"Futari to gonin (meaning : 2 vs 5)" seems the series that had rised Hideo Azuma into fame. But the author has a mixture of emotions toward this, according to his book "Shissoh-nikki (meaning : The diary of disappearance)".
Meaning that he had lost freedom of writing in those days, because a publishing company had made many special request.
"Futari to gonin" is the first series that had published his work in book form.
By the way, he had lived a newly-married life at that time. His beloved wife is actively engaged in his work to this day, by the name of "Assistant A".
はじめに
『失踪日記』p.129から記述のある『ふたりと5人』は、(作者としては複雑な思いが伴っていたにしてもやはり)吾妻ひでおの出世作と言えようか。連載は週刊少年チャンピオン1972年10月9日号から始まって1976年9月6日号まで続き、秋田書店の少年チャンピオンコミックスでは全12巻になる(画像はその背表紙)。残念ながら現在は絶版のようなので、ここで紹介してみようと思う。
ただし、この全12巻の単行本にも収録されていない話が幾つかある。以下の6話は「ミッシィコミックスDX SUPER」版(1995年10月~、主婦と生活社)で再販された時に初めて単行本収録されたようだ。
・『春はスポーツ!!』(少年チャンピオン 1976年4月5日号)
・『花咲かおさむ!!』(少年チャンピオン 1976年4月26日号)
・『地底王国探検』(少年チャンピオン 1976年5月3日号)
・『成功はなわとびから』(少年チャンピオン 1976年6月14日号)
・『透視名人出現!?』(少年チャンピオン 1976年6月28日号)
・『プール開きにご招待』(少年チャンピオン1976年8月9日号)
なぜこの6つが載らなかったのか不明だが、これらのうち4つはSF的な内容であり、作者の本領が発揮されているであろう点を考えるに、とても残念。
あまつさえ、それでもまだ、単行本未収録の作品が2つある。
1つはCMマンガの『ヒモつき ふたりと5人』(少年チャンピオン 1974年7月22日号)なのだが、もう1本はなぜ未収録なのか全く理由が分からない(『ふるさとへ帰ろう』少年チャンピオン 1976年2月23日号)。全話を収録した完全版の単行本が欲しいところだ。
アシスタントであった沖由佳雄さんが当時に聞かせてくれたところでは(僕の記憶が正しければ)、「嫁さんもらえるようになったのは単行本が出てからだ」と作者(吾妻ひでお)が語っていたとか。この『ふたりと5人』の第1巻こそがそれ、吾妻ひでお最初の単行本だったのである。週刊誌に連載を持つまでになっても原稿料というのはまだそんなに高額ではなく(しかもアシスタントを雇わねば原稿が間に合わず、その人件費は馬鹿にならない)、決して裕福などではなかったらしい。ただ(プライベートな事だが)単行本の出版は作者の挙式より後だったようだ。沖さんに語られたことは、"家庭を持ってやってゆくうえで収入にいくらかゆとりができ、明るい見通しが立ったのは単行本が出てからのこと"という意味だったのかも知れない。実際、単行本により作者にもたらされる印税というものは、マンガ家にとって冗談ぬきで本当に死活問題であると聞く。
(私事にわたって恐縮だけれども、)僕が最初に吾妻ひでおへファンレター(というより抗議の手紙?)を出したのはこの『ふたりと5人』連載中のことだった。およそ1年ほど読んでみたところで僕の頭に浮かんだのは、この作品が赤塚不二夫『おそ松くん』(1962-1967)と永井豪『ハレンチ学園』(1968-1972)を足して2で割ったようなマンガで、しかもマンネリ気味になってきたという感想だったのである。つまりは「吾妻ひでお作品らしい個性と魅力が不足している」といった不満だった。連載開始までのいきさつを知ってみれば全く無理もないことだったのだが……。とはいえ僕よりも後に生まれた読者は『おそ松くん』も『ハレンチ学園』も知らず、全く新鮮な気持ちで『ふたりと5人』を読むことができ、大喜びできたのだろう(だからこそかくも長く連載が続いたのだと思う)。この作品の連載当時に小中学生だった読者にとってはとりわけ懐かしいマンガなのではないか。僕にとっても今読み返してみると、クラス会に出席しているような独特の気持ちがこみあげる。あの日のまま少しも歳をとっていない登場人物たちと再会できるのは、まさにマンガなればこその幸福な魔法だ。