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15 Oh!アヅマ/便利屋みみちゃん
The book "Oh! Azuma" was put on sale in 1995, after an interval of about 10 years since the last time when his new book was sold.
"Oh! Azuma" contains comics that was written on just before and just after of author's disappearance.

はじめに

(2006.11.4.付記:)ぶんか社から単行本『便利屋みみちゃん①』が発売されたので、このカテゴリにてその内容を紹介させて頂くことにしました。先に『Oh!アヅマ』の収録作品について記し、それに引き続き『便利屋みみちゃん』の作文をのせてゆこうと思っています。)

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 ぶんか社からは吾妻マンガの単行本が過去にもいくつか出ているが、そのなかの1つが『Oh!アヅマ』(画像は表紙と裏表紙)で、これは里程標みたいな位置づけができる書籍かも知れない。というのは、表紙のコシオビにも文言があるとおり新作収録図書としては(1985年発行の『ときめきアリス』などから起算すれば)約10年ぶり(!)で世に出たものだからである。この頃の事は『失踪日記』p.125に言及があるようだ。その出版時期が時期で、インターネットなどの情報経路もまだ未発達だった当時としては突然(?)であっただけに、吾妻ファンでさえこの本は買い逃してしまったという人も多いかも?

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 『Oh!アヅマ』の内容を概観すると……。収録されている『いなおり天使』のNo.3は初出が『ミステリー レディース』1989年12月号で、これは最初の失踪(1989年11月)の直前に執筆されたものではないかと思われる。また『秘密のマユちゃん』は『まんがシャレダ!!』1994年1月号に掲載されたもので、こちらは「ガス屋のガス公」(『失踪日記』p.105参照)が東京ガスの社内報1993年2月号に掲載されたほぼ1年後、2度目の失踪から復帰した直後の時期に執筆された作品群のひとつであるらしい事がわかる。
 こうして見るに、この書籍は作者のマンガ家人生がリセットされた(?)ちょうどその頃の作品群を収録していると言えそうで、絵柄の微妙な変遷なども分かり興味深い。



初めまして…の巻

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(単行本描き下ろし 1995年8月)

"Hajimemashite no maki (meaning : volume of "Pleased to meet you")"

"My honey, good morning."
A "Playboy bunny"(?) has brought a cup of tea. A man takes a newspaper off and asks,
"Why have ya a fastidious taste in dress so early in the morning ?".
They seem a married couple ...

 「あなた おはよー」とバニーガールがお茶を運んで来る。男は読んでいた朝刊(だろう)を置き、「お前どーして朝からそーゆー濃いかっこしてんの」と訊(き)く。どうもこの2人は夫婦であるらしいのだが……?

*これは『コスプレ奥さま』連載の第1話ではなく、単行本『Oh!アヅマ』(ぶんか社 ぶんかコミックス 1995年8月10日)発行にあたって描き下ろしされた作品のようだ。それゆえか内容にいくぶん設定説明のような要素はあるが、殆どそれと気づかない。例えばこの夫婦の姓は「田中」であるらしいのだが2人の名前の方は明らかにされていない。そうした点がかえって自然に感じられる。
 子供(学生)時代に熱中した遊びは大人(社会人)になったらやめる……それがかつてはおそらく常識的で平均値の人生パターンであったかと思われるが、そうした社会通念は1970年代末あたりから変化してきたのかも知れない。社会人どころか親と言う立場になってもなお、学生時代の延長を生きているかのように同じ事に熱中している人物はけっこう実在するようだ。これはそのことに興味関心の無い他人の目から見れば「単なる遊び」としか思えないものでも、取り組んでいる当人たちにしてみれば立派な「趣味」であって、もし可能なら生涯を通じてでも続けるに値する「深さ」を持っているという事なのかも知れない。「遊び」と「趣味」を全く同じものとみなすなら厳密さを欠くだろう。たしかに幼児はお絵描きをして遊ぶかも知れないが、大人が敢えて絵筆をとる時それは一生を捧げても探究に終りの無いものとなる場合もある。
 時代が人を作り、人が時代を作る、という言葉があるようだ。そうした要素に着眼しているかと思えるこの『コスプレ奥さま』は、吾妻マンガの中では『幕の内デスマッチ!!』にやや近いと考えられようか。『幕の内…』は男性の"おたく"を描いているが、こちらは女性の"おたく"をヒロインとしているからだ。



怪盗くらやみ団…の巻

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(まんがシャワー 1994年3月号)

"Kaitoh Kurayami-dan no maki (meaning : volume of "a mysterious thief gang Darkness")"

"Good morning, my honey."
A wife has brought a breakfast. She wears a clothes not clear in meaning. She seems to amuse herself with a fancy dress of some comic characters. Her husband is greatly amazed at her behavior, but they seem to live in perfect harmony.
She dare follow her husband and go to his place of work, after changed into more quaint clothes ...

 「おはよー あなた」と朝食を持ってくる女房を見てみれば、ワケの分からない服を着ている。何かの登場人物になりきって楽しんでいるらしいのだが夫は呆(あき)れるばかり。でもこの夫婦はそれでもうまくいっているから良いのだろう。しかし女房はさらに現実離れした意味不明の衣装に着替えて、会社についてきてしまう。一体どうなるのやら?

*これが連載第1話だったらしい? 題名どおりコスプレ(仮装)をしているが、何のコスプレなのか、その元ネタを知らなくても話が通じるようになっている。



ぼくは王子だ…の巻

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(まんがシャワー 1994年4月号)

"Boku wa ohji da no maki (meaning : volume of "I'm a prince")"

Wife brings a breakfast in fancy-dress as usual. It seems that she reaches her limits about material of disguise ...

 例によって奥さんが、コスプレして朝ごはんを持ってくる。どうも「ネタ」に苦しんでいるらしいのだが……。

*ありきたりなものではなく、それでいて魅力的なコスプレを、というヒロインの努力は、作者の苦労の反映でもあるのだろう。ありきたりではない(?)エロティックな場面も、今回ちょっと入っている。
 作中にある「士魂物語 名刀流転」というのは、1965年に発表された平田弘史の時代劇画であるらしい。



あやしい世界…の巻

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(まんがシャワー 1994年5月号)

"Ayashii sekai no maki (meaning : volume of "queer world")"

Mrs.Tanaka is requested to make a child's fancy-dress for dramatics at kindergarten. A married woman who requested it is an ordinary housewife, but she is entangled in an occurrence by a strange opportunity ...

 幼稚園の劇で使う子供の着ぐるみ作りを頼まれる、田中さんの奥さん。それをゆだねたよその奥さんはごく普通の主婦だったのだが、ひょんな事から巻き込まれてしまい……。

*「人付き合い」によって誰の人生も影響されうるということか(別にこのマンガは教訓話ではないのだが)。



あたしがちからになりましょう…の巻

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(まんがシャワー 1994年6月号)

"Atashi ga chikara ni narimashow no maki (meaning : volume of "I'll help you")"

The proprietor of "Armageddon the pub" is in distress because he is deserted by waitresses. Then "Mrs.Tanaka who lives at 3-chome" makes an entrance ...

