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19 ふたりと5人(後)

恐怖のがまん会の巻

0701

(少年チャンピオン 1974年9月2日号)

"Kyohfu no gaman-kai (meaning : dreadful endurance club)"

Senpai forms "an endurance club succumbs to neither the heat nor soaring prices".Osamu participates in it. Senpai says; "How about joining us for it, Yukiko ? You'll become thin and stylish because you'll sweat", so she participates, too. But there is the menu "prepared specially for" her ...

 「暑さに負けず狂乱物価にも負けないためのがまん会」と先輩が説明するものに、おさむが挑戦している。「ユキ子さんもどうかね 汗をかくからやせてスタイル良くなるよ」と先輩に言われ、ユキ子も参加することにした。だが「特別に用意した」というそれで事が始まってみたら……。

0700

*これより単行本第7巻、シリーズは後半に入る。
 台詞にある「飛べフェニックス」とは映画(The Flight of the Phoenix 1965年)の題名。綱渡りの場面では、おさむの下宿と菊地家の間にロープを張ってあるものと思われるが、これら2つの建物の間に道路が見える(連載開始時点だとこの道路は無い)。またロープは菊地家の3階と下宿の2階をつないでいるようで、これだと1階ぶんの高低差が生じるはずだ。こうした点から考えると、木造家屋はおさむの下宿ではない別の家なのかも知れない?
Osamu
 それにしても、おさむの表情が豊かなのには驚かされる。試しにざっと拾ってみてもすぐ40通り集まった(ちょっとGIFアニメにまとめてみましょう。もしあまりにも画像切り替えが遅かったら、いったん保存してみて下さい(57KBあります)。パソコンからなら通信速度とか関係無いので、見やすい再生速度になるかも知れません)。顔だけでもドタバタ喜劇になっている(?)彼は、少年マンガの主人公に相応しいキャラクターだと思う。



台風にも負けず!の巻

0702

(少年チャンピオン 1974年9月9日号)

"Taifuh nimo makezu! (meaning : Never to be daunted by a typhoon !)"

The town suffered from a deluge by a strong typhoon. On the next day, Osamu and Yukiko escape narrowly because Senpai has went scotfree and helps them. Yukiko says; "But my dad and mom are missing".
"Whoa, we must look for them", Senpai said, and organizes a rescue party. Senpai, Osamu and Yukiko make a raft, and go into action.

 すごい台風のせいで町中大洪水となったその翌日。無事だった先輩に助けられ、おさむとユキ子は命拾いする。「でもパパやママたちが行方不明なの」ユキ子に言われ「ふむ 捜さなくちゃな」と先輩は救援隊を組織。先輩・おさむ・ユキ子の3名はイカダを作って出動するのだった。

*この年(1974)台風16号により多摩川の堤防が決壊して東京都狛江市では民家19戸が流されるという災害が起こり、有名なTVドラマのヒントにもなったと言われている。この悲劇が発生したのは1974年9月1日、だからおそらくこのマンガが掲載された号の発売された前日であったようだ。



幽霊少女と恋をしようの巻

0703

(少年チャンピオン 1974年9月16日号)

"Yourei-shojyo to koi o shiyoh (meaning : Let me be in love with a ghost girl)"

Osamu urinates near the graveyard at midnight, then a beautiful ghost girl appears. She says; "I died before I had a first boy friend. Iregret it, so I make couple afraid sometimes like this. Because I feel lonely". She sobs, and Osamu weeps in sympathy. He decides, "All right ! You shall have me as your boy friend".

 夜の十二時。独りで墓地のそばを歩いていたおさむが立ちションベンを始めると、何やら怪しい空気が漂ってくる。「うらめしや~」と現れたのは美少女の幽霊だった。「あたしボーイフレンドもできないうちに死んでしまったからうらめしくて こうして時々アベックなんかをおどかしているの だってあたし寂しかったの」とシクシク泣き出す彼女を見ておさむはもらい泣き。「よし! ひとつぼくがボーイフレンドになってやろう」と決断する。

*これ1回しか出演しないキャラクターなのだがちゃんと「ゆう子」という名前がある(幽霊の「ゆう」なのだろうか?)。最初は和服で登場するのだが後半でおさむから洋服をあてがわれている。そのデニムのパンツのデザインなどに当時の流行がうかがえるようだ。
 おさむが冒頭で歌っているのは山本リンダ『奇跡の歌』の一節か。



道場破り!の巻

0704

(少年チャンピオン 1974年9月23日号)

"Dohjyoh-yaburi ! (meaning : Defeat all member of another martial art school)"

Tetsugakuteki-senpai works "a part-time job of training hall destroyer". Osamu is amazed at it, but goes with him. Senpai seems to be actually strong, and at last, he opens his drill hall.

 「道場破りのアルバイト」なるものをしている哲学的先輩。「なに考えてんのかなー」とおさむも呆(あき)れ果てる所はあるが、とにかくついてゆくと、先輩は本当に強い(?)らしい。かくて先輩はついに自分で空手道場を開くまでになったのだが。

*これは笑える。格闘技マンガとくればかっこいい勝負を期待してしまうのを見事に裏切られるからだろうか。こういうムチャクチャな技を格闘技ファン(であるらしい)作者が平気で(?)描いているのはちょっと意外だったりして。「からだにいいこと なにかやってる?」というのは、CMで郷ひろみが言っていた台詞のパロディと思われる。ときおり似顔絵が登場していた壁村編集長(この当時に週刊少年チャンピオンを担当)は今回とうとうキャラクターとなって出演し、哲学的先輩と対決(!)している。



ユキ子さん家出す!の巻

0705

(少年チャンピオン 1974年9月30日号)

"Yukiko-san iede su ! (meaning : Yukiko runs away from home !)"

Osamu has a solitary meal, Yukiko presently comes to see him. To his surprise, she seems to run away from home. She says; "I thought to stay with you for the time being". Osamu suggests "to keep up appearance as a marrid couple". Yukiko is eager to do so and says; "It may be interesting, like a playing house".

 おさむが一人わびしく「おしょう油ごはん」を食べていると、ユキ子がたずねてきた。なんと家出したらしく、「おさむくんのところにしばらくとめてもらおうと思って」来たとのこと。「形だけ夫婦みたくする」というおさむの提案に「おもしろいかもね オママゴトみたいで」と、ユキ子もけっこう乗り気になるのだったが。

*人気があった劇画『同棲時代』(原作は上村一夫)の映画化作品が由美かおる主演で1973年にヒットしたが、そうした流行の反映か。それにしてもユキ子が同性の友人の家とかへ行こうとせずかような決断をしたのは何ゆえだろう? あまりにも無謀なようだが、ひょっとして彼女は危険を好んでこれに自ら飛び込む傾向があるのだろうか? 女の子の友人に、親元を離れ一人で下宿している生徒は中学だとまあさすがに無さそうなので、探したけれど行き先が見つからず半分ヤケでこういうことになったと考えるべきか。



夏の経験の巻

0706

(少年チャンピオン 1974年10月7日号)

"Natsu no keiken (meaning : An experience in summer)"

The summer vacation is over. Yukiko goes to school, and listens to a conversation of her classmate girls. They have had various sexual experience.
"Now, how about you, Yukiko ?"
Yukiko is asked, so unintentionally tells an irresponsible lie. But it makes her classmate girls excited. Yukiko falls into the situation that she has to make everything to be consistent with it ...

 二学期が始まり登校してみると、クラスメートの女生徒たちがこの夏にいろいろな性体験をしてきているのを知るユキ子。「で……ユキ子さんは?」と級友の女子に質問され、つい出まかせをあれこれしゃべるのだったが、このウソは女生徒たちを興奮させてしまう。辻褄を合わせなくてはならなくなったユキ子は……。

*最後のオチで、意外なところに伏線が隠してあったことに気付かされる。



ああ! ユキ子さん失恋の巻

0707

(少年チャンピオン 1974年10月14日号)

"Ah! Yukiko-san shituren (meaning : My god, Yukiko is dumped)"

Yukiko leans on a tree, and sobs. Osamu asks the reason as he finds her, she answers, "I'm dumped". It seems that the young man was beautiful like a Greek sculpture, but he had a lover already. Osamu tries to encourage her.

 樹によりかかったユキ子が、べそをかいている。やってきたおさむが理由をたずねたら、「あたし失恋しちゃったの」という返事。「ギリシャ彫刻のような美青年だった」が「彼には恋人がいた」という事らしい。おさむはユキ子を励まそうとするのだが。

*おさむの行動は思いやりか、打算か、はたまた失恋に"なれて"いる(?)ゆえか。それにしてもやっぱりユキ子にはかなわないようだ。台詞にある『クレクレタコラ』はTV放送(1973年10月~1974年9月)されていた着ぐるみコメディ番組の題名。



実習生がやってきたの巻

0708

(少年チャンピオン 1974年10月21日号)

"Jisshuesei ga yattekita (meaning : A trainee has come)"

In a classroom, students include Yukiko and Osamu, are very excited with an information, "A trainee of teaching will come today". But the trainee that turned up was Tetsugakuteki-senpai.
"I come to give my life for young people who is the support and driving force of future Japan", he says, puts down on the board with chalk, "knowledge of the wedding night" ...

 「今日は教育実習の先生がくる」というので、ユキ子やおさむのいる教室は沸き立っている。しかし教壇に現れたのは哲学的先輩。「未来の日本をになう若者のためにこの身をささげにきた」との事だったが、さっそくなされた板書きは「初夜の心得」(!?)で……。

*今回の他にも先輩は時々、おさむたちの学校で活躍(?)している。これから推察すると彼は教育学部に在籍しているのだろうか(担当教科は保健体育だったりして)? 作者自画像が「もーわしハダカかくの あきたしょてん」などと語っているのだが、「イヤラシイ空気」を表現する効果線(?)など実験的なギャグもあり、模索の意欲がうかがえるようだ。



夕食会へご招待!の巻

0709

(少年チャンピオン 1974年10月28日号)

"Yuhshoku-kai e go-showtai (meaning : Invite you to a supper)"

Osamu and Senpai receive a letter from Yukiko. It was an invitation of a supper. They go with delight, but shown to the Kikuchis' basement. There are dishes that Yukiko made them as an experimental menu for a food crisis days ...

 ユキ子からおさむと先輩あてに、夕食会の招待状が届く。喜んで出向いたら、なぜか案内されたのは菊地家の地下室。そこで待っていたユキ子による手料理は、食料危機時代にそなえての実験メニューだった……。

*世界人口の増加に食料生産が追いつかないうんぬんとユキ子が語っている事は、当時本当に心配されていたようである(実際、現在なおこうした問題は解決を見てはいない)。連載当時は、核戦争を生き延びるためのシェルターを自宅に作る人も海外にはいたらしく、ユキ子が地下室で夕食会を開いたのはそうした世情が一因か。永井豪『グレートマジンガー』のパロディらしきコマがある。



先輩の降霊術の巻

0710

(少年チャンピオン 1974年11月4日号)

"Senpai no kohrei-jyutu (meaning : Senpai's seance)"

There is a tent which has a signboard reads : Senpai kohrei-jyutu. The Kikuchis look into a tent.
"I'll experiment if you can't believe it", Senpai says, and utters a strange incantation. Who the Kikuchis witness is ...

 「先輩降霊術」なる看板をかかげたテントがある。菊地家の人々がのぞいてみると、「信じられないならひとつ実験してみましょう」と言われた。怪しげな呪文によって皆の眼前に出現したのは……。

*先輩が唱えているのは麻雀用語を並べたもの(週刊少年チャンピオンの読者にこれが通じたのかいな!?)。マリリン・モンロー(Marilyn Monroe 1926~1962)はアメリカの伝説的映画女優(週刊少年チャンピオンの読者にこれが……)。

0711

 本編のあとに、『秘レポート ☆立体特集!“吾妻ひでおのすべて”』が掲載されたようだ(その時の題名は『秘レポート ふたりと5人連載2周年記念特集 こうして 今日も私はまんがをかく!』であったらしい)。第1話が1972年10月9日号から始まっているため、この時がほぼ2周年、作者のデビュー以来ここまで長く連載が続いた作品はこれが初めてだったろうと思われる(『やけくそ天使』は「プレイコミック」1975年1月11日号から1980年1月10日号まで5年間続いたので、連載期間としてはこの記録を後に更新することになるのだが)。連載初期ではレギュラー出演していた作者自画像である"吾妻ひで子"は、この頃になると姿をみせていないようだ。



ナシもぎで迫ろうの巻

0712

(少年チャンピオン 1974年11月4日号)

"Nashi-mogi de semaroh (meaning : Woo at pears picking)"

The Kikuchis, Osamu and Senpai go all together to pick pears from the tree. But Osamu is so short that he can't catch pears. While Yukiko is after a big pear bears at a tall branch ...

 菊地家の人々、そしておさむと先輩は、こぞってナシ狩りに出かける。ところが背の足りないおさむは、ナシまで手が届かない。いっぽうユキ子は上のほうの枝にある大きい実を狙って……。

*当時の都会にはすでに、子供が木登りをして遊ぶような木もほとんど見かけなくなっていたかと思われる。木登りは普通、(足が滑りにくくなるよう)靴も靴下も脱いでからおこなうのが基本かと思われる(?)のだが、ユキ子やおさむは木登りを誰からも習うこと無しに成長したかも知れない。



ガードマンでかせごー!の巻

0713

(少年チャンピオン 1974年11月11日号)

"Gard-man de kasegoh ! (meaning : Earn as a guard)"

Osamu and Senpai appear at a dormitory of a girls' high school. They are employed as a guard.
"Recently, we have many trouble such as a lingerie theft and a voyeur. Please arrest them somehow or other".
They are begged, to be in high spirits, patrol in expectation of danger ...

 「私立すずらん高校 女子寮」へやってきた、おさむと先輩。ガードマンに雇われたのだ。「最近 下着ドロボーやのぞきが多くて困ってるの なんとか捕まえてください」と頼まれ、はりきる2人。危険を予測しつつ見回りを行なうのは良かったものの……。

*今回、ユキ子はトビラの1コマしか出演していない。



恋人たちの部屋の巻

0714

(少年チャンピオン 1974年11月18日号)

"Koibito-tachi no heya (meaning : The room of lovers)"

There is a sign reads : The house of lovers. The building is under preparation of open, Tetsugakuteki-senpai directs the Kikuchis and Osamu.
"Is such business profitable ?"
Senpai declares, "Music with atmosphere, flowers, calm and graceful, moreover there is a room for stay indoors" so that "lovers who have a secret desire, come here certainly". Patrons come, just as he had expected ...

