイド・ファッション』(1枚の裏表)。後者の下段中央には、黒ずくめで、バイクでも乗り回しそうな装束のななこがいる。



 おまけ的に1ページ、『天才科学者四谷くんの1日』を収録。



ACT.36 四谷フィーバー

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(ジャストコミック 1983年10月号)
"ACT.36 Yotsuya fever"

Somehow, Yotsuya disguises himself as Godzilla. There are many love letters from schoolgirls in his shoe box, but Yotsuya is indifferent to them. Natsumi Yoshida the first grade schoolgirl appears in front of Yotsuya when he goes home from school. She is eager for his reply, but he doesn't take her seriously. Natsumi leaves with tears. When she gets home, her father ......

 なぜかゴジラの真似をしている四谷。彼の下駄箱には女生徒たちから何通もラブレターが入っているが四谷は無関心。1年生女子の吉田なつみは返事を欲して、下校する四谷の前に現れるのだが相手にされない。泣きながら去って行くなつみ。帰宅した彼女を出迎えた父親は……。

*これまた東宝の怪獣映画をヒントにしたようなところがあるが、それはあくまでも部分的なギャグで、物語は全くオリジナルな要素で進んでいる。「10歳で東大入学 ハーバート ケンブリッジを経て 数々の博士号を持つ 天才少年…… 今は なぜか 不遇の高校生」という、四谷の謎めいた履歴が調べ上げられている。しかし最も意表を突かれるのは、結末のななこの行動だろう(?)。



ACT.37 海より深い父母の愛

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(ジャストコミック 1983年11月号)
"ACT.37 the power of parents' love"

Nanako is going to act the part of Peter Pan in a school festival. Her parents are expected to come for enjoy the play, but their arrival seems to be delayed. It is said that Nanako's father is a short-tempered pressman. Then, her parents are in a taxi during the rush hours ......

* Nanako's father resembles in a hero of "Superman" (1938~), the world-famous American comic.

 ななこがピーターパンの衣装を着ている。学園祭で役を演じることになっているのだ。ななこの両親が会場へ観劇に来る予定なのだがどうも遅れているらしい。ななこの父は新聞記者でちょっと短気なところがあるという。両親はちょうどその時ラッシュに巻き込まれたタクシーの車内に居たのだったが……。

*ななこの両親が登場。父親が新聞記者というのはやはり世界的に有名なアメリカ漫画"Superman"(1938~)の主人公にならったものか。実際いささか風貌が似ているようだ。ななこのおっとりした性格はどちらかといえば母親譲りらしいことがうかがえる。そしてななこが四谷に惹かれてしまうのはもしかすると、四谷の中にこの父親に類似する要素を見て安心しているのかも知れないという気がしたのだが、どうであろうか?



ACT.38 野獣の泉

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(ジャストコミック 1983年12月号)
"ACT.38 a fountain of wild beast"

Iidabashi notices that many students gather in school grounds when he sets about go home. The fact is that bad girls group of another school, confront at a school gate. Yotsuya goes ahead and bumps against a girl who seems to be a leader of the group, because he devotes himself to read a book. Yotsuya is given a slap by her, and falls down ......

 飯田橋が下校しようとすると校庭に生徒達が集まっている。校門の前にガラの悪い他校の女学生グループが立ちはだかっているのだった。四谷は読書に没頭してそのまま前進し、リーダー格らしい女生徒にぶつかる。四谷は平手打ちを食わされて倒れ……。

*特殊な超能力(?)の持ち主である不良少女の名前は「恵比寿高のいずみ」となっている。主人公たるななこがなかなか登場しないちょっと珍しい回。地図がかいてあって”石神井公園(しゃくじいこうえん)”と読めるが、これは東京都練馬区に実在する。ちなみに恵比寿(えびす)という地名は東京都渋谷区にある。



ACT.39 イズ・ジス・ア・ムービー!?

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(ジャストコミック 1984年1月号)
"ACT.39 Is this a movie !?"

* This story is composed of, an omnibus of parody that is based on films or TV show, the inside story about making author's appearance to an audio drama for a record of "Nanako SOS", and so forth.