 「スナック喫茶 はるまげどん」では、ウエイトレスたちに逃げられ困っていた。そこへ登場した「3丁目の田中さんの奥さん」だったのだが……。

*現実ではコミケ(マンガ同人誌の即売会)などでのお祭りの衣装という感覚でコスプレ(仮装)をする人が大半ではと思われるが、ヒロインは全然そういう世界に接点を持っていないかのようである。しかし冒頭で「ブロンディ」(Blondie 1930~ アメリカ漫画。作者はChic Young)を演じていたりする。よほどの研究者でもない限りこんな年代ものの外国マンガは知らないだろうに??? マニアだけの集会に於いてではなく日常生活の中でコスプレをやりまくってご町内の有名人となり、大道芸だか風俗営業だか分からない方向へ突っ走るヒロインはとにかく凄い……。



我々は遠くから来た…の巻

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(まんがシャワー 1994年7月号)

"Wareware wa tohku kara kita no maki (meaning : volume of "We have come from a great distance")"

In a recreational trip of a company, at a banquet, "Mrs.Tanaka's show" starts. Ridiculous casting, ridiculous development, so that everything gets out of control gradually ...

 会社の慰安旅行で宴会になっていたら、そこで「田中さんの奥さんショー」が始まった。無茶苦茶な配役に無茶苦茶な展開で、どんどんややこしい事になってゆき……。

*元ネタのマンガに知識が無くても大笑いできるのではあるまいか。それにしてもいったいこの会社がどんな事業をしているのやら、気になるところではある。



サマータイムヒーローの巻

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(まんがシャワー 1994年8月号)

"Summertime hero no maki (meaning : volume of "hero of summertime")"

Heroine works hard in door-to-door selling in fancy dress in spite of summer heat. She sells her used fancy dresses, and runs into a strange client ...

 夏なのに暑そうなコスプレをして訪問販売にはげむヒロイン。手持ちの衣装を売り歩いているのだったが、おかしな客に出会って……。

*意外な展開で暴走してゆくのが笑える。元ネタである1960年代のマンガを知っている読者にはなおさら爆笑ものなのではあるまいか。



電飾ばんざい…の巻

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(まんがシャワー 1994年9月号)

"Denshoku banzai no maki (meaning : volume of "electric bulb device, hurrah")"

Mr. and Mrs.Tanaka are going to go to a festival wear matching native costumes. Heroine sets electric bulb device to her costume ...

 夫婦揃って手作りの浴衣(ユカタ)を着、仲良くお祭りへ行こうとするが、ヒロインは自分の浴衣に電飾を仕込んで……。

*NHK紅白歌合戦みたいな衣装(?)であるが、実はあとで別のものも出現する。たった5ページだが密度の高い構成になっている。それはさておきこの夫婦の貞操観念はどうなっているのやら、ちょっと心配になる……。
 お祭り会場で流れている曲は「東京音頭」であるらしい。



必殺!サークル固めの巻

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(まんがシャワー 1994年10月号)

"Hissatsu ! Circle Gatame no maki (meaning : volume of "Invincible ! Circle Hold")"

Mr.Tanaka brings Mr.Hashimoto the transfered member to his home. Mrs.Tanaka changes her clothes like a professional wrestler in a hurry. But this guest is ...

 ご主人が自宅へ、転勤してきた橋本君を連れてきた。女子プロレスラーのような服を着ていた奥さんは、急いで着替えるのだったが、このお客は……。

*(警告:以下、結末に言及しています)
 かつてはコスプレというと、マンガの創作やファン活動の「おまけ」的な位置づけがされていたように思う(同人誌即売会のなかには、諸般の事情から"コスプレ全面禁止"としたものもあった)。しかしこの頃には既に、コスプレだけで独立した趣味として探究する人達が現れていたのかも知れない。



ゼウスは見ていた…の巻

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(まんがシャワー 1994年11月号)

"Zeus wa miteita no maki (meaning : volume of "Zeus watched")"

Mr.Tanaka comes his home and notices a poster on a door. It says;
"Used fancy dress / sales at low price / right now. / Please come in easily.".
But there is a strange old man in customers ...

 ご主人が帰宅してみれば、ドアに貼り紙がしてある。「漫画で使ったコスプレ、安価にて販売中! 御自由にお入り下さい」。ところがやってきた客の中に、風変わりな老人が1人いて……。

*サブタイトルはこの老人にからめたものらしい。



夜の夢はまことか?…の巻

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(まんがシャワー 1994年12月号)

"Yoru no yume wa makoto ka ? no maki (meaning : volume of "Is a dream at night true ?")"

Mr.Tanaka finds a stand and drops into it, to his surprise, his wife tends the stand as a part-time worker. During the time when he has supper at there, only strange customers come one after another ...

 ご主人が屋台を見つけ立ち寄ってみたら、なんと奥さんがバイトで店番をしていた。晩ごはんを兼ねて食べていたら、次々と怪しげなお客ばかりやってきて……。

*これが最終回らしいのだが、とうとう最後までヒロインもそのご主人もフルネームは明らかにされていない。「田中さんの奥さん」というのは肩書きであって名前ではないだろう。"あえて名前を特定するまでもなく、どこにでもいる"コスプレ夫婦、といった意味合いであろうか?
 なお、ヒロインである「田中さんの奥さん」は、実はこれが最後の出演ではない。『クラッシュ奥さん』シリーズの第2回(イカしてソーロウ 1997年8月2日号)でしっかり登場しているのだった。



秘密のマユちゃん

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(まんがシャレダ!! 1994年1月号)

"Himitsu no Mayu-chan (meaning : Secret girl Mayu)"

* Heroine is a schoolgirl by name Mayu. Not only her personality, but olso her home life are mysterious. It seems that she has something secret between her father, (this is the origin of this title, probably,) but everything remains a mystery.

*これは4コマ作品なので「あらすじ」の説明をするのはちょっと難しい。ヒロインは「マユちゃん」と呼ばれる女学生なのだが、性格といい家庭環境といい何とも謎めいている。父親と何かわけありらしいのだが(それで題名が「秘密の……」なのだろう)詳細は不明のままである。
 なお、この作品の後に続く「マニアック・るいちゃん」に、この少女は主人公の友人として登場するようだ(ただし"まゆちゃん"と平仮名表記になっているが)。



マニアック・るいちゃん

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(まんがシャレダ!! 1994年5月号~1995年8月号)

"Maniac Rui-chan (meaning : Maniac girl Rui)"

Rui Ohkawa the heroine of this absurdity comedy series is a schoolgirl. She has a friend by name Mayu, but they don't wear same uniform. So that they seem to go to each school.

*これも4コマ漫画なので「あらすじ」を説明するのは難しい。連載16回分、計112篇が収録されている。
 ヒロインは女子高生である大川(おおかわ)るい。友人に「まゆちゃん」がいるが、この2人は別々の制服を着て登場しているので、同じ高校に通学しているわけではないようだ(同窓生であろう女生徒も出てくるのだが、名前は明らかにされていない)。
 題名を見て「何の通(つう=マニア)なんだ?」と思った。が、読み進むと確かにヒロインには凝り性な所があるとはいえ、何かに熱中するというくだりは特に見当たらない。目立つのはむしろ、次々と奇妙奇天烈な行動を取る事なのである。どうやらこの題名は"maniac(マニアック)"の元々の意味を暗示しているらしい……?
 そういうヒロインなので、不条理あるいは分類不能なギャグが多く、1980年代初頭に人気があったらしい"3大異常キャラクター(ナハハ、不気味、三蔵)"たちの遺伝子を引き継いでいるのがこの大川るいであるのかも知れない? とはいえ容姿と台詞に全く彼らと共通点は無いのだが。
 強いて幾つかに分類すると他には、格闘技ネタ、北海道ネタ、料理ネタ、ホームレスネタ、えっちい系ネタ、オタクまたは同人誌ネタ、生物学ネタとでも呼べそうなものが出てくる。ここでふと気づくのは(そしておそらく大変重要なのは)SFネタが1つも無い事である(超能力(?)やUFOが登場するものも2,3はあるのだが)。はたしてこうした作風は編集部からのリクエストによる結果なのか、それとも作者自身による制御なのか? 4コマまんが専門誌は出来る限り読者対象を絞り込まず間口を広く取る編集方針をとっているように感ぜられるので、けだし前者ではあるまいかと思うのだが真相は分からない。
 ヒロインと親しく交際しているらしい男子学生の森本君は準レギュラーとして何度も登場するが、ヒロインの奇妙な言動に振り回されて言葉を失うばかり。結局は主人公の突飛な人柄を目立たせる役どころとなっている。常識的な人物がさんざんな目に遭うのは、吾妻ギャグの基調なのであろうか?