 「恋人たちの家」という看板がある。その建物の中では哲学的先輩が、菊地家の人々とおさむを指揮して開店準備中。「こんな商売もーかるかしらね」ときかれて先輩は「ムードのある音楽 花 静かで優雅 そして二人きりになれる部屋」によって「よからぬ考えの恋人たちが必ずくるよ」と断言。はたして客はやってきたが。

*こうした、やや特殊な喫茶店(?)は当時本当にあったらしい。「軍艦マーチ」はこのころパチンコ屋で必ずといっていいほどBGMに使われていたようだ。トビラでユキ子(だろう)が着ているのはバニーガール服(の、ウサギ耳を外したもの)か。



キックで一旗!の巻

0715

(少年チャンピオン 1974年11月25日号)

"Kikku de hitohata ! (meaning : Success as a kickboxing player)"

Osamu slips into Yukiko's long skirt because he feels the cold. She gets angry so kicks him in rapid succession. Senpai is impressed with it and encourages her to play kickboxing.
"Money more than enough, tremendous popularity, idol of boys".
Yukiko makes up her mind by his words.
"I'll try."
Presently they start special training.

 寒いからと、ユキ子のロングスカートの中へ潜り込んだおさむは、怒ったユキ子に連続キックを見舞われる。それを見た先輩は感心し、キックボクシングを始めるよう勧めるのだった。「ありあまるお金 絶大な人気 男の子のアイドル」という先輩の言葉に「やってみよーかしら」と決心するユキ子。かくて特訓が始まった。

*キックボクシングは一時期TVで試合中継も行なわれていたプロスポーツで、かなり人気があった。とりわけ有名なのは沢村忠という選手で、ここに登場している「オシクラジムのさわる魔」なるキャラクターはその名をもじっているのかも?



野球でからだをきたえようの巻

0716

(少年チャンピオン 1974年12月2日号)

"Yakyuh de karada o kitaeyoh (meaning : Let's build up body by baseball)"

"Senpai, let's baseball", Osamu asks him to do, so they play. Before long, the Kikuchis take part in it on the spur of the moment, but the Kikuchis pay no attention to a rule. And to make matters worse, they arrange thoughtlessly a match against the team of the next town. Will they make it ?

 「先輩 野球やろうよ」とおさむに誘われ2人で草野球が始まる。そこへ菊地家の人々が飛び入りしたがルール無視でムチャクチャになるばかり。おまけに無知の蛮勇で、隣町チームとの試合まで取り決めてしまった。いったいどうなるのやら?

*驚くべき事に対戦相手はどう見ても『ドカベン』(やはり少年チャンピオンに連載中だった)の面々で、このようなパロディはおそらく非常に珍しい。ちなみに対する顔ぶれは、ふたりと5人プラス「タバコおばけ」に「ポルノ虫」。それでいったい試合が成り立つのかと思わされるが、ゲーム展開は意外にも……。



寄せナベでモリモリの巻

0717

(少年チャンピオン 1974年12月9日号)

"Yosenabe de mori-mori (meaning : Eat a Japanese-style mixed stew)"

Osamu freezes in his room.
"I can't bear without eat something hot".
So he snoops around for food. Before long, Yukiko comes to his room for invitation of a sukiyaki (meat dish) party.

 下宿で独り布団にくるまっている、おさむ。「なんかあったかいものでも食べなくっちゃ とてもとても」と食べ物を探して隣近所をかぎまわる。やがてユキ子がたずねてきた。それはスキヤキパーティーのさそいで、おさむは大喜びするのだったが。

*おさむの階下に住んでいる人妻が、髪型のせいか連載初期のユキ子そっくり(?)に見える。



図画の時間で悪戦苦闘の巻

0718

(少年チャンピオン 1974年12月16日号)

"Zuga no jikan de akusen-kutoh (meaning : Struggle hard with drawing work)"

It seems a class of drawing at school. A teacher indicates, "Choose a partner pose for you, and paint each other". Pupils obey it in high spirits. Osamu asks Yukiko,
"Let's go into partnership".
She declines, but it is too late, because all other pupils have made a pair already. Yukiko starts unwillingly. Osamu presently gets angry her reluctant manner ...

 学校の美術室だろう、「今日の図画はそれぞれモデルを選んで かきくらべをしましょう」と女教師が言う。生徒達は大はしゃぎで相手をさがし、おさむはユキ子に「ぼくと組もう」と頼み込む。ユキ子は嫌がって断るのだが、他の生徒達はみんな既にカップルになってしまっており、どうしようもない。いやいや取り組むユキ子の姿に、やがておさむは腹を立て……。

*実は○○○○であるかのように裸像を描かれてユキ子が激怒するくだりがある。もし『ふたりと5人』が現在連載中の作品であったら、同人誌即売会などでこうしたものが地下出版されるのだろうか。「きしゃのまどからでっかい」という歌は、『ちびママちゃん』でも登場している



あこがれの身体検査の巻

0801

(少年チャンピオン 1974年12月23日号)

"Akogare no shintai-kensa (meaning : Long to do a physical examination)"

Today a physical examination is carried out at school. Osamu mutters,
"I envy a doctor, they can watch naked girls".
To his surprise, Tetsugakuteki-senpai is there in a white gown.
"What are you doing here !?"
"A part-time job. I imitated a medical license and have got into here".
Osamu envies in tears. So Senpai says,
"If you like, I'll draft one of you as my assistant".

 全校生徒の身体検査が実施され、おさむがつぶやく「医者はいいよなー 女の子のハダカ見たりできて」。と、気付けば哲学的先輩が白衣を着てそこにいるではないか!? 「こんなとこでなにやってんの!」「アルバイト 医者の免許 模造してもぐりこんだのだ」涙を流して羨ましがるおさむに「なんなら一人くらい助手に使ってやってもいいぞ」と先輩は言うのだったが。

0800

*これより単行本の第8巻。トビラは、全裸にされたユキ子が拘束され、文字通り解剖されそうになるという危機一髪の構図になっているのだが誇張ではなく、ほとんどこの通りの場面が本編内容でも描かれている。発表当時、読者はそうとう驚いたのではないだろうか? えっちい事となると死に物狂いで頑張るおさむに先輩が「その根性ほかに生かせば おまえも えらくなれるんだが……」と残念がるくだりには苦笑させられる。



その人の名は先生!の巻

0802

(少年チャンピオン 1975年1月1日号)

"Sono hito no na wa sensei ! (meaning : The teacher is the very woman !)"

Osamu happens to meet Kabemura the boy most handsome in a class, is walking with tears in his eyes. According to his story, he seems had harassed sexually by Ms.Yoshida the science teacher who is "beautiful" and "big tits". When he went to her apartment house, she said,
"I'll teach you more delightful thing".
At last she sentenced,
"If you take off my panties skillfully, I'll give you a perfect score in science. If you can't, you get zero".
So that he did as she commanded, against his will. Osamu gets very angry,
"I want to be seduced, too",
He shouts and charges at the apartment house of Ms.Yoshida ...

 クラス1の二枚目である壁村が泣きながら歩いて来るのに出あった、おさむ。話を聞いてみると「美人」で「超ボイン」の理科教師である吉田先生から逆セクハラを受けたらしい。アパートをたずねたら「もっと楽しい勉強教えたげる」と言われ、挙句の果てに「先生のパンティーうまくぬがしたら理科のテストは百点あげるわよ できなきゃ0点」と宣告され、やむなく言われるままになったという。おさむは激怒し「ぼくだってゆーわくされた~い」と叫びつつ、吉田先生のアパート目指し突撃してゆく……。

*年上の女性に手ほどきを受けて性の幸福を初めて知る、といった状況設定は、少年の憧れ或いは妄想として定番的なものなのか、時おり男性向けマンガでは見かけるようだ。ただし、ここで主眼となっているのはそうしたエロティックな夢(を描くこと)ではなく、主人公おさむの哀れな錯乱ぶりのほうなのである。このへんの"ひねり"が、ありきたりなエッチ漫画にはなっていないこのシリーズの長所だと思う。
「ボイン」というのは当時の俗語で、胸の豊かな女性やその胸部をさして用いられていた。トビラにある「ノーパン」という語もこの頃に言われていたようだ。



正義の味方!スーパーイモマンの巻

0803

(少年チャンピオン 1975年1月6日号)

"Seigi no mikata ! Super-imo-man (meaning : A champion of justice ! Super-sweet-potato-man)"

Yukiko is tempted by a good smell of a baked sweet potato. She calls to a street stall to stop, meets Tetsugakuteki-senpai as a storekeeper of a part-time job. She buys baked sweet potatos, uses it for a body warmer.
"I become warm when I keep it in my clothes". She leaves for home, then Osamu suddenly jumps at her.
"You are with child of you and me, aren't you ?"
So Yukiko gets angry with him.

 石焼きイモの匂いにつられ、ユキ子が買おうとして屋台をひきとめる。その屋台を引いていたのはアルバイト中の哲学的先輩だった。ともかく買い求め、「これおなかに入れるとあったかいのよね」とカイロがわりにして帰途についたら、突然おさむが飛びついてきた。「ぼくたち二人の赤ちゃんができたんでしょ」と言われユキ子は怒るのだったが。

*アメリカの古典コミック『スーパーマン』(Superman)のパロディであろうが、「スーパーイモ」を食って怪力になるという点では、やはりアメリカ漫画である『ポパイ』(Popeye こちらはホウレン草を食べるのだが)のパロディにもなっている?



おさむのセールスマンの巻

0804

(少年チャンピオン 1975年1月13日号)

"Osamu no sehrusu-man (meaning : Osamu the salesman)"

Osamu runs into Tetsugakuteki-senpai on the street, finds a lipstick mark on his cheek. He seems to do "home-call sales of a wrinkle cream that I invented", and "But I receive a various windfall while I work at an apartment complex".
Osamu envies and decides to do a home-call sales with him, tries to get a lipstick mark from married women.

 おさむが路上で哲学的先輩と出会うや、その頬に口紅がついているのに気付く。「我が輩が開発したシワ取りクリームのセールス」をしているとの事で、「しかし団地を回ってセールスしてるとイロイロ ヨロクが……」あるらしい。羨ましがったおさむは先輩と共にセールスをする決心をし、団地妻からキスマークをつけてもらおうとするのだが。



サンザンクロースの巻

0805

(少年チャンピオン 1975年1月20日号)

"San-zan-kuroh-su (meaning : Having trouble severely) (* This subtitle is a parody of "Santa Claus".)"

A married couple enjoy Christmas in their room as a reindeer and Santa Claus intrude there. Osamu and Tetsugakuteki-senpai disguise themselves as it.
"I'm the new Santa Claus of 20th century who gets a present from people".
They say so, squeeze a wife into a bag, and run away. Next they intrude into the woman's section of a public bathhouse ...

 夫婦ふたりきりでクリスマスを楽しんでいる部屋に、いきなりトナカイとサンタが乱入してきた。おさむと哲学的先輩がその正体だったのだが、「我が輩は人からプレゼントもらう 二十世紀の新サンタなのだ」とのことで、奥さんを袋に押し込んでかっぱらい、逃げてゆく。次に彼らは銭湯の女湯へ突入し……。

*往復ビンタの独特な表現は水木しげるのパロディかも知れない? 最後のオチに少し謎があるのだけれど、興奮したおさむが何か失敗してそれに気付いていなかった、ということか。



年の初めでタマ合戦の巻

0806

(少年チャンピオン 1975年1月27日・2月3日号)

"Toshi no hajime de tama-gassen (meaning : A ball fight at the beginning of a year)"

Osamu goes to make a New Year's call, then Yukiko remains at home alone in a long-sleeve kimono. Osamu says,
"I determine to get rid of a bad habit of erotic and grotesque, at least in the New Year".
Yukiko amuse herself with it, allow him into a house.
"You can't eat because you live by yourself, so", she treats him to dishes for the New Year ...

 おさむが年始のあいさつに行くと、菊地家では振袖姿のユキ子が1人で留守番していた。「正月くらいはエログロをダッピしよーと思いまして」と語るおさむをユキ子は面白がり、家へあげてくれる。「おさむくん一人暮らしじゃ食べられないでしょ だから」と、おせち料理をご馳走してくれて……。

*回想シーンに、おさむの母親が1コマ登場。これは非常に珍しい。



鉄砲持ってウサギ狩りの巻

0807

(少年チャンピオン 1975年2月10日号)

"Teppoh motte usagi-gari (meaning : Carry a shotgun for hare hunting)"

Tetsugakuteki-senpai walks down the road, carries a rifle with him.
"I'll just go to a mountain for rabbit hunting".
Osamu hears this and asks,
"Cool, let me go with you".
Presently Yukiko joins them ...

 哲学的先輩がライフル銃をかついで道を行く。「ちょっとウサギ狩りに山までな……」と聞いたおさむは「カッコイー ぼくも連れてってー」と頼み込む。やがてユキ子も加わり……。

*ウサギ捕りのワナ(これは伏線になっている)や、妙に写実的な顔立ち(皮膚の下の骨格が感じ取れる)のウサギ等、作者の実体験が元になっているのか、細かい。



おさむくん!ハワイにいくの巻

0808

(少年チャンピオン 1975年2月17日号)

"Osamu-kun ! Hawai ni iku (meaning : Osamu ! Goes to Hawaii)"

Osamu goes to the toilet but there is no toilet paper. He looks for it in trouble, finds out a piece. That is a public lottery which he found formerly. He examines the number of it and knows he wins 10 million yen in the lottery ! He can't to resist a laugh, goes mad gradually ...

 トイレに行ったら、紙がきれている。困ったおさむが探して見つけ出した紙片は、前に拾った宝クジだった。ひょっとして……と、当選番号を調べてみると、一等の一千万円が大当たり! おさむは笑いが止まらなくなり、どんどんおかしくなってゆき……。

*ハワイ旅行は今でこそ身近になってきているが、この当時は僕ら庶民にとってちょっとした夢と憧れの対象だった(それゆえ、キャバレーの屋号にさえ用いられたのではないかと思われる)。



断食やって悟ろう!の巻

0809

(少年チャンピオン 1975年2月24日号)

"Danjiki yatte satoroh ! (meaning : Attain enlightenment by fasting !)"

Osamu thinks, "I apt to have not be getting enough exercise in winter". Therefore he turns idea over in his mind, but no good one comes. Then he finds a signboard reads : You can lose 5 kg in a week. Senpai Fast Training Hall. Osamu and the Kikuchis are intrigued by it.

