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26 エイリアン永理/クラッシュ奥さん

"Alien Eiri"

Hideo Azuma seems to been conscious of a tremble of his hand in 1997. He had been drinking too much at that time. This series, "Alien Eiri", had written in such a critical condition.

はじめに

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 『失踪日記』のp.161で、「入院前と退院後の両方読めておとくです」と語られている『エイリアン永理』は、1997年春から1998年冬にかけて雑誌連載された作品だ。
 やはり『失踪日記』のp.147~148によれば1997年暮れに手の震えを自覚、1998年春には「完全な連続飲酒状態になっていた」という。そしてある日ついに幻覚を経験するに至り、その恐怖があまりにも凄まじいものであったため、酒を切らさないようにしたことが語られている。
 『エイリアン永理』にも、作者がこのころ酒で大変苦しんでいたらしいことは、「酔っぱらって描いてました反省してます」(第17話)とか、「ものすごい禁断症状で描いてました」(第18話)とかの手書きの文言が欄外にあるところからうかがい知れる。連載当時、殆ど全ての読者は何も作者の事情を知らなかったものと思われるが、この『エイリアン永理』はそうした危機的状況の真っ只中に執筆されていたのだ。今になってそれを知らされてみると、全くもってただただ驚く他はない。
 単行本に収録されている全27話のうち第20話までが雑誌連載されたもので、21~27話は退院後、単行本発行のため描き下ろされたお話であることが、単行本巻末にある『あとがき日記』で説明されている。第20話ではヒロインの相手役である男(鈴木よしお)の境遇が大きく変化しており、シリーズ構成としてはここでいったん区切りがついているようにも見える。
 が、しかし、入院による休載とかを考慮して第20話の物語が構成されたとは考えにくい。作者の入院は1998年12月25日(『失踪日記』p.164)、いっぽう第20話の誌上発表は(11月に発売されたはずの)1998年12月号。よって、第20話は入院の1ヶ月以上前に脱稿していたのではないか、と思われるからだ。なんとも不可思議ではある。作者は何か、直感するところがあったのだろうか?

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 単行本あとがきによると、編集者が出したアイデアでこのシリーズが生まれたらしい。そのことと関係があるかどうか分からないが、宇宙人をヒロインとしていながら『エイリアン永理』にSFの要素は強くない。むしろ「今 SF人気ないらしいから」などという台詞があったりして(第4話)、全体的にSFの色調を抑制したかのように感ぜられる。

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 だがしかし、単なる艶笑マンガで終わってはいない。単行本発行のため描き下ろしで加えられた部分に、色濃くSFが前面に出てきているのがこのシリーズなのである。第22話で予知能力、第23話で宇宙船、第26話で宇宙生物、第27話では悪役宇宙人が出現したりしているのだ。
 ヒロインの永理がどのようなものに変形しようとも実はその正体は永理であって変わっていないように、ありとあらゆるものが描かれつつもしっかりこのシリーズは、まがう方ない吾妻マンガとしてまとまっていると思う。
(画像は順に、カバーを展開した状態、ひら(カバーを外した表紙)、標題紙イラスト。)



第1話 異星の客

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(コミックウインクル 1997年4月号)

"Isei no kyaku (meaning : A visitor from another planet)"

A young man succeeded in girl hunting. But when he looks back at his bed, there is nobody. He finds only a big ball on it ... ?

「ナンパし続けて一年 初めて成功した しかもあんなかわいい娘が おれなんかと寝てくれるなんて……」
 ことが一段落した青年は喜色満面で冷蔵庫を開ける。そしてベッドの方をふりかえるや、
「永理ちゃんだったよね 何か飲む?」
と問うが、なぜか娘の姿は無い。ベッドには一抱えもある大きな球が1つあるだけで……?

*主人公である永理(えいり)の正体、特性などが語られる。相手役の男の名前はまだ明らかにされてはおらず、ひたすらあれをしたがっている若者であることが描かれているようだ……。この変なコンビが紹介されて、この変な物語の幕が開く。
 宇宙人というものに対するイメージは、時代によって移り変わってゆく。"恐ろしい怪物"として想像されるのが一般的であった頃もあろうけれど、ここに登場するヒロインの永理は何ら人類に脅威となるところは無く、むしろ夢を叶えてくれる都合の良い存在になっている。
 SFについて僕は知識が無いのだけれど映画などのレベルで考えた場合、前者の典型には『遊星よりの物体X』(The Thing from Another World 1951)や『宇宙戦争』(The War of the Worlds 1953)が頭に浮かぶし、こうした作品の遺伝子を引き継いだのが(TVならば)『アウターリミッツ』(THE OUTER LIMITS 1963~65)、そしてそれまで広く使われていた"ベム"(BEM = bug-eyed monster ギョロ目の怪物)という呼称をさえ時代遅れにせしめたかと思える映画『エイリアン』(Alien 1979)シリーズなのではないか?
 いっぽう、宇宙人といえど怪物よりは人間に近く、むしろ地球人類なんぞより知能は高く高尚かも知れないではないか、と肯定的に考えた映画作品としては『地球の静止する日』(The Day the Earth Stood Still 1951)や『宇宙水爆戦』(THIS ISLAND EARTH 1955)、そのへんの後継者かと思えるのが(TVならば)『宇宙家族ロビンソン』(Lost in Space 1965~)や『宇宙大作戦』(『スタートレック』Star Trek 1966~)、さらには映画『花嫁はエイリアン』(My Stepmother is An Alien 1988)あたりに続いているように思える。
 中間的なイメージで宇宙人を描いている作品も無論たくさん存在するだろうけれど、もしも強いて分類するとしたら、この『エイリアン永理』は、後者の作品群に近いセンスで成り立っていると考えられようか?
 なんにせよ、「主人公は宇宙人なのだけれど、実は(その主人公に対する反応によって)我々地球人の有様が描かれる」というのが宇宙人テーマの物語の特徴のような気がする。『エイリアン永理』もまたその手法をとっている部分があるように思うのだけれど、どうだろう?



第2話 著作権を守れ!

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(コミックウインクル 1997年5月号)

"Chosakuken wo mamore ! (meaning : Observe a copyright !)"

The young man asks Eiri to transform herself into a character of an animated cartoon. She refuses it because of a violation of a copyright. Then his fellow worker comes to see him ...

 「バイトまではまだ時間あるし 一発やっていこう」
と永理に抱きつき、
「おれ このアニメキャラ好きなんだ 変身たのむ」
と言ったら、
「ダメですね 著作権侵害になります」
とのことで断られる。それでも結局済ませたら、バイト仲間らしい青年が訪ねて来て……。

*永理の相手役である男の名前が「鈴木」だと今回判明する。彼がアニメ雑誌の読者であったりする点いかにも日本的と言うべきか? ちなみに雑誌の名称は「わい あにめ」となっている。
 タバコおばけがちょっと登場。



第3話 至福の檻

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(コミックウインクル 1997年6月号)

"Shifuku no ori (meaning : A cage of happiness)"

Eiri and Suzuki relax outdoors. She finds a frog and puts it in her mouth. According to her, she gets a sample of a gene. Presently, a beautiful married woman passes by ...

 公園だろうか、永理と鈴木が弁当をひろげ、くつろいでいる。と、永理はカエルを初めて見たらしく、これを口に入れる。遺伝子サンプルをもらうのだとか。そこへ近所の新婚である橋本さんの奥さんが通りかかった。鈴木はふと思いついて……。

*永理が変わった方法で収入を得ていることが判明し、鈴木くんはその鬼畜ぶりがますます暴走している回。彼の読んでいる『寄生獣』は岩明均のコミック作品。



第4話 でんでん虫は気持ちいい?

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(コミックウインクル 1997年7月号)

"Denden-mushi wa kimochi-ii ? (meaning : Feel good with a snail ?)"

Eiri and Suzuki go shopping at a convenience store as she is hungry. But there is a robber unfortunately ...

 永理を抱きながら缶飲料をあおり、おまけにTVを観て笑っている鈴木。
「相手がエイリアンだと 気をつかわんでいいから楽だ」
などと言う。永理が空腹と知り、2人で外へ買い物に行くのだったが、入ってみたコンビニには何と強盗がいた……!

*強盗にまであきれられてしまう鈴木くんのダメ人間ぶりが徹底している。永理が「だいじょうぶよ 今SF人気ないらしいから」と語っていたり、強盗の台詞に苦笑させられるギャグがあったり、奇妙な苦味とおかしみのある回。



第5話 使徒がゆく

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(コミックウインクル 1997年8月号)

"Shito ga yuku (meaning : A apostle goes)"

Eiri earns unexpected money at a massage parlor. Suzuki hits on an idea that they go and have a drink with the money. Then Suzuki bumps into a young man, quarrel with him ...

 「コスプレソープ イントロン」で遊んでいた鈴木。すると永理もそこに入っていて、
「チップもらっちゃった」
とのこと。そのカネで飲みに行こうとするや、すれ違った若者が鈴木とぶつかる。鈴木は文句を言うが、若者の腕力にかなわずさんざん殴られてしまい……。

*「イントロン」は遺伝子に関する学術用語。前半はどうもTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995~96)のパロディらしい?



第6話 人魚が出てきた日

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(コミックウインクル 1997年9月号)

"Ningyo ga detekita hi (meaning : The day a mermaid appears)"

Eiri and Suzuki are at a beach resort. She transforms herself into a boat, Suzuki gets on it. Eiri finds something big and catches it while she is fishing ...