No.1 甘い生活

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(ミステリー レディース 1989年8月号)

"No.1 Amai seikatsu (meaning : The sweet life)"

In the morning, heroine slept in a state of naked, wakes up and finds "Moriyama the colleague of accounting" lies down at next.
"I make a such blunder all the time when I drunk. I'm sorry, I'm sorry. Now, see you later."
She says and be going to leave, as he replys to her,
"Sorry, but we have married ..."

* Yukari the heroine of this series is an unrestrained woman. She is very cunning, but always makes mistake because she is a bad drunk.

 朝。裸で寝ていたヒロインが目覚めてみると、なぜか隣には「経理の森山くん」がいた。「酔っぱらうといつもこれなんだよな 悪い悪い じゃ またね~」と言いながら帰ろうとする彼女に森山くんは答える、「僕たち結婚したんだけど……」。

*この「いなおり天使」シリーズが連載されていたのは女性誌であったからか、やりたい放題の人生を送っているヒロインが登場する。持って生まれた美貌(びぼう)を武器に男どもを手玉にとって、打算に利己主義、不倫に自己中心、自由奔放(ほんぽう)、放埓(ほうらつ)無軌道、飲んで騒いですちゃらかちゃん……。それではしかし同性から見てさえ「嫌な女」になってしまうのでは? と心配になるが、天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)というべきか、ヒロインの"ゆかり"には致命的な弱点がある。酒を飲みだすと制御を失い、出たとこ勝負で無茶をしでかし、あげく翌朝になると自分のした事を全部忘れているというのがそれで、ために彼女の悪巧みは半ば成功するものの常に天罰のオマケ付きという結果になるのだった。
 自分(の欠点)という爆弾を抱えたまま人生を綱渡りして、大成功と大失敗を同時に経験しまくっている"ゆかり"は、まさに現代的なコメディの主人公と言えようか?



No.2 堕天使ロック

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(ミステリー レディース 1989年10月号)

"No.2 Datenshi rock (meaning : On the rocks of dropped angel)"

The chief of a department suddenly asks Yukari to end an association with her. The illicit love was found out to his daughter, and he seems to be sentenced "If you don't break with her, I'll become dellinquent". Yukari forces her husband Moriyama to go with her to have a dinner, to say good bye to the chief of a department. But ...

 部長が突然、別れてほしいと言ってきた。娘にバレてしまい、「別れなきゃグレる」と宣言されているらしいのだ。いちおう夫である森山君を無理につきあわせ、お別れの食事をすべく部長に会いに行く、ゆかり。しかしそのテーブルに待っていたのは……。

*上司との不倫というネタはレディースコミックにはよくあるらしいのだが、ここでは、きわめて教育上良くないヒロインと、きわめて常識的な周囲の人々との間で炸裂する騒動を描いている。



No.3 ドメスチック・ハイ

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(ミステリー レディース 1989年12月号)

"No.3 Domestic High (meaning : Domestic highball)"

Yukari sleeps until late in the morning.
"I've gotten ready breakfast."
Her husband Moriyama says and Yukari awakes. She drinks beer and thinks,
"Should I do something like an ordinary housewife ?" .
So that she goes shopping, and trys to get along well with their neighbors on her way ...

 朝寝している、ゆかり。「ごはんできたよ」と夫である森山君に起こされ、朝食でビールをかっくらう。「少しは主婦らしいこともするべきかな?」と考えたゆかりは買い物に出かけるが、その途上で近所づきあいの努力(?)を始め……。

*ここでシリーズは終わっているのだが、ゆかりの旧姓が何なのか、森山君のフルネームが何なのか、不明のままとなっている。現実的な舞台で繰り広げられる物語においても(むしろそういう設定の場合に?)登場人物の名前にあまりこだわらない、というのが吾妻マンガの特徴のひとつなのかも知れない。



あとがき

17ato(描き下ろし 1995年8月)

"Atogaki (meaning : postscript)"

* There is the inside story of author in those days. It says that he was suspected that he was an impostor of himself by some editor when he had contributed.

*この当時の作者の裏事情についてさらりと述べてある。かつて某社に投稿したら吾妻ひでお本人と信じてもらえなかった(?)らしい事など、事実は小説より奇なりと言うべきか。
(単行本『Oh!アヅマ』はここで終わっている。)



便利屋みみちゃん①

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"Benriya Mimi-chan (meaning : Utility girl Mimi)"

 ぶんか社から単行本『便利屋みみちゃん①』が新発売になった。おくづけでは2006年11月10日初版第一刷とあるが、実際には2006年10月30日に店頭へ出たようだ。税込み定価620円と手ごろな値段で、B6版194ページ。全て単行本初収録の新作のみから成っており誰が購入しても損しないだろう(そして何よりも、しっかり面白い)。
 この書籍が入手困難という事はあり得ない筈だけれど……当ブログでもちょっと紹介してみようと思う。収録内容は以下のとおり。
・便利屋みみちゃん 第1~26話
・失踪こぼれ話(1ページ)
・あづま童話(17話ぶん)
・放浪日記(6ページ)
・あとがき(2ページ)
なお表紙は"オレンジ色"ではない(画像が単行本表紙)。本屋さんで探す時、お間違えのないように……。



第1話 ブラック・ジャ●クさんにごきげんよう

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.42 2004年3月19日号)

"Black Ja*k san ni gokigenyoh (meaning : How are you Mr.Black Ja*k ?)"

A cellular phone rings when naked heroine is in bed with her boyfriend Jun.
"Hello, this is a utility girl Mimi, speaking."
She replys the call, and it turns out a request.
"Today I 'll work as a nurse."
"Have ya a license of it ?"
"That's okay, doctor has no license either, and he has a sture on his face."

* This doctor seems to intimate a famous character of Osamu Tezuka the manga artist.

 恋人(?)のジュン君と2人きり、布団の上にオールヌードでいるところへ携帯が鳴る。「ハイ便利屋みみでーす」と出てみたら仕事の依頼だった。「今日はナースのお仕事なの」「おまえ資格持ってんのかよ」「いいのよ先生も無免許で顔に縫い目あるんだから」というのだが……。

*無免許で顔に縫い目のある医師というのは、手塚治虫作品のパロディらしい。
 この回の最後のページは、下絵の段階とかなり違っているようだ。下絵は『定本ときめきアリス』(チクマ秀版社)P.199に収録されているのだが、それには、何故みみが金を貯めているのかについて説明があり、ジュン君が北海道出身である事などが台詞で分かる。オチが推敲されて大きく変更されたらしい?