 「冬は運動不足になっていけないなあ」ということで、「寒くたって体によい新クラブをなにか……」と、おさむはあれこれアイデアを出す。しかしどうも名案とは思えない。そこへ「一週間で5キロやせる 先輩断食道場」なる看板を見つけた。菊地家の人々とおさむは関心を持つのだが。

*「粉末ジュース」というのは今ではもはや売っていないかも知れないが、インスタントコーヒーというものがあるように、この頃にはジュースにもそうした製品が存在し、発売されていた。



高くついたカンニング入門の巻

0810

(少年チャンピオン 1975年3月3日号)

"Takaku-tsuita kanning-newmon (meaning : Cheating guide has been expensive)"

"We must not have bad marks, upon the Kikuchis' honor".
The Kikuchis 5 prepare for a term exam that gives tomorrow. Then Osamu comes and studies with them, but presently, it becomes clear that he has been make a mistake about a sphere of the exam at all. He gets into a panic of shock, the Kikuchis to be not able to study any longer, thanks to him. At that time, Tetsugakuteki-senpai comes ...

 あすは期末テスト。「菊地家の名にかけて悪い点は取れん」と5人そろって勉強していると、おさむがたずねてきた。一緒に勉強することになったのはいいが、おさむは試験範囲をまるっきり間違えていた事が判明する。ショックで半狂乱となったおさむにかき回されて、菊地家の5人も勉強にならなくなってしまう。そこへ哲学的先輩がやって来て……。

*ご存知のとおり英語でカンニング(cunning)とは本来「ずるい、巧妙」といった意味だが、日本の学生の俗語としてはこの当時、試験での不正行為(cheating)をさして用いられていた。先生が読んでいる本にある「コナン」というのは、ロバート・E・ハワード(Robert Ervin Howard)によるヒロイックファンタジーの題名か(この頃はハヤカワ「SF」文庫に分類、刊行されていたようだ)。



ユキ子年ごろ日記の巻

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(少年チャンピオン 1975年3月10日号)

"Yukiko toshigoro-nikki (meaning : Yukiko puberty diary)"

All the Kikuchis are in the bath together. Yukiko is fed up with a practical joke of her family, but gains confidence in her figure. She puts on a sexy clothes and tests a response upon boys. Osamu goes crazed with glee, but Tetsugakuteki-senpai shows no interest in it. Yukiko's pride is hurt by it, so ...

 菊地家の5人は全員で入浴中。家族にからかわれてうんざりする一方、ユキ子は自分の容姿に自信をもつ。露出度の高い服を着て反応を調べると、おさむは大喜びで町内一周へと走り出してしまうのだが、哲学的先輩は全くの無関心。プライドを傷つけられたユキ子は……。

*ババ(おばあちゃん)とママが争うのを見て、オトウトが「やめろ! 変態親子!!」と叫んでいる。これから察するならば、ママがババの娘ということになり、パパ(お父さん)は婿養子で菊地家に入ったらしい? おさむと先輩が最初は銭湯に登場しているくだりは、巧妙な伏線になっているようだ。



ペットを飼ってヘットヘットの巻

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(少年チャンピオン 1975年3月17日号)

"Pet o katte hetto-hetto (meaning : To be dog-tired by keep a dog)"

Yukiko goes to a butcher's shop, finds a starved puppy on her way home. After all, she determines to take the puppy back, keeps it, and takes a bath with it. Osamu feels intense jealousy when he peeps into the bathroom, bullies the dog during Yukiko's absence ...

 肉屋へ買い物に行ったユキ子はその帰り道、腹をすかせた小犬を拾う。結局、家へ連れ帰って飼うことにし、風呂も一緒に入るのだった。それを覗き見たおさむは嫉妬に狂い、ユキ子の外出中に小犬をいじめるが……。

*空中で一回転して変身、という場面があるが、1970年代初頭にいろいろ制作された変身ヒーロー番組のパロディか。哲学的先輩の驚くべきアルバイト(!?)について明らかになる回。犬の名前が「ヒデキ」というのは、歌手の西城秀樹(この前年、NHK紅白歌合戦に初出場した)からとったものか。



白銀がまねくよの巻

0813

(少年チャンピオン 1975年3月24日号)

"Hakugin ga maneku-yo (meaning : I want to go to snow-covered mountains)"

There is a brilliant white wonderland. Osamu finds Yukiko and her family are going out to ski, so he tries to go with them. But he has neither ski outfit, nor money to by it. Therefore he starts to build a ski outfit through his own efforts.

 雪が積もって一面の銀世界。おさむはユキ子さんたちがスキーに行くのを見つけ、一緒に行こうとする。が、肝心のスキー用具は何も持っていない。買おうにも金は無い。かくてスキーの自作を試みるのだったが。

*北海道出身である作者にとっては実体験が元ネタなのか、自作で苦労するくだりは特に面白い。登場する「笠谷」はどうやら、1972年の札幌オリンピック、男子スキージャンプ70m級で優勝した選手その人であるらしい。



ガードマンでよーえんにの巻

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(少年チャンピオン 1975年3月31日号)

"Gard-man de yohen ni (meaning : Investigate fascination as a guard)"

A young woman who seems a mistress, flirts with a married man, in a room of an apartment. Then Osamu appears. He works as a new employee guard, but he seems not be useful. At that time, there is a burglary. The culprit leaves some clues ...

 マンションの一室。愛人らしき若い女が、女房持ちのおっさんといちゃついている。そこへ突然おさむが登場。新しくガードマンとして入り、働いているのだったが、どうにも役に立ってはいない。そこへ泥棒の被害が発生した。犯人は複数の手がかりを残していったのだが……?

*推理マンガというか、ちょっとクイズみたいな箇所もあって楽しい。書き込みにある「ブレストバーン」とは、永井豪の原作によるロボットアニメ作品『グレートマジンガー』(1974年9月~1975年9月放送)で使われている武器。



スケバン・キム子の登場の巻

0815

(少年チャンピオン 1975年4月7日号)

"Sukeban Kimuko no tohjyoh (meaning : Kimuko the delinquent girl appears)"

The air is full of spring. Osamu jumps out of his room when he feels an impulse to "tuck up something". He tucks up Yukiko's skirt when he runs into her on the street, and do so Kimuko's. He was introduced her as a girl who has moved to next of Yukiko's house. But Kimuko "was formerly a school gang leader", so that Osamu is severely punished ...

 春。むしょうに「なにかをまくりたい」衝動にかられて戸外へ飛び出した、おさむ。道で出あったユキ子のスカートをまくり、さらには紹介された少女、今度隣に引っ越してきたという「キム子」のスカートもまくるのだった。ところが彼女は「前の学校でスケバンだった」ため、おさむはひどく懲らしめられて……。

*「スケバン」とはこの頃の俗語で、暴力的な行動をする不良女子学生たちのリーダーをさして用いられた。マンガではキム子のスカート丈がひざにかかる長さになっているがこれはむしろ当時の(校則にしたがっている)"模範的"な生徒の着こなしで、自分が不良であることを宣言する場合にはもっと丈の長いスカートを着用するのが一般的だったかと思われる。「キム子」という名前はおそらく、冷蔵庫に入れておく消臭剤(当時はTVでCMも流されている有名商品だった)の名称を模したパロディだろう。彼女が金髪みたいに描かれている理由は分からないが、不良生徒は髪をヘアダイで染めることがけっこう多かったようなので、そこからきた表現か。
 ユキ子たちの体育着(の下半身)はベルトを使う紺(?)の短パンになっているがこれはやや珍しく思われ、全国的に普及していたのは伸縮性のある布地で作られたいわゆるブルマーではなかったかと考えられる(だからこの学校の服装規定は独特だ)。
 跳び箱でおさむが言い逃れをしている台詞は、輸入TV西部劇『名犬リンチンチン』("The Adventures of Rin Tin Tin"、日本では1956年から放送)の駄洒落らしい?



復しゅうの鐘がなるの巻

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(少年チャンピオン 1975年4月14日号)

"Fukushue no kane ga naru (meaning : I'll ring a bell of revenge)"

"Yukiko is always with that girl, Kimuko, these days, doesn't play with me at all", deplores Osamu. What is worse, he is deceived by them, has a hard time. Osamu tells his circumstances to Senpai in tears, but he is pushed ;
"Oh boy, what a deplorable. What of the delinquent girl ? Reveal your manly spirit, take revenge !".

 「このごろユキ子さんたら あのキム子とくっつきっぱなし 全然ぼくと遊んでくんないの」と嘆く、おさむ。そのうえ彼女達にだまされてさんざんな目に遭う。先輩に泣きついたら「男のクセに情けない スケバンなにするものぞ 男なら復しゅうだ!」と発破をかけられるのだったが。

*哲学的先輩の台詞にある「ブラック・ジャック」とはこの場合、相手を殴って攻撃する武器の一種をさし、当時の週刊少年チャンピオンに連載されていた手塚治虫の同名作品とは関係が無い(もしかしたらひっかけたギャグでもあるのかも知れない?)。作者が2回登場し、ヌードでなぜ大事な秘密の部分をはっきり描いていないのか理由を説明している(?)。なお「ブタバコ」とは刑務所の意味。
(単行本の第8巻は、ここで終わっている。)



ザ・マジシャンの巻

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(少年チャンピオン 1975年4月21日号)

"The Majishane (meaning : The magician)"
* This subtitle seems to be named for "The Magician" the TV show starring Bill Bixby.

Osamu finds Tetsugakuteki-senpai in a coffee shop, comes into it. Senpai says,"I'm absorbed in magic, recently", performs wonderfully a magic trick. Osamu is charmed through a misunderstanding, requests earnestly him to give lessons in magic.

 喫茶店の前を通りかかった、おさむ。その店内に哲学的先輩がいるのを発見し、入ってみる。すると先輩は「最近マジックにこっておるのだ」そうで、驚くべき腕前を披露するのだった。誤解もあってすっかり魅了されたおさむは、先輩にマジックを教えてくれと頼み込むが。

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*これより単行本の第9巻。
 当時アメリカ製TVドラマ『ザ・マジシャン』("The Magician"、主演:ビル・ビクスビー(Bill Bixby))が、東京では1974年から放送されており、トビラでおさむの台詞に「裏番組」うんぬんとあるのは、そのゆえか。



新学期~~の巻

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(少年チャンピオン 1975年4月28日号)

"Shingakkiii (meaning : A new school term)"

"I'm in the 2nd grade of a junior high school since this year. I have to be conscious of it whatever I do."
Osamu is in high spirits, but Yukiko is amazed at him after all. He seems to become desperate, takes out his anger on new pupils when he meets them at a corridor ...

 「今年からぼくちゃんも中二だ やはり中二としての自覚を持って行動せねば」とはりきる、おさむ。しかしユキ子には結局あきれられる。ヤケもあったのか、おさむは廊下で出会った新一年生たちにインネンをつけはじめ……。

*おさむの学年が明言されているのは珍しい。また、この中学の校長が今回出演している。ただし、校長(および、それらしき人物)は以前にも登場しているのだが(体育の秋!の巻実習生がやってきたの巻)、別人と見える。今回の校長は赴任したばかりで、初登場の時から起算して三代目にあたる人と見るべきか。



青い目のライバルの巻

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(少年チャンピオン 1975年5月5日号)

"Aoi me no raibal (meaning : The rival who has blue eyes)"

Osamu gets into Yukiko's skirt under the pretext of picking up a ball. As soon as she screams, a foreign boy in an American football uniform, dashes himself against Osamu. His name is Henry, seems to be Yukiko's boyfriend. Osamu can't match him in everything ...

 ボール拾いにかこつけて、ユキ子のスカートの中へ飛び込んだ、おさむ。ユキ子が悲鳴をあげるや、アメフトのユニフォームを着た外国人の少年がおさむに体当たりをくらわせてきた。彼はヘンリーという名前で、ユキ子のボーイフレンドなのだという。何をやっても彼にかなわないおさむは……。

*今では学校にALT(外国語指導助手)制度も導入されており、学生にとって外国人はさほど珍しくもないかも知れない。だがこの当時は渡航費用がはるかに高額だったせいなどもあり、近隣に米軍基地が存在する土地などを別にすれば、日本国内で外国人を見かけるのはずっと稀(まれ)な事だった。



先輩のラブ通訳の巻

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(少年チャンピオン 1975年5月12日号)

"Senpai no labu tsuheyaku (meaning : Senpai's interpretation for love)"

Yukiko has a pleasant chat with Henry. Osamu tries to break into them, but Yukiko dislikes it. However, Henry invites not only Yukiko but also Osamu to his house. Osamu is introduced Emily the younger sister of Henry, at there. After a trouble, Osamu goes into raptures because Emily gave him a kiss on his cheek. But he can't talk with her as he can't speak in English. Osamu is completely at a loss, begs Tetsugakuteki-senpai to act as interpreter.

 ユキ子はヘンリーと談笑中。おさむがそこへ割って入ろうとするもユキ子は嫌がる。しかしヘンリーはユキ子もおさむも家に招待してくれた。おさむはそこで、ヘンリーの妹・エミリーを紹介される。一波乱あるものの、エミリーから頬にキスしてもらえておさむは大喜び。しかし英語ができないので彼女と会話が成り立たない。困ったあげく、哲学的先輩に通訳を頼むのだったが。

*劇中、いちおう英語の台詞になってはいる。ただし内容はむちゃくちゃで、『不思議の国のアリス』あたりからの引用か? とくに明言されてはいないが、おさむの台詞に「アメリカ バンザーイ」等とあって、ヘンリーたちはどうやら米国人であるらしい。哲学的先輩はその台詞によれば「十二か国語に精通して」いるようだ。



恋にうらみは……の巻

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(少年チャンピオン 1975年5月19日号)

"Koi ni urami wa ... (meaning : A grudge of love)"

Osamu becomes enthusiastic for Emily. But she is on intimate terms with Tetsugakuteki-senpai. He is the very man Osamu always relies on, but now he is to be a rival in love. Osamu does not know what to do ...

 エミリーに熱を上げるようになった、おさむ。しかしエミリーは哲学的先輩とくっついている。常に最大の味方であった先輩が恋敵となってしまい、おさむは……。

*今回、ユキ子(だろう)はトビラにしか登場していない。かなり久しぶりで「シュール・フィッシュ(フキナガシ)」らしき珍生物が何コマも出てくるが、体表にウロコが無いなど、微妙な違いがある。美少女エミリーがアメリカ人であることにひっかけてか、聖書の一節をパロディにした台詞があり、かつそれが伏線になっている!