 海水浴場。 永理が変身したボートに乗り、くつろいでいる鈴木。永理は海中の魚を捕っていたが、海にあれこれゴミが捨てられているのに気付いて嘆く。そのうち、
「なんか でかいの捕まえた」
と彼女が引き上げてみたら……。

*「おれはエコロジーとフェミニズムと某オチのないアニメが大嫌いなんだ」と語る鈴木くんを見、読者はどんな感想を懐くのだろう? 全く賛成か、全く反対か、それとも……。



第7話 あなたもわたしも食べ放題

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(コミックウインクル 1997年10月号)

"Anata mo watashi mo tabe-hohdai (meaning : You can eat all you want, so do I)"

Suzuki falls on the road. He has been eating nothing in a few days, because he spent all money on a massage parlor. He scavenges for something to eat at a dump, plots to earn money by Eiri in the end ...

 路上にぶっ倒れる鈴木を見て、
「お ヤリ過ぎ?」
と永理はたずねる。しかし、
「金全部ソープの女に注ぎ込んでるから 2~3日何も食ってないんだ」
という返事。しかたなくゴミ袋をあさるのだったが、いよいよ鈴木は永理の身体を使って稼ごうとたくらみ……。

*永理が全く気にしていない様子だから読んでいてまだ救われるものの、鈴木の鬼畜ぶりは吾妻マンガ史上で最強無敵なのでは……。



第8話 エイリアン・ダイエット

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(コミックウインクル 1997年11号)

"Alien-diet"

A woman gets dead drunk in a bar. Suzuki who works at there, informs her it is closing time. She tries to pick a quarrel with him : "You drive me out because I'm fat, don't ya ?!"
Eiri says her : "How about try an alien-diet ?"

 バイト先の店で鈴木が、酔いつぶれている女客に声をかける、
「お客さん 起きてください カンバンですよ」
しかし客はからんでくる、
「デブだから あたしが太ってるから追いだすのね」
思いもかけぬ展開で鈴木は彼女を抱くが、居合わせた永理は女客に言う、
「エイリアン ダイエットやってみませんか」



第9話 スティーブン・キング電気店

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(コミックウインクル 1997年12月号)

"Stephen King denki-ten (meaning : Stephen King electrical appliance shop)"

Eiri and Suzuki find an electrical appliance shop which is on a closed down sale. They look for a kotatsu (= A kind of Japanese heater). A strange storekeeper shows them a robotic kotatsu "Steve"...

 永理と一緒に外食していた鈴木は、「閉店大セール」とある電気屋を見つける。コタツの安いのがあったら買おうかと店に入ってみたら、店主がどうにも変わった男で、ロボットコタツ「スティーブ」を紹介してくれたのだが……。

*SFになっている(?)のだが、吾妻マンガでメカがらみのSFというのは、どちらかといえば数が少ないものと思われる。副題にある「スティーブン・キング」(Stephen Edwin King)は米国のホラー小説家。その著作の1つに『クリスティーン』(Christine)がある。



第10話 驚異 カレー鑑定家

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(コミックウインクル 1998年1月号)

"Kyohi Kareh-kanteika (meaning : A wonder, a judge of curry)"

Suzuki runs short of food expenses. When he goes out with Eiri, young men try to pick her up. Suzuki lies them that she is his sister, and makes them to treat him a hamburger ...

 有り金を下半身のほうにつぎ込みすぎて、鈴木の部屋の冷蔵庫はカラッポ。山田(第2話で登場したバイト仲間らしい)の所でたかろうと考えて永理と共に出かけたら、通りがかりの若者たちが永理を1人だけと間違えてナンパしてきた。鈴木は永理が自分の妹であると嘘をつき、ハンバーガーをおごらせて……。



第11話 エイリアン・ハンター

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(コミックウインクル 1998年2月号)

"Alien hunter"

Ishiguro is a man who is conscious of his faculty which suspects alien in point-blank range. He keeps an eye on Eiri, throngs to Suzuki's room, with his lover. Ishiguro intends to arrest Eiri, but neither Eiri nor Suzuki upset at all ...

「エイリアンが近くにいるとそれを感じる能力がある」と自覚している男、石黒。飲み屋で働いていた永理がくさいとにらんで、鈴木の部屋まで恋人と2人でおしかけてきた。永理を逮捕する決意でいた石黒なのだが、当の永理も鈴木も全く動じる様子はなく……。



第12話 翼よ あれが

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(コミックウインクル 1998年3月号)

"Tsubasa-yo are-ga (meaning : My wings, that is )"

Suzuki feels the cold, asks Eiri : "To be my coat, please." She transforms herself into it, wraps up him. Suzuki presently finds a girl who fell down and sprained her ankle. He tells her an irresponsible lie which he shall send her home by flying ...

 寒さにまいった鈴木は、「コートになってくれよ」と永理に頼み、身体をくるんでもらう。道を行くうち鈴木は、転んで足をくじいた娘に出くわし、空を飛んで送ってやると彼女に出まかせを言うのだった。コートになっていた永理は、そのまま更に変身して……。



第13話 性的人間

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(コミックウインクル 1998年4月号)

"Seiteki-ningen (meaning : A sexual human being)"

Suzuki and Eiri get on the train. She encounters a pervert at there, but she finds it a great curiosity and looks hard at him. Suzuki is indifferent to that and dozes. The pervert is at a loss ...

 走る電車内。鈴木は座席で居眠りし、永理は吊革につかまり立っている。そこへ息づかいを荒くした怪しげな男が近寄ってきて、永理の身体を触るのだった。チカンが珍しい永理はしげしげと男を見つめ、鈴木は退屈そうに居眠りを続ける。チカンは困惑するが……。

*台詞にある「デビット カッパーフィールド」(David Copperfield)は米国の有名なマジシャンを指すものと思われる。



第14話 男たちの知らない女

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(コミックウインクル 1998年5月号)

"Otoko-tachi no shiranai onna (meaning : Woman that men don't know)"

"Today I go to see cherry blossoms and have a party there."
Eiri says so. Suzuki follows her in a hurry. But the party is for aliens ...

「今日は花見で合コンだから」と、永理が1人で出かけてゆく。鈴木は慌ててついて行くものの、それはエイリアンの集まりだった。出席者の中には普通の地球人も居たのだけれど……。

*文明批評の回(かもしれない)。



第15話 猫的生活

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(コミックウインクル 1998年6月号)

"Neko teki seikatsu (meaning : A life likes a cat)"

Suzuki seems to wish to keep a cat.
"Why, may I to be it ?"
Eiri transforms herself into a cat.
"Oh lovery, I'm able to pick up a girl easily."
Suzuki conspires at once ...

 山田の所へ遊びに来ているらしい鈴木と永理。ペットOKということで山田が猫を飼っているのが鈴木は羨ましい。
「あら あたしがなってあげようか?」
と永理は猫に変身して見せる。
「おお これならカワイイから 女の子ナンパしやすい」
と鈴木はさっそく悪巧みをして……。



第16話 ちょこっとイリュージョン

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(コミックウインクル 1998年7月号)

"Chokotto iryuhjhone (meaning : Somewhat illusion)"

Suzuki is influenced by TV program.
"I'll give a magic show, make money, pick up girl. So that cooperate with me."
He gives orders to Eiri seriously.

 TVを観ていて影響され、"鈴木よしお スーパーイリュージョン"なるのぼりを作る鈴木。
「おれもマジックショーやって金稼いで女ひっかけるから おまえも協力しろ」
と真顔で永理に命じるのだったが。

*初めて鈴木くんのフルネーム(だろう)が判明する。しかしそんな事よりも、彼の情けなさがあんまり徹底的なので笑ってしまう回。
 こうまで全く長所の無い登場人物というのも珍しい……。



第17話 クマさんに出会って

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(コミックウインクル 1998年9月号)

"Kuma-san ni deatte (meaning : I come across Mr.Bear)"

Suzuki and Eiri go to a campsite. He tries to pick up girl as if he hasn't learned his lesson yet.

 キャンプ場へ来ている鈴木と永理。釣った川魚を食べて腹ごしらえを済ませるや鈴木は女の子をナンパしに行き、あっさりぶちのめされる。それでも懲りない彼は、永理を変身させ利用しようと考えるのだったが。



第18話 金魚っておいしい?

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(コミックウインクル 1998年10月号)

"Kingyo-tte oishii ? (meaning : Is a goldfish delicious ?)"

Eiri goes to a festival, but she can't understand its meaning. Suzuki asks her to act for him, so she cooks at a stand.

 永理はお祭りの会場へ来ている。しかし全く初めてのようで、金魚すくいもその意味が理解できない。鈴木は焼きそばの屋台で1人働いており、バイトの最中らしいが、暑さにまいって永理にバトンタッチを頼む。永理は引き受けて焼きそばの調理を始めるのだったが。



第19話 栗との戦い

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(コミックウインクル 1998年11月号)

"Kuri tono tatakai (meaning : A fight against a chestnut)"

Eiri watches a baked sweet potato for the first time. The vendor envies Suzuki because he thought that Eiri is his lover. Suzuki uses her and borrows his street stall ...

 石焼きイモを初めて見た永理。鈴木が買い、2人で食っていると、
「いいねえキレイな彼女がいて わしら出稼ぎだから母ちゃんにも会えん」
とイモ屋のおやじさんは羨ましがる。鈴木はイモと交換で永理を抱かせ、その間に石焼きイモを利用することにした……。



第20話 出前よ急げ!