第2話 食うほど痩せるダイエット

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.43 2004年4月18日号)

"Kuu hodo yaseru diet (meaning : The diet that the more you eat, the more you lose weight)"

Mimi and Jun arrange to meet at a hamburger store. Then she gets a request of work in her cellular phone. It is a waitress job as a stopgap measure, but the store has a strange name the "Diet Caffe Gessori" (meaning : diet coffee shop "became emaciated") ...

 ハンバーガー屋の店内で待ち合わせの、みみとジュン君。そこへ仕事の依頼が携帯に入って来た。ピンチヒッターでウエートレスをつとめるのだったが、それは『ダイエットカフェ げっそり』という変な店で……。

*登場する制服のデザインがどこかアン●ミラー●風で、作者はいろいろ研究しているらしい!?



第3話 みみの寿司

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.44 2004年5月15日号)

"Mimi no sushi (meaning : Mimi's sushi)"

Mimi comes to a sushi bar. A storekeeper is surprised and says in anger,
"I asked certainly for help by a first-class cook, didn't I ?".
But Mimi's ability of cooking is pretty well, so she is accepted. Then a customer comes in ...

 寿司屋へやってきた便利屋みみちゃん。店主は驚き「一流の板前よこせって言ったはずだぞ」と怒るが、みみの包丁さばきはかなりのものだった。どうにか認められ、そこへ客が来たのだが……?

*70年代からの吾妻ファンには懐かしい"フキナガシ"(空中を泳ぐ魚)が1コマ登場している。芥川賞受賞作の題名をパロディにしている台詞があるが、「若い娘達の才能と実力はあなどりがたい」という、作者の所感であろうか。



第4話 悪徳業者はシュートで潰せ!!

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.45 2004年6月20日号)

"Akutoku gyohsha wa shoot de tsubuse !! (meaning : Drive away a dishonest dealer with a screwball !!)"

Mimi wears somehow schoolgirl uniform and necking with Jun.
"It's so good to play "fancy-image sex club" in the morning."
Jun looks happy, then Mimi's cellular phone rings.
"No, we are not a brothel, so that we don't send a girl."
Mimi declines the request. Then she gets another call, it seems a trouble with contract of tile ...

 なぜかセーラー服を着て、みみはジュン君といちゃついている。「朝からイメクラごっこは楽しいな」とジュン君はごきげんだが、そこへ携帯が鳴る。「いえうちはデリヘルじゃないので女の子派遣はしてません」と断った後、別の仕事が来た。どうも屋根瓦の契約でもめているらしく……。

*悪徳商法の撃退というのは何ともユニークな依頼だが、こんな事件に出くわすのも便利屋という商売なればこそだろう。また、こうした問題で警察などがすぐには対応してくれないかも知れないという、社会の現実も反映されているかのようで興味深い。



第5話 工事士免許も持ってます

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.46 2004年7月17日号)

"Kohji-shi menkyo mo mottemasu (meaning : I have a license of construction work, too)"

When Jun works at a construction site, Mimi comes and says,
"Would you like a packed lunch of us, Ofukuro-tei (meaning : Mom's home cooking restaurant) ?"
According to her explanation,
"There are many workers because many constructions are underway in this area, so I come here as a part-time worker."
But there are many business rivals ...

 現場で仕事をしていたジュン君。そこへ「おふくろ亭のお弁当いかがですかー」と、みみが現れる。「このへん建築工事ラッシュで作業員も多いからバイトで出張販売してんの」という。しかし商売敵も多くいて……。

*ヒロインの恋人らしいジュン君はガスの配管工事をしている事が今回わかる。このへん『失踪日記』の既述からしてどうも作者の実体験がかぶっているものと思われる。ガス屋さんがレギュラーで出演する連載マンガというのは、ひょっとするとこの『便利屋みみちゃん』が日本で唯一の作品かも(?)。



第6話 大忙しバスガイド

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.47 2004年8月15日号)

"Oh-isogashi bus guide (meaning : A very busy guide on a sightseeing bus)"

Mimi is requested to be a temporary guide. The work is "A group tour to look for KAPPA (a kind of Japanese imaginary monster)". It is a strange tour, but tourists who participate in it are strange, too ...

 臨時のバスガイドを頼まれた、みみ。それは"河童探索ツアー"の仕事だった。何ともヘンな企画のツアーではあるが、それに集まったお客たちがこれまたヘンな人ばかりで……。

*吾妻キャラでは70年代からの古株になる『三蔵』とおぼしき人物がちょこっと出演、ただし台詞は無い。ヒロインの仕事ぶりも相当ムチャクチャなのだが、それ以上にお客たちの珍妙な言動が笑える!?



第7話 適度に適応

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.48 2004年9月19日号)

"Tekido ni tekioh (meaning : adapt moderately)"

Hideo is a boy that "has been staying indoors and not going to highschool for one year". Was asked by his mother, Mimi accepted to be a one-day girlfriend of him. Hideo is unwilling and says;
"It's more enjoyable for me to play a love simulative game or use bbs.".
But Mimi takes him out and goes to various places ...

 「もう一年も引きこもってて高校へも行ってない」という少年、英夫。彼の母親から頼まれて、みみは一日恋人を引き受けた。「ギャルゲーや2ちゃんねるやってる方が楽しい」と嫌がる英夫を、みみはあちこち連れ回すのだが。

*単行本『うつうつひでお日記』(角川書店)のp.9(2004年7月12日)には、この回の物語が完成するまでの推敲のプロセスが記されている。完成したものとは細部やオチが微妙に異なり比較してみると面白い。



第8話 ちょこっと逮捕

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.49 2004年10月16日号)

"Chokotto taiho (meaning : arrest just a little)"

There is a convenience store changed from liquor shop, but is not popular. Mimi is asked an overall managerial restructuring of it. The store is unrestrained because it's not a chain store, but it has a lot of troubles. At a Mimi's suggestion, she puts up poster that says;
"Feel free to shoplift in this store. But we'll charge you the price if we catch you redhanded." !

 酒屋からコンビニへと転業したが、さっぱりはやらないという店。みみはその状況改善を頼まれる。チェーン店に加盟せず個人でやっているだけに、自由はあるがいろいろ難しい。みみの出したアイディアで、なんと「当店万引自由 但し現場をおさえられたら代金はいただきます」という貼り紙をすることになった!!

*ストーリーマンガや劇画であれば、ここでいろいろ現実的な方法を試し、人と人が絡んで織り成されるドラマを……という展開におそらくなるのだろうが、どっこいギャグマンガだとそういう図式は無い。およそ現実には不可能であろうとんでもない真似をあっさりやってのけてしまい、あり得べからざる騒動が読者の眼前に展開してゆく。ギャグマンガのこうした、超現実的な事を読者に目撃させるという要素は、ひょっとしてSFにも通じるところがあるのだろうか?



第9話 UFO売りの季節

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.50 2004年11月21日号)

"UFO-uri no kisetsu (meaning : season of U.F.O. sellers)"

Mimi is requested as "a one-day secretary / 10,000 yen an hour / on the condition that you sit on my thigh". The client is a president of company has strange name "Yamamoto U.F.O. factory". It is said that he is going to have a visitor who is his classmate and rival since his junior high school days. So that he seems to want to show off how he succeeds in life, as he employs a secretary. At last the man comes, but ...

 「一日秘書の仕事で時給一万 条件は膝の上に乗ってくれること」という仕事が来た。依頼主は"山本円盤工場"というヘンな会社の社長。なんでも、中学の時からライバルだった同級生が来るので、自分も秘書を雇うまでに出世した、というところを見せたいのだと言う。そしてその人物はやって来たのだが。

*ジュン君の台詞に「ごんぬつ ばー」とあるのは「こんにちは」の意だろう……(?)。 社長が「昔の外国一コマ漫画」に憧れていたり、妙な所で年齢が分かるような細部の描写は面白い。しょうもない見せびらかし合戦を必死にやっている場面も笑える(くっだらね~な~、も~……。遠心力で……浮くワケないでしょうが!!!???)。



第10話 浮気するなら人間と

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(みこすり半劇場 2005年2月10日号)

"Uwaki suru nara ninghen to (meaning : If you have an affair, with human being, please)"

Mimi had been requested to investigate into some affair, and succeeded in taking photographs for proof. But the husband her target is not an ordinary man ...

 浮気調査の依頼が来た。証拠写真の撮影には成功したが、標的だった夫はちょっと普通ではなくて……。

*この回はいかにも吾妻マンガらしいと言うべきか、不条理ギャグとSF(?)の成分が色濃く感じられる。ちょっと説明のしようが無いけれど、読んでみれば分かって戴けると思う。



第11話 あたしは優しいお姉さん

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(みこすり半劇場 2005年3月10日号)

"Atashi wa yasashii onehsan (meaning : I'm a tender elder sister)"

"May I ask you a help for a man who I associate with ?"
According to her the client, a work is to be a girl student and to be his elder sister. Mimi goes to a rental apartment indicated, and finds a middle aged man has been waiting at there. When he comes out again after changed his clothes, he plays completely a role of new elementary schoolchild ...

 「あたしの付き合ってるオヤジのヘルプ頼みたいんですけど」という依頼が来た。女子校生でお姉さんになればいいという。指示されたウイクリーマンションへ行くと、いい歳をした男が待っていた。着替えて現れた彼は、なんと小学1年生になりきっており……。

*"女子校生"というのは誤記ではなく、"高(校)"といった、未成年を暗示する表記が現在のマスコミでは禁止されているゆえらしい。この回でみみは18歳であることが分かる(少なくともそういう情報が伝わっているらしい)。



第12話 萌えよお花見

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(みこすり半劇場 2005年4月14日号)

"Moeyo ohanami (meaning : Be in love, cherry blossom viewing)"

Mimi takes seats to "A party of Pygmalion" for a cherry blossom viewing. As soon as a party comes and hands over seats to them, Mimi is taken too much pictures by them. She stays their banquet because she can drink liquor for free. And she knows that they are enthusiasts of beautiful girl dolls ...

 "ピグマリオン御一行様"のため、花見の席取りをしていた、みみ。客が到着し場所を引き渡したとたん、みみは撮影されまくる。タダ酒を飲ませてもらえるようなのでその場にとどまると、客は美少女人形のマニアたちだと分かって……。

*合成樹脂などでできた人形はフィギュアといい、服が布製で着せ替え可能な人形はドールと呼ぶ……とか小耳に挟んだ事がある。



第13話 イタイボケにも突っ込みます

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(みこすり半劇場 2005年5月12日号)

"Itai boke nimo tsukkomi masu (meaning : I'll give support to joke even though it's poor)"

Mimi goes to an entertainment hall. Today's her job is to act for a partner of stand-up comedian, because he has eloped with an other's wife. A client the man by name Hanada, says to do everything by himself, so that Mimi seems to just stands by him ...

 演芸場へ出向く、みみ。漫才の相方が「人妻と駆け落ちしちゃっ」たので、その代理をつとめる仕事だった。依頼主である鼻田という男が、ひとりでボケとツッコミをやるから横に立ってるだけでいい、というのだったが……。

*副題にある「イタイ(痛い)」というのは今どきの俗語で、「聞いているほうが恥ずかしい」といった意味合いのようだ。それと今回の内容をひっかけているらしい。みみがコスプレしているバニーガール服はもとをたどれば米国の有名な雑誌がナイトクラブの制服にデザインしたものの筈で(実物がスミソニアン博物館に保存、展示されているとか聞く)、そのへんを考えるとコスプレ趣味は、米国が発祥地なのだろうか。



第14話 呪詛の夜

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(みこすり半劇場 2005年6月9日号)

"Jyuso no yoru (meaning : The night of a curse)"

To compensate a participant of a fancy dress party, Mimi is asked to help. She is very glad to hear a pay for it is 50,000 yen. Mimi goes to the place and be welcomed by two pretty girls. But, other participants are somehow 3 middle aged men. Members seem odd ...

 コスプレ合コンのメンバーが足りないからと、仕事が入った。5万もらえると聞いて、みみは大喜び。現場へ行くと、可愛い娘2人が出迎えてくれた。しかし、合コンの相手はなぜかおっさんが3人で、どうも何かおかしい……。



第15話 爺が立った!

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(みこすり半劇場 2005年7月14日号)

"Jee ga tatta ! (meaning : Old man has risen !)"

Mimi challenges care for the aged as a home care worker. A predecessor woman is leaving because has run out of patience with him, and warns Mimi,
"That old man is particularly hard to deal with.".
So Mimi shows her a very rare license of "
the highest quality home care worker who can have anyone get over".

 ヘルパーとして老人介護に挑む、みみ。愛想を尽かし出てゆく先任のヘルパーが「ここの爺さんは特にあつかいにくいよ」と警告する。と、みみは資格証明を出して見せた。それは「どんな患者も立ち直らせるという幻のヘルパー特級」のものだったが。

*かつて有名なアニメに「クララが立った!」という台詞があり、もしかするとそれに引っ掛けたサブタイトルか。ただし、そういう筋の感動物語を期待しないほうが……(言うまでもなかったりして)。



第16話 レッスルする人々

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(みこすり半劇場 2005年8月11日号)

"Wrestle suru hitobito (meaning : People of wrestle)"

"Let's go out somewhere to play !"
Mimi pesters Jun with an art of professional wrestling, as her cellular phone rings. It says that almost all wrestler have been hospitalized because of a mass food poisoning, so taht they want Mimi to take part in a match.
Mimi "is a famous as the utility girl who can play a combative sports", accepts the request with great pleasure.

 「どっか遊びにいこうよ~~」と、みみがジュン君に"4(よん)の字がため"をかけていた時、携帯が鳴った。集団食中毒で選手のほとんどが入院してしまったため、女子プロレスに出場してくれというのだ。「格闘技もできる便利屋だって有名」なみみは、「ぜひやらせてください」と大喜びで引き受けるが。

*昭和レトロな、学校の体育着(Tシャツとブルマー)で闘うので強そうには見えないが、みみはかなりのマニアであるらしい? レッスル(wrestle)は組み打ちをすることで、その名詞形がレスリング(wrestling)。



第17話 夏の幽霊

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(みこすり半劇場 2005年9月8日号)

"Natsu no yuhrei (meaning : Summer ghosts)"

In a beach resort, Mimi works at a seaside cottage. It has grown dark and very busy day has ended, but her contract continues till next morning. A mistress of "seaside cottage Miren (meaning : a lingering attachment)" the client says,
"We have an appointment at 2 a.m.".
The customer comes at the time, but ...

 海水浴場。みみは海の家で働いている。やがて陽も落ちて大忙しの1日は終わった筈だが、契約は翌日の朝までとなっていた。きけば「深夜の2時頃予約が入ってるの」と、依頼主である"海の家 未練"のおばさんは言う。はたして深夜、客はやって来たが……。

*最後のコマまで仕掛けがある。まいった。



第18話 さかなはあぶったアレでいい!?