バースデーパーティーにご招待の巻

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(少年チャンピオン 1975年5月26日号)

"Barsudeh partie ni go-showtai (meaning : I invite you to a birthday party)"

Osamu gets a letter from Emily. It's an invitation of a birthday party. Osamu imagines one thing or another in his joy, gets ready for it. The appointed day arrived at last. Osamu meets Yukiko, and she makes know that he has overlooked a part of the letter. It requests to attend in pairs. Yukiko attends with Henry, Emily seems to do with Tetsugakuteki-senpai, but Osamu has no partner. Osamu loses his presence of mind ...

 エミリーからおさむへ手紙が来た。バースデーパーティーに招待してくれたのだ。喜んであれこれ想像し準備を始める、おさむ。さて当日、おさむはユキ子と出会うが、カップルで出席されたしという内容を読み落としていた事に気付かされる。ユキ子はヘンリーと、エミリーは哲学的先輩と一緒に行くらしく、おさむにはパートナーがいない。あわてたおさむは……。

*問題解決のため東奔西走したあげく、おさむのひねり出した奇策がいかにもマンガらしく楽しい。今回、エミリーの年齢が13歳とわかる。おさむは彼女にすっかり熱を上げ、ユキ子は第2候補になってしまっているようだ。現実でかような事態となったら、おさむはユキ子からもはや一生許してもらえないのではという気がするが、そこはギャグマンガなので……。ユキ子もユキ子だし……!?



一日一善の巻

0907

(少年チャンピオン 1975年6月2日号)

"Ichi-nichi ichi-zen (meaning : Do one good turn a day)"

Osamu finds a purse on the street. The owner of it is a beautiful woman, but he demands nothing in exchange for it. Yukiko is surprised when she witnesses this, asks him a question.
"I determine to be Osamu who is loved by everyone, in the interests of others and society", he says and offers to help her,
"So if you, Yukiko, have something trouble, please tell me".
Then she asks him wash. Osamu works with a smile,
"It's pleasant after I devoted to others".

 おさむは路上で財布を拾うが、落とし主である美女に何の見返りも求めず去って行く。これを見たユキ子が驚き質問してみると、「これからは世のため人のため みんなに好かれる おさむになることにしたのです」という返事。「ユキ子さんもなにか困ってることがあればどうぞ」と申し出るおさむに、ユキ子は洗濯を頼む。「人のためにつくした後はここちよいなー」と笑みをたたえるおさむだったのだが。

*善良な者は厚顔無恥な者に利用されるばかり……といった人の世のイヤな真実を、ギャグマンガながら的確にとらえていると思う。ではどうしたら良いのかという結論は、ここには無い。しかし有意義な問題提起がギャグの裏側に仕込まれている。こうした考察は『ななこSOS』の第1話にも表れているようだ。



スケバン志願の巻

0908

(少年チャンピオン 1975年6月9日号)

"Sukeban shigan (meaning : Apply for a delinquent girl)"

Osamu is absent-minded on the street. Kimuko the delinquent girl passes by, becomes aware of him, asks the reason. He seems be up against the wall, that he can approach neither Yukiko nor Emily.
"I can do nothing lecherous. There is no hope to live any longer."
He says and be filled with tears, so Kimuko has compassion on him. Osamu seems be deeply moved by it, wants to be her follower ...

 おさむが路上で放心している。通りかかったスケバンのキム子が気付き、理由をたずねたら、ユキ子にもエミリーにもせまれない現状がその理由らしかった。「スケベなこと なにひとつできないなんて もはや生きる希望がないのであります」、そう言って涙ぐむおさむに、キム子が同情。感激したのかおさむは、彼女の子分にしてもらいたがり……。

*久しぶりにキム子が登場し、それ以上に久しぶりにポルノ虫がちょこっとトビラに登場。キム子はなかなか情け深い少女であるようだ。ヘンリーが「ワタシニ電話シテクダサイ」と言っているのは、TVで当時に流されていた健康器具CMのパロディだろう。



禁じられた遊びの巻

0909

(少年チャンピオン 1975年6月16日号)

"Kinjirareta asobi (meaning : Banned pleasure)"

Henry and Emily fly a kite. Osamu tries to guide them, but he can't do well. Osamu takes them to play pachinko (Japanese pinball game) instead of a kite. But they are driven out, because it is a gambling for adults only. Tetsugakuteki-senpai is consulted about it, and says;
"All right, I'll lend a hand to you !"
He opens "Pachinko Senpai !".

 ヘンリー・エミリーの兄妹がタコあげをしている。おさむは教えてやろうとするも、うまくいかない。タコはやめにしてパチンコに2人をいざなうおさむだったが、未成年のため店から追い出されてしまった。相談を受けた哲学的先輩は「よし我が輩が一肌ぬごう!」と引き受け、『パチンコ先輩!』なるものをオープンするが。

*時々、このアメリカ人兄妹にからめて第二次大戦ギャグ(?)が出てきている。さすがに当時、もはや「戦後」の意識は無くなっていただろうが、アメリカに逆らったら日本はやってゆけない、といった閉塞感のような意識は今よりずっと強かったようで、こうしたギャグはそういう世相の反映だろうか。「シュミット式バックブリーカー」というのはプロレスの技の名称。



タマよりも速くの巻

0910

(少年チャンピオン 1975年6月23日号)

"Tama yorimo hayaku (meaning : Faster than a ball)"

A test of physical education will be given tomorrow, at school. So Osamu and the Kikuchis exercise the 100-meter dash. Tetsugakuteki-senpai helps them, but Osamu cheats one after another. To tell the truth, there is a story behind it ...

 あした学校で体育のテストがあるため、おさむと菊地家の人々は百メートル競走で練習をしている。哲学的先輩はその手伝いをすることになったが、おさむは次から次へと細工をしてインチキばかり。実はそれにはワケがあって……。

*菊地家の建物を空中から見下ろしたコマがあるが、2階建てで屋上がある、という構造になっている。「お手々をブラブラブラ」といった台詞は、1960年代にNHKの幼児向けTV番組で行なわれていた体操の歌の一節かも知れないが、定かではない。



キノコの秘密の巻

0911

(少年チャンピオン 1975年6月30日号)

"Kinoko no himitsu (meaning : The secret of the mushroom)"

There is a heavy leak in the roof at Osamu's room. When it has stopped raining, mashrooms grow all over in the room. Osamu is glad, makes his lunch from it, and eats furiously. Tetsugakuteki-senpai presently comes then he becomes aware that Osamu's behavior seems odd. So he examines and finds Osamu's body has changed to woman's !

 天井からの雨漏りがすさまじい、おさむの部屋。ようやっと晴れたら、室内のあちこちにキノコが生えてきた。おさむは喜んでこれを材料に昼メシを作り、食べまくる。と、そこへ訪ねて来た哲学的先輩は、どうも様子がおかしい事に気付く。調べてみたらなんと、おさむの身体は女のそれになっていた……!

*先輩の台詞に「でれすけでん」とあるのだが、意味は不明。ただし、茨城の方言に「でれすけ」や「でれすけでんべー」というのはあって、これは"駄目な人"といった意味になるらしい。



海賊放送だあーの巻

0912

(少年チャンピオン 1975年7月7日号)

"Kaizoku-hoesoh dah (meaning : Piratic broadcasting)"

Osamu has eaten his lunch before the noon recess, so he looks enviously at other students' meal. The school program for a lunch break is broadcasted by Yukiko and her friends. Osamu feels discontented with it, goes to a studio ...

 給食の早弁(はやべん=昼休みを待たずに弁当を食べてしまう事。当時の学生の俗語)をしたため、級友たちが食べるのを見ているだけになった、おさむ。そこへ昼間の校内放送が、ユキ子たちによって始まる。どうにも不満なおさむは放送室へ行き……。

*女生徒の合服が、ブラウスに紐タイでベスト着用、というものになっている。夏・冬がセーラー服指定の学校でも実際にこうなのだろうか。台詞にある「奇人変人」は、当時放送されていた番組『TVジョッキー』(1971~1982年)にあったコーナーの名称。「そうだ一平」(左右田一平)は北海道出身の俳優で、このころ殺虫剤のCMに出演していたと記憶する。「ハローパンティー」はラジオ番組『ハローパーティー』(1969年4月~1975年9月に放送)をもじっているらしい。今回出てくる校長は『実習生がやってきたの巻』で登場した校長(?)に風貌が近いようだ。「ヒデキとゴローとひろみ」は、西城秀樹・野口五郎・郷ひろみを指しているのだろう。
 そしてこの回でついに、吾妻マンガにおいて聖女のようにあがめられている(?)アグネスの名前が出た。



まくらかかえて遠足だーの巻

0913

(少年チャンピオン 1975年7月14日号)

"Makura kakaete ensoku dah (meaning : An excursion holding a pillow)"

Students gather in front of a train station, start on excursion. Without knowing why, Osamu has carried his bedding, and bathtub on his back ! Anyhow, all the members set off for their destination.

 鉄道の駅前に集合し、生徒達は遠足へと出かける。ところがそこへやって来たおさむは、なぜかフトンとまくら、おフロまで背負っている。なにはともあれ列車に乗り込み、全員が目的地へと向かったのだが。

*おさむのクラスは「2年B組」である事が明言されている。駅名は「大泉学園」になっているものの、当時これほど小さな改札は(西武池袋線大泉学園駅に)実在しなかったのではないかと思われるも、定かではない。とにかく、おさむはよく準備してこの遠足に参加していることが終盤で明らかになる……。



ユキ子さん解剖の巻

0914

(少年チャンピオン 1975年7月21日号)

"Yukiko-san kaiboh (meaning : Dissect Yukiko)"

Osamu uses a net at a public bath. Tetsugakuteki-senpai asks him the reason. He seems to "catch a frog" because "It's necessary for a biology class tomorrow". Senpai is amazed by it, guides him how to catch a frog. The next day, at last a biology class bigins ...

 銭湯でアミを振り回している、おさむ。哲学的先輩が聞いてみたら「カエル取り」だそうで、「あした生物の時間にいる」とのこと。あきれた先輩はカエル取りをおさむに教えてやることにした。さて翌日、ついに生物の授業は始まったが……。

*あっちの世界へ片足つっこんでいるような教師が笑える。トビラとサブタイトルにあるとおり、ユキ子が危機一髪となる回。当時、実際の中学校で「生物」という科目名は無く、理科の第一分野・第二分野といった呼称であったかも知れないが、詳細不明。



おさむ新聞の巻

0915

(少年チャンピオン 1975年7月28日号)

"Osamu shinbun (meaning : The Daily Osamu)"

Osamu receives a school newspaper at a classroom. But he expresses his disapproval of it,
"Why a school newspaper's contents are so stiff like this ?"
He determines to lend a helping hand with it, joins a newspaper club, gathers material at his school.

 教室で学校新聞をもらった、おさむ。しかし「どーしてこう学校新聞つーのはかたい内容なのかな」と不満を懐く。ひとハダぬごうと決心して新聞部へ入部、校内を取材してまわり始めたのだったが。

*ご想像の通り、おさむは暴走してみんなから袋叩きになる。が、その後の展開にヒネリと社会風刺があって、「ふむ?」と思わせられる回。
 女生徒の台詞に「ショートパンツ」うんぬんという部分があるのだが、若い女性のショートパンツ姿というのは吾妻マンガでこの頃に何度か、あちこちで登場しているようだ(『ふたりと5人』だけではなく『セクシー亜衣』『やけくそ天使』にも見られる)。吾妻流の女性美表現の、特色のひとつであろうか。



色気より食い気の巻

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(少年チャンピオン 1975年8月4日号)

"Iroke yori kuike (meaning : Prefer food to romance)"

Osamu knows that foodstuffs are polluted by chemicals.
"I can't eat such a poisoned food", he makes a farm at a garden of his apartment house. All his friends cooperate (?) with him, so his plan seems go smoothly.

 食品が化学物質で汚染されている事を知った、おさむ。「そんな毒だらけのもんは食べられない」と、下宿の庭へ農園を作り始める。みんなも協力(?)してくれて、おさむの計画は順調に進んでいるようだったのだが。

*ちょっとSFな(?)オチになっているのがいかにも吾妻マンガらしいと言うべきか。
(単行本『ふたりと5人』第9巻は、ここで終わっている。)



ワンダフル花火大会の巻

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(少年チャンピオン 1975年8月11日号)

"Wandafuru hanabi taikai (meaning : Wonderful fireworks convention)"

Yukiko, Senpai and Osamu arrange to meet, go together to meet Henry and Emily. They are going to see fireworks. Emily is impressed with Japanese festival, with fireworks particularly. Osamu tries to look good,
"Anybody Japanese can make that",
and promises out of vanity,
"I'll present you awfully beautiful one".

 ユキ子・先輩・おさむは待ち合わせをし、ヘンリーとエミリーを迎えにゆく。全員で花火を見に行こうというのだった。日本の祭り、とりわけ花火に感心するエミリー。「あれくらい日本人ならだれでも作れますよ」と、いいかっこをするおさむは「ものすごいキレイなやつプレゼントしましょ」と約束してしまうのだが。

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*これより単行本の第10巻。カバー見返しにある作者の言葉によれば「ぼくの仕事部屋にはアグネス・チャンと林寛子と岩崎宏美のポスターがはってある」とのこと。月刊OUTの特集記事で描かれた無気力プロの図解でもポスターらしいものが見られるので、どうも本当らしい。



バンドでウキウキの巻

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(少年チャンピオン 1975年8月18日号)

"Band de uki-uki (meaning : Cheer up with a band)"

A music teacher says at classroom, "I give an examination, today. You have to sing a song one by one".
All student sings pretty well, so that other students listen and make merry. Osamu says,
"There is not a difference between this and TV show".
A singing contest will hold at school next week, Yukiko seems to participate in it. Osamu desires to join them, barely admitted.

 音楽の時間。「今日は歌のテストをします 一人ずつ歌ってもらいますからね」ということになったが、皆なかなか上手で、それを聴いている生徒達は大騒ぎ。「テレビの歌番組とかわらんじゃないかこりゃー」と、おさむはこぼす。しかも来週は校内対抗歌合戦もあり、ユキ子たちも出場するという。おさむは参加したがり、どうにかまぜてもらえたが。

*当時の人気者だった歌手名などがいろいろ登場している。『はだしの冒険』はアグネス・チャンの歌、つなぎの衣装にサングラスというのはダウン・タウン・ブギウギ・バンドの真似、「ピンキーファイブ」は「フィンガー5」のパロディか。「うぐいすだにミュージックホール」というのは笑福亭鶴光が歌っていた歌謡曲の題名。「ゾロ」は、映画『アラン・ドロンのゾロ』(Zorro)からきているものと思われる。



医は忍術の巻

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(少年チャンピオン 1975年8月25日号)

"Ie wa ninjyutsu (meaning : Medicine is the art of ninja)"

The Kikuchis have a visitor. She presents them a midyear gift.
"Whom shall I say ?"
Then it becomes clear that the girl is Osamu, disguised himself as a woman.
"I emphasize cool as it is summer". He says so and leaves gently. But, in fact, he devises a secret plot ...