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(コミックウインクル 1998年12月号)

"Demae yo isoge ! (meaning : Hurry, catering service !)"

Suzuki is given a birthday present from his colleague girl, Emi. She says : "I like you since I met you first." Suzuki is surprised. She hesitates : "But you, Mr.Suzuki, seem to live together Ms.Eiri ..."

 バイトが終わって帰ろうとする鈴木に、同僚の女の子である江美が誕生日プレゼントをくれた。おまけに、
「会った時から鈴木さんが好きでした」
という告白つき。初めてのことで鈴木はたまげる。
「でも鈴木さん 永理ちゃんと同棲してるみたいだし……」
とためらう江美だが、とにかく3人で鈴木の部屋へ帰り……。

*"破鍋(われなべ)にとじぶた"というべきなのか、何ともワンダーなことに鈴木は突然、恋人を持つに至る。こうした、彼の境遇の大変化になぜかあわせて、雑誌連載はこれが最終回となったようだ。そして作者は入院したのだが、その期間については『失踪日記』p.165以降に詳しい。



第21話 寝袋は招く

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(描き下ろし 2000年5月)

"Nebukuro wa maneku (meaning : A sleeping bag invites us)"

Suzuki goes and see Emi with Eiri. They go on an outing with Eiri's transformable faculty.

 鈴木は永理をつれて江美の部屋をたずねる。
「明日バイト休みだろ どっか遊びに行こうよ」
と誘いに来たのだった。永理の変身能力を利用し、出かける事になったが。

*21話から27話までの7本は単行本出版にあたって描き下ろし追加されたエピソードであることが『あとがき日記』で説明されている。「ウラホロ2番」なるカップ麺が出てくるが、作者の出身地である北海道十勝郡浦幌町にひっかけているのだろう。



第22話 ライトニング

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(描き下ろし 2000年5月)

"Lightning"

Suzuki seems have a faculty of prediction. Eiri is impressed by it. He says : "My word ! Am I a rescuer choosed by god for mankind !?"

 永理と2人でラーメンを食べていた鈴木は、突然のひらめきで、コップが落ちる直前にそれを止めた。似たような事が何度も起き、
「未来が予知できるんだ 超能力者じゃん」
と永理も感心。鈴木は、
「そうか おれって神に選ばれた人類の救世主だったのか!?」
と自覚するのだったが……。



第23話 モンスターとゴキブリのゲーム

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(描き下ろし 2000年5月)

"Monster to Gokiburi no gehmu (meaning : "Monster and Cockroach" game)"

Eiri says : "I'll just go my home-planet so my parents are persistent."
Suzuki is eager for a space voyage. Eiri, Suzuki and Emi go to Eiri's home-planet with a spaceship.

「親がたまには帰ってこいってうるさいから あたしちょっと母星に行ってくるね」
永理がそう言い出したので鈴木はあわてて、
「待て! それって宇宙旅行するのか おれたちも連れてけよ」
と頼み込む。かくて永理・鈴木・江美の3名は、宇宙船で永理の母星へと旅立つが。

*わずか4ページなので永理の故郷がどんなところなのか殆ど描写はなく、この点ちょっと残念。



第24話 進め! ドグラっ娘

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(描き下ろし 2000年5月)

"Susume ! Dogura-kko (meaning : Go ! Dogura-girl)"

When Eiri walks on the road with Suzuki, a man seems to be a photographer of a magazine, speaks to her. He scouts for a model. Eiri consents it, and she appears a TV program ...

「あ彼女 かわいいね モデルやりませんか」
永理が鈴木と2人で道を歩いていたら、雑誌のカメラマンらしい男が声をかけてきた。OKし、さっそく試し撮りするが、ひょんなことからTV出演の話が出て……。

*「ゆあゆよーん」というのは中原中也の詩『サーカス』からとっているらしい。



第25話 エイリアン球団

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(描き下ろし 2000年5月)

"Eirian kyuhdan (meaning : The alien baseball team)"

Suzuki participates in a baseball game as he was asked. But he is useless because he has no experience. Eiri helps him with her faculty.

 メンバーが足りないからと頼まれて、鈴木は野球の試合に出場する。しかし野球をやったことがないので、全く役に立たない。けっきょく永理にパワーアーマーとなり助けてもらうのだったが。



第26話 プラネット・イーター

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(描き下ろし 2000年5月)

"Planet-eator"

Suzuki and Eiri witness that something falls slowly from the sky.
"Cell division is underway. That is an egg of planet-eator."
Eiri explains and takes out something weapon : "This is a dangerous creature, I must kill it."
Suzuki opposes her as the creature looks very lovely, and presents it to Emi.

 道を歩いていた鈴木と永理は、何かが空中を漂いながらゆっくり落下してくるのを目撃する。
「細胞分裂してるわ プラネット・イーターの卵ね」
と永理は説明し、
「危険な生物よ 殺さなくちゃ」
と武器らしいものを取り出すが、卵からかえったそれがひどく可愛らしいので鈴木は反対、宇宙生物は江美にプレゼントされるが。

*完全にSFマンガの回。微妙な風刺も効いている。



第27話 禁猟区

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(描き下ろし 2000年5月)

"Kinryohku (meaning : A game preserve)"

Eiri, Suzuki and Emi walk on the street. Emi finds a diamond ring on a road, flies away into the sky as soon as she picks it up. Suzuki finds a roll of notes, picks it up and flies away, too. In fact, aliens fish earthlings far up in the sky ...

 永理・鈴木・江美の3人が道を歩いていると、路上にダイヤの指輪が落ちているのを発見。それを拾った江美は宙に浮かんで、はるか上空へ飛んで行ってしまう。次に鈴木は万札の束を見つけてこれを拾うが、やはり空へ飛んで行ってしまった。実は上空で宇宙人が、地球人を釣り上げていたのだ。永理は変身して地上を飛立ち……。

*これが最終回。永理が正義の味方としてかっこよく活躍し、鈴木も初めていいところを見せている(情けなさは抜けないが……)。
 石森章太郎『サイボーグ009』のパロディがある。

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 吾妻ひでおファンクラブの1つである「すーぱーがーるカンパニー」は、永理のグッズをいくつか世に送り出しているようだ。画像のうちわ(柄を含めてタテ36センチ、ヨコ24センチの大きさ)はそれらのうちの1つで、「みれにあむ あじま うちわ」、「ななこSOS FC すーぱーがーるカンパニー」の文字が読める。絵柄は浴衣姿の永理、そしてハムスターとムツゴロウ(?)。(資料提供:大西秀明氏(吾妻ひでおFC「シッポがない」事務局長))



マニアック・るいちゃん

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(まんがシャレダ!! 1995年9月号 / 10月号)

"Maniac Rui-chan"

* Four-frame comic strips.

*この作品は4コマ集なので、あらすじの紹介というのは難しい。
 何とかして、まだ誰も描いていないものをと模索し、ありとあらゆる題材を扱っているところに作者の意欲がうかがえると思う。

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ヴィヨンズパートナー

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(みこすり半劇場 1995年3月9日号)

"Viyon's partner"

* A strange comedy about the writer of a coterie magazine and his wife.

*太宰治『ヴィヨンの妻』がネタ元だと作者自身による解説がある。しかし、ヒロインである主婦が巻き込まれているのは同人誌マンガとその周辺の世界の出来事で、そっちの分野にかかわりのあるマニアの人向けのギャグかも!?



ナルキッソス

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(みこすり半劇場 1995年8月24日号)

"Narcissus"

* This comedy seems to be a parody of Osamu Dazai's novel.

*これは太宰治『水仙』がネタ元になっているらしい。やはり同人誌マンガの世界に題材をとった4コマ集なのだが、最後のところに手書き文字で「ネタ提供 担当さん」とある。はて、4コマ誌の読者には自分で同人誌を出すようなアマチュアが結構多いということなのだろうか……?

あとがき日記

(描き下ろし 2000年5月)

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"Atogaki nikki (meaning : Postscript diary)"

Hideo Azuma the author tells : "I like Osamu Dazai, so that I hope a little to write a critical biography of him, someday."

 この単行本に収録されている各作品についての解説、執筆当時の思い出などが語られている。とりわけ注目すべきかと思えるのは、以下のような宣言(?)があること。
「わたしは太宰 好きなのでいつか一冊 評伝を描きたいなーと ちょっとだけ思っている」
 日本文学史に取材した吾妻マンガ!?
 これは大変興味深い企画であるが、果たして執筆の段取りは進んでいるのだろうか? 非常に気になるところではある。

*付記:コアマガジン社の雑誌『BUBKA(2005年6月号)』に掲載されたインタビューによれば、NHKエンタープライズからそうした仕事の依頼はあったらしいのだが、膨大な資料を調べるのが大変そうだという理由でその時には実現しなかったらしい。

(単行本『エイリアン永理』は、ここで終わっている。)



はじめに

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Crash okusan
(literal translation of the title : "crash housewife")

Hideo Azuma the author, seems to changed his style of painting after his second disappearance (April 1992 - 1993 ?). He had fumbled about for his style, and had tried to write ambitious works in the 1990's. Such as, this series that has a young unique housewife as a main character.

