(少年チャンピオン 1971年2月8日号)
"Warai-johgo no konpyuhtah (meaning : A hilarious drinker computer)"
Bamba's party land at a planet only rubbish lie scattered around as far as the eye can reach. Presently they find an unbroken building in the distance. But they know that is smooth and flat when they take a nearer view. It was thought as a common grave-post, however it moves and speaks. It seems a computer that has a thinking ability ...
あたり一面ガラクタしかないような星へ着陸した番馬たち一行。ふと遠方へ目をやると、こわれていないビルがある。近寄ったらばしかしのっぺらぼうで、共同のお墓かと思いきや、それは動きだして口をきいた。どうやら思考能力のあるコンピューターであるらしいのだが……。
*トビラの大胆な構図に作者のセンスが光る。このあと最終回の第6話、『おわり』が続くのだが、残念ながら単行本未収録で、おそらく殆どの読者にとって謎のままになっているのは以前申し上げたとおり。まことに残念ではある。
(注:以下は殆ど雑談です)
吾妻先生へこのお話について直接おたずねしたことがあります。場所は喫茶店カトレア、沖由佳雄さんも同席しておられました。僕が、
「あれは『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey)のパロディなんでしょうか?」と質問すると先生は、
「いや……」と一言。沖さんが先生に、
「『2001年』は原作も映画もご覧になってないんですよね?」と確認されたのです。先生は面目ないといったふうに、
「ああいうコンピューターの話はよくあるんだ……」とおっしゃられました。僕は、
「あれれ、そうなんですか……。いや、そっくりなのが登場してると思ったもんで」と言ったら先生曰く、
「んじゃ(それは)クラークが俺のを真似たんだよ」
全員爆笑した記憶があります。僕の誤解は『2001年宇宙の旅』に"モノリス"と呼ばれる黒石版のようなものが登場し、これが発信機だか生命体だか得体の知れない存在で、かつ想像を絶する力を持っているらしい謎の物として描かれているのをちょっとだけ知っていたからでした。映画『2001年宇宙の旅』は1968年に公開された作品でしたが当時は不評で(映画館の立て看板がぶっ壊された史実があると聞いています)、日本では1978年頃にリバイバル上映となり僕はこの時に初めてこの映画を観ることができたのでした。沖さんもこの時に映画をご覧になったようで、科学考証やらデザインやら、いろいろ話し合った思い出があります。
おわりの巻
(少年チャンピオン 1971年2月15日号)
"Owari (meaning : The End)"
It seems that the world was ruined by a war during people sleep at night. Bamba approves a decrease in population, keeps perfectly cool. But living things except for mankind, mutate by radiation effects. They reign in succession to mankind, Bamba falls into a circumstances as if he is a slave. Finally they put him on display. Then Akiko and the doctor (Mr.Wie) appear ...
朝なのだろう、番馬くんが屋外で、七輪を使い何か調理している。と、すぐそばの地面から1人、パジャマ姿の男が顔をだし、体操を始めた。やがて彼は周囲を見てふと気づく、
「地平線に広がる廃墟はなにを物語るのだろうか?」
考え込む男に番馬くんが言う、
「世界がハメツしたようだよ」
男は驚く。
「するとネテル間に戦争が!!」
「そうらしいね」
番馬くんは苦笑し、
「ま これで人口へったから 少しは住みやすくなるだろう」
と落ち着いた様子。
ところが、放射能の影響で、人類以外の生物たちが異変を起こしていたからさあ大変。彼らは人類に替わって地球に君臨し、番馬くんは奴隷のような境遇になってしまった。ついに見せ物へと落ちぶれた彼の前に、あき子と先生(Mr.ウイ)が姿を現す。そして……。
*(結末に言及するのはなんだけれど、なにしろ単行本未収録のようだからあえて言うと)これはいわゆる「夢オチ」ではない。このシリーズの最終回は、ブラックユーモアになっているのだ。とはいえ、そんな世界の地球になっても主人公たちがたくましく生き延び平然としているハッピーエンド(?)なのはうれしい。
(補遺:この作品は2012年7月に、書籍『よいこのための吾妻ひでお』へ初めて収録されました。)
悲観的な未来が描かれるのはもしかしたら、このころのSFの「傾向」であったのかも知れない。しかし、この作品が掲載された週刊少年チャンピオン1971年2月15日号をひもといてみると、連載作品でも読みきり作品でも、かなり重い(陰鬱ないし殺伐とした)ものはあって、当時は少年誌でも、そうした作品が平気で掲載されていたようだ。
これは、とにかく陽気で明るくなければいけない、といった制約が希薄で、ある意味では作品発表に自由が大きかったと言えそうにも思える。こうした環境が吾妻ひでおにとって有利だったか不利だったか、よく分からない。最後に骸骨となった作者(画像参照)が登場しているがこの自画像はかなり珍しいはずで、はてこの時の作者の心境はどのようなものだったのだろう(もっとも今回は劇中前半にアーさん(いつもの自画像)が登場しており、その「オチ」で骸骨になったのかも知れないのだが)?
『ラ、バンバ』の主人公たる番馬くんは、一度見れば覚えられる、いかにもギャグマンガの主人公らしい顔立ちだったが、この定石的な手法はちょっと見直しが加えられたか、ギャグマンガだけれど主人公を美少年にするというちょっと変わった方針で、次の『エイト・ビート』へと吾妻マンガの系譜はつながってゆく事になる。