 菊地家へ来客があり、お中元が渡される。「どちらのお嬢様でしたでしょうか?」とたずねてみれば、なんと和服で女装した、おさむだった。「夏ですから清涼感を強調しましたのよ」というのだが、とにかく大人しく去って行く。だが実は、彼には計略があったのである……。

*SM趣味(?)なエロティシズムとギャグがあるが、今回注目すべきは結末なのではないか。「この中から君の好きなオチを勝手に選んでくらはい」という作者の言葉があり、5種類のオチが用意されている、非常に珍しい回。



熱気球の巻

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(少年チャンピオン 1975年9月1日号)

"Netsu-kikyuh (meaning : A hot-air balloon)"

Osamu stays in his room, but becomes to be unable to bear the intense heat.
"Now I remember, there is an air conditioner in Yukiko's house."
He thinks about taking refuge in there. But when he arrived at their house, all the Kikuchis had been prepared to fly a hot-air balloon, at a garden. They say,
"We escape from the sultry earth, stroll in the skies."
Osamu asks to go on board with them, but it is refused ...

 下宿にいたが、あまりの暑さに耐えられなくなった、おさむ。「そーだ ユキ子さんの家にはクーラーがあったっけ」と思い出し、菊地家へ避難しようと考える。が、行ってみると菊地家の一同は庭でこれから熱気球をあげようとしている真っ最中だった。「暑苦しい下界を逃れて大空の散歩をするの」だそうで、おさむは自分も乗せてくれと頼む。しかし断られてしまい……。

*熱気球はこのころ流行したようで、学生たちが自作する実例もあったようだ。ただやはり経費はかなりかかったものと思われ、そのへんを考えると菊地家は財力があるのだろう(?)。



モーレツ塾でメタメタにしごこーの巻

1005

(少年チャンピオン 1975年9月8日号)

"Mohretsu-jyuku de meta-meta ni shigokoh (meaning : Teach harshly in a fierce cram school)"

In the summer vacation, Osamu gets absorbed in food and romance, as usual. He finds the Kikuchis go out, follows them. Their destination is a "summer cram school of English and mathematics". They say,
"We must study hard during the summer vacation... It is the very opportunity to get a lead on others, isn't it ?"
Osamu thinks about it, then concludes,
"I'll establish a cram school, teach fiercely to get a lead".
Senpai joins this project ...

 夏休み。あいもかわらず食い気と色気のおさむだが、ユキ子さんたちがそろって出かけるのを発見し、ついてゆくことにした。が、その行き先は「夏休み 英数塾」。「夏休みこそ… みんなに差をつけるためバリバリやるんじゃない」と言われて、おさむも考える。たどりついた結論は「塾をつくって差をつけるためバリバリ教える」というもので、先輩もこれに加わり……。

*看板の文言に「講師/東大8年生・先輩」とある。



夏の公園でいちゃつこーの巻

1006

(少年チャンピオン 1975年9月15日号)

"Natsu no kohen de ichatsukoh (meaning : Let's make out at summer park)"

Osamu is chagrined when he reads an article of a weekly magazine, it says, there are many couples who are necking passionately in a park in summer.
"I'll go to peep for the only pleasure", thinks Osamu, goes to a park at night, brings a radio-cassette recorder with him.
He finds many couples here and there indeed, has only bitter experiences because he meddles in couples' business. To make matters worse, Osamu happens to meet a policeman and to be doubted. Now he is in a terrible bind ...

 週刊誌の記事で、夏の公園には、いちゃつきまくるアベックがいると知っておさむはくやしがる。「せめてのぞきでもしてみようか」と、ラジカセ持参で夜の公園へ。たしかに男女があちこちでくっついているのだが、やっかみか、おさむは2人にちょっかいを出してはひどい目に遭ってばかり。おまけに警官と出くわして職務質問を受け絶体絶命となってしまい……。

*おさむがナショナルのラジカセのCMをやりかけ、「習慣はこわいなー」と頭をかく場面があるが、これは『ヒモつき ふたりと5人』という宣伝マンガをやったことがある(少年チャンピオン 1974年7月22日号)のにひっかけているものと思われる。



円盤の二怪人の巻

1007

(少年チャンピオン 1975年9月22日号)

"Enban no ni-kaijin (meaning : 2 monsters of UFO)"

Setting off to the sea, the Kikuchis 5 find Osamu is doing something on the roof. They know when ask him that he seems to try to have himself picked up an alien's UFO and go on a trip to outer space. The Kikuchis are amazed and leave. But, Osamu keeps on his effort to have UFO come to him, because he thinks, "A man must carry out his original intention". At last, the UFO has come actually ! Besides, someone looks an alien climbs out ...

 これから海へ行こうとする菊地家の5人組は、おさむが屋根の上で何かやっているのに気付く。話しかけてみれば「宇宙人の円盤に乗せてもら」って大宇宙へ旅行してやろうとたくらんでいるらしい。あきれた5人組は去ってゆくが、おさむは「やると決めたらやるのが男」と、円盤を呼ぶべく頑張り続ける。すると本当に円盤がやってきた! おまけにその中からは宇宙人とおぼしき者が出てきて……。

*しょーもないドタバタになっていて笑える。いかにも少年マンガらしい夢もあって楽しい。オチは題材としての調和もとれたアイディアで絶妙。



お見舞いを強要スの巻

1008

(少年チャンピオン 1975年9月29日号)

"Omimai o kyohyoh su (meaning : Demand a present)"

The author has caught a cold, so dose Osamu. He takes to his bed and thinks, "I feel lonely in a case like this as I live alone. I see, for instance, I'll write a letter to all", for ask them to see him. However, Tetsugakuteki-senpai brings a strange medicine so he has no money, then Osamu has a hard time.
Osamu goes to the Kikuchis' garden brings his bedding in utter desperation, and screams, "I'll die at here to pay you back, you give me only worthless present !".

 「腹出して扇風機かけて寝てたらカゼひいちまった」という作者にならい(?)、おさむもカゼで寝込んでしまう。「こんな時一人暮らしは心細い そうだみんなに手紙でも書こう」と考え、お見舞いにきてくださいと頼む事にした、おさむ。しかし来てくれた哲学的先輩は「金(かね)がないから」と変な薬を持ってくるしで、ふんだりけったり。ヤケになったおさむは菊地家の庭へフトン持参で出向き、「ろくなお見舞い寄こさないから腹いせにここで死んでやるのだ」と泣き叫ぶ。

*おさむの突飛な行動に笑わされるが、実に独創的な(?)展開ではある。結末にはちょっとしたペーソスがあり、おさむが決して悪人というわけではない事が良く伝わってくるし、ドラマ性もある。オチがちゃんと科学的(?)だったりと、密度の高い回になっていると思う。



おさむの海外バカンス作戦の巻

1009

(少年チャンピオン 1975年10月6日号)

"Osamu no kaigai bakansu sakusen (meaning : Osamu's operations of overseas vacation)"

A new school term has begun, all pupils meet again at their classroom. They have a long talk, then Osamu says he had been Hawaii. The Kikuchis don't believe what he says, but Osamu shows a photograph that he is at the seashore with a beautiful woman hand in hand. There are many photos not only of Hawaii but of oter places. Everyone are surprised, however, the Kikuchis have doubts about it ...

 いよいよ新学期となり、生徒達は教室で再会。みんなであれこれ話していると、おさむはハワイへ行ってきたとか。信じない菊地家の人々の前に彼が出したのは、海岸で美女と手をつないでいる、おさむの写真だった。しかも写真はハワイのそれだけではなく、何枚もある。みんな驚くものの、ユキ子たちはどうにも納得できず……。



マラソン大会の巻

1010

(少年チャンピオン 1975年10月13日号)

"Marason taikai (meaning : A marathon race)"

Osamu shows no interest in sport. But he says with a smile,
"I'm surrounded by thighs (of girls in a gym suit), so I feel happiness".
On the one hand he has a bitter experience, on the other hand he has a happy time, the race goes on.

 スポーツにどうにも関心が無い、おさむ。だが体育着姿の女生徒たちの「太ももにかこまれてる それでぼくは幸せ」と笑顔。ひどい目に遭ったり幸せだったりとあれこれ騒いでいるうちにマラソン大会は進むが。

*何度も逆転また逆転となって、最後は念願どおりになるものの……というオチが効いている。「つかれたびー」というのはTVのCMで流行した秋田県の方言。



先輩個展をひらくの巻

1011

(少年チャンピオン 1975年10月20日号)

"Senpai koten o hiraku (meaning : Senpai holds a private show)"

"The genius of 20th century : Senpai private exhibition" is held at a picture gallery. Osamu and Yukiko come to watch it, but there is filled with curious works.
"If anybody buy such a graffiti, I shit from my eyes for the sake of it", Osamu makes a fool of them. Nevertheless, all works find a buyer, so that Senpai makes a lot of money. Osamu and Yukiko are astonished and hold "Osamu Yukiko private exhibition" for love of money.

 「21世紀の天才 先輩個展」なるものが画廊で開かれている。おさむとユキ子は見に来るが、どうにも奇妙な作品ばかり。「こんなもん買うやつがいたら目からウンコしてやるよ」と馬鹿にするおさむだったが、なんと全ての作品が売れてしまい、先輩は大金を手にするのだった。驚いたおさむとユキ子はカネ欲しさに「おさむ ユキ子 個展」を開くのだが。



変身おさむくん!!の巻

1012

(少年チャンピオン 1975年10月27日号)

"Henshin Osamu-kun !! (meaning : Osamu changes !!)"

Yukiko calls on Osamu's room, because she was told,
"I'll prepare delicious dishes for you."
There is no food yet, then Osamu begins cooking. It is entirely ridiculous, but Osamu eats the dish with self-praise. Presently he groans ...

 ユキ子がおさむの下宿をたずねてくる。「おいしーものごちそーするって言うから来た」のだったが、料理はこれからなのだった。とにかくおさむの手料理は始まったが、まるでむちゃくちゃ。おさむは「んめー」と自画自賛で食べるのだったが、突然苦しみだして……。



おかしなおかしなスナックの巻

1013

(少年チャンピオン 1975年11月3日号)

"Okashina okashina snack (meaning : Strange strange pub)"

Senpai opens "Snack Tetsugaku (meaning : Pub Philosophy)", Osamu goes to it. He finds only Senpai disguises himself as a woman in there.
"I can't stay such a disgusting place !"
Osamu is about to leave for feeling worn out, but he is employed at "300 yen a day and keep". Besides ...

 「スナック 哲学」なる店を先輩がオープンし、おさむは行ってみる。しかしカウンターに立っていたのは女装した先輩1人だけ。「こんな気持ちの悪い所にいられるか!」とまいって帰ろうとするおさむだったが、「日当三〇〇円昼めし付き」でやとわれることになり、そのうえ……。

*店をたずねてきたユキ子があきれて「あなたたちはどこまで日本の風紀を乱せば気がすむの!」と叫ぶ(ごもっとも)なのだが、その彼女も意外な展開で巻き込まれる。
 手塚治虫キャラの似顔絵が1コマ、こっそり登場。



ユキ子さん危機一髪の巻

1014

(少年チャンピオン 1975年11月10日号)

"Yukiko-san kiki-ippatsu (meaning : Yukiko is at a critical moment)"

It seems a off-campus lesson of art, students climb a mountain path.
"Let's sketch around here."
All pupils start to paint. However somebody went to stool at all over the place, so Yukiko is damaged by it. Osamu, the culprit of it, is beaten up. Yukiko gets herself into a mess that she has to go to a river with him for wash ...

 山道を登っている生徒たち。どうも図画の校外授業で来ているらしい。「このへんでスケッチしよう」と決まり、一同は描き始める。ところが、そこいらじゅうに野グソをした者がいて、ユキ子は知らずに被害を被る。犯人であったおさむは袋叩きになるが、ユキ子は彼と2人きりで川へ洗濯に行く事になって……。

*トビラにかなりすごい場面が描かれているのだがウソではなく、殆どこの通りのクライマックスになっている。



スターにアタックの巻

1015

(少年チャンピオン 1975年11月17日号)

"Star ni atack (meaning : Cahllenge a star)"

A crowd has gathered in front of a broadcasting station. They are women who rush to Hideo Noguchi the star. Somehow, Osamu works as an attendant of him. Osamu boasts, "I am to be a great star before long", but the way he works is no good ...

 KKKTVのビルの前に人だかりがしている。芸能人の野口ひでおを目当てに女性ファンたちが殺到しているのだ。どうしたわけか、おさむはその付き人として働いている。「やがては大スターになるボクですよ」と宣言するのだが、どうにもなってない働きぶりで……。

*芸能人は野口五郎(この月の末日に日本歌謡大賞・放送音楽賞を受賞した)がヒントになっているものと思われる。



つりは楽しく!の巻

1016

(少年チャンピオン 1975年11月24日号)

"Tsuri wa tanoshiku ! (meaning : Fish delightfully !)"

Osamu and Senpai go fishing. But they forgot to take baits with them, so that they try various means as a desperate measure. The Kikuchis 5 happen to meet them when they play boating. The two of them presently have an altercation ...

 おさむと先輩は釣りにやってきた。しかしエサを持ってくるのを忘れ、苦肉の策をあれやこれやと試みる。やがて、そこにボート遊びをしている菊地家の5人組が出くわした。双方はケンカになってしまい……。

*劇画のような演出でおさむが不敵な反撃に出る部分は、非常に珍しいのではないか? 「ぼく食べる人」という台詞は即席めんのCMパロディらしい(当時、このCMは女性差別だと視聴者から抗議を受けたと記憶する)。物語の中盤でSF的な(?)伏線があり、これは結末に生かされている。
(単行本『ふたりと5人』第10巻は、ここで終わっている。)



外交員は楽し!?の巻

1101

(少年チャンピオン 1975年12月1日号)

"Gaikohin wa tanoshi !? (meaning : an insurance salesman is happy !?)"