 2度目の失踪(1992年4月~1993年?)から復帰した後、吾妻マンガには複数の点で変化が見られるようだ。それはなだらかに推移していったというよりは、いったん全てを清算してしまったかのような印象を受けるもので、もし読者の側に数年間の空白があった場合(僕などはそうでした)、同じ作者によるマンガとは一瞬信じ難く感じる程に著しい。その極めつけの証拠(?)には、とあるコミック誌の編集者でさえ、「投稿」による吾妻ひでおの作品を見て本物だとは信じなかったらしい一件がある(単行本『Oh!アヅマ』あとがき)。

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 絵に関してすぐに気付くのは、それまで吾妻マンガに必ずと言って良いほど出演していた「脇役」たちが全く姿を見せなくなっている事。これは例えるなら、手塚治虫のマンガにかのヒゲオヤジらが一切出てこなくなるようなもので、読者にとっては違和感と寂しさが沸き起こるのをどうしても禁じ得ない。
 また、絵柄そのものにも変化が見られる。ひとことで言えば「誰の影響も受けていない独自の画風」を模索しているみたいな印象が、この時期の吾妻マンガにはあるように思う。吾妻マンガは過去に何度か、絵柄が一応完成し安定した時期があるようなのだけれど、厳密に評価するならそれらの様式は、基礎の部分に手塚治虫や石森章太郎や板井れんたろう、即ち先人たちの要素が用いられており(男の大きめの掌や足、靴とズボンの描き方など)、100%の吾妻オリジナルとは言い切れない所もあったのかも知れない。この『クラッシュ奥さん』が執筆された1990年代後半、作者はそうした先駆者達の影響からなんとか脱して、全く独自の新しい絵を、と模索しているかに感ぜられる(絵が少しずつ写実的になり、最大公約数である原点への回帰を試みたかのような傾向は、『ななこSOS』の後半、1983年頃には既に現れていたようなのだが)。

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 しかし写実の追及が進むのと反比例し、絵というものはともすれば個性を失ってゆきがちなようだ。また、模索をするというのは不安定になるという事であり、これまでにせっかく築き上げてきたものを壊し、捨ててしまう事でもある。場合によっては、絵の修行がまだ一段落ついていないアマチュアを思わせる未完成な画風に見えてしまう危険もありそうに思う。こうした不利な条件が幾つか重なったのは、前述のようにプロの出版人でさえもが判断を誤る大失敗をした一因であったのだろうか。
 脇役はじめ登場人物たちの顔ぶれが変わる事も、画風が変わって絵が少し壊れてきたかに見える事も、デビューの時から起算し数十年という期間にわたって作品を調べてみれば、あの怪物の手塚治虫にさえ見られた現象のはずで、けだし別に驚く必要は無いのだろう。しかし1980年前後の作風の印象が強かったぶん、そこから脱して更なる新しいものをと模索した事は、作者に茨(いばら)の道を運命付けたかも知れない。
 表題作『クラッシュ奥さん』ほか、1990年代半ば、入院(1998年12月)前に執筆された諸作品は、作者が苦難にあってなお果敢な挑戦を続けた結果に生み出されたものだと思う。
(画像は、単行本『クラッシュ奥さん』第1巻のカバーと、扉。)



(1)

0101

(イカしてソーロウ 1997年8月2日号)

Miyoko and Kazuo are a married couple. Kazuo the husband arranged to meet his wife Miyoko at a restaurant. But when he goes to the place, he finds his wife disguises herself with a schoolgirl ...

「みよこ」と「かずお」は、若夫婦だ。まだ子供は無いらしい。かずおが「これから帰る」と電話を入れたら、今夜は外食にしようと妻が提案、「いつものファミレス」で待ち合わせになる。夫のかずおが行ってみると、なぜか女房は女子高生の服装をして待っていた……。

*『クラッシュ奥さん』の連載第2回がこのお話だったようだ。連載は毎回4ページの、掌編シリーズである。
 単行本『クラッシュ奥さん』第1巻には、『クラッシュ奥さん』が14話、『まじかるミステリーまおちゃん』が15話、『あたしはつくし』が10話、収録されている。しかしこれらの作品は雑誌掲載の初出時にサブタイトルが無かったようで、単行本でもサブタイトルは一切ついていない。とりあえずここでは単行本の収録順序に従って各話にカッコつき数字を付し、順にあらすじを紹介させて戴こうと思う。
 作者失踪以前の吾妻マンガには無く、復帰後(1990年代)になってから初めて出現したジャンルに"人妻もの"とでも呼ぶべきシリーズがある(この仮称が変に隠微(いんび)に聞こえるなら、"若奥様もの"とかと書いても良いだろう)。『クラッシュ奥さん』の他に『コスプレ奥様』(そのヒロインである「田中さんの奥さん」は、この第2回に顔を出す)がこれに該当するようだ。
 吾妻マンガにおいて、既に結婚(さらには出産と育児も)をしている女性たちが登場、それも準レギュラーとしての役割をになうのは複数の前例がある(例えば『やどりぎくん』の"奥さん"や、『幕の内デスマッチ!!』主人公の母親など)。しかし主人公にまでなった既婚の女性というのはたぶん、読みきり作品『ミセスの冒険』のヒロインが唯一の例外なのではないか。
 こうした新しい「引き出し」が、作者自身によって開拓され生まれたのか、編集部からのリクエストによる結果だったのか、委細は分からない。結婚しても独身時代と変わらず若々しく、まだ親としての責任をになう立場にないゆえか本人自身が可愛らしい新妻たちというのは、日本社会の実情が時代と共に変化してきたことの反映であったのだろうか。
 ことの始まりの理由が何であったにせよ、新たな分野が吾妻マンガに開けたのは喜ばしい。吾妻作品の世界に描かれる女性美が、新たな広がりと可能性を持つに至ったと言えるだろうからだ。



(2)

0102

(イカしてソーロウ 1997年6月17日号)

Miyoko takes good care of her husband's meal. She looks an exemplary housewife, but ...

 みよこは主婦として夫・かずおの食事にも充分気を使っている。実に模範的な奥さん……のはずだったけれど?

*これが連載の第1回だったらしい。
 幸福なのか災難なのか良く分からない夫、かずお。彼のモデルは葉影立直(アニメ化された小説『熱砂の惑星―女公安官ケイト』などの作者)だという説があるようなので、その件を直接ご本人におたずねしてみた。すると、モデルになったのではと思われる男性が他にも1名実在しておられ、2人を合成し参考にしたのではという趣旨のお返事を戴いた。



(3)

0103

(イカしてソーロウ 1997年9月2日号)

"Don't you want to be a private detective ?"
Miyoko inquires all of a sudden.
"I don't, I don't."
Kazuo is unwilling to be, but ...

「私立探偵になりたくない?」
みよこが突然きいてきた。
「なりたくない なりたくない」
と、かずおは首を横に振るのだが、みよこは……。

*連載第3回。この後は、連載されたとおりの順序で単行本収録されている。
「大西探偵事務所」の看板があり、これがご夫婦の姓であるらしい。「山田さんの奥さん」という台詞があるが、これは「田中さん」と言うべきところを、かずおが興奮して言い間違えたのかも知れない?



(4)

0104

(イカしてソーロウ 1997年10月2日号)

Miyoko paints a comic for a competition. She goes to a publishing company to hand in her manuscript, then ...

 賞金50万円が目当てなのか、少女まんがの新人賞に応募すべく原稿を描いている、みよこ。締め切り過ぎてるから直接持ち込んでみようと考え、「ふんか社」の編集部へ出向くのだったが……。

*業界内幕ギャグ(?)の回。しかし、前衛的なマンガ作品は歓迎されないという、商業ベースでの創作の不自由さへの嘆きもにじみ出ているように感じるが、どうだろう。
 トビラにちょっと見える(みよこの)マンガは、岡田史子の作品のパロディであるらしい。



(5)

0105

(イカしてソーロウ 1997年11月2日号)

Miyoko has just thought of setting up a stand. But there is no funds for it. So she thinks ...

 料理の腕前はかなりのものであるらしい、みよこ。
「そうだ あたし おでん屋さんやろうかしら」
と言い出した。でも屋台を出す資金は無い。はてどうしたものかと考えて……。



(6)

0106

(イカしてソーロウ 1997年12月2日号)

Miyoko admires a martial art when she watches television. She thinks of opening a training hall for a moneymaking, makes a fishy signboard ...

 TV観戦でグレイシー柔術に感心した、みよこ。
「そうだ! 道場開いてお金稼ごう」
と思いつき、グレイ「ミ」ー柔術道場なる紛らわしい看板を出すけれど……。

*「大西美代子殿」と書かれた文書が登場し、これがヒロインの名前の表記であるらしいと分かる。



(7)

0107

(イカしてソーロウ 1998年1月2日号)

Miyoko and Kazuo go to eat out. According to her, she works part-time as a home delivery cooking service. Kazuo can't understand her story, but goes with her ...

 外で夕食、ということになったものの、みよこの話では、
「出張料理のバイト始めた」
のだという。はて、何だか良くのみこめないが、夫婦揃って出かけてゆくと……。



(8)

0108

(イカしてソーロウ 1998年2月2日号)

Miyoko goes to a spa with Kazuo. She helps a drunken person, but ...

 夫婦2人きりで温泉へ来ている、みよこ達。風呂へもう一度入ろうと部屋を出たみよこは、1人の酔っ払いに出くわし、これを助けてやるのだったが。



(9)

0109

(イカしてソーロウ 1998年3月2日号)

In the morning, Miyoko finds the snow lies very deep.
"I've got it ! This is my chance to make money."
She blows a whistle and gathers neighboring dogs ...