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(みこすり半劇場 2005年10月13日号)

"Sakana wa abutta are de ii !?(meaning : Broiled that over a fire will do for a dish !?)"

Mimi has gotten a job as a temporary waitress of fancy dress tearoom.
"Have I a maid uniform on ?"
She asked, but it seems not. In this way, Mimi works at "Nemare the Kappohgi tearoom (Sit Down the sleeved Japanese apron tearoom)" ...

 コスプレ喫茶の臨時ウエートレスという仕事が入った。「やっぱメイド服?」とたずねてみれば違うらしい。かくて"かっぽうぎ喫茶 ねまれ"で働くみみだったが……。

*サブタイトルは八代亜季の演歌からのパロディか。欄外脚注によれば「ねまれ」とは「座れ」の意だそうで、北海道の方言であるらしい。だが出てくる料理は沖縄(ゴーヤチャンプル)に名古屋(ミソカツ)、はては酒にフランス(ブルゴーニュ)までごっちゃというありさまで、えらく怪しげなメニューになってるぞ!?



第19話 看護助手ですよろしく

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(みこすり半劇場 2005年11月10日号)

"Kango-jyoshu desu yoroshiku (meaning : I'm an assistant nurse)"

Mimi works as an assistant nurse at "Bunka surgery". She does not medical treatment but chores.
"You may suffer sexual harassment from some patients."
As soon as she is warned, she is called by such a patient ...

 "ぶんか外科"で看護助手をする、みみ。医療行為はせず雑用全般を担当する役割だ。「患者によってはセクハラまがいのことがあるかも知れないけど」と事前に警告される。そこへさっそく、そういう奴からコールがかかって……。

*最後のページで登場するあるキャラクターなのだが、読後に最初から読み返してみたら、ちゃんと……(読めば分かります)。



第20話 タイガースホリック

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(みこすり半劇場 2005年12月8日号)

"Tigers-holic (meaning : Togers addicts)"

Mimi works as a vendor at a baseball stadium, sells beer and snacks. Spectators get wildly excited, her business is brisk. But ...
("Tigers" is a name of actual Japanese professional baseball team.)

 野球場でビールやつまみの売り子をしている、みみ。試合は快進撃、商売は順調、しかし……?

*"ドラえ●ん"のパロディ、クレジットカードCM(メル=ギブソンが出た?)のパロディ、そして不条理な幻想の数々。タイガースファンからはどのような反応があったやら心配になるのだが……。



第21話 虐待カフェ

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(みこすり半劇場 2006年2月9日号)

"Gyakutai cafe (meaning : The abuse tearoom)"

Mimi accepts a job and works at "lazy made" the maid coffee shop. An enthusiast drops into the shop on trial, then he sees strange circumstances there are 3 lazy maids ...

 メイドカフェの仕事が入り、みみは"lazy made"という店で働く。マニアな客がさっそく来てみれば、店内では何ともだらけきったメイドが3人いるというヘンな状況で……。

*"南部"を田舎(?)としていたり、ベルトでどうこうというあたり、どこか米国ふうに思えるのだが詳細不明。みみの黒いニーソックスはときどきズレているのでゴムがゆるいらしい(←どうでもいいメモ)。店名のlazy made(直訳すれば"怠惰な作りの"か?)というのはlady's maid(貴婦人の侍女)とready-made(好都合の)を合成した造語だろうか。
 「きぐしねいです」の台詞は『アララテ山のむこうに恐山』でも登場している。



第22話 忍術学校出ています

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(みこすり半劇場 2006年6月8日号)

"Ninjyutsu gakkoh deteimasu (meaning : I've graduated from school of ninjyutsu (the art of the ninjya))"

Mimi calls at a room of lady who is troubled by stalking. According to her explanation, she gets e-mails every day and their contents "grasp correctly my daily life.". Mimi infers,
"You may be tapped your phone or be taken photographs secretly.",
and begins investigation of her room ...

 ストーカーに悩まされている女性の部屋をたずねる、みみ。毎日メールが来るうえ、その内容が「全て当たってる」という。「盗聴か盗撮されてるのかも」と、みみは室内の調査を始める……。

*ここでは甲賀流を取り上げているが、他に伊賀流、戸隠流なども有名だろう。吾妻マンガに忍者は時々登場するが、実在する流派を明言しているのは珍しいかも?



第23話 嬢王さまのお通りよ

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(みこすり半劇場 2006年7月13日号)

"Joh-oh-sama no otohri yo (meaning : Queen goes through)"

Asked to help for a cabaret, Mimi goes and finds the cabaret at "a village" of the homeless. A dress provided her with is a rag, and of course, all customer come to the cabaret are ...

 キャバクラのヘルプをすることになったのだが、行ってみたらホームレス"村"に店はあった。みみに支給されたドレスも穴だらけのゴミで、当然やってくる客たちもまた……。

*『失踪日記』にくわしい作者の衝撃的な経験がネタに生かされているようだ。それゆえか机上の空想によるギャグと違って、不思議な凄みのある回になっている。



第24話 名前を書いてはいけません

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(みこすり半劇場 2006年8月10日号)

"Namae o kaite wa ikemasen (meaning : Don't write a name down)"

Client is a pairs, a long-haired young man seems an enthusiast of the movies, and a girl seems his lover. According to their explanation, the girl is a daughter of a rich person, so they "tried kidnapping a lie", and wrote a letter demands 10,000,000 yen for a ransom.
"Please go to receive the ransom"
Mimi is asked by them. She is amazed at it,
"I decline such a work a kind of crime !"
and starts to go away, but ...

 みみに依頼をしてきたのは、どうも映画マニアであるらしい長髪の青年と、その恋人らしき娘の2人組だった。娘の家が大富豪なので、「小遣い稼ぎに狂言誘拐してみたんだ」とのことで、一千万円用意しろと手紙も出したという。「その金受け取ってきて」と頼まれたみみは驚き呆れ、「そんな犯罪まがいの仕事はお断り!」と出てゆくけれど……。

*みみの名字が"空野(そらの)"である事が今回初めて明らかになっている。コスプレの方はあまり目立っていないのが、シリーズ中では珍しい?



第25話 CAとお呼びください

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(みこすり半劇場 2006年9月14日号)

"CA to oyobi kudasai (meaning : Call me as a cabin attendant)"

"I hope to be ditched and have a time alone with a cabin attendant at an uninhabited island, can I ?"
Mimi is asked such a strange request. She thinks a moment and says,
"Sure.".

 「飛行機で無人島に不時着してCA(キャビンアテンダント)さんとふたりきりですごしたいんですけどできますか」というヘンな依頼。一瞬考えたみみは「できます」とこれを引き受けたのだが……?

*2ページ目でいきなり「おいおい」と思わされるが笑える。読了すると、いろいろ伏線が仕掛けてあった事に気づく。うまくダマされる楽しさは、読者という立場ならではの幸福だ。



第26話 大きなお友だちさんこんにちは

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(みこすり半劇場 2006年10月12日号)

"Ohkina otomodachi-san konnichiwa (meaning : Hello big friends)"

There is a signboard says : "Miniyongfam midget concert and picture meeting". Mimi goes to the place and enters a waiting room. It seems a first concert of idolized girls trio, and Mimi is a substitute for a member who has been in hospital for appendicitis. The event grows livelier, everything seems go smoothly. But ...

 「ミニヨンファム ミニコンサート 写真撮影会」と表示のある会場へ行き、控室に入るみみ。少女3人組アイドルのデビューコンサートらしいのだが、メンバー1人が盲腸で入院したための代理という役目なのだった。会場は盛り上がり、全て順調だが……。

*『便利屋みみちゃん①』での、みみの活躍はここで終わっている。それにしても多才で頼もしい(!?)ヒロインではある。今後もありとあらゆる業種での活躍を見せてくれることだろう。みみが有能なぶんジュン君にはあまり出る幕が無いのが、ちょっと気の毒にも思えたりして。みみとジュン君たちは念願を成就し幸福に結ばれるのだろうか? それは続刊のお楽しみだ。



失踪こぼれ話

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.15 2001年12月15日号)

"Sissoh kobore banashi (meaning : The tidbit of disappearance)"

* A comedy covered from author's daily life.

*『私だけのひとには、言えない、失踪こぼれ話』というのがホントの題名。
 奥様がなぜソファーで仮眠を取っていた(?)のか状況が不明だけれど、原稿の仕上げでよほど切羽詰っていた時の事だったのだろうか。



ドドンガとゲロッチュ

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.16 2002年1月20日号)

"Dodonga to Gerotchu (meaning : Dodonga and Gerotchu)"

A princess goes on a trip with her maid to a neighboring country for marriage. But the maid revolts suddenly against the princess on their way. The princess is casted a spell on by the maid ...

*This is the first episode of "Azuma Dohwa (meaning : Azuma's fairy tale)", that consisting of 25 stories. Please note, this serial is a different one from "Hideo Dohwashu (meaning : Hideo's fairy tales)".

 姫が侍女をつれて、結婚のために隣の国へと旅立った。ところがその途上で、侍女はいきなり反逆を始める。姫は魔法をかけられてしまい……。

*『あづま童話』はこれを第1回として2004年2月15日号まで連載された作品群で、『ひでお童話集』とは別のもの。全25話ほどあるようで、今回収録されなかったお話は「次回をお楽しみに」ということか。登場人物も舞台も1話ごとに違うので、非常に変化に富む内容となっており、その題材の自由の大きさも面白さを増幅しているようだ。とはいえ、"毎回登場する主人公"を持たないシリーズというのは、読者に覚えてもらいにくそうでもある。編集部としては、固定読者を獲得するうえで不利な勝負になると判断したかも?
 ふと思ったのだけれど、この『ドドンガとゲロッチュ』の原作は、ヨハネ黙示録16章13節(カエル)や民数記22章28節(ロバ)といった、聖書の幻想的なエピソードが元ネタ(欧州の創作だとさもありなん)のパロディなんだろうか。だとするとこのマンガは、"パロディのパロディ"ということになる???



火打ち石

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.17 2002年2月17日号)

"Hiuchiishi (meaning : The flint)"

A soldier helped a witch on the way return to his home village. He was given "wonderful flint" as a reward, it is said "you can get 3 dogs with preternatural power as retainer" ...

 ひとりの兵隊は故郷へ帰る途中で、魔女を救い、そのお礼にと「不思議な火打ち石」をもらった。「三匹の超能力犬がしもべになる」というものだったが……。

*懐かしい吾妻キャラ、"ナハハ"が1コマ、ちょこっと出演している。



島の合戦

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.18 2002年3月21日号)

"Shima no kassen (meaning : The battle of the island)"

A man who has been fishing alone, is fallen into the sea by a storm. He is washed ashore of an island, and a beautiful woman stands beside him ...

 独りで釣りをしていた男が嵐に遭い、海に投げ出される。男は島の砂浜へ打ち上げられ、気づくとそこには美女が立っており……。

*舞台になっている加賀の国とは、現在の石川県の南部だそうだ。物語は藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の伝説に似ているように思うのだけれど、委細は分からない。



悪魔の三本の髪の毛

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.19 2002年4月20日号)

"Akuma no sanbon no kaminoke (meaning : 3 hairs of the Devil)"

One day, a princess falls in love with a woodcutter at first sight. They obtain permission of king, but there is a rule that "a bridegroom of princess must win 3 hairs of the Devil". The woodcutter who is never upset by anything, starts on a trip to perform his duty.

 姫がある日、1人の木こりを見初めた。王の許しを得て、結婚する事になったものの、「姫の婿になる者には、悪魔の髪の毛を三本取ってくるという決まりがある」のだった。無念無想で冷静な木こりは、そのつとめを果たすべく出かけてゆくのだが。



忠義者のヨハネス

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.22 2002年7月20日号)

"Chyugimono no Yohanesu (meaning : Johannes the loyalist)"

On his deathbed, a king entrusts a will to Johannes the loyalist.
"After I died, you must prevent a prince from entering a secret room at the heart of a castle. It causes unfortunate."
But the prince eavesdrops this and enters the room. Then he finds a beautiful woman in there, but strangely enough, she is ...

 臨終の床にあって、王様は、忠義者のヨハネスに1つの事をゆだねた。「わしが死んだ後 城の奥にある秘密の部屋 あそこに王子だけは入れてはならん 不幸の元になる」。しかし王子はこれを盗み聞きし、部屋へ入ってしまった。すると部屋には美女がいたが、どうにも奇妙なことに彼女は……。



森の少女

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.25 2002年10月19日号)

"Mori no shojyo (meaning : A girl of a forest)"

A girl lost her way in a forest and been hungry very much. Then an ugly bird comes and gives her a key. The girl uses the key on trial at a strange tree ...

 少女は森で道に迷い、ひどく空腹だった。そこへ醜い鳥がやってきて、鍵を1つくれる。その鍵を、変な木のところで少女が使ってみたら……。



牛方と山姥

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.27 2002年12月21日号)

"Ushikata to Yamanba (meaning : A cattle drover and a mountain witch)"

A cattle drover loads baggages on his cattle and goes to a mountain village for peddling. Coming near a dark mountain pass, a mountain witch appears all of a sudden, the cattle drover falls into a crisis to be eaten by her.

 牛方(うしかた)が牛に荷を積んで、山の村へ売りに出かけた。暗い峠にさしかかると、いきなり山姥(やまんば)が現れ、牛方は危うく食われてしまいそうになるが。



リーゼと死神

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.28 2003年1月19日号)

"Riize to Shinigami (meaning : Lise and Death)"

Death comes to a house of Hans, and says to him that he calls for Hans, because his days have expired. But Hans resists with his marvelous strength, so Death cannot accomplish his mission. Death is helped by a girl by the name of Lise, and to be wish to marry to her. But she has already her man ...

 死神がハンスの家に現れて、寿命がきた彼を迎えに来たと言う。だが怪力のハンスに殴り飛ばされ、使命を果たせない。死神はリーゼという娘に助けられ、結婚したいと願うようになった。だがリーゼには既に恋人がいて……。

*ハンスという男は『ひでお童話集』の『メリメリ木こり』でも登場するが、顔も言葉遣いも似ているようだ。



本取山

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.30 2003年3月20日号)

"Mototori-yama (meaning : Mt.Mototori)"

You can get your wish when you ask to a cave of Mototori-yama though you will be required some money ...
Kokichi the young man is taught so, and asks for on trial,
"a girl who is charming and a hard worker".
Then a girl in school uniform comes out as she talks over the cellular phone ...

 本取山にあるほら穴に頼みごとをすると、少し金はかかるけれど色々願いをかなえてくれる……そう教えられた若者、小吉(こきち)は、「かわいくて働き者の娘っ子をひとり」頼んでみた。するとセーラー服を着た娘が携帯をかけながら出てきて……。

*「これでいったいどうやってオチをつけるのだろうか」と読んでいるほうが心配になってくるような出だしであるが、ちゃんと一件落着している(?)のであった。うーん。



水の精

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.31 2003年4月20日号)

"Mizu no sei (meaning : A water nymph)"

A poor miller is at a loss because his water mill is broken. Then a water nymph in school swimsuit appears and approaches him with a proposal, to promise that he turns over her,
"one is born at your home",
in exchange for 20 gold coins. The miller thinks,
"Kittens are about all the one will be born at my house",
but ...

 水車が壊れ、貧しい粉ひきは困り果てていた。そんな彼の前に、なぜかスクール水着(しかも3Bと書いてある)姿の水の精が現れる。彼女は金貨20枚とひきかえに「あなたの家で今生れたものを」くれる約束をするよう彼に求める。「オレの家で生まれるものなんて猫の子ぐらいだ」と粉ひきは考えて……。

*よく見れば3Bと1Aが……なんでやねん???



ナイチンゲール

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.32 2003年5月17日号)

"Nightingale"

Being deeply moved by its angelic chirping, a princess tells a nightingale;
"If you sing for me every day, I'll give you whatever you wish.".
The nightingale complies with her proposal, but a condition he set is ...

 天使のような鳥の声に感激した姫が、「あたしのために毎日その歌声を聞かせてくれたら望みのものをあげるわよ」と、ナイチンゲールに言う。ナイチンゲールはそれを受け入れたが、彼の望んだ事は……。



ものを食べない娘

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.33 2003年6月15日号)

"Mono wo tabenai musume (meaning : The girl who eats nothing)"

"I don't want my wife because supporting her is wasteful,"
a stingy man says;
"But if she eats nothing, beautiful, diligent and good for have sex with, I'll accept her as a wife for me.".
Somehow a girl is found, and she says;
"I've never been eat a meal since I was born.".

 「めし食わすのがもったいないので嫁はいりません」というケチな男。「でも ものを食わず美人で働き者で せっくすの具合良い女ならもらいます」。どういうわけか「あたしは生まれてから 一度もごはんをいただいたことがありません」という嫁が見つかったのだが。

*これはなかなかに高密度なお笑い(?)で、どんでん返しに次ぐどんでん返し、まいった。このオチをジョン・レノン(John Winston Ono Lennon)がどう思うか、それは分からないけど……。



ものぐさハインツ

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.34 2003年7月19日号)

"Monogusa Heinz (meaning : Lazy Heinz)"

Heinz the lazy man, plans to obtain Trine the daughter of the next-door as a wife, have her work for neglect his work. In this way they get married, but it comes to light that Trine is more lazy than Heinz ...

 仕事が大嫌いなハインツは、隣の家のトリーネを嫁にもらって働かせ、自分は楽をしようと考える。かくて結婚したものの、女房となったトリーネは、ハインツをも上回るものぐさで……。



人魚の姫

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.35 2003年8月17日号)

"Ningyo no hime (meaning : The mermaid princess)"

At a ticket gate seems modern Japanese, a schoolgirl asks for a date to a boy seems a student. Somehow they start to go out with, but ...

 なぜか現代日本(だろう)の鉄道の改札で、セーラー服の少女が、学生らしい少年に交際を申し込む。どうにか2人はつきあうようになったのだが……。

*「あけおめことよろ」(あけましておめでとう、今年もよろしく、の意)式のぞんざいな省略セリフがあったりいかにも当世風な細部が、愛のカケラも無いようなキツ~い物語に合っているようだ。「庵出流仙(アンデルセン、だろう)」なるヘンな当て字も書いてある。



土の下の竜

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.37 2003年10月18日号)

"Tsuchi no shita no ryuh (meaning : The underground dragon)"

A princess takes a walk with her father the king in a garden. She finds an appetizing fruit and unconsciously reaches it. But the king had casted a spell on the fruit because he had made much of the tree ...

 王様である父と共に、庭を散歩している姫。おいしそうな木の実を見つけた姫は、つい手を伸ばしてそれを取る。しかしその木を一番大事にしていた王は、その実に魔法をかけていたため……。



ママのすることに間違いなし

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.38 2003年11月16日号)

"Mama no surukoto ni machigai nashi (meaning : You can count on a judgment of mother)"

Miyoko's father had dismissed long time ago, but he has no intention of finding new work, and gluttonous. At last his wife has run out of patience with him, and orders Miyoko the daughter of them to go freemarket to sale him for 8,500 yen. Thus the papa is tied up on his neck with a rope, been led to market for disposal by his daughter, Miyoko.

 ミヨコのお父さんはリストラされて長いのに「再就職する気ないし大食い」うんぬんで、とうとうママの愛想が尽きた。フリーマーケットで8500円で売ってこいというママの命令で、お父さんは首に縄をかけられ、娘のミヨコに引かれて売られにゆく。

*現実的な舞台でおよそ非日常的な光景が展開してゆき、何とも奇妙な雰囲気の物語となっている珍品。SF作家にグレッグ・ベア(Greg Bear)という人がいるようなのだが、このお話と結びつくのかどうか、残念ながら僕には分からない。



さとるの化け物

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.39 2003年12月20日号)

"Satoru no bakemono (meaning : The monster of mind reading)"

When a hunter is cooking his game by a bonfire, a fox comes and asks him;
"Would you please give me a piece of that meat ?".
The hunter gives him it, then a girl comes out by herself and says;
"Please give me it, too".
Strange to say, she seems to have a faculty of mind reading. But the hunter puts her down by unexpected way ...

 狩人が焚き火で獲物を調理していると、狐が「その肉一口もらえませんか」と言ってきた。肉をやると、今度は若い娘が1人で現れ、「あたしにも食べさせてください」と言う。不思議な事に娘は、人の考えが分かるようだ。しかし、どうしてどうして、狩人は思いもよらぬ方法でこの「さとるの化け物」をやり込め……。

*エロな展開になりそうでならず、それだけにユニークな物語となっており面白い。



放浪日記

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(みこすり半劇場 2006年1月12日号)

"Hohroh nikki (meaning : The diary of wandering)"

* Some anecdotes of author's disappearance.

*これは単行本『失踪日記』で描かれなかったエピソードをまとめたもので、背景その他から考えると1回目の失踪の時の思い出か。雑誌での初掲載時この作品は"袋とじ"になっていたのだが別にえっちい場面があるとかいうワケではなく(あたりまえだ)、そうやって「立ち読み」を封じる事により、「吾妻マンガが読みたくてこの雑誌を買う、という読者がどのくらいいるのか」を調べる為だったのではないかと思われる(?)。
 "謎のコーヒー生物"のあたり、骨の髄まで染みている作者のSF精神が感じられるようで微笑ましい。そして、印象的なオチで幕になっている。



あとがき

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(単行本描き下ろし 2006年11月10日)

"Atogaki (meaning : a postscript)"

Author narrates how you have difficulty in living as a manga artist, and he seems to advices that may be better to have another job for earn your keep, and create on the other hand.

*原稿料のこと等、職業としての漫画家はいかに大変であるかが語られており、漫画家志望の人たちには「別に仕事を持って」創作に取り組むほうが良いであろうという助言が読めるようだ。
 第23話『嬢王さまのお通りよ』以来、レギュラー的に出てくるようになった謎の魚らしきものが、ここでもちょこっと出演。

(単行本『便利屋みみちゃん①』は、ここで終わっている。)





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