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29 アニマル・カンパニー/人間失格

I'll introduce you Hideo Azuma's some series that were run in a magazine for adults. "Animal company" is one of comparatively early works.

はじめに

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 このカテゴリでは、青年誌で発表された作品のうち比較的に初期のものとして、『アニマル・カンパニー』と『人間失格』の2つをそれぞれ単行本から紹介したい(画像はそれらの表紙)。「比較的に初期」という点は、ここで二重の意味を持つ。作者にとって青年誌での執筆が少しずつ始まった頃であるという事と同時に、発表の舞台である"青年マンガ雑誌"がこの頃はまだ黎明(れいめい)期にあったのではと考えられそうだからだ。
 青年誌全般の沿革について精密な記述ができるほどの資料や知識はおよそ僕には無いのだけれど、たとえば秋田書店「プレイコミック」は昭和43(1968)年6月号(最初は月刊誌だった)が創刊号のようで、そこへ吾妻マンガが初登場するのは1973年秋、この『アニマル・カンパニー』によってであったらしい。今でこそ青年マンガ雑誌は多くの種類が存在するものの、1970年前後にはまだその数も多くはなく、作者にとっても編集部にとっても(そしてもしかすると読者にとってさえも)「青年誌とは何なのか」という命題の答えは曖昧で、模索が続いていたのではないだろうか……? そういうある種の混沌は、作者を困惑させると同時に、実験的な試みへの挑戦意欲をも抱かせたのか、少年少女向け作品とはまた違った要素がいろいろ見出せる結果になっているようだ。
 さて、最初にここで取り上げる『アニマル・カンパニー』なのだけれど、これは、けだし吾妻マンガ作品群の中にあって最も絵が荒れているものの一つで、その点もっとも不名誉な記録にもなっているかも知れない。私的な感想を述べる事が許されるなら、もし、ずっとこの調子の絵柄だったら果たして僕は吾妻ファンになったかどうか、自分でも分からない……。が、それでも時おり美女だけはいやに丁寧に描かれていたりして、「ややっ!?」と驚かされる。

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(この辺ばかりは画像が鮮明でないと話が通じなさそうに思えるので、1葉だけ参考までに表示しておこう。)
 『アニマル・カンパニー』では主人公の名前が「股ズレ」(!)などとなってるし、もうこうなってくるとヤケクソで名付けてヤケクソで描いてたんじゃあないのか!? と本気で思ってしまうのだけれど、なぜか作画の細かい美女がちょこっと出てきたりするからややこしい。察するにこれってやはり、計算されたうえでの演出としてこういう殴り描き的な絵柄にした側面もかなりあったのではないか?

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 あまりにも端正な画風でやられると、ギャグマンガは面白おかしくなくなってしまいそうな気がする(わざとそういう手法をとる場合もあるだろうけれど)。いい加減で、馬鹿丸出しで、下らなくて、最高にどうでもいいような事を大騒ぎしていて、およそマトモじゃない判断と行動を本気でやっていて、普通なら考えもしないような奇妙奇天烈な決定をして大失敗をして大恥かいて、誰からも褒められも尊敬されもせず、絶望的にどうしようもないほどダメな、カッコ悪くてなさけない、貧乏くさくてケチでいぎたなくて、トンマで間抜けで、えっちいことばっかしやってて、全然何一つ長所が無さそうな、そういうヤツが登場してこそ、ギャグマンガは面白く楽しい場合が多いのではないかと思える。そしてそういうマンガの為には、綺麗な絵というのは殆どの場合、あまり適さないのじゃないだろうか。
 そうした点、荒れまくっているような絵柄も、この作品に関して言えば、これはこれでちゃんと合っているように僕は感じる。アマチュアとしての乏しい経験(そんなものが何かの役に立つかどうか分からないけれど)からふりかえって考えるに、自分を実際よりも利口に見せようとしたり、実力以上に絵が上手だと思われたいとか願っていたり、何かそういった虚栄心が強いと、ギャグマンガは描けないような気がする(自分がまさにそういうちっぽけなアマチュアだったのでこう思うんですが……)。馬鹿を演じるのが喜劇役者であるとすれば、雑な下手くそを演じられるのがギャグマンガ家なのかも知れない。
 「ひでェ絵だねー!」「バカだねぇ!」「くだらね~!」と読者が感じて笑えるもの、それがギャグマンガのあるべき姿なのかも知れない。読後にちょっと微笑させられる、という上品なギャグマンガも無論有意義だろう。けれど、ここではその反対をわざと試みた作者の成果を、見ることができるように僕は感じたのだけれど、さて、あなたの御感想は……?