 朝、窓から外を見れば大雪が積もっている。
「やった ひと稼ぎするチャンス」
と、みよこは犬笛を吹いて近所の犬たちを集め……。



(10)

0110

(イカしてソーロウ 1998年4月2日号)

Kazuo finds a sticker on the door when he has come home. It reads : "A fishing pond / 1,000 yen an hour."
But what is a catch in a room ?

 かずおが帰宅すると、玄関ドアに『つり堀 一時間千円』の貼り紙が。
「…また変な内職始めたな」
と入ってみたら、もう客も来ている。しかし家の中でつり堀とは? 見たら、釣れるのは魚ではなく……。

*トビラに『タバコおばけ』が出演している。



(11)

0111

(イカしてソーロウ 1998年5月2日号)

Miyoko holds a baby in her arms. She says to Kazuo : "A babysitter is not only profitable, but also I can study for our future."

 帰ってきたかずおは、みよこが赤ちゃんを抱いているのを見る。
「ベビーシッターは時給もいいし 将来のための勉強にもなるわ」
という事情らしい。
「いいなー ウチも子供が欲しくなっちゃうね」
と目を細めるかずおだったが。



(12)

0112

(イカしてソーロウ 1998年6月2日号)

Miyoko in bunny girl dress, goes out for a part-time job. Kazuo is invited and goes with her ...

 かずおが帰宅すると、玄関にはバニーガール姿のみよこが。なんでもこれからバイトだそうで、
「1階の福田さんが店始めたのでてつだって欲しいって」
頼まれて出かけるらしい。誘われたかずおも見学に行くと、そこは……。

*みよこの台詞から察するに、この夫婦が住んでいるのは何階建てかのマンション等であるらしい。



(13)

0113

(イカしてソーロウ 1998年7月2日号)

Kazuo stops in a supermarket, finds "Miyoko's handmade corner".

 酒のつまみでも買おうと考え、スーパーに入る、かずお。するとそこには『みよこの手づくりコーナー』があった。試食してみたらその味はまさしく……果たしてそこが、みよこの職場ではあったのだが。



(14)

0114

(イカしてソーロウ 1998年8月2日号)

Miyoko and Kazuo go to a bathing resort. There is a seaside cottage which has no customer. She decides immediately to rent it ...

 海水浴に来た、みよことかずお。何か飲みに行こうと考えて海の家へ入ってみたら、客は1人もいない。
「客が来ないから もう店閉めるんだ」
と店主らしい男に教えられ、みよこは店を借りることを決めてしまう……。

*単行本第1巻での、このご夫婦の活躍はここまでで、第2巻へと続いている。



Magical mystery Mao chan
(literal translation of the title : "Mao the magical mystery girl")

VOL.1

0115

(まんがガウディ 1995年12月号)

Mao and Riri are schoolgirls. They stay at a spa. Hearing a fearful scream, they run to the spot, find a pool of blood ...

 温泉へ来ている女子高生(だろう)、まおちゃんとリリちゃん。いかにも当世風と言うべきか、2人は情緒もへったくれも無いような仕方で料理を食べる。と、そこへ恐ろしげな悲鳴が。宿の主人と彼女たちが声の聞こえた方角へ走ると、部屋は血の海になっていて……。

*『まじかるミステリー まおちゃん』(『失踪日記』ではp.125に言及あり)は、各話6ページの連載だったようだ。題名どおりちゃんと推理マンガになっているのだけれど、SFも混入している!?
 「怪談」と「推理小説」を合体したような独特の趣向でまとめたこのジャンルはやはり、失踪前の吾妻マンガには存在しなかったと思えるもので、興味深い実験的なシリーズになっている。ただ、複数の特性を持ったせいかヒロイン達(と物語)の特徴がやや不明瞭になってしまうマイナス効果も宿命として含んだ観があり、作者は執筆にあたってこの点で苦しんだのではなかろうか?
 台詞にある「マンボ好塚」というのは土田世紀の『編集王』に登場するキャラクターの名前。



VOL.2

0116

(まんがガウディ 1996年1月号)

In a classroom, all students have their own way while a lesson.
"Well ... folks, will you please be a little more quiet ?"
A teacher asks timidly his pupils. All of a sudden, Mao stands on her desk, begins to get undressed.
"I can't control my body ..."
She is confused, and next, Riri walks to backward ...

 教室。生徒たちは雑談し、弁当を食べ、エロ本を広げ、タバコを吸っている。が、実は授業中なのだった。
「えーと みんなもう少し 静かにしてくれるかなあ」
と、気弱そうな男性教師が教壇から頼む。
突然、まおちゃんは机の上に立ち、服を脱ぎ始めた。
「自分の体をコントロールできない……」
と当惑するまおちゃんだが、次にはリリちゃんが後ろ向きに歩き出してしまい……。

*有名なホラー小説をヒントにしたパロディであるらしい。やはり推理マンガにもなっており、「マジカル」にして「ミステリー」なお話。台詞にある「ダン・シモンズ」(Dan Simmons)は小学校教師であったアメリカの作家。



VOL.3

0117

(まんがガウディ 1996年2月号)

Mao bought a comic coterie magazine at a used bookstore. There is a curse in the end of it.

「古本屋でちょっと面白い本見つけたんだ」
と、まおちゃんが取り出したのは、まんがの同人誌だった。その巻末には、
「このまんがを読んだ者は7日後のこの時間にまんがを描きまくって死ぬ」
という呪いの文言がある。
「こんなのウソに決まってるじゃん」
とナメてかかっていたのだが……。



VOL.4

0118

(まんがガウディ 1996年3月号)

Riri sees a strange monster in a crowd, sometimes. Mao tells her that it is "a fisherman's eye"...

 フリーマーケット会場でおちあう、まおちゃんとリリちゃん。
「人ゴミの中に変な怪物が時々見えるの」
と言うリリちゃんに、
「フィッシャーマンズ アイよ リリちゃんにもその才能があったのね!」
と、まおちゃんが驚いて説明してくれたのは……。

*会場の横断幕に「くんつ町」とあるが、これはアメリカの作家ディーン・レイ・クーンツ(Dean Ray Koontz)のもじりか。「いんてぐらるつりー」というのはラリイ・ニーヴン(Laurence van Cott Niven)によるSF小説(The Integral Trees)からきているらしい。意外かつ珍妙なクライマックスが絶妙。



VOL.5

0119

(まんがガウディ 1996年4月号)

An odd case occurs frequently, a highschool girl student is seized her leavings of a packed lunch on her way home.

 帰宅する女子高生をとらえ、その弁当の残りを強奪するという事件が多発。まおちゃんのクラスでも既に複数の被害者が出ていた。まおちゃんは解決のためにのり出すのだったが。

*ストーリーマンガやドラマだったら絶対に扱われなさそうな珍事件が起きるのはギャグマンガならでは。ヒロインたちが(中学生ではなく)高校生であるらしいことが、まおの台詞からうかがえる。



VOL.6

0120

(まんがガウディ 1996年5月号)

Riri and Mao are present at a banquet. Then something mysterious comes in the place, passes through a closed door ...

 私服姿のリリちゃんが、まおちゃんを迎えに来る。今日はカラオケボックスで飲み会があるのだ。男女混合で楽しく盛り上がっていたら、閉めてあったドアを通り抜けて、奇妙な何かが室内へと入ってきた……。

*未成年の飲酒からして問題だが、ヒロインの性格もかなり危なっかしいようだ。「マーダーケース」とは、このころに発売されていた『週刊 マーダー・ケースブック』という、いろいろな殺人事件を研究した雑誌の題名と思われる。



VOL.7

0121

(まんがガウディ 1996年6月号)

Riri finds a box which she hears a meow in it, on the road. Mao says it is "a Schrodinger's deserted cat" ...

 教室に弁当箱を忘れたことに気付き、取りに戻るまおちゃん。リリちゃんもそれに付き合うが、途中の道端で、中から猫の鳴き声がする箱を見つける。
「あけちゃダメ! それはシュレデインガーの捨て猫よ!!」
と、まおちゃんは止めるが、とにかくその箱を持って学校へ戻ると……。

*「シュレーディンガー(Schrodinger)の猫」というのならば本当にあって、これは量子力学で使われる言葉。『足塚不二雄の「最後の世界大戦」』というのは、藤子不二雄による1953年発行のSFマンガ。



VOL.8

0122

(まんがガウディ 1996年7月号)

There is something likes a small stone in a park. It seems a living thing that has its mind. It tries to possess other creature to have a meal ...

 公園。丸っこい石ころのようなものが地面にあるが、どうやらそれは意思を持った生物であるらしい。
「腹へったなー なにか知性のある生物を乗っ取って めし食わせてもらわんと…」
と考えたそれは、ふわっと宙に浮き、移動を始めた……。

*奇想天外な方向へ行ってしまうオチが流石にプロ。この回あたりからミステリー(推理物)の要素は少し弱まり、作者の得意とするSFないしは不条理ギャグの方向へと路線変更が始まっている?



VOL.9

0123

(まんがガウディ 1996年8月号)

Mao works part-time at a store of gardening. There is a signboard reads : "An ornamental schoolgirl / a lease charge 10,000 yen an hour."