*この作品は当時に公開されていた映画やTV番組のパロディをオムニバス形式につないだものと、『ななこSOS』のレコードに作者が声の出演をしたいきさつの裏話などで構成されている。本編である『ななこSOS』のお話のひとつという位置づけにはならないのではと思われ、あらすじを説明するのはちょっと難しい。トビラをめくると”’05.1.15”のサインが入ったななこのイラストが1葉入っている。



ななこ1ページ劇場

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(描き下ろし 2005年4月)
"Nanako 1 page theater"

* super rescue
* Yotsuya's midnight snack
* Dr.Ishikawa's headhunting
* Nanako's skirt
* Nanako's bodyguard
* Nanako insurance

・すーぱーレスキュー
・四谷の夜食
・Dr.石川のスカウト
・ななこのスカート
・ななこの用心棒
・ななこ保険
以上6篇が収録されている。すーぱーがーるカンパニーの壁に「銭づら」という貼り紙があるのは、ジョージ秋山「銭ゲバ」(1970)主人公の口癖を捩(もじ)っているのかも知れないが定かではない。



あとがき

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(描き下ろし 2005年4月)
"a postscript"

* There is a little reference to TV animated cartoon "Nanako SOS".

TVアニメ版「ななこSOS」(1983)についてちょっとだけ言及がある。
(ハヤカワコミック文庫「ななこSOS2」は、ここで終わっている。)



ACT.40 雪の惑星ツアー

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(ジャストコミック 1984年2月号)
"ACT.40 snowy planet tour"

Fling a flag of "Supergirl Company Ski Tour", Yotsuya and Iidabashi guide customers. Then Nanako comes, but she seems have a slight cold. As expected, she is not right in shape, a party arrives in a place seems Africa when they teleport. Doing over again, they arrive in a snowfield, and Nanako falls asleep. Before long, a huge monster emerges from snow ......

 「すーぱーがーるかんぱにー スキーツアー」のムシロ旗(?)を立てて、四谷と飯田橋が客の案内をしている。そこへななこがやってきたが、カゼぎみで調子が悪そう。案の定、全員でテレポーテーションしたのは良いが、どうもアフリカらしき所へ着いてしまった。やり直すと今度は雪原に着いて、ななこは眠り込んでしまう。すると雪の中から巨大な怪物が現れて……。

*いったいこれで、どうやってオチをつけるのだろうと思って読み進むと、絶妙な方法で解決するので感心したり笑ってしまったり。まいった。



ACT.41 狂馬博士の憂うつ

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(ジャストコミック 1984年3月号)
"ACT.41 Dr.Kyouma's melancholy "

A man looks scientist devotes himself to something operations. He seems a genius but be terribly forgetful. He collides with a wall as if he doesn't know a doorway, but he makes a big hole with a laser beams, and goes out very easily. People are thrown into confusion, Nanako scrambles and passes by the scientist ......

 科学者らしき人物が、なにやら作業に没頭している。彼は天才であるらしいけれど、物忘れが激しいようだ。出口が分からないのか壁に頭をぶつけるが、腕時計のようなレーザー砲を発射し、難なく屋外へ出る。しかし外は大騒ぎになり、緊急出動で空を飛んできたななこがその科学者の横を通過し……。

*決して悪人ではないのだがあまりにも超然としていて、研究以外のことに全く感覚がはたらかず騒ぎを引き起こす科学者、というのは面白い。いわゆる類型的なマッドサイエンティストとは少し違う。もしかすると名前は、手塚治虫「鉄腕アトム」に登場するアトム発明者、天馬博士からきているのかも知れない。
 トビラでななこはフィギュアスケート選手のような衣装を着ているが、残念ながら内容には無関係。



ACT.42 ななこのお医者さん

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(ジャストコミック 1984年4月号)
"ACT.42 Nanako the doctor"

Going to school in the morning, Iidabashi seems to catch a cold and coughs. Nanako takes him to an infirmary. But a doctor gets dead drunk by an eggnog for maedical treatment. Nanako tries to cure Iidabashi by her supernatural power ......

 朝。ななこたちが登校している。飯田橋が風邪をひいたらしく咳をしていたので、ななこは彼を連れて保健室へ。しかし校医らしき男は「たまご酒」で酔いつぶれ、のびてしまった。ななこは超能力によって治療をこころみる……。

*意外な方法で事件が収束し、さらに意外なオチになっているのが楽しい。Dr.石川はトビラのみで、本編には登場していない。『ミクロの決死圏』("Fantastic Voyage" 1966)というSF映画やウルトラセブン『悪魔の住む花』(1968)を知っている人は連想するかも知れないが、もちろんこちらはいかにもななこたちらしい治療方法をとっている。



ACT.43 花に嵐

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(ジャストコミック 1984年5月号)
"ACT.43 blossom and storm"

The cherry blossoms are in full bloom, so people enjoy cherry blossom viewing here and there. So do Yotsuya, Nanako and Iidabashi, then 4 villains join from the outside, the banquet grows livelier. In the meantime, an expressionless man in middle age, enjoys cherry blossom at another group. Iidabashi loses control of himself in drink, and has a chat with this man over wine cups. But the man, Yamamoto the chief clerk, as a matter of fact ......