蛮人ヒロコ

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(描き下ろし 1980年9月)

"Banjin Hiroko (meaning : Hiroko the barbarian)"

* I have already introduced this story in this Website. But, this is the first version. It is colored like an American comics (This style is unusual in Japanese comic book).

 「世紀末ヒロイック・ファンタジー 蛮人ヒロコ」という題名になっている。このサイトでも既に紹介済みだけれど、こちらが初出。画像で比較して戴ければ分かるとおり、背景やフキダシなどに製版時着色が指定されており(?)、アメリカ漫画ふうの演出がされているようだ。



いろいろ 人材 そろえてます

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(プレイコミック 1973年10月13日号)

"Iro-iro jinzai soroete-masu (meaning : We have various talented people for you)"

There is a temporary-staffing company. But this is very fishy ...

 1本の電話が入る。
「ハイ 人材銀行 アニマルカンパニー」
と電話に出たのが社長らしき男(社長自ら電話に出るほど社員は少ないワケで、しかも彼はシケモクをふかしている)。そして社員は、
「社長 ひっかかりましたね」
と一言ぬかし、殴られる。
 モデルが欲しいという注文らしいけれど、なんだ、なんだ、なんなんだこの会社は!?

*『アニマル・カンパニー』シリーズの第1話。……なのに! 背景は殆ど何も描かれておらず、たまに描いてあれば定規さえ使わないフリーハンドの線という、実に気合の入っていない作画の新連載、いやはやスゲーのなんの……。
 発表時期などにより、すごく絵が綺麗な作品(たとえば幼児向きに執筆された『おちゃめ神物語コロコロポロン』など)と、その正反対を突っ走っている作品があるのが吾妻マンガの特徴の1つのような気がするのだけれど、この『アニマル・カンパニー』は後者の極致かも……??? 読者によってはそうとうびっくりさせられそうではある。
 『アニマル・カンパニー』の連載は『ふたりと5人』と同時期で、だからか、その大人向きバージョンといった雰囲気のドタバタ喜劇になっているようだ。主人公が、憎めないケダモノ君(まさに「アニマル」カンパニー)という点でも印象が近いと思う。よって、後に独特の個性として発揮される「不条理ギャグ」の要素はまだ見られず、そのぶん、より万人向けに笑える内容といえるのではないだろうか。
 なお、この単行本では第15話が収録されていないらしいのだけれど、理由は不明。



子供の教育とくいです

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(プレイコミック 1973年10月27日号)

"Kodomo no kyohiku tokui desu (meaning : I'm good at child education)"

Matazure the staff is ordered to work as a teacher of a kindergarten. He takes little interest in it. But after all, he rushes to there for a young woman teacher ...

 幼稚園の先生がほしい、という仕事が入った。股ズレ君が行く事になるものの、気が乗らない。ガキ相手ではつまらんというワケだ。しかし先生がきっと……社長にそう言われてあっさりその気になり、幼稚園へ吹っ飛んで行ってみたら……。

*青年誌の連載だったので、少年マンガの『ふたりと5人』では不可能だったコトにまで事態が進んでおり、大人の読者にとってはギャグの電圧が高く、より笑える。しかし、女性や子供のいる前で読むのは難しいでしょう!?



野菜なんかもこなします

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(プレイコミック 1973年11月10日号)

"Yasai nanka mo konashi-masu (meaning : I can handle vegetables and so on, too)"

Mari-chan the woman colleague of Matazure, scolds him so he gets into foolish mischief. Then he is dispatched to a fruit and vegetable shop. He complains about the work, because of there is no amorous things, but ...

 バカなイタズラをしては同僚の女子社員マリちゃんに叱られている股ズレ君。そんな彼が今回派遣されたのは八百屋さんだった。イロっぽくも何ともないではないか! と腹を立てるのだったが。

*毎回、さまざまな美女が出演し、かつ、しっかりエロティックなギャグマンガとなっている。大人の男性読者にとっては、ムズカシイ事ぬきでバカ笑いできるシリーズになっている!?