 腐葉土を買いに行ったリリは、そこでまおと出くわす。なんと、まおは「観用女子高生 リース料 一時間一万円」の看板を出し、バイトをしているのだった。しかし世の中、上には上がいるようで、ちゃんと客が見つかった。
「おれまんが家だからモデルということで経費で落とせる」
のだそうで、その人物のところへとついてゆくのだが。

*無茶苦茶なアイディアの無茶苦茶な展開と、業界内幕もの風のオチが笑える。



VOL.10

0124

(まんがガウディ 1996年9月号)

Riri receives a postcard from Mao that reads : "I have started a detective agency. I shall treat bizarre and occult well."
Then Riri is attacked by a mysterious person ...

 リリのところへハガキが来た。
「暑中お見舞い申しあげます 今度探偵を始めました 事件があったら声かけてね 猟奇・オカルト優遇」
という文面で、まおからだった。そこへさっそく怪しい者が出現、リリは襲われるが……。

*いよいよもって不条理マンガ的な幻想が強まり、どこか『スクラップ学園』を連想させる雰囲気になってきている? 「NERV」と書かれたうちわは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からのパロディらしい。



VOL.11

0125

(まんがガウディ 1996年10月号)

Riri carries a big bag with her in a train. To tell the truth, its contents is Mao, because she becomes worn out with summer heat and can't walk. Presently Mao is sold to a passenger ...

 電車の中、リリが大きなバッグを持ち歩いている。中味は何と、まおが入っており、
「夏バテで歩けないからって」
こういう事になったらしい。
「いいなー こんな女の子欲しいな」
と言った乗客に、まおは売られてしまい……。



VOL.12

0126

(まんがガウディ 1996年11月号)

Mao and Riri attend a party, because they picked up a ticket that read : "Liquor, drug and meal are provided free to women." 3 men give a welcome at the heart of the mountain, but ...

 山奥へ来ている、まおとリリ。「女性は酒 クスリ 食事無料」とあるパーティ券を拾ったので、その会場をめざしているのだった。どうにかダンスパーティー会場へたどり着き、男性3名が歓迎してくれたのだったが……。

*予想もつかないような展開が楽しい、SFギャグになっている。



VOL.13

0127

(まんがガウディ 1996年12月号)

Mao and Riri doze while school hours. When they wake up, they are in a train which runs in the Galaxy.

 学校で授業中に居眠りしている、まおとリリ。はっと目がさめた時には2人とも列車の中にいた。
「銀河鉄道に乗っているのよ」
 まおはこの汽車に乗りなれているのだそうで、いろいろ案内してくれるのだが。

*ファンタジーというのか、これは!?



VOL.14

0128

(まんがガウディ 1997年1月号)

There is a signboard reads : "A large serving of spaghetti / If you ate up, 10,000 yen !"
Mao and Riri are glad to come in the restaurant, then a man seems the manager says : "Well, evil schoolgirls."

「新装開店 大盛りスパゲティ 全部食べたら10,000円! セブン」
という看板があった。まおとリリは喜んで店へ入るが、
「来たな 邪悪な女子高生」
と店長らしき男が現れて……。

*映画『セブン』(Seven 1995年アメリカ作品、日本での公開は1996年1月だったらしい)のパロディのようだ。他に『トワイライトゾーン』(The Twilight Zone:The Movie 1983年アメリカ作品)のパロディも入っている? トビラにある「Gluttony」とは英語で「暴食、大食らい」の意味。



VOL.15

0129

(まんがガウディ 1997年2月号)

Riri becomes aware of that Mao's behavior seems odd. Riri is surprised : "Hello, something goes out from your ear and it's speaking ..."
Mao replies : "This ? Pra-chan the parasite."

 学校。どうも試験の最中らしい。難問に困ったリリが、
「ねえ まおちゃん ちょっと教えて」
とこっそり助けを求めたら、まおは何だか様子がおかしい。
「あのー 耳からなにか出てて 喋ってるんですけど…」
と驚くリリに、
「これ? 寄生生物のプラちゃん」
と、まおは説明する。なんでも今、流行してるらしいのだが……?

*『まじかるミステリー まおちゃん』最終回(ただし、後日談が『産直 あづまマガジン 2』で2002年に発表されている)。今回は、実在するプラナリアという生物がモデルにされているものと思われる。
 アメリカのTVドラマシリーズ『X-ファイル』(THE X FILES)のパロディらしく、「スカリー」と「モルダー」はその登場人物の名前。なにやら意味ありげな小物(ギリシア文字のファイ(Φ)に似る)が劇中に登場しているのだけれど、これが何なのか残念ながら不明。
 「多重人格」は『24人のビリー・ミリガン』(The Minds of Billy Milligan)が早川書房から1992年に発行されており、それがヒントになっているのかも知れないのだが、『私という他人 ~多重人格の精神病理~』という本(The three face of Eve 原著は1957年?)が1973年には日本でも出ていたようなので、作者はそちらを読んでいたのかも。



Atashi ha Tsukushi
(literal translation of the title : "I am Tsukushi")

第1回

0130

(まんがシャワー 1995年1月号)

"My name is Tsukushi Haruno. I'm greatly satisfied to devote to others."
A beautiful girl says so, nevertheless she has no friend ... why ?

「あたしは春野(はるの)つくし あたし人のために尽くすのが生甲斐なんです」
と自己紹介する娘は美しい。
「でも なぜか友だちいないの」
と、ちょっぴり寂しそう。そりゃまたどうして? と不思議になるが……。

*『あたしはつくし』の第1話。このシリーズは、各回4ページで連載されたようだ。ヒロインは制服姿で事務系の職場に働く社会人という、たいへん現実的な設定。しかしヒロインの性格は、逆に非現実的と感ぜられる。利己主義者は世にいくらでも存在するだろうけれど、徹底的な利「他」主義者というのは……? むろん、他人の役に立つ事で自分の存在価値を確信できるからそれが幸福、という感覚は、ひろく万人に備わっているかもしれないのだけれど。
 で、現実的な舞台に非現実的(?)な人物像という極端な組み合わせは、当然さまざまな事件を引き起こす。ひょっとすると、かような物語の構造はその全体をもって、風刺をなしているのだろうか?
 それにしても、男の夢と憧れそのもののようなヒロインが一体なぜ騒動を引き起こしてしまうのかと、不思議に思われるかも知れない。けれどそこがマンガの面白さなわけで、これは読んで戴く他ないだろう。



第2回

0131

(まんがシャワー 1995年2月号)

Tsukushi finds a man in her room when she comes home.
"I'm found out again. I've no talent as a thief !"
The man starts to cry. Tsukushi sympathizes with him and says : "I'll help you."

 帰宅したつくしは、部屋に男がいるのを発見。
「また見つかっちゃった 36回あき巣に入って36回目だ おれは才能がない!」
と泣き出す男。つくしは同情してしまい、
「あたしも協力する」
と約束して……。



第3回

0132

(まんがシャワー 1995年3月号)

"Good afternoon ! I've came for nursing."
Tsukushi visits an old man's house, but he is in a bad mood.
"I'm eager for making love with young woman before I die !"
He sheds tears of vexation. Tsukushi stands before him with nothing on her ...

「こんにちは ボランティアで看護に来ました」
と、つくしが老人の家をたずねる。しかし、おじいさんは機嫌が悪い。
「死ぬ前に若いのとやりたいんじゃー」
と悔し泣きする彼の眼前に、つくしは一糸まとわぬ姿で立つ……。

*後半、とんでもない展開になってゆくのが意外で、笑わされる。



第4回

0133

(まんがシャワー 1995年4月号)

Tsukushi gets in a ramen ( = Chinese noodles ) restaurant alone. But it must be close down a business today. Tsukushi decides to help the store.

 1人でラーメン屋へ入った、つくし。だが店は今日でつぶれるというほど、客が来ないところだった。つくしは店を手伝うことにしたのだったが、果たして……?

*セックスが単なるサービス場面ではなく、ちゃんと物語の要素として役目を果たしている(?)のが苦笑させられる回。ヒロインが性病にならないか心配にもなってくるが……。ヤケクソ的な(??)ハッピーエンド(???)も楽しい。



第5回

0134

(まんがシャワー 1995年5月号)

Tsukushi gives her seat to a impudent woman in the train. Tsukushi goes to the woman's home together, and ...

 電車内。つくしは、いささか図々しいオバサンに席をゆずるが、もののはずみで家までついてゆく事になってしまった。つくしの性格が性格だったため、事態はどんどんエスカレートしてしまい……。

*おとなしい人柄のヒロインではあるが、主人公としての適性をいかんなく発揮している。受身なタイプのキャラクターでも「大活躍」できることを証明している、お手本になりそうな喜劇だと思う。



第7回

0135

(まんがシャワー 1995年7月号)

Tsukushi gets caught in the rain. Unfortunately, she has no umbrella. Then a strange young man helps her ...

 帰宅するところだろうか、つくしは駅を出る。しかし、
「あら降ってきちゃった どうしよう 傘ないし」
と困っていると、奇妙な青年が傘に入れてくれた。しかしこの男、何か屈折した雰囲気があって……。

*単行本ではなぜか、第6回の前に第7回が収録されているようだ。



第6回

0136

(まんがシャワー 1995年6月号)

Tsukushi catches sight of a man past middle age gathers empty cans. According to him, it is for environmental protection. Tsukushi cooperates with him ...

 公園。昼食(だろう)を済ませたつくしは、あきカンを拾い集めている初老の男を見かける。話を聞いてみれば、環境保護のための行動らしい。
「すばらしいわ あたしにもお手つだいさせてください」
と、つくしは彼に協力するが。

*いかにも善良そうでカッコいい人物が実は……というブラックな描写に苦笑させられる。しかし読後、へんに納得させられてしまうのはなぜ!?