 満開の桜のもと、花見客があちこちで騒いでいる。四谷、ななこ、飯田橋も花見をしていたのだが、悪役ら4名が飛び入り参加しにぎやかになってゆく。一方、別のグループに、無表情で花見に加わっている中年男が1人いた。飯田橋は悪酔いのあげくこの男、山本係長に酒をつきあわせるのだったが、実はこの人……。

*未成年が飲酒してクダを巻くのは問題であるが(これをそのままTVアニメにしたら放送コードに抵触してしまうだろうと思われる)、飯田橋が吐露する嘆きはなんとも切ない。いかにも「青春」な一篇となっている。



ACT.44 ななこスキャンダル

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(ジャストコミック 1984年6月号)
"ACT.44 Nanako scandal"

Iidabashi and Nanako visit the 1st newspaper club of their school. The purpose of visit is push comic manuscripts of Iidabashi to the club. Going with him, Nanako assists them, and be inquired,
"Can you take a photograph by your supernatural power ?".
The member goes for cover with Nanako, because he was in trouble that their cameras are not working ......

* There is "the 2nd newspaper club" in this school.

 校内の第一新聞部をおとずれる、飯田橋とななこ。飯田橋が「漫画の持ち込み」をしにきたのだった。ついてきたななこは超能力で手伝うが、「君、念写できないかなー」と訊(き)かれる。カメラが壊れてこまっていた編集部員は、ななこをつれて取材に飛び出し……。

*なぜ「第一新聞部」かというと、この後に「第二新聞部」が登場するからなのである。アマチュア同人誌についての考察が根底にあるような印象をうけたのだが、どうなのだろう?



ACT.45 ななこ実験助手

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(ジャストコミック 1984年7月号)
"ACT.45 Nanako the assistant of experiment"

It's raining. When Nanako goes to school and opens her shoe cupboard, she finds her indoor shoes get moldy awfully. Her day started with such a strange event, in addition to that, Hiroko Harada, a 3rd grade schoolgirl, comes unexpectedly to a classroom of Nanako to meet her. She says that Mr.Ishihara the teacher of chemistry wants Nanako, but Harada seems be jealous of Nanako ......

 雨。ななこが登校し下駄箱のフタを開けると、上履きがカビまみれになっていた。そんな珍事で1日が始まるが、さらに加えて3年の女生徒、原田ひろ子が教室へななこを迎えに来る。化学の石原先生が呼んでいるらしいのだが、どうも原田はななこに嫉妬しているようで……。

*ここで登場する上級生の名前は「原田知世」と「薬師丸ひろ子」からとったのではないかと思われる。原田知世は映画「時をかける少女」(1983年 筒井康隆原作)で主役を演じており、薬師丸ひろ子は映画「ねらわれた学園」(1981年 眉村卓原作)で主演している。なお「ねらわれた学園」にはTV版もあって(1982)、こちらは原田知世が主演だったようだ。



『ななこSOS』第4巻(JUSTCOMIC増刊)




(昭和59(1984)年8月10日発行)

 ACT.36『四谷フィーバー』からACT.45『ななこ実験助手』までを収録している。





 描き下しピンナップは『真夏の夜の夢』と『ななこの暑中お見舞い』(1枚の裏表)。ヘアスタイルのせいか、いやに大人っぽく妖艶ではある。あどけなさはそのままだが、清楚な制服姿の彼女と、どっちが好き?



 オマケとして(?)、『ひでお日記①』(8ページ)と『ひでお日記②』(2ページ)を収録。



 「最近少しのいろーぜがなおってきた」で始まる、忙しい日々。ななこの肖像を無断使用しているキャバレー(?)のチラシを発見してしまったり……。



 とある事情で御息女が泣き出してしまったり。



 日夜戦い続ける作者のペンから、戦い続けるななこの活躍が描かれてゆくのでした。



ACT.46 不良トマトとよばれて

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(ジャストコミック 1984年8月号)
"ACT.46 They call me a delinquent tomato"

Being lured by appetizing smell, Nanako tastes the seasoning of tomato that is planted by the roadside. At once she feel dizzy, and leaves staggeringly. She couldn't become aware of that there is a tag. It says,
"These tomatos are delinquent and brutal, don't eat please" ......