哀しきタコヤキ

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(プレイコミック 1973年11月24日号)

"Kanashiki takoyaki (meaning : Sorrowful takoyaki)"

* "Takoyaki" is a type of Japanese unsweetened pancake grilled with octopus.

Matazure works alone at a street stall of takoyaki. He feels lonely, buys a comic book for girls and reads it ...

 めずらしく(?)真面目に地味に、タコヤキの屋台で働く、股ズレ君。独り寒風にさらされているうち、もの哀しくなってきた。そこで(なぜか)少女マンガ雑誌を買って読むのだったが……?



*画像は、この回が掲載されたプレイコミックの表紙。石森章太郎による、ちょっぴりエロティックな美女のイラストが数年間にわたってこの雑誌の「顔」となり、本誌を世に知らしめていたようだ。表紙に吾妻ひでおの名前はまだ書かれておらず、青年誌の世界では当時、「新人」の地位にあったことがうかがえる(?)。



いこいのひと時喫茶店

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(プレイコミック 1973年12月8日号)

"Ikoi no hitotoki kissaten (meaning : A coffee shop the place of recreation and relaxation)"

"Today I don't work." : Matazure says, goes to a coffee shop. A waitress is amazed by his ridiculous behavior ...

「今日は仕事しないのボク」
と喫茶店へ入る股ズレ君。しかしおかしな事のやり放題でウエイトレスにあきれられ、それでも懲りずに次々と……。
 
*冒頭「昨日と違うのボク」という台詞は、当時のCMに使われていたもののパロディかと思われる。かなり店内の広い喫茶店は、やはりかの「カトレア」がモデルか。

(注:以下は単なる思い出です)
 「カトレア」でもこのマンガ同様、モーニングはトーストとゆで玉子がついたようです。いつだったか、仕事の徹夜明けに無気力プロの一同がそろって「カトレア」に入りました。吾妻先生がゆで玉子のカラをむいてみたら、それは何だか、いやにでっかい黄身が中に入っているみたいに見えるものでした。先生はぎょっとされ、むいた玉子を皿へ置かれたので沖さんが、
「召し上がらないんですか」ときくと、
「食べないよ~!!」という御返事。
 そこで、図々しいうえに食い意地の張っていた僕がその玉子をもらいうけ、食べてみました。すると、別にそれはミュータント玉子でもなんでもなく、その黄身もなぜか普通の大きさだったのです。ひょっとしたら黄身が巨大で珍しい、お得な"当り"なのではと本気で考えて試したのですけれど(今思えば、なんという……)、中がそうだったので、
「なあんだ、残念」と惜しんだら沖さんが、君は異常なモノでなきゃ食わんのかい!? とかあきれておられました。
 もしかすると吾妻先生はあの時、"これはきっと、殆どヒヨコになりかけたのに生まれてくることが出来なかったやつが入っているに違いない"と、生物学的に推理されたのかも知れませんね。しかし、もしもそれが的中していたら、スゲェ思い出になっていたんだろうなあ、これ……。



なぜなぜどうして

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(プレイコミック 1973年12月22日号)

"Naze naze dohshite (meaning : Why, why, why ?)"

Matazure buys a ticket from a ticket machine of the train station. He begins to think why it operates, to mind everything gradually ...