Osamu appears the Kikuchis' front door. He seems to work a part-time job of insurance salesman. Yukiko refuses to sign up, because all his insurances are strange. But Osamu doesn't give up ...

 菊地家の玄関におさむが現れる。アルバイトを始めたとかで、保険の外交をしているらしい。だが説明を聞いてみたら「オッパイ保険」だの「ヘソシタ保険」だのと変なものなので、ユキ子は入るのを断る。しかし、おさむはあきらめず……。

1100

*これより単行本の第11巻。カバーにある著者の言葉には以下のような文言が読める。
「アグネス・チャンが引退してしまったので ぼくはもう何もする気がしない 語るべき言葉もない ぼくは ぼ ぼ ぼ ぼくは…… く~~~くくくくく」
 この時期、作者は大変な苦悩のうちに執筆していたらしい!? なおカバーイラストは右下隅の部分が大変だ(はっきりとは描かれていないのだが脚ではないようである)。
 ユキ子は買い物カゴを持って出かけているが、これは当時まだコンビニさえ普及しておらず、プラスチックバッグ(レジ袋)も出回っていなかったから。歴史は今再び繰り返されようとしている!?



大発明!! 立体テレビの巻

1102

(少年チャンピオン 1975年12月8日号)

"Daihatsumei !! Rittai-terebi (meaning : a great invention !! Three-dimensional TV)"

Osamu gets wildly excited with star girls on TV, but his "black and white" Television set gets out of order. It was so old that an electrical appliance shop had given up to repair. Tetsugakuteki-senpai somehow mends it. However, when it is switched on, a real singer appears at Osamu's room ...

 テレビに映るアイドル歌手たちの姿に興奮しまくる、おさむ。が、その「白黒テレビ」は故障してしまった。旧式ゆえ電気屋も修理をあきらめたそれを、哲学的先輩はどうにか直す。しかしスイッチを入れてみたら、なんと本物の歌手がおさむの部屋に出現して……。

*TVが家電製品としてまだ高級品だった(それゆえ買い換えるよりも修理を頼んだほうが安上がりだった)時代には、4本足を持つデザインのものが多く実在したようだ。この当時でもまだ白黒テレビは現役だったのだけれど、やがてカラーが当たり前となってゆく。ここに登場している歌手は順に、林寛子(『素敵なラブリーボーイ』)、岡田奈々(『女学生』)、木ノ内みどり(『おやすみなさい』)、岩崎宏美(『ロマンス』)だろう(「アグネス・チャン」だけがフルネームになっている)。「とんでけ とんでけ」は炭酸飲料のCMソング。「ぼく食べる人」は即席ラーメンのCM(性差別であるとして物議をかもしたようだ)。「コナ子」は愛川欽也の演じたコーヒーメーカーのCM。「お酒を飲むなら?」はキャバレーのチェーン店のCM。
(以下、雑談です)
 沖さんの下宿のそばには書店があって、ある日そこへ入ろうとしたら、入口に何やら写真が貼ってありました。見ると「奈々ちゃんもうちのお客様です」とかと手書きのキャプションがあり、下校途中なのか制服姿の岡田奈々が立ち読みしつつこちらを向いてニッコリ笑っている構図なのでした。岡田奈々は当時まだ学生で、その通っている私立学校が沖さんの下宿にわりと近かったゆえ、かような事があったのでしょう。



歩行者天国の巻

1103

(少年チャンピオン 1975年12月15日号)

"Hokoh-sha tengoku (meaning : A pedestrian paradise)"

The Kikuchis 5 take a stroll in a crowd of a pedestrian paradise. Osamu is there, too, as disguises himself as an angel. He thinks,
"Since a road is open specially for we human being, I have to do something meaningful."
It was a good intention, but ...

 歩行者天国の雑踏のなかを散策している菊地家の5人組。そこには天使の仮装をした、おさむも来ていた。「せっかく人間のため道路が開放されてるんだから なにか ゆーいぎなこと しなくっちゃ」と考えるのは良かったのだが。

*歩行者天国というものは日本だと1969年に北海道で実験的に行なわれたのが最初であるらしい。こうした措置は現在でも各地に見られるだろうけれど、それを大変新鮮に感じ人々が楽しんだのはやはり1970年代であったのかも知れない。
 ポルノ虫がトビラに登場しているがよく見ると手足は6本で本当に昆虫みたいになっており、初代(8本足だった)と少し異なっているようだ。



指人形で楽しく!!の巻

1104

(少年チャンピオン 1975年12月22日号)

"Yubi-ningyoh de tanoshiku !! (meaning : Take pleasure in a hand puppet !!)"

Osamu's class have a free study time because their teacher has a cold and has taken a rest. But there is no student who studies earnestly. A boy the class monitor suggests,
"How about holding a party of an amateur performance to promote mutual friendship ?"
So each student shows skill.

 「国語の鈴木先生がカゼで休みですので この時間は自習になります」と告げられたが、おさむのクラスで真面目に勉強する生徒はいない。クラス委員の提案で「親睦を深めるため かくし芸大会などやったら」という事になり、各自いろいろ披露するのだったが。

*舞台は後半から教室ではなくなり、そのせいもあってか展開に変化が出ていて面白く、笑える。ここで登場する指人形は楽しそうで、ちょっと自作してみたくなる!?



恐怖の当番!!の巻

1105

(少年チャンピオン 1976年1月1日号)

"Kyohfu no tohban !! (meaning : A fearful duty)"

Yukiko runs into a schoolhouse just after ringing a bell.
"Hey ! You are late, Yukiko !"
3 boys call to her to stop. They, Osamu and 2 boys, are on duty to check a late comer.
"We investigate you. Take her away."
Then Yukiko is taken to a room ...

 鐘が鳴ってから校舎へ滑り込んだユキ子。「ハイ ユキ子さん遅刻!」と、それをとがめた当番は、おさむたち男子生徒3名だった。「取調べをおこなう ひったてろ」と、別室へ連れて行かれたユキ子の運命は……?

*久しぶりにSMギャグ(!?)になっている回。「ベルバラ」とは『ベルサイユのばら』(原作:池田理代子、1974年には宝塚で舞台化された)のこと。



力のない正義は無意味!?の巻

1106

(少年チャンピオン 1976年1月5日号)

"Chikara no nai seigi wa muimi !? (meaning : Is justice without force nonsense !?)"

Osamu hastens to the spot when he hears an woman's scream. He tries to restrain,
"That's dishonor for a man to court by force !"
But the man is so strong that Osamu does nothing but to be beaten. Osamu says,
"I decide to learn boxing, to be a justice with force."

 女の悲鳴を聞きつけ、駆けつける、おさむ。「女の子に力ずくでせまるなんて男のすることか!」と、止めに入ったが、いかんせん相手は強く、なぐられる一方。「力のある正義となるため ボクシングはじめることにした」おさむだったが。

「オシクラジム」というのは以前にも登場しているが、今度はボクシングのジムなので別の施設か。「カミソリパンチ」は海老原博幸の試合で生まれ使われた表現のようである。「明日はどっちだー」というのはTVアニメ『あしたのジョー』で、次週予告の締めくくりに毎回使われた台詞からきているものと思われる。



愛のプレゼント!?の巻

1107

(少年チャンピオン 1976年1月12日号)

"Ai no present !? (meaning : A present of love !?)"

A kotatsu ( = Japanese heater) of Osamu's room becomes to doesn't work properly, and to be out of order at last. Osamu goes to the Kikuchis' house to ask to warm himself. Then they have a dinner.

 おさむの部屋にあるコタツは調子がおかしくなり、とうとうこわれてしまった。あたたまらせてもらおうと考え、おさむはユキ子の家へおしかける。菊地家では夕食時だったのだが。

*コタツという日本的なところから話が始まリ、結末にはアメリカ西部劇ふうの部分がある!?



おさむのクリスマスの巻

1108

(少年チャンピオン 1976年1月19日号)

"Osamu no kurisumasu (meaning : Osamu's Christmas)"

"Winter vacation begins, and today is Christmas."
Osamu is full of spirit. He invites Yukiko to his room for he gives a party at there. In fact, he has laid various traps in the room. Finally, Yukiko has come ...

 「学校も冬休みにはいったし 今日は楽しいクリスマス」とはりきっている、おさむ。自分の部屋でパーティーをやるからとユキ子を招待する。しかしその部屋にはあれやこれやと罠が仕掛けてあるのだった。そしてそこへついにユキ子がやってきて……。

*台詞にある以下の部分は、当時公開されたエロティックな映画の題名らしい。
●『デイープ・スロート』"Deep Throat"1972年
●『エマニエル』"Emmanuelle"(『エマニエル夫人』)1974年
●『プシートーク』"Pussy Talk"(『プッシー・トーク』)1975年



年の始めは大空で!!の巻

1109

(少年チャンピオン 1976年1月26日・2月2日号)

"Toshi no hajime wa ohzora de !! (meaning : Celebrate the New Year in the sky !!)"

Osamu goes to the Kikuchis' home for making New Year's visit, and he gets his own way at there. Next, Osamu meets Senpai when he works hard a part-time job at the very biginning of this year.
"I can't cadge on you as things go."
Osamu is disapointed, then Senpai gives him a kite and says,
"You may keep it, in compensation for otoshidama ( = a New Year's present of money)."

 おさむが年始のあいさつに菊地家へおとずれる。やりたい放題をしたあげく、次に先輩の所へ行くと、正月そうそうアルバイトにはげんでいるのだった。「これじゃたかれないよ」とがっかりしたおさむに哲学的先輩は「お年玉がわりだ 取っておけ」とタコをくれたのだったが……。



寒中水泳は楽し!?の巻

1110

(少年チャンピオン 1976年2月9日号)

"Kanchue-suiei wa tanoshi !? (meaning : Swimming in winter is happy !?)"

Osamu is bundled up in thick clothes because he can't bear the cold. Yukiko scolds him,
"Oh, deplorable".
But everything is relative, Tetsugakuteki-senpai is going to swim in winter. He invites them,
"Won't you swim with me ?"
When all arrive at their destination, a happening has ambushed ...

 寒さに勝てず着ぶくれしている、おさむ。「なさけないわね」とそれを叱るユキ子。しかし上には上がいて、哲学的先輩は寒中水泳をやるという。「いっしょにどうだ」と誘われてついて行くと、事件が彼らを待っていた……。



カモナベ食べてスタミナを!!の巻

1111

(少年チャンピオン 1976年2月16日号)

"Kamo-nabe tabete sutamina o !! (meaning : Eat a duck dish for develop my stamina !!)"

Osamu finds an wounded duck while he walks in a snow scene, and comes home with it. In conclusion, Yukiko takes charge of the duck. After it recovered and left, a good-looking boy comes to her.
"I'm back so I want to repay your kindness."
Yukiko is surprised and says,
"Wh-Who are you !"
He answers,
"I'm the duck, you helped."

 一面の銀世界となった外を歩いていて、おさむは一羽のカモがケガしているのを発見、家へ連れて帰る。結局、カモはユキ子がひきとってかいほうしてやる事になったが、回復したカモの去ったあとに一人の美男子がやってくる。「恩返しをしたくてもどってきました」と言われてユキ子が驚き「あ あなたいったい だれよ!」と問うと「さっきのカモです」という返事で……。

*何やら奇妙なトビラだが、本編の内容と特に関係は無い?



おさむの牛乳配達の巻

1112

(少年チャンピオン 1976年3月1日号)

"Osamu no gyuhnyuh haitatsu (meaning : A milkman Osamu)"

Osamu seems to begin a milkman. He says,
"I have no time to have a breakfast",
so the Kikuchis treat him it. But he does an evil deed in the background. In the end, it comes out ...

 おさむは牛乳配達を始めたらしい。「朝めしも食うひまない」という彼に菊地家では朝ごはんをおごってくれる。しかしおさむはカゲで悪事をはたらいていた。とうとうそれはバレてしまい……。

*「苦学してると人の親切が身にしみるな」と、おさむが涙するコマがあるが、いつも巨大な目をここでは糸の様に細くしている。この表情は大変珍しく思われる(なぜか鼻の形まで平素と少し違っている)。



恐怖のバレンタインデーの巻

1113

(少年チャンピオン 1976年3月8日号)

"Kyohfu no Barentain-deh (meaning : Dreadful Valentine's Day)"

Osamu follows about Yukiko because he wants a chocolate of Valentine's Day from her. After all, he is bitterly disappointed, and thinks,
"For the only pleasure, I'll pay for a chocolate out of my own pocket, and eat it."
So he stops in a bakerry.
"Gimme a chocolate."
Then a smiling innocent girl gives him a chocolate. To his surprise, it is a confession of love from this infantile girl. Osamu weeps bitterly by a deep emotion.

 バレンタインデーのチョコ欲しさから、おさむはユキ子につきまとう。結局失意を味わわされ、「せめて自腹で買って食おう」とパン屋へ立ち寄った。「チョコレートくで~~~」と言う彼に、あどけない笑顔の少女がチョコを差し出す。なんとそれは、幼い彼女からの愛の告白なのだった。驚いたおさむは感激のあまり号泣するのだったが。

*みじめな思いをさせられた後、ちょこんと登場してくる「伊東パンのミヨちゃん」は、演出も効いていて本当に可愛らしい。彼女はこのあとしばらく準レギュラーで連続出演し、このシリーズに花を添えている。



モテモテおさむくん!?の巻

1114

(少年チャンピオン 1976年3月15日号)

"Mote-mote Osamu-kun !? (meaning : Osamu the hero of amours !?)"

Osamu goes to a public bath and bumps into Miyo-chan(Miyoko). She is glad and says,
"I wash your back".
(NOTES : It doesn't become a problem at Japanese public bath that a girl use a bath for men, as far as she is an infant.)
But they find Tetsugakuteki-senpai has come there. He says,
"Sex education has to be done in the very childhood",
and teaches her something. Osamu has a bad feeling about it ...

 銭湯へ行ったおさむは、その入口でミヨちゃん(ミヨコ)と出くわす。「あたしお兄ちゃんの背中流してあげる」と喜ぶ彼女は、なにせまだ子供だから男湯へ入ってもしかられない。ところが一緒に入ってみると、そこへ哲学的先輩も来ていた。「性教育は子供の時こそしっかりやらねば」という彼がミヨコに何を教えたのやら、おさむは悪い予感がしたが……。



おさむ女性恐怖症!?の巻

1115

(少年チャンピオン 1976年3月22日号)

"Osamu jyosei-kyohfushoh !? (meaning : Osamu's gynephobia !?)"

"Unintentionally, I feel it troublesome to go to a bathroom",
so Osamu stores up his urine in bottles. But he makes a blunder, and this laziness is found out by the owner of a rented room, he is driven out. Osamu looks about for a room to move. Then he strikes an article which is unbelievably favorable ...

 「ついトイレ行くのめんどーなもんだから」と、ビンにオシッコをためていた、おさむ。ヘマこいてこれが大家さんにバレてしまい、とうとう下宿を追い出される。どこか引っ越し先がないかと、あちこちさまよう彼の前に、信じ難いほど好都合な物件が……。 

*少年マンガらしい夢のある話になっている!?



吸血鬼とあそぼう!!の巻

1116

(少年チャンピオン 1976年3月29日号)

"Kyuhketsuki to asoboh !! (meaning : Let's play with a vampire)"

Osamu apologized to the owner and resides at the same room he had lived. But there is an intense leak in the roof.
"Please repair by yourself, tools are in a basement", says the owner, so Osamu goes to underground. He finds "a rare book" at there and to be absorbed in reading. Then, something crawls out from a box, and steals up behind Osamu. But he doesn't suspect it ...

 けっきょく大家さんにあやまって、また前の下宿にもどった、おさむ。しかし部屋は雨もりが凄まじい。「地下室に道具あるから自分でなおしてちょうだい」と言われ、おさむは階下へ降りてみる。が、そこで発見した「めずらしき本」を面白がって読んでいたら、何者かがこっそり、箱の中から出てきた。背後から忍び寄るそれに、おさむは気付かず……。

*今回登場している大家のおばさんは前回(『おさむ女性恐怖症!?の巻』)と髪型が異なり、パーマをかけている。その風貌はどちらかというと、ミヨコの母親らしい人(『恐怖のバレンタインデーの巻』で出演)にむしろ似ているようだ。

(単行本『ふたりと5人』第11巻は、ここで終わっている。)



もうひとりのおさむの巻

1201

(少年チャンピオン 1976年4月12日号)

"Moh hitori no Osamu (meaning : Another Osamu)"

Osamu runs with a school bag in his hand. He goes home in haste, rushes into a bathroom in spite of being somebody.
"Squeeze up, squeeze up"
Osamu uses a toilet with preceding one, presently Osamu becomes aware of that the one who is in the bathroom, looks exactly like himself !?
"Wh-Who are you ?"
"It is you, not me !"
and they shout simultaneously,
"I'm Osamu !"

 学生鞄を手に、おさむが走る。急いで帰宅した彼は、人が入っているにもかかわらずトイレへ飛び込み、「つめてつめて」と一緒に用を足す。と……気付いて見たら、トイレにいた先客は、自分そっくり!?
「お お前はだれだ」
「お前こそだれだー」
そして2人は同時に叫ぶ、
「オレはおさむだ!」

1200

*これより単行本の第12巻、シリーズは完結に向かってゆく。台詞にある「おまんた~」というのは三波春夫『おまんた囃子(ばやし)』の一節だろう。



プロの道はきびしい!!の巻

1202

(少年チャンピオン 1976年4月19日号)

"Pro no michi wa kibishii !! (meaning : Professionalism is strict !!)"

Osamu gets absorbed in saving money. Yukiko asks him it is what for, and that comes to light that he is desperate by some purpose. Osamu tries every means possible, strays town longing for more money, happens to meet Tetsugakuteki-senpai is working. Osamu consults him, then ...

 カネを貯める事に熱中しだした、おさむ。ユキ子がたずねてみれば、とある目的のため必死になっているのだった。ありとあらゆる手をつくし、もっとカネをと街をさまよっていたら、働いている哲学的先輩に出くわした。おさむが相談すると先輩は……。

*15ページとやや長めのゆえもあり、物語がけっこう凝っている。主人公のおさむに何度か性格発展(?)があったりするし、逆転また逆転で幕となる。さんざあれこれあったあげく、主題は冒頭から結末までちゃんと筋が1本通っており、無駄な揺らぎは無い。オチ(結論)には伏線まで仕掛けてある。見事。



ゲテモノ食い大会の巻

1203

(少年チャンピオン 1976年5月10日号)

"Getemono-gui taikai (meaning : A convention of bizarre tastes in food)"

There is a signboard reads : "A Convention of Bizarre Tastes in Food, Please participate freely, promoted by Osamu and Senpai".
Yukiko and people come to the place, but there are objects seem not can be eaten, on the table. She says;
"We are just watch",
then she is told,
"If you just watch, 100 yen each".
Many people come to watch, but the convention begin to reach a show of bizarre tastes. Senpai swallows a frog and snake, then all audiences faint away. All of a sudden, Senpai falls down, because Osamu prepared a poisonous snake by mistake ! And the snake bites Osamu, too ...

 「ゲテモノ食い大会 自由にご参加下さい 主催 おさむ 先輩」という看板がある。やって来たユキ子たちが食卓を見ると、およそ食えそうにないような物ばかり。「わたしたち見るだけよ」と言ったら「見学の場合は一人100円」とのこと。客たちはけっこう集まったが、結局ゲテモノ食いショーのようになって、先輩はカエルとヘビを丸呑みして見せる。見物人たちは全員気絶してしまうが、なんと先輩も倒れてしまう。おさむが間違って毒ヘビを用意してしまったのだ! そしておさむもそのヘビに咬まれ……。

*おさむが独りぼっちで狼狽し泣きわめくうちに視力を失ってゆき、死の世界へ沈んでゆく描写は本当に怖い。その演出はとても印象的。



飛べ!! おさむ鳥の巻

1204

(少年チャンピオン 1976年5月17日号)

"Tobe !! Osamu-dori (meaning : Fly !! Osamu-bird)"

The Kikuchis make birds take to feeding at their garden. Osamu mingles with birds and says,
"Please make me, too ! I'm hungry."
But he is driven out.
"I'll be able to catch birds by myself."
Osamu tries to make birds take to feeding, but ...

 庭で野鳥を餌付けしている、菊地家の人々。おさむはそこへ紛れ込み「ぼくもエづけして! ハラへってるの」と言うが、追い出されてしまう。
「鳥の一匹や二匹 自分でつかまえてやらァ」と餌付けを試みる、おさむ。しかしそこへ寄って来たのは……。

*なんとも不思議な物語になっている回。「電線にすずめが」というのはTVのバラエティ番組『みごろ! たべごろ! 笑いごろ!!』で歌われていた『電線音頭』の一節だろう。
 トビラ以外、本編中に「えっちい」場面は無い。この、「エッチ抜き」の構成は単行本第12巻に収録されている作品の殆どに共通しているようだ。「エッチまんが」でなくなった分、内容はより自由になり、変化に富んだものになってきたのだが、エッチでつられて『ふたりと5人』のファンになった読者にとっては残念な事であったろうか。こうした路線変更がなぜ、どのような経緯でなされるに至ったのか分からない。



乗馬でセンスをみがこうの巻

1205

(少年チャンピオン 1976年5月24日号)

"Johba de sensu o migakoh (meaning : Let's improve our sense by riding)"

Yukiko and her family go for a ride.
"Senpai, Osamu, won't you go with us ?"
They are invited and all go to an equestrian club. Osamu can't afford to pay the fee, so that Senpai treats to him. Then 2 strange horses are lent to them at "as low rates as possible" ...

 ユキ子たちは乗馬に行くとのことで、「先輩もおさむくんもいっしょにどう?」と誘われた。かくて「大泉乗馬クラブ」へ全員で出かけるものの、おさむに料金を払う余裕は無い。哲学的先輩がおごってくれる事になったけれど、「できるだけ安いの」を頼んだら、何だかヘンな馬が2頭出てきて……。

*今回登場する珍奇な馬は、このあと準レギュラーとなりしばらく出演が続く。これまでにもいろいろなキャラクターが準レギュラーとして出演してきたが(吾妻ひで子、ポルノ虫、スケ番キム子、ヘンリーとエミリー、伊東パンのミヨちゃん、など)、彼らはこの頃になると登場していないようだ。この馬(名前は不明)は『ふたりと5人』シリーズで活躍する準レギュラーとしての最後を飾ったキャラクターのようである。



クラスの人気者!?の巻

1206

(少年チャンピオン 1976年5月31日号)

"Klasu no ninki-mono !? (meaning : A favorite of the class !?)"

Osamu and the horse live together. There are some troubles so early in the morning, but Osamu is going to school. Then the horse points to his back in a sense "Mount me".
"This is comfortable. Yes, this is all right."
Osamu is glad to go to school by ride ...

 おさむと馬は、一緒に暮らすことになった。朝からなんだかんだ一騒動あったがとにかく登校、すると馬はおさむに「乗ってけ」と自分の背を示す。「こりゃらくちん うん悪くない」と、乗馬しての登校を喜ぶおさむだったのだが……。



となりのカワイコちゃんの巻

1207

(少年チャンピオン 1976年6月7日号)

"Tonari no kawaiko-chan (meaning : A cutie next door)"

Someone knocked at the door early in the morning. When Osamu opens the door, there is a beautiful girl, and she greets,
"My name is Hiromi Yamazaki, I have moved to next room."
Osamu and the horse show her the inside of the apartment house, go to school together, follow about her, to top it all ...

 おさむの下宿に、朝っぱらからノックの音が。ドアを開けると美少女が立っており、「となりの部屋に越してきた 山崎ひろみです」という挨拶。おさむと馬は少女にアパート内部を案内し、一緒に登校、さんざんつきまとったあげく……。

*美少女の着替え場面があったりするも、そのエッチ度はこのシリーズの一時期に比せばえらくおとなしい。サブタイトルにある「カワイコちゃん」は本来、女性が「若くて愛くるしい」男性をさして使った言葉であるらしい(講談社『昭和二万日の全記録(12)安保と高度経済成長 昭和35年~38年』平成2年5月24日第1刷発行 p.309)。昭和38年4月16日から放映されたドラマ『男嫌い』で連発された台詞から流行したそうだが、やがてその立場は逆転し、男性が女性をさして用いる俗語となったようだ。



さすらいのガンマンの巻

1208

(少年チャンピオン 1976年6月21日号)

"Sasurai no gan-man (meaning : The wandering gun man)"

Osamu goes hiking with the horse. When they come near their destination, Osamu starts to thieve vegetables, the horse begins to thieve milk. But the horse makes a blunder, they are arrested by a beautiful girl who seems the owner of a stock farm. They are forgiven, but ...

 おさむは、なぜか馬とハイキングをしている。が、目的地「ファザー牧場」に近づくや、おさむは野菜、馬は牛の乳をかっぱらいに行動開始。馬はしかしヘマをやり、おさむも牧場主らしい美少女に捕まってしまう。どうにか許してもらえたのだったが……。

*「なつかしの日活名画風になってきた」と台詞にあるとおり、邦画(小林旭の『渡り鳥シリーズ』などがこれに該当か)と、いわゆるマカロニ・ウエスタン(イタリア製の西部劇映画)を元ネタにしているようなお話となっている。「わかるかなー」という台詞は松鶴家千とせの「わかるかなぁ?わかんねぇだろうなぁ?!」という決め台詞が大流行したのを真似ているらしい?



黒いキンピラ参上の巻

1209

(少年チャンピオン 1976年7月5日号)

"Kuroi Kinpira (meaning : Black Kinpira)" (* "Kinpira" is a name of Japanese vegetable dish)

The horse gets information from a weekly magazine, goes to a park at night for "peep". Osamu goes with him, but they have a hard time in the end. Osamu thinks to take revenge on couples who "do unsound thing at a park which should be sound".

 週刊誌で情報を得て、夜の公園へ「のぞき」に出かける馬。おさむも一緒についてゆくのだが、結局ひどい目にあう1人と1頭。逆恨みのヤケクソから「健全であるべき公園で不健全なこと」しているアベックどもに復讐しようと考えたが。

*1974年にアラン・ドロン(Alain Delon)主演で『怪傑ゾロ』((Zorro)原作:ジョンストン・マッカレー(Johnston McCulley))のリメイク映画が公開されたが、そのパロディではないかと思われる。
 なお「アベック」とは、恋人同士である男女二人連れのことを指してこの当時によく用いられた語。



そーれつババぬきの巻

1210

(少年チャンピオン 1976年7月12日号)

"Sohretsu baba-nuki (meaning : Heroic "Old Maid")"

Osamu quarrels with the horse at his room, and they are expelled because of their hubbub. They are completely at a loss, go to the Kikuchis'house when they play cards with Tetsugakuteki-senpai. The Kikuchis bring them into their house, but when Osamu participates in ...

 下宿で馬とケンカし、その大騒ぎゆえ追い出されてしまった、おさむと馬。困り果てて菊地家へ行くと、ユキ子たちは哲学的先輩もまじえてトランプ遊びの最中だった。家へ上げてもらったものの、おさむが加わると何をやっても……。



イモほりに大挑戦の巻

1211

(少年チャンピオン 1976年7月19日号)

"Imo-hori ni dai-chohsen (meaning : A great challenge to potato digging)"

Osamu, Tetsugakuteki-senpai and the Kikuchis do a part-time job of potato digging in the countryside. Senpai works very quick probably he has something experience in it, but Osamu makes very little progress. Therefore he is scolded by everyone, and at last ...

 おさむ、哲学的先輩、菊地家の人々は、イナカヘイモほりのバイトに来た。先輩は経験があるのか大そう作業が早いのだが、おさむはまるっきり仕事が進まない。ためにみんなから叱られて、とうとう……。



でっかく楽しもうの巻

1212

(少年チャンピオン 1976年7月26日号)

"Dekkaku tanoshimoh (meaning : Enjoy greatly)"

It is so sultry that it beats Osamu and Senpai. They heard "Anybody who drinks 30 mugs of beer is free of charge" when they pass by a beer garden. Such being the case, Senpai keeps drinking on. But he can't satisfy his thirst ...

 蒸し暑さにまいっている、おさむと先輩。ビヤガーデンの前を通ったら「大ジョッキで30パイ飲んだ方は無料になります」と聞き、先輩は飲みまくる。しかしそれでも乾きはおさまらず……。



強力トレーニングの巻

1213

(少年チャンピオン 1976年8月2日号)

"Kyohryoku torehning (meaning : Hard training)"

Osamu takes dumbell exercise. Yukiko asks him the reason, he replies,
"I strive to build a physical beauty, because not to be ashamed at the beach".
Yukiko cooperates with Osamu, but he is digressive ...