( According to my dictionary, "tomato" means a charming woman as a slangy expression in America and Canada. But I have no idea whether the title of this story is related with this usage or not. )

 道端に植えてあったトマトのいい匂いにつられ、それを一口食べてしまうななこ。するとめまいが始まって、ふらふらと去って行く。ななこは気づかなかったが「ここのトマトは非行化していて凶暴です 食べないでください」という札が下がっていたのだった……。

*(警告:以下、結末に言及しています)
 最後のコマに手書きで「わかんねーよー」とある。実際、謎めいた終わり方をしているようだ。このトマトには食べた者の人格を変えて暴力的にしてしまう成分が含まれているらしい(ここまでは理解できる)。問題は結末だろう。
 察するにこれはトマトと直接関係は無く、ななこに本来備わっていた超能力の故ではないだろうか? つまりは、
(1)裸になった、と思わせておいて敵たちの注意をそらし、その隙(すき)に、
(2)自分と四谷をトマトに変身させて隠れ、敵の目を欺く
という戦法だったのではあるまいか。
 実際ななこには変身能力があり、複数の強敵に包囲された場合にこれを用いて自らを擬装し、不利な戦闘を回避する作戦をとった前例がある(『ACT.33 超能力オリンピック』ではサメに化けた)。
 今回ななこはその「変身」によって、一糸まとわぬ裸身を見せずに済み、かつ人質の四谷を救出して、敵をやりすごす奇策を選んだのではないだろうか(最後のコマで敵たちが「どこへ逃げやがった!?」とななこを探していたりする描写が入っていれば、この理解で正しいのではと思うのだが……みなさんのお考えはどうだろう。
 サブタイトルは当時TV放映されていた「不良少女とよばれて」(主演は伊藤麻衣子)にひっかけているのではないかと思われる。また双子らしい女学生のユミとエミは、歌手のザ・ピーナッツをモデルにしているらしい(?)。病弱で無口な娘は戸川純か?



ACT.47 物体X現わる

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(ジャストコミック 1984年9月)
"ACT.47 the thing appears"

Nanako, Yotsuya and Iidabashi camp at a mountain in summer. Nanako got up early and swims alone. Then a huge spaceship comes and makes a landing. The unknown creature that seems an alien piloted the spaceship, transforms herself into a girl looks exactly like Nanako ......

 夏山でキャンプしている、ななこ・四谷・飯田橋の3人組。自分だけ早起きしてしまったななこがひと泳ぎしていると、巨大な宇宙船が飛来し着陸した。乗っていた宇宙人とおぼしき謎の生物は、ななこそっくりに変身して……。

*未知の相手に対して何の先入観も偏見も持たず恐怖も感じないという、ななこの長所(?)が端的にあらわれている回と言えようか? 「ファンの人にもらった」という水着をななこが着ている場面がある。内職なのか「セルの色塗り」というのが出てくるが、現在のアニメは全てデジタルデータで制作されるらしいので、こうした作業も当時ならではかと思われる。



ACT.48 恐怖のななこ中毒

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(ジャストコミック 1984年10月)
"ACT.48 terrible Nanako poisoning"

The summer vacation seems over, and 2nd term seems starts. Students meet again, and some of them are able to peel their skin as suntan. So do Nanako, therefore some schoolboy tries to eat her skin (!). Then he becomes can fly, he seems gain a supernatural power which is same as Nanako's ......

 夏休みも終り、今日から2学期なのだろうか、教室で再会した級友たちの中には日焼けで体の皮がむけるようになった者たちがいる。ななこもその1人で、男子生徒がその皮を食べて(!)みた。すると彼は空を飛べるようになり、どうもななこと同様の超能力を得てしまったらしく……。

*一種の性倒錯を連想させる(?)きっかけで話が始まるが、人の世の真実をうがって風刺しているような点には奇妙な現実味が感じられる。超能力は、ななこのような少女にこそふさわしいと言えようか。「やっと超能力者ものらしくなってきたわ」というななこの台詞が笑える。



ACT.49 哀愁のロマコメ光線

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(ジャストコミック 1984年11月号)
"ACT.49 sorrowful ray of romantic comedy"

This morning, everything seems in peace and quiet at school. But there is something strange, everyone is different from usual. It seems that whole things has changed into up-to-date girls' comic style. Yotsuya, has be influenced scarcely because of his self's solidity, stands up to this circumstances by himself ......