 駅の券売機で、切符を買う股ズレ君。
「ボタン押す 切符出る ナゼでしょう」
そんな事を考え始めたら、なんだかあれもこれも、「ナゼ」なのか気になりだして……。

*エロティックなギャグもあるのだけれど、今回はどちらかと言えばシュールな場面が次々と出てくる、予測不可能型の不可思議ギャグマンガになっているようだ。

(注:以下は単なる思い出です)
 冒頭の券売機はもしかすると、当時の大泉学園駅のそれがモデルなのかも知れません。
 たぶん1977年頃の昼間のことでしたが、沖さんと僕がその券売機で切符を買おうとしたら、まだ10歳に満たないくらいの女の子が券売機の前に1人で立っていて、
「あれぇ、へんなの~?」
と不思議がっていました。どうしたの? ときいてみたら、**円のところに電気がついてる、と言うのです。
「そこ押してごらん」
と言うと、その子は押し、切符が出てきたので、
「ね、それでいいんだよ」と言ったら、
「ちがうの、○○円のキップがほしいの」
と言うので沖さんも僕もガックリ、
「そ、それを最初に言わなきゃいかん……」
仕方なく僕が小銭を入れてやり直し、今度は正しい金額のキップを買えたので、女の子は喜んで改札の向こうへと消えてゆきました。"不思議の券売機のアリス"(?)にふりまわされた僕らは顔を見合わせて苦笑し、
「失敗でした」と僕が自分のそそっかしさを嘆いたら沖さんが、
「ありゃあ彼女が悪いんだ」と笑っておられました。
 で、その時買ってしまった"いらないキップ"なのですけれど、確か、駅員さんに事情を話して払い戻しを受けるとかいったことはせず、使いみちも無いだろうに「おみやげ」として、その女の子に持ち帰らせた記憶があります……やっぱり最後までそそっかしかったようで。



年の始めの馬回し

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(プレイコミック 1974年1月12日号)

"Toshi no hajime no uma-mawashi (meaning : Uma-mawashi in the beginning of a year)"

* There is a "saru-mawashi" in Japanese customs, truly. It means, a showman who trains saru ( = monkeys) to do tricks. But "uma( = a horse)-mawashi" is not an actual profession.

Matazure works as "uma-mawashi", likes door-to-door selling, with his horse.

 ちまたは正月。
「えー おめでとうござい」
と家の玄関に現れた股ズレ君は、
「アニマルカンパニー 馬まわしでございます」
と名乗る。これを出迎えた晴れ着姿の主婦は、
「!?」
と驚くが、
「わりと二枚目の馬ね 主人は年始まわりだし たいくつだからやって!」
と喜ぶ。しかし……。

*下ネタ大爆発、これは笑えます。



やっとセーラ服

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(プレイコミック 1974年1月26日号)

"Yatto sehra-fuku (meaning : At last, a sailor blouse)"

* Some of Japanese schoolgirls wear uniform resembling a sailor blouse.

Matazure works as a private teacher for a junior high school student girl, but ...

 家庭教師として、1人の女学生を教えることになった股ズレ君。部屋へ通されてみると彼女・勝美は、セーラー服姿で勉強中だった。それを見たとたん、
「青い果実~~」
と喜んで、さっそく変調し始めてしまう股ズレ君は、
「今年 高校受験ですのでひとつキビシク」
と母親から頼まれても全く聞こえていない様子で……。

*劇中の歌は、「あっなった~~が望むなら」が山口百恵(1973年『青い果実』)、「アルプスの少女~~」が麻丘めぐみ(同年『アルプスの少女』)か。『ふたりと5人』でデビューしたらしいポルノ虫がゲスト出演している。



婦人警官も好き

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(プレイコミック 1974年2月9日号)

"Fujin-keikan mo suki (meaning : I like a police-woman, too)"

Matazure is scolded for going across a roadway. He makes an apology in tears, but runs wild when he know the genius behind the voice is a beautiful police-woman ...

「そこの人! 横断歩道をわたりなさい!!」
と叱られた股ズレ君。泣いて謝る彼だったが、声の主はきれいな婦人警官だったと分かるや、思考はどんどん暴走してしまい……。

*主人公がモテるかどうかは不明だが、ひょっとすると女にはかなり慣れているツワモノなのかも知れない? とにかくその積極的な突撃精神だけは見習う価値がある……だろうか???



アルプスの少年とか少女とか

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(プレイコミック 1974年2月23日号)

"Arupusu no shohnen toka shojo toka (meaning : Boy, girl and so on of the Alps)"

Matazure knows the hour on the road at night, to be confused because he is going to miss his favorite television program. At last he dashes into a house of a complete stranger ...