 おさむが鉄亜鈴を持ち、トレーニングしている。ユキ子が理由をたずねてみたら、「海でハジをかかないように 肉体美づくりにはげんでおるのです」という返事。ユキ子も協力してくれることになったが、おさむはすぐに脱線して……。



真夏の夜の夢の巻

1214

(少年チャンピオン 1976年8月16日号)

"Manatsu no yoru no yume (meaning : A midsummer night's dream)"

Yukiko can't stand sultry climate, so she decides to eat a watermelon. She goes to buy it with Osamu, but it is expensive. Osamu begins to work at the store, presently Tetsugakuteki-senpai joins the work ...

 むし暑さにかなわず、スイカを食べようとするユキ子。おさむと共に買いに行くが、どうにも値段が高い。おさむは店で働くことになり、やがて哲学的先輩もそれに加わったけれど……。

*紆余曲折を経て、意外にもSF路線の結末になっている!?



夏休み大計画の巻

1215

(少年チャンピオン 1976年8月23日号)

"Natsu-yasumi dai-kehkaku (meaning : The great plan of the summer vacation)"

The summer vacation begins today. But the teacher says to his students for call their attention,
"Make firmly a plan and study, for the sake of a next term !"
Yukiko takes back her promise that to go to a swimming pool with Osamu, to be wound herself up to study. Osamu watches other classmates are going to study too, to be afraid of being left all alone, makes his plan.

 今日からいよいよ夏休み、しかし教師はクギを刺し、「次の学期のためにも 予定をしっかりたて勉強するように!」と生徒たちに告げる。おさむとプールへ行くことになっていたユキ子も約束を無しにして勉強しようとはりきりだす。他の級友たちも勉強するのを見、おさむはとりのこされるのが怖くなって、予定を立てるのだったが。

*菊地家のお父さん(?)が流石に親らしく真面目な結論を述べている。が、そこに至るまでの展開はむちゃくちゃ、笑える。



恐怖の一人旅の巻

1216

(少年チャンピオン 1976年8月30日号)

"Kyohfu no hitori-tabi (meaning : A dreadful solitary journey)"

Osamu travels alone, reads a book of philosophy in a train. Presently a beautiful woman asks him,
"Is this seat vacant ?"
Somehow she has a solitary profile.
"She has some worries, probably"; thought Osamu, tries to comfort her. But ...

 おさむは独りで旅に出、列車内では哲学書を読んでいる。やがて「ここあいてるでしょうか」と、美女が同席を求めてきた。彼女はなぜか、さびしそうな横顔をしている。「なにか悩みがあるんだろうなー」と思ったおさむは、なぐさめてあげようとする。しかし……。

*JRの誕生は1987年になってからなので、台詞では「国鉄」となっている。



さらばふたりと5人の巻

1217

(少年チャンピオン 1976年9月6日号)

"Saraba Futari to Gonin (meaning : Farewell, "Two and Five")"

Osamu has a good sleep at his room, but wakes up when Tetsugakuteki-senpai tramples him flat.
"This time is the last inning of this manga", taught Senpai.
"I can't bear the end, I have had opportunity at no time !"
Osamu clamors and notices,
"Oh yes, I've left over to Yukiko, make that !"
He dashes to her ...

 センベイ布団で寝こけている、おさむ。しかし哲学的先輩に踏んづけられて目がさめた。「今回でこのマンガも終わりだ」と先輩から教えられ、「一ぺんもいいめみないで おしまいなんてやだー」と騒ぎ、「そーだユキ子さんとナニもやり残してた!」と気付く、おさむ。ユキ子さんのもとへと走り出して……。

*これが最終回。ルネ・マグリット(Rene Magritte)のシュールレアリズム絵画『ピレネーの城』(Le Chateau des Pyrenees)のパロディがあったりする。最後、おさむに全てを許してくれるユキ子の行動が切ない。ポルノ虫と馬が1コマ出演。「これっきりこれっきり」というのは山口百恵の歌『横須賀ストーリー』の一節。

(単行本『ふたりと5人』第12巻は、ここで終わっている。)



 さて、『ふたりと5人』は連載当時の1970年代、すでに「チャンピオンコミックス」で単行本化されていたわけだが、およそ20年後、「ミッシィコミックスDX SUPER(発行:宙出版、発売:主婦と生活社)でも再販されている。
 こちらは版型がA5で、チャンピオンコミックスよりもひとまわり大きい。また、全6巻なのでほぼ倍の厚さ。
 各巻の最後には「描き下ろしリレー絵ッセイ」というのが見開き2ページで収録されており、著名なマンガ家と作者とが手紙のやり取りをするみたいな感じのあとがきになっている。
 また、特筆すべきは「チャンピオンコミックス」に入っていなかった回のうち、6話が収録されている事だろう。



 第1巻(上の画像はそのカバー、1995年10月25日初版)には和田慎二によるエッセイが載っているのだが、「できれば、旧版未収録作品も入りますように!」という発言があって、これが功を奏したのかどうか、果たしてそのとおり実現したようだ。ありがたや!



 また、吾妻ひでおはここで自作『二日酔いダンディー』について、「作者19~20歳頃の作品なので キザでなまいき 一生懸命大人ぶってます 40歳ぐらいと思われてた」と語っている。「私は泥酔しないと自分の漫画が読めない」などとも発言しているのだが、これはアル中の症状を自覚したのが1997年暮れになってからで(『失踪日記』p.147、『アル中時代1』)、この当時はまだ飲酒していたらしい事がうかがえる。



 第2巻(上の画像)のカバーには以下のような一言がある。「私はプロレスファンだが 生で試合を観戦したことはない。最近はTVも見なくなった。雑誌を読んで、頭の中で試合を想像し、満足して寝てしまう。退廃しているのである。」



 巻末のエッセイでは竹本泉が登場。吾妻ひでおはその返事で『荒野の純喫茶』について語っているのだが、それによると「予告では「幸せを売る男」だったけど 描けなくて かえてしまった」とのこと。こうした裏話も貴重だ。
 収録されている話の中には、加筆修正されているものもある。『中古ブロでのぞこう!』の回がそれだ。「チャンピオンコミックス」では雑誌連載時のままだったコマ(下の画像、左側ページの上段)が、



 この版では新たに描き直されているのが分かる。



 そしてこの第2巻から、旧版未収録であった作品が入り始めている。

プール開きにご招待



(少年チャンピオン1976年8月9日号)

 菊地家の5人が水着姿でやって来た。おさむがプールを作ったというので招待したらしいのだ。ところが裏庭に完成したそれは見れば模型のように小さく、水溜り程度のシロモノ。怒って帰ろうとする5人だが、哲学的先輩は驚くべき発明品を作動させて……。

*SFギャグなのが吾妻ひでおらしい。だのに当初、これが収録されていなかったのだから残念な話ではある。劇中に「グリズリー」という台詞があるが、これは同じ題名のアメリカ映画を指しているらしい。最後のコマで戦闘機がいやに細密に描かれているのだが、これはたぶん、当時アシスタントだった沖由佳雄さんが描き込んだのだろうと思う!



 第3巻のカバーには以下のような、作者の文言がある。
「「ふたりと5人」の頃は、月産130ページくらい描いてた(描かされてた)。当然、頭ボロボロ、絵はとてもマニアック(そうか?) 毎日デンジャラスなファンレターが届く。そいでも、人気なくなればあっさり さよならだ。怖い世界だっせ、お客さん。」



 巻末エッセイには萩尾望都が登場。『愛のコスモ・アミタイツ。ゾーン』を合作した時の事などが語られている。吾妻ひでおは、萩尾望都の酒豪ぶりと仕事の速さに驚いた思い出などをつづっているが、「おれの失踪って有名?」などという一言も。
 そして第3巻でも、未収録だった回が1本入っている。

地底王国探検



(少年チャンピオン1976年5月3日号)

 菊地家の5人が、春休みをどう過ごすか相談中。その時、哲学的先輩が探検に出かけようとしているのを知る。「ゴミを捨てる穴掘ってたら ぽっかり洞くつ現れて……」それを聞いた5人とおさむは、探検についていく決意を固めたけれど。

*ヴェルヌの古典SF『地底旅行』みたいなお話。ところが結末はなんと……。SF小説が元ネタではないパロディで、誰でもニヤリ! と笑ってしまいそうなのだが、旧版単行本を編集した人はこの回をマニア的、と判断したのだろうか?



 第4巻のエッセイでは坂田靖子が登場。で、その返事にと描かれたマンガでは、やっぱり吾妻ひでおが酒をかっくらっている……。



 で、今回取り上げられた未収録作品はというと、SF色は無くて、ごく普通の(?)少年むけエッチギャグなのだが……。これまた、なにゆえ未収録だったのやら?

春はスポーツ



(少年チャンピオン 1976年4月5日号)

「この ありあまるエネルギーを いかんせん」と、おさむは自ら望んでスポーツに取り組む。ところがどの種目でも、運動神経ゼロなのが明らかになるばかり。さすらったあげくに、女子バレー部の練習を見かける。彼は補欠で入部させてもらうのに成功したが。



 第5巻のカバーでは、以下のような文言がある。
「以前はカブラペンという硬いペンを使っていたのですが、筆圧が強いせいもあって、しょっ中手首を痛めていました。その後、Gペンに替え、かなり楽になりました。今は、手首が痛むも何も、一日2コマも描くと疲れて寝てしまうので、ペンダコすら消えてしまった。ペンダコなんかあるうちは、まだまだだな、ふふふふ。」



 巻末エッセイには中山星香が登場、「あじま先生と私は きっと前世で兄弟だったのよっ」と発言。これに対して吾妻ひでおいわく、「前世では兄妹……ありえるな オレも猫好きだし」。そして描かれるその空想は……。
 この第5巻に旧版で未収録だった回は入っていないのだが、「寒中水泳は楽し!?」(少年チャンピオン 1976年2月9日号)が載っているなど、「チャンピオンコミックス」とは収録順序が少し異なっているようだ。



 で、最後の、第6巻。
 巻末エッセイには高橋留美子が登場。「私は不条理さもさることながら 吾妻先生のかわいい女の子たちが大っっっ好き」として、ポロン、あそこ、そしてなぜか、のた魚が描かれている。これに「うーむ あそこが かわいい……」と唸った吾妻ひでおは……。



 そして豪華にも、旧版で未収録だった回の3本が、大サービスとばかりに載っている。

花咲かおさむ



(少年チャンピオン 1976年4月26日号)

 菊地家の5人組は、早咲きの桜を見ようと出かける。おさむも同行するのだったが、行って見ると、悲しいかな木は全て枯れていた。がっかりして5人は帰ってしまう。が、1人残っていて、おさむは枯れ木の桜が突如、満開になるのを目撃する。これは一体……?

*これもSFギャグ。一筋縄ではいかないヘンな展開、ヘンなオチになるのがいかにも吾妻流と言うべきか?!

透視名人出現!?



(少年チャンピオン 1976年6月28日号)

 大金の入った財布を拾い、無我夢中でネコババをきめこむ、おさむと馬。大喜びで豪華な食事をしようとしたら、天罰てきめん(?)、菊地家の5人と哲学的先輩に発見され、全部食われてしまった。残っているカネで食事をし直そうとするのだが、再び発見されスッカラカンになってしまう。おさむは、いつもいい所で邪魔されるのを不思議に感じ……。

*超能力テーマ、とするならばこれもSFギャグと言えそうに思う。1976年9月6日号で『ふたりと5人』は連載終了しているけれど、それが近づいた終盤ではSF色が濃くなっていたのだろうか。「やめられない とまらない」という先輩の台詞はどうも、当時TVで流れていたスナック菓子のCMからきたものらしい。

成功はなわとびから



(少年チャンピオン 1976年6月14日号)

 なわとびで世界一の記録を打ち立てた人の写真が新聞に載った。これを見て、おさむも挑戦してみようと考え、ユキ子や先輩も参加。おさむは相変わらずでまるっきりだが、意外にも先輩は……。

*何をやっても駄目なおさむ、殆ど何でも天才的にこなす先輩の対照的なコンビは、ユキ子の若いお色気と共にこのシリーズを構成する要素だったのだろうと思う。果たして当時の少年読者たちはここから学び、一所懸命に勉強しようと決意したろうか??? とにかく『ふたりと5人』は1970年代、少年達に広く知られ読まれたマンガだったのだ。



ふるさとへ帰ろうの巻

F5fk01

(少年チャンピオン 1976年2月23日号)

"Furusato e kaeroh (meaning : Let's return home)"

Osamu has been in an urban school for 5 years. Today he returnes to his birthplace after a long time, with Tetsugakuteki-senpai and Yukiko. The train is drawn by a steam locomotive, arrives at "Inaka (meaning : the countryside)". But people of his hometown are flustered, "Osamu has returned", everyone run away.
Osamu takes heart, plows through the snow, gets to his destination. The party are welcomed by Osamu's parents, be served rare dishes such as a meat of hare, take pleasure in ski. However ...

 「都会の学校に出て5年」になるという、おさむ。今日は哲学的先輩、ユキ子さんらと3人で、しばらくぶりの里帰りを果たすのだった。一行を乗せた列車は蒸気機関車に引かれ、「いなか」駅に着く。しかし故郷の人々は「おさむが帰ってきた」と大騒ぎ、みんな逃げ出してしまう。くじけずに雪が深く積もったなかを進み、おさむの実家へどうにか辿り着くと、彼の両親が迎えてくれた。「ウサギの肉」などの珍しい料理を出され、スキーも楽しむ一行。ところが……。

F5fk02

*なぜか単行本へ収録されなかった唯一の回が、これ。しかしなぜ収録されなかったのか理由が分からない。ここでは、おさむの実家や、母親が登場するなど貴重な場面もあり、シリーズにおいて重要な回なのではないかと思うのだが……?
 画像で見るとおり、おさむの実家は煙突のある2階建てのようで、木造(当時の日本家屋ではべつに珍しくはない)かと見える。応接間だかには囲炉裏(いろり)があるなど、いかにも北国らしくかつ日本的で、いい家のように感ぜられるが、どうだろうか。ついでに言うと、蒸気機関車というのも当時にはまだ、ごく一部の路線では本当に現役で使われていたのではないかと思われる。

F5fk03

 父親はシリーズ中で何度か出演しているが、母親はこの回での3コマの他はあまり姿を見せていない。画像に見るように、おさむは、どちらかと言えば母親似であるらしく、両者が一緒に出てくるとその笑顔などはソックリである。母親は和服に割烹着といういでたちのようだが、動物の世話(?)をする時には洋服なので、この和装は客である一行を出迎える為のお洒落なのかも知れない。
 なにはともあれ、次回に単行本が出る時にはやはり、収録されるべきではないだろうか?





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