第8回

0137

(まんがシャワー 1995年8月号)

Tsukushi jogs for a diet. She finds a fat young man jogs, too.

「油断してたら太っちゃった 少し走ろう」
とジョギングを始めた、つくし。見れば前方を、かなり太った男が苦しそうに走っている。
「あなたもダイエット? いっしょに走りましょうか?」
と話しかけたつくしは、彼と並んで走りだし……。



第9回

0138

(まんがシャワー 1995年9月号)

A middle age man gets drunk and decides to pick up a girl. He asks Tsukushi to go to drink with him.

 自販機でカップ酒(だろう)をあおり、
「今日こそはナンパってのをしてみよう」
と決意した中年男。彼に足首をつかまれたのは道を歩いていた、つくしだった。
「お嬢さん いっしょにお酒でも飲みに行きましょう」
「いいですよ」
つくしは笑顔で誘いを受けるものの……。



第10回

0139

(まんがシャワー 1995年10月号)

Tsukushi loses her way in a mountain. Presently she meets with a young man who has been shut himself up in the mountain for a combative sport training.

 独りで山歩きしていた、つくし。どうも道に迷ったらしく、キャンプ場へたどり着けない。やっと人に出会ってみれば、もう1年も山ごもりして修行中の男性格闘家だった。例によってつくしは、彼のためにあれこれ親切にするのだったが。

*これが最終回。結論として、つくしは(本人にそんなつもりが全く無くても)他人を騒動に巻き込んでしまう爆弾娘であるらしい!?

(単行本『クラッシュ奥さん』第1巻は、ここで終わっている。)



ハウスクリーニングでーす

0201

(イカしてソーロウ 1998年9月2日号)

"House-cleaning dehsu (meaning : I'm a cleaner)"

Miyoko goes to other's room as a cleaner. The room is full of refuses ...

 個人宅の出張清掃を始めた、みよこ。今回の客は独り暮らしの女性の部屋だったが、散らかし放題にされて久しい様子の室内はゴミの山に埋もれていて……。

0200a

*これより単行本の第2巻。現代日本の世相を微妙に反映しつつ、若奥様みよこの活躍(?)は続く。この第2巻では各話にサブタイトルが付されている。画像は、単行本『クラッシュ奥さん』第2巻カバー表紙。

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 こちらが単行本カバー裏表紙。

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また標題紙(扉:画像参照)にあるみよこのコスチューム(このあとに"魔女の服"という設定で登場する)は『銀河放浪2 プリンセスミコ・サーガ』でヒロインが途中から着用している服に良く似ているのだが、こまかい事情は不明。



ライバル チヨちゃん

0202

(イカしてソーロウ 1998年10月2日号)

"Rival Chiyo-chan (meaning : Chiyo the rival)"

Just before close a supermarket, discounted foods are put on sale. When Miyoko catches one of them, a young woman catches it at the same time ...

 スーパーは閉店まぎわとなり、値引き品が売り出される。店内へ駆け込んだみよこは、1つだけ残っていた刺し身に手をかける。が、同時にそれをつかんだ娘が1人いて……。

*変なところに伏線があったと結末で気付かされ、笑わされる。"閉店まぎわの値引き品"という、きわめて現実的な生活ネタも絶妙。



松茸食いほうだい!

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(イカしてソーロウ 1998年11月2日号)

"Matsutake kui-hohdai ! (meaning : All-you-can-eat matsutake mushroom !)"

Miyoko and Kazuo meet with Chiyo during their trip. She seems to go to hunt for high-priced mashrooms ...

 みすぼらしい民宿へやってきた、みよことかずお。ところがその旅先で、前回知り合った娘・チヨと出会う。彼女の方は豪華な旅で、これから松茸狩りをするらしく……。

*リアリズム云々というのは、つげ義春の漫画『リアリズムの宿』(1973年)にひっかけたパロディか。



とっても無農薬

0204

(イカしてソーロウ 1998年12月2日号)

"Tottemo mu-nohyaku (meaning : Very much organic)"

Miyoko starts a business of mail-order sales. She succeeds in taking a order with her sex appeal.

 通信販売を始めた、みよこ。「健康食品 有機野菜など色々あります」といううたい文句、そしてお色気で注文を取るのに成功するのだったが……。



みよこクラブ

0205

(みこすり半劇場 巨乳ちゃん 1999年7月号)

"Miyoko club"

Miyoko bought an expensive charm with mail-order sales. But it comes to light that the goods is fishy. Miyoko begins mail-order sales by herself out of spite.

 「幸福達成率97,7%米俵ホルダーK」なるものを通販で買った、みよこ。しかしよく調べてみると、どうも価格に見合う品物とは思えない。やけっぱちの思いつきから、自分も通販で稼ごうと行動開始するみよこだが。



みよこビューティー

0206

(みこすり半劇場 巨乳ちゃん 1999年9月号)

"Miyoko beauty (meaning : Miyoko's esthetique salon)"

Miyoko gathers tangles at a beach resort. She tries to feed her husband it as a lunch, but he dislikes. Miyoko thinks of opening a beauty shop with tangles ...

 海水浴場へ来ている、みよことかずお。とれたての新鮮なコンブをすりつぶして昼食に、と思ったが、かずおは嫌がる。そこでエステティックの店開きをすることになって……。



当たった宝クジどう使う?

0207

(みこすり半劇場 巨乳ちゃん 1999年11月号)

"Atatta takara-kuji doh tsukau ? (meaning : How to use prize money of a lotery ?)"

Miyoko and Kazuo won two million yen in a public lottery. They are deranged and to be extravagant. Presently they are startled, think better of its use more effective.

 宝クジで200万円が当たった、みよことかずお。血迷ってぜいたくをしまくる2人だが、はっと気付く。もっと有効に使わねば! そして2人がとった行動は。



取り立て屋は2度ベルを鳴らす

0208

(みこすり半劇場 巨乳ちゃん 2000年1月号)

"Toritate-ya wa nido bell o narasu (meaning : The bill collector always rings twice)"

There is a man who is frightened at exaction. A lovely girl comes to see him, so he opens the door. But the girl, Miyoko, is a bill collector in fact. The man takes a defiant attitude and says : "If you use violence or abusive language, I'll accuse you."

 借金取り立てに怯える男の家へ、誰かが訪ねてきた。覗いてみれば可愛い娘だったので安心してドアを開けたら、その娘、みよここそが取り立て屋だった!
「暴力・暴言でくるなら告訴するぞ」
とひらきなおる男に、みよこは……。

*夫の名前が「大西一夫」と書くらしい事が今回わかる。



寒い夜には温泉で

0209

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.33 2000年2月20日号)

"Samui yoru niwa onsen de (meaning : Unwind at a hot spring on a cold night)"

Kazuo is a barker of a hot spring. He says : "Liquor, cookpot dishes and mixed bathing with a beautiful woman, 2 hours 15,000 yen."

 かずおが、温泉の客引きをしている。
「お酒と鍋 美女との混浴付きで2時間15000円」
というふれこみ。お客が誘われるままついて行ってみると……。



みよこ万引監視員の事件簿

0210

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.34 2000年3月17日号)

"Miyoko manbiki-kanshiin no jiken-bo (meaning : The case documents of Miyoko the shoplifter watchman)"

Kazuo comes to see Miyoko to a supermarket while she works part-time at there. To his surprise, a shoplifter watchman is her job ...

 スーパーでバイトをしているみよこをたずね、かずおが店にやって来る。意外にも彼女の仕事は、万引の監視だった。しかし……。



マダムフューチャーは 未来を見通すか?

0211

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.35 2000年4月16日号)

"Madamu-future wa mirai o mitohsu ka? (meaning : Can Madam-Future see far ahead into the future ?)"

There is a tent of fortunetelling. A young man is told in there : "Today, you are going to experience many wonderful encounter."

「あなたの未来がピタリと当る マダム フューチャーの館」
と書かれたテントがある。青年が試しに入ってみると、
「今日のあなたには すてきな数々の出合いがある」
と言われて……。

*これはとりわけ笑える。実に巧妙な4ページ!



時間よ回れ!

0212

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.36 2000年5月20日号)

"Jikan yo maware ! (meaning : Revolve, time !)"

When Miyoko comes home, she finds Kazuo is tied up by a robber. Miyoko has her back to the wall !

 スーパーのレジを終えて帰宅した、みよこ。しかし夫のかずおは縛られており、そこには強盗がいた。みよこ危うし!

*18歳未満お断りのSF掌編というべきか?



怪しいレストラン

0213

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.37 2000年6月18日号)

"Ayashii restaurant (meaning : A strange restaurant)"

Miyoko works as a waitress. But she gets a tip by her amorous behavior.

 ウェートレスとして働いている、みよこ。しかし、胸の谷間からレシートを取り出して見せて客からチップをもらったりしているのだった。その自己流の仕事振りはとどまるところを知らず……。



羊たちの食欲

0214

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.38 2000年7月15日号)

"Hitsuji tachi no shokuyoku (meaning : Sheep's appetite)"

There is a handbill reads : "Miyoko Club / Home movies delivery services / You can taste this presence only from us."

 ビデオを借りてこようかと思ったら、家に
「みよこクラブ 映画宅配 他の店にはない臨場感」
というチラシがあった。これを注文してみたら、みよこが玄関へやって来たのだが。



空から猫が降ってくる

0215

(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.39 2000年8月19日号)

"Sora kara neko ga futtekuru (meaning : Cat falls from the sky)"

Kazuo waits for Miyoko near the constructions site. Then a steel frame drops to his overhead ! But it stops in the air ...

 外食のために待ち合わせをしている、みよことかずお。その時かずおの頭上へ、工事現場の鉄骨が落ちてきた! が、なぜかそれは空中で止まり……。



ぼっけもきょうてくない

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(みこすり半劇場増刊 新人ちゃん Vol.40 2000年9月17日号)

"Bokke mo kyohteku-nai (meaning : Not fearful at all)"

Young couple finds a store which seems a kind of a haunted house, at the seashore where they take a walk at night.

 夜の海岸を散歩していた若い男女は、「恐(きょう)てい屋」という店が開いているのを見つける。一種のおばけ屋敷らしいのだが、その店番をしているのが、かずおだった。はたして……?

*サブタイトルは岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』のパロディらしい。



忍者教室

0217

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.1 2000年10月21日号)

"Ninja-kyohshitsu (meaning : A ninja class)"

When Kazuo comes home, Miyoko in ninja ( = a Japanese secret agent in feudal times ) dress welcomes him. He thinks it is disguise, but ...

 かずおが帰宅すると、忍者姿のみよこが玄関で出迎える。コスプレかと思っていたら、いきなり背中へ手裏剣が飛んできて……。



湧き水とエイリアン

0218

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.2 2000年11月19日号)

"Waki-mizu to alien (meaning : Spring water and alien)"

Miyoko and Kazuo go to a mountain. They got an idea that draw spring water and sell it ...

 山へ来ている、みよことかずお。湧き水を汲(く)んでペットボトル1本200円で売れば大儲け、という算段だったのだが。

*326(みつる)のパロディらしい部分は分かるのだけれど、「瞳」の元ネタが何なのか不明。



ジャンパー ~沖縄旅行ツアー~

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.3 2000年12月16日号)

"Jumper / Okinawa-ryokoh tour (meaning : Jumper / Okinawa package tour)"

Miyoko seems to acquire supernatural power of instantaneous move. She keeps trying it on, but ...

 瞬間移動の超能力を身につけた(?)みよこ。驚くかずおの目の前で、その能力を使いまくって見せるみよこだったけれど……。



本家大ダコ スターター

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.4 2001年1月21日号)

"Honke ohdako starter (meaning : The head family of big octopus starter)"

Miyoko seems to begin a home-call sales of cookware. She somehow succeeds to walk in other's house, but ...

 タコ焼き器の訪問販売を始めたらしい、みよこ。実演試食サービス期間中とのことで、どうにか家へ入れてもらえたが。



3つの願い その1

0221

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.5 2001年2月18日号)

"Mittsu no negai / sono ichi (meaning : 3 wishes / part 1)"

Miyoko has no pan for cook. She finds a street vendor of chinaware.

 今夜は湯どうふ、と決めたものの、家に鍋が無い事を思い出した、みよこ。するとうまい具合に路上で瀬戸物屋が店開きしていた。しかしこれが何だか奇妙な商売をしていて……。

*ある国民的な人気者のパロディキャラクターが出演。



3つの願い その2

0222

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.6 2001年3月15日号)

"Mittsu no negai / sono ni (meaning : 3 wishes / part 2)"

A witch inquires Miyoko : "You can ask me 2 more wishes. What do you want ?"

 前回に出現した魔女のミミーに、
「かなえられる願いは ふたつまで残ってるわ 何にする?」
ときかれる、みよこ。悩んだあげく……。

*ここで登場する服が『プリンセスミコ・サーガ』の服に良く似ているのだが、事情は不明。



とってもヒーリング

0223

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.7 2001年4月15日号)

"Tottemo healing (meaning : Healing very much)"

A cat comes to Miyoko's house. She is intrigued by the cat, and runs after it. The cat seems to make people become calm by vivit their houses.

 みよこのところへ1匹の可愛い猫がやって来た。
「どこの猫なのかしら」
と思って追跡してみると、猫はあちこちの家を回って人々の心を癒(いや)しているようだった。
「見上げたボランティア精神」
と感心したみよこは……。



お笑いはむつかしい

0224

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.8 2001年5月19日号)

"Owarai wa muzukashii (meaning : Comedy is a difficult job)"

Miyoko has an audition for newcomers of comedian. She plays a ventriloquism.

「お笑いセメントクラブ 新人発掘オーデション会場」
と看板がある。みよこはここで審査を受けるのだった。
「腹話術やらせていただきまーす」
といって演じ始めたネタは。



月の表側

0225

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.9 2001年6月17日号)

"Tsuki no omote-gawa (meaning : The face of the moon)"

Miyoko speaks to housewives : "Shall we have a banquet at my house tonight ? You can drink all you want for a 1,000 yen. I'll prepare much foods, too."
Of course there is something behind this invitation ...

 近所の奥さん達に声をかける、みよこ。
「今夜うちで飲み会やらない? 会費千円で飲み放題 食べ物もいっぱい用意するわ」
というのだったが、もちろんウラがあって……。

*台詞にある『アウターリミッツ』は1963年からTV放送されたアメリカのSFドラマ題名からきているものと思われる。



猫夜叉

0226

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.10 2001年7月21日号)

"Neko-yasha (meaning : The evil-cat -deity)"

Miyoko is going to work part-time in schoolgirl uniform. She makes Kazuo to help her.

 かずおが帰宅してみると、みよこがセーラー服姿で待っていた。これからバイトだそうで、かずおも手伝わされる。
「半妖怪の猫夜叉(ねこやしゃ)よ」
というのだけれど?

*「気がついても言わないで 著作権がアレだから」とは、みよこの弁。



どんとこい サバイバル

0227

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.11 2001年8月19日号)

"Don-to-koi survival (meaning : Welcome, survival)"

A girl in a swimsuit wakes up at the seashore. There is Miyoko, too. She tells the girl : "We are at an uninhabited island. I was drifted ashore 10 days ago."

 海岸で、水着姿の娘が目を覚ます。
「ボートが転覆して……ここはどこかしら」
すると、みよこがそこに立っていて言う、
「気がついたようね ここは無人島よ わたしも10日前に漂着したの」
 ……はたして彼らの運命は?



スポーツマン憑き みよこ

0228

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.12 2001年9月16日号)

"Sportsman-tsuki Miyoko (meaning : Miyoko the possessed by a sportsman)"

Miyoko will take part in a baseball game tomorrow. She says : "I call Ichiro's spirit to me, just to make sure."

 野球の練習をしている、みよことかずお。どうも明日は会社のチームで試合があるらしい。結局みよこが代理で出場することになった。
「念の為イチローの生霊呼び寄せちゃう」
と言い出したみよこだが。



あこがれの家庭教師

0229

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.13 2001年10月20日号)

"Akogare-no katei-kyohshi (meaning : My admiring tutor)"

Miyoko seems to work as a tutor. For some reason, she wears strong lenses, so a boy who is her student despises her. But to tell the truth, this is her strategy ...

 家庭教師を始めたらしい、みよこ。しかしなぜか度の強いメガネをかけているので、
「けっ さえない おばさん」
と少年に見下される。しかしこれが作戦だった……。



食べて痩せよう!

0230

(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.14 2001年11月18日号)

"Tabete yase-yoh ! (meaning : Let's eat for diet !)"

Kazuo wants to eat a grand food occasionally. Miyoko thinks of something, begins "diet cooking school".

「たまにはフォアグラとかキャビアとか食べてみたいなア」
と言うかずおに、
「食べられるかも」
と、みよこ。何を思いついたのか、ダイエット料理教室というのを始めるが?



野性を生きる

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(増刊みこすり半劇場 別館 Vol.15 2001年12月15日号)

"Yasei o ikiru (meaning : Live wild nature)"

Miyoko works at a packed lunch store. Then a customer gives her a birthday present. All customers pay a tribute to her ...

 弁当屋で働いている、みよこ。すると客が誕生日のプレゼントをくれた。それも1人や2人ではなく、誰も彼もが貢いできて言う、
「結婚してください みよこさん」
みよこは困惑して……。

*これが最終回。あと一歩現実を踏み外すと『やけくそ天使』の世界へ扉が通じてしまいそうなのだけれど、微妙なバランスを保って現実的な領域内にとどまり行動しているのが主婦みよこの特徴と言えようか(それだけにかえって凄みがあったりして?)。この翌年から『あづま童話』の連載が始まっている。


あとがき日記

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(描き下ろし 2002年4月)

"Atogaki nikki (meaning : A postscript diary)"

* There is a date "2002,2,1" (February 1st, 2002) in this postscript.

「やっとクラッシュ奥さん②ができました ①が出てからかなり時間がたってます なんせ月4Pしか描いてないから」
という出だしで始まるこのあとがきには「2002,2,1」と日付が入っている。時期的には退院から3年後、21世紀に入って個人誌『産直 あづまマガジン 』の刊行が始まっていた頃になるようだ。
 創作者としての苦悩の日々が続いていたことがうかがえるが、自分の分身との対話というこの形式は、『失踪日記』p.75にある内省のくだりを連想させられる。やはり創作とは、孤独で厳しい日々を戦い生きることなんだろうか。
 そしてこの3年後、かの『失踪日記』が世に問われ、作者の人生には再び劇的な一大転機が訪れるのだった。

(単行本『クラッシュ奥さん②』は、ここで終わっている。)





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