 夜の戸外を歩いていた股ズレ君は、ふと時計を見、午後7時30分と気付く。
「し しまった 今日は日曜日だった ハイジ ハイジを見逃してしまう!」
 慌てふためく彼はテレビを探して走り回り、とうとう、何の面識も無い他人の家へ飛び込んで……。

*腕時計が105円で買えるようになった現在ではあまり見かけないが、この当時には街頭のあちこちに、アナログないしデジタル表示の大きな時計が存在した。股ズレ君が狼狽しているのは、この頃の一般家庭にはTV番組を録画保存する手段がまず何も無かったせいもあるだろう。劇中に言及されている番組でハイジを演じた女優の杉山佳寿子は、『おちゃめ神物語コロコロポロン』にアトランタ役で出演している。

(注:以下は単なる思い出です)
 『アルプスの少女ハイジ』の裏番組だったのが(関東では)『宇宙戦艦ヤマト』。沖由佳雄さんはこちらを最初から観ておられたのか、その再放送が行われると知るや僕に、是非観なさいと薦めて下さいました。最初の放送で視聴率的に苦しかった理由について沖さんは「ハイジじゃ強敵すぎたんだよ~~」と分析、嘆いておられたのを覚えています。はたして沖さんの鑑識眼は正しく、『宇宙戦艦ヤマト』は再放送以降に人気が出てきて、のちに空前の大ヒットを記録することになったのでした。



とべ!ウロン

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(プレイコミック 1974年3月9日号)

"Tobe ! Uron (meaning : Fly ! The suspicious-looking)"

Matazure works at a stand-up Japanese noodle shop with his female colleague, but ...

 同僚である女子社員と2人で、立ち食いソバ屋へ働きに行く股ズレ君。しかし何かというとすぐヘンな事を考えては実行してしまう彼のこと、やっぱりここでも……。

*日本のファストフードとして伝統的に社会に定着していた「立ち食いソバ屋」はこの頃、おそらく現在よりも多くの店舗があちこちに存在したのではないかと思われる(日本マクドナルドによるハンバーガー屋がオープンしたのは1971年になってからだったようだ)。
 「ウロン」という呼び名は最後のコマに出てくるが、なぜこう言っているのかよく分からない。途中から幻想的(?)な展開になるのを「胡乱(うろん=あやしい、うさんくさい)」なものとし、それをウドンにひっかけている? ただ、九州の博多では、「うどん」を「うろん」とも呼ぶらしいのだが。



病は薬から

014

(プレイコミック 1974年3月23日号)

"Yamai wa kusuri kara (meaning : Medicine causes sickness)"

Today Matazure works at a pharmacy with his female colleague. He takes liberties not only with her but also with female client ...

 再び女子社員とコンビで働いている股ズレ。薬局での店番なのだが、あいも変わらずのムチャクチャ。犠牲者は同僚のみならず、とうとうお客までが……。

*次から次へと奇行をやってのける主人公に笑わされる。第1話で「マリちゃん」と呼ばれていた女子社員の名前が今回「真理ちゃん」となっている。「ギブアップ」というのはプロレスの試合では、「降参、負けを認める」という意味の言葉。



三島先生またどうぞ

015

(プレイコミック 1974年4月13日号)

"Mishima sensei mata dohzo (meaning : Please come again, Mr.Mishima)"

One morning, Matazure becomes aware of that he has almost no money. So that he plots to be treated a breakfast at the neighborhood.

 ある朝、主人公が目覚めてみると、自分の所持金がたった50円である事に気付いた。苦肉の策として股ズレは、朝食をご近所でご馳走になろうとたくらみ、行動を開始するが。

*ここでついに「アグネス」登場。しかし彼女は後の『やけくそ天使』シリーズで、もっと徹底的に話題にされるようになる。劇中のTV番組は「ママとあそぼう!ピンポンパン」の「ピンポンパン体操」か。この体操は『きまぐれ悟空』でもちょっと台詞に登場している。



こわいマンガじゃ

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(プレイコミック 1974年4月27日号)

"Kowai manga jya (meaning : Dreadful comics)"

Matazure and Mari-chan clean at a park. She is amazed at the way he works. Presently they find a woman who is hanging herself !

 真理ちゃんとコンビで、公園のそうじをしている股ズレ君。しかし缶コーラの残りを飲むわ、シケモクを集めて吸おうとするわで、真理ちゃんに呆れられる。そんな2人はなんと、首をつっている最中(!)の女性に出くわして……。

*トビラ絵と内容がまるっきり一致してない! そ、それにしてもここまで読んで気付いたけれど、主人公の独特な目つきは、のちに他シリーズで登場する「ナハハ」の原型なのではといった印象がある?