 平凡な朝の学園風景……は良いのだが、みんな何だか普段と違う。どうも全てが当世風な少女マンガの世界と化してしまっているようなのだ。自我がよほど強固なのかあまり影響を受けない四谷は、ただ1人でこの事態に立ち向かうのだが……。

*明らかになった敵と戦う四谷の動機が「商売のじゃま」だからというあたり……とにかく彼が主役の回ではある。
(この後、21世紀に入ってから描かれたらしい、ななこの肖像が1ページ入っている。)



ACT.50 ななこ逃避行

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(ジャストコミック 1984年12月号)
"ACT.50 Nanako's escape journey"

Nanako walks downtown. She seems go home from school. Gangsters have their eye on her, and pick up Nanako to their car. Is Nanako plunged into a crisis !? But everything was a disguised trap that gangsters act in play of their own writing ......

 下校途中だろうか、制服姿のななこが街中を歩いている。それにヤクザたちが目をつけ、ななこは車に乗せられてしまった。ななこ危うし! だがこれはヤクザたちが自作自演している罠で……。

*「ななこが超能力で悪人達を脱力させて、結局勝つんでしょ?」と読者は先を予測するかも知れない。が、どうしてどうして。ヤクザの側にクセの強いのが1人いて、そのためにちょいとひねった意外な展開になってゆくのだ。非常によくあるパターンと、定石を外した珍妙なエピソードとを織り交ぜ、ユニークな1品となっている回。



ACT.51 伝説教室

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(ジャストコミック 1985年1月号)
"ACT.51 a legendary classroom"

Students take a term exam at classroom. Nanako drops her eraser to a floor, and tries to pick it up. Then she becomes aware of a dirt on the floor, so she uses her eraser for it. A slip of paper that is written "SEALED" appears ......? When Nanako peels it from there ......

 教室では期末テストの真っ最中。ななこはケシゴムを床に落としてしまい、それを拾おうとする。と、床が汚れているのに気づいてケシゴムをかけてみた。何やら「封」と書かれた紙片が貼り付いている……? ななこはそれをはがし取るのだが。

*伝説うんぬんという、物語の定番のひとつをきっかけに起きる珍騒動。最後のページはいったい本当なのか、それともこれも冗談なのか??? それにしても笑顔のななこは、もし実写であったなら、歌手の今陽子に似ているのであろうか(読めば分かります)。



ACT.52 ななこちゃんを僕に!

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(ジャストコミック 1985年2月号)
"ACT.52 Would Nanako be mine !"

Yotsuya and Iidabashi make New Year's visits to Nanako's house. Her father has an excess of energy for the New Years hilidays, so he flicks Iidabashi out unintentionally while wrestles with him.
"I'll not able to leave Nanako to you, if you not build up your body a little more".
Iidabashi feels hurt by father's remark. On the other hand, Yotsuya fights with Nanako's father equally by science (?). Their match escalates little by little ......

 正月。年始にとななこの家へやってきた四谷と飯田橋。ななこの父は正月休みで力が余っており、つい相撲で飯田橋を弾(はじ)き飛ばしてしまう。「もう少し体力をつけないとななこは任せられんねー」と言われてはっとする飯田橋。いっぽう四谷は科学力(?)でななこの父と互角にわたりあい、勝負はどんどんエスカレートして……。

*四谷がたいへんな戦闘能力を示している回。が、しかしそれは"わき筋"で、実は飯田橋こそが今回のお話の中心になっているようだ。事件がどうのという起承転結よりも、ドラマ性が強い内容で興味深い。作者の心優しい面がうかがえると思う。



ACT.53 ななこ先生一手ご指南を

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(ジャストコミック 1985年3月号)
"ACT.53 Give me lessons in single combat"

Nanako becomes aware of a vagrant at a train station. She cannot bear to watch him in cold, so she serves him a hot meal. Then she finds a infantile boy sleeping on the ground. nanako is anxious about him and wakes him up. He says,
"I go on a journey around the country to acquire greater skill of psychic power".
So,
"Please give me lessons in single combat",
the boy says and attacks Nanako all of a sudden ......

 ななこは駅で浮浪者とおぼしき人物に気づき、その寒そうな様子を見かねてお茶漬けをすすめる。よく見ると、すぐそばには小さな坊やが地べたで眠っていた。ななこが心配して少年を起こすと、彼は「日本じゅうを旅して超能力武者修行をしている」のだという。そして「一手ご指南お願いします」と、ななこを攻撃してきた……。

*(警告:以下、結末に言及しています)
 序盤、ケンイチというこの少年は「猫に見えるよう幻想波を出していた」のだが、超能力者であるななこに見破られている。実はこれが"伏線"となっているようだ(ななこは同様に"幻想波"を使ってケンイチをなだめる事に成功したらしい)。戦わずして勝つ暖かい結末は読んでいてほっとする。



ACT.54 ななこ山のいで湯で混浴する

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(ジャストコミック 1985年4月号)
"ACT.54 Nanako takes mixed bath at a spa"

Nanako, Yotsuya and Iidabashi visit a hot spring. They put Yotsuya's idea, that making money by writing for a guidebook, into pracrice. When they finished collecting data and begin to take a bath, find an open-air bath that they didn't examine yet. But, in fact, this bath is ......

 温泉へやってきた、ななこ・四谷・飯田橋の3人。ガイドブックを書いて一儲け、という四谷の提案を実行しているのだった。取材を終えてさあひとっ風呂あびようとしたら、まだ入っていない露天風呂があるのに気づいた。しかし実はここの湯は……。

*1980年代前半、若い女性達のあいだで温泉が流行したことがあったようで、四谷はそのへんに目をつけたのだろうか? なお「砂むし風呂」の場面で掛け声が聞こえるのは、つげ義春『オンドル小屋』(1968年)のパロディであるらしい。



ACT.55 ななこ漫画のストーリーを作る

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(ジャストコミック 1985年5月号)
"ACT.55 Nanako makes a story of comics"

Nanako bought a comic book "Iikagen Monogatari (meaning : irresponsible stories)" by Shideo Azima, and reads it. The book is very interesting, so she is excited,
"How to be next ?",
and turns the page, but there is nothing painted on it ...... ? Moreover, she is pulled in that page. When she passed through it, a man who seems the author waits for her in a desert.

 ななこは"あじましでお"著「いーかげん物語」という漫画を買って読んでいる。それはとても面白く「つぎはどうなるのかしら」とわくわくしてページをめくるのだが、なぜか真っ白……? しかもななこは、そのページの中へと引きずり込まれてゆくのだった。くぐり抜けてみたらそこは砂漠で、作者らしき男が彼女を待っていたのだが。

*「アイデア出なかった」「セルフ・サービスでお願いします」という、本気とも演出された冗談ともつかない台詞が出てくる。で、全てを委(ゆだ)ねられてみると、ななこは自分が創作の基本についてさえ何も知らない事に気づかされる(これは僕らも同様だろう)。アマチュアの創作に対する助言となっているふうにも読めるようで、ちょっと変った趣向の回。



ACT.56 ななこ森林浴をする

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(ジャストコミック 1985年6月号)
"ACT.56 Nanako takes a walk in the woods"

Nanako and Iidabashi try to relax by walking in the woods. Yotsuya shows no interest in it, but he puts his idea into action just as thinks of making money. Nanako executes as his instructions ......

 森林浴でくつろごうとする、ななこと飯田橋。四谷だけが関心を示さないが、カネになりそうだと思いつくや行動に出る。ななこは言われるままに行動するが……。

*雑誌連載としてはこれが最終回となったらしい(掲載誌「ジャストコミック」が休刊した?)。残念ではあるが連載時に完結しなかったからこそ、21世紀になっても全く歳を取らないななこの「現在」の活躍が今でも読めるのかも知れない。「ななこSOS」はそもそも完結しにくい設定の物語かも知れないが、それで良いのだと思う。



ACT.57 ななこ&ひでおのイラストーリー

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(「ななこSOS 5」(光文社)1986年7月)
"ACT.57 an illustrated book of Nanako and Hideo"

"Today I go to inquire after a Mr.Azuma's health, it's a long time since he sufferes from neurosis".
Nanako says so and flies, carries liquors and komai (meaning : a sort of dried fish). When she meets Mr.Azuma the author, he gets absorbed in study and exercise of professional wrestling's art with a rolled futon (meaning : Japanese bedding) ......

* This is almost a report how the author was getting along in those days.

「今日はノイローゼになってから長い吾妻センセーのお見舞いに行きまーす」
と言いつつ、お酒とコマイ持ってななこが飛んで行く。たずねてみたら作者は丸めた布団を相手にプロレス技の研究と練習に熱中していて……。

*これは作者の近況報告的な内容で、シリーズの中のエピソードの1つという位置づけにはならないかと思われる。ななこの水着姿、ミニスカート、ウエディングドレスそして可愛い寝姿など読者サービスがいっぱいだが、それだけに台詞の内容が痛々しい。この時期、作者の身辺にどのような事があったのか詳細は分からない。



『ななこSOS』第5巻(光文社コミックス)




(昭和61(1986)年7月20日)

 第5巻は「光文社コミックス」として発行されたようだ。カバーの折り返し部分にある説明には、著者が「一年間の休筆生活から復活(?)し、⑤巻のために”新作”を描く」と記されている。





 描き下ろしピンナップは『夏、水着とななこと……』『ななこ ラストメッセージ』(1枚の裏表)。水着はごく初期のハイレッグカット(側面の切れ込みを深くすることで脚を長く見せるデザイン)のようだ。



 ACT.46『不良トマトとよばれて』から、ACT.57『ななこ&ひでおのイラストーリー』まで、そして『ひでお日記 ”恐怖の読者参加!!編”』(1ページ)を収録している。



 「○月×日 なんだか やたら キャピキャピしたのが 2名 アシスタントに来る 彼女らは少女漫画チックななこ本同人誌を作った ななこ・れでぃーすかんぱにーの美女たちであった」というのだが……?





 光文社から発行された『ななこSOS』のコミックス全5巻は、1996年、マガジンハウスからMAG COMICSとして装いも新たに復刻再販されることになる。



MAG COMICS 『ななこSOS』 第1巻




(1996年3月21日発行)

 ACT.1『ななこ目覚める』からACT.14『ちかんとスランプ』までを収録。
 吾妻ひでお版のオリジナルとアニメ版とを見比べた時に、一目で分かる違いはやはり”髪の色”ではないだろうか。とはいえ、吾妻ひでおの筆による肖像の中に、緑色の髪をしたななこが居ない訳ではない。この単行本のカバーがその例で、ご覧の通り緑色になっている(初出はどうやら『アニメディア』1983年6月号付録のポスターであったらしい)。もっとも、カチューシャは赤、スカートは黒と、やっぱりオリジナルになっていて、アニメ版ななことはちょっと違うのだった。

 

 カバー折り返し部分には、『ななこの超能力』として「空中飛行」と「怪力」が紹介されている。



 巻末には1ページ、吾妻ひでおのあとがきが収録されており、キャラクターの造形について短い説明がある。文章の上にサインがあるのだがその日付は「平7.2.24」と読め、これによれば平成7年(1995)に描かれたものであるらしい。この単行本の発行されるほぼ1年前になるが、はてこの時間差は何ゆえだったのだろう?



MAG COMICS 『ななこSOS』 第2巻




(1996年3月21日発行)

 ACT.15『超能力者製造機てん末記』からACT.25『スーパー・ヨガ』までを収録。
 カバーの肖像、カラスと談笑しているほうは、EPレコードのジャケットで用いられたのと同じもののようだ。

 

 カバー折り返しには、「ななこの超能力」として、「透視」と「ななこフラッシュ」が紹介されている。



 このMAG COMICS版では巻頭の8ページが2色刷りになっているのだが、第2巻からはその標題紙(中表紙)に、LPレコードで用いられたイラストレーションが登場している。



MAG COMICS 『ななこSOS』 第3巻




(1996年4月18日発行)

 ACT.26『四谷の陰謀』からACT.35『ひと夏のできごと』まで、そして『天才科学者四谷くんの1日』を収録。

 

 カバー折り返しでは、「ななこの超能力」として「テレキネシス光線」と「スプラッシュ」を紹介。



 標題紙はやはり、LPレコードが初出と思われるイラストレーションの2色刷り版が用いられている。



MAG COMICS 『ななこSOS』 第4巻




(1996年5月23日発行)

 カバー(画像の左側)は、TVアニメ主題歌EPレコードのジャケットと同じもののようだ。ACT.36『四谷フィーバー』からACT.45『ななこ実験助手』までを収録。

 

 カバー折り返しには、ななこの超能力として「大根足」の紹介がある(???)。



 標題紙はLPレコードから『イズ・ジス・ア・ムービー!?』の一場面。



MAG COMICS 『ななこSOS』 第5巻




(1996年5月23日発行)

 ACT.46『不良トマトとよばれて』からACT.57『ななこ&ひでおのイラストーリー』までを収録。

 

 カバー折り返しには、ななこの全身像がある。



 そして21世紀、ななこは再び、帰ってきてくれたのだった。


ACT.58 飯田橋 進化する

58

(「産直 あづまマガジン 1」2001年7月)
"ACT.58 Iidabashi evolves"

A schoolgirl moves in a class of Nanako. Nanako is a class president, so she has to take care of the girl, Kaoru Momoyama. But Momoyama quarrels immediately with boys of her class because of her warped mind and plain-looking. Nanako finds that Momoyama may be an ESPer, and introduces her to Yotsuya ......

 ななこのクラスに転校生が入った。彼女、桃山かおるは学級委員長のななこが面倒を見ることになる。しかし性格ブスで容姿もさえない桃山はさっそくクラスの男子達とケンカになってしまう。桃山が超能力者らしいと気づいたななこは、彼女を四谷に紹介するのだったが……。

*21世紀となり、およそ15年ぶりで「ななこSOS」復活となった最初のお話がこれのようだ。今回、四谷の発明がからんでおり、そこへこの転校生が乱入したために思いもよらぬ事件が発生する。わずか16ページだが高密度な話になっていて、流石にお見事。「人間の究極の進化」うんぬんという四谷の台詞に風刺が感じられる。



ACT.59 侵略の儀式

59

(「産直 あづまマガジン 2」2002年7月)
"ACT.59 the ceremony of aggression"

Nanako and Iidabashi witness a crash of mysterious flying object, on their way go to school. Nanako senses crisis and makes a barrier by her psychic power. Therefore she succeeds in self -defense, but the object seems "radiates something harmful wave motion". Everybody except Nanako have not been able to move, she flies to Yotsuya ......

 ななこと飯田橋は登校の途中で、奇怪な飛行物体が墜落したのを目撃する。危機を察知したななこはバリアーを張って自己防衛に成功するが、謎の物体は「何か良くない波動を射出して」いるらしい。ななこ以外の誰もが動けなくなってしまっているなか、ななこは四谷のもとへ飛び……。

*四谷のどえらい天才ぶりが発揮される回。きわめて正攻法にも"異星人の侵略"に立ち向かうという話なのだが、そこは吾妻マンガ、お定まりな展開にはならない(しかもそれでいて、読者が見たがるであろう要素もちゃんと盛り込んであるのが実に巧みだと思う)。防衛のためと称して戦闘をしたがるというくだりは、なんとも風刺が効いている。



ACT.60 ななこアイスを売る

60

(「産直 あづまマガジン 3」2003年7月)
"ACT.60 Nanako sells ice cream"

In summer, Nanako sells ice cream while she walking at a park in the evening. Various dangerous people, drunkards and so forth, hang around there. Nanako suspects that there is a person who have an extraordinary hate. She is eager for prevention of accident from happening, tries to find a youth of target, for calm him down ......

 夏。ななこは夜の公園でアイスを売り歩いている。そこには酔っ払いやら何やらとあぶない人々がうろついているのだったが、そうした中にとりわけ強烈な憎悪を懐いている人物がいるのをななこは感じ取った。危険をどうにかしようと、ななこは当該の若者を探し出し、捨て身でなんとかなだめようとする……。

*えらくスペクタクルな表紙になっているが嘘は無く、ついに世界平和の女神となった(!?)ななこの活躍が展開する。「たちきり」まで描かれているページには下のほうに小さな丸や四角があるが、これは初出の時に「ページノンブル」が入っていた跡であるらしい。



ななこ1ページ劇場

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(2005年5月)
"Nanako 1 page theater"

* I met with Mr.Bear
* Nanako the fortuneteller
* Yotsuya robot
* the super-assistant
* Supergirl Co. Terrestrial Defense Corps
* Iidabashi fights

・熊さんと出会った
・ななこの占い師
・四谷ロボット
・スーパー・アシスタント
・すぱカン地球防衛隊
・飯田橋戦う

*吾妻マンガを久しぶりに読んだ読者が驚かされそうな点として、
(1)80年代とはかなり絵柄が変化していること
(2)かつては吾妻マンガに必ず登場していた常連の脇役達が全く出演しなくなっていること
などが挙げられるかと思われる。後者の脇役については、ここで教師と生徒1名にちょっと見覚えのある顔があって(「四谷ロボット」)、懐かしいかも。



あとがき

Na_ato3

(2005年5月)
"a postscript"

The author says,
"Characters that I created, may have been waiting for their turn, even after the series ended, until I paint them".
We can see heroes and hiroines of "Bratto Bunny","Tobe Tobe Donkey","Nemuta-kun","Yakekuso-tenshi" and "Scrap-gakuen", behind him.

「漫画は終わっても私の作ったキャラクター達は描いてもらうのを待ってるのかもしれません」
と作者が語っているコマの背景には、『ぶらっとバニー』『翔べ翔べドンキー』『ネムタくん』『やけくそ天使』『スクラップ学園』の登場人物の姿がある。彼らと新作で再会できる日がくるのを願わずにはおれない。
(ハヤカワコミック文庫『ななこSOS 3』は、ここで終わっている。)





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