"Oh! Azuma" contains comics that was written on just before and just after of author's disappearance.
はじめに
(2006.11.4.付記:)ぶんか社から単行本『便利屋みみちゃん①』が発売されたので、このカテゴリにてその内容を紹介させて頂くことにしました。先に『Oh!アヅマ』の収録作品について記し、それに引き続き『便利屋みみちゃん』の作文をのせてゆこうと思っています。)
ぶんか社からは吾妻マンガの単行本が過去にもいくつか出ているが、そのなかの1つが『Oh!アヅマ』(画像は表紙と裏表紙)で、これは里程標みたいな位置づけができる書籍かも知れない。というのは、表紙のコシオビにも文言があるとおり新作収録図書としては(1985年発行の『ときめきアリス』などから起算すれば)約10年ぶり(!)で世に出たものだからである。この頃の事は『失踪日記』p.125に言及があるようだ。その出版時期が時期で、インターネットなどの情報経路もまだ未発達だった当時としては突然(?)であっただけに、吾妻ファンでさえこの本は買い逃してしまったという人も多いかも?
『Oh!アヅマ』の内容を概観すると……。収録されている『いなおり天使』のNo.3は初出が『ミステリー レディース』1989年12月号で、これは最初の失踪(1989年11月)の直前に執筆されたものではないかと思われる。また『秘密のマユちゃん』は『まんがシャレダ!!』1994年1月号に掲載されたもので、こちらは「ガス屋のガス公」(『失踪日記』p.105参照)が東京ガスの社内報1993年2月号に掲載されたほぼ1年後、2度目の失踪から復帰した直後の時期に執筆された作品群のひとつであるらしい事がわかる。
こうして見るに、この書籍は作者のマンガ家人生がリセットされた(?)ちょうどその頃の作品群を収録していると言えそうで、絵柄の微妙な変遷なども分かり興味深い。