ストイシズムのセールスマン

017

(プレイコミック 1974年5月25日号)

"Stoishizumu no sehrusuman (meaning : A salesman of Stoicism)"

Mari-chan and Matazure work in door-to-door selling of cosmetics. They are not doing much business, but Matazure's plan is successful at last, Mari-chan is surprised.

 化粧品のセールスマンをして家々を回る、真理ちゃんと股ズレ君。さっぱり売れなかったが、股ズレのアイディアでついに売れ、真理ちゃんは驚く。しかしその成功にはワケがあって……。

*今回ついに真理ちゃんの濡れ場があるが、それさえも単なるサービスではなく、先の展開にちゃんと活かされている。おみごと。
(この回の前に第15話(プレイコミック 1974年5月11日号)が存在するらしいが、単行本ではなぜか収録されていないようだ。)



ひどいマンガじゃ

018

(プレイコミック 1974年6月8日号)

"Hidoi manga ja (meaning : Bad comics)"

Matazure inquires after his female colleague who catchs a cold at her house. But he behaves strangely ...

 同僚の女子社員が風邪をひいたというので、見舞いに来た股ズレ君。が、おかしなコトばかりするのでケリを食わされる。しかしそれでもくじけず、ますます「見舞い」はエスカレートしていって……。

*やってる事がアレなせいか、どことなく『ふたりと5人』の主人公・おさむに、ところどころ股ズレ君の顔が似てきているコマがある?



終ってよかった

019

(プレイコミック 1974年6月22日号)

"Owatte yokatta (meaning : I'm so glad it ended)"

Matazure is in a commuter train in the morning. He looks sleepy, begins to brush his teeth ...

 朝の通勤列車の中、眠そうにしている股ズレ君の姿がある。
「とにかく歯でもみがこっと」
 家ですませてこなかったのか、彼は歯磨きを開始して……。

*これが最終回。ムチャクチャな終わり方は、この後に連載開始した『ゴタゴタマンション』、さらには『やけくそ天使』の布石になったというべきか。(このあと1ページ、あとがき風に『日々の不安』が収録されている。)

日々の不安

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(描き下ろし 1980年9月)

"Hibi no fuan (meaning : Daily uneasiness)"

* Hideo Azuma the author imagines and to be frightened, how his daughter will react to his erotic comics when she grows up to adolescence and finds them.

 愛娘が成長して思春期を迎えた時、この単行本(『アニマル・カンパニー』)を発見されたら……と未来予測し怯える作者の苦悩(?)がつづられる。はたして現実にはどういうコトになったのやら、吾妻家のプライバシーは今も謎に包まれている。



刑事ゴロンボ

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(コミック&コミック 1974年6月26日号)

"Keiji Goronbo (meaning : Goronbo the police detective)"

A police detective in worn-out clothes, comes to the front door. A housewife who looks after the house alone, deals with him. The detective walks in there ...

* This is a parody of "Columbo" the detective story.

 主婦が独りで留守番している家の玄関に、ヨレヨレの服装をした刑事がやってきた。どうも聞き込み捜査らしいのだが、なんだか要領を得ない。やがて彼は家へ上がりこんで……。

*題名は米国TVドラマ『刑事コロンボ』(Columbo このころ日本でもNHKで放送され、大ヒットした)のパロディだろう。ただし主人公の容姿などは本作のオリジナルで、題名以外は特にパロディの要素は無いように思われる。「同じ顔かけん」と欄外に手書きされているコマがあるが、単行本化にあたって1コマだけ描き直されたのだろうか?



おひるの大捜査線

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(漫画ボン 1975年6月号)

"Ohiru no dai-sohsasen (meaning : The great investigation in the daytime)"

There is a beautiful policewoman in a uniform. She interrogates, but the way of it is ...

 「大日本狂乱警察」と表札がある。そこに、
「大変だー バラバラ事件発生~~っ!!」
と男が駆け込んで来る。報告を受けた部長は制服姿の美貌な婦警だったが、尋問の最中だった。しかしその尋問が……。

*題名は1967年の米映画『夜の大捜査線』(In the Heat of the Night)をもじっているらしい? ただし内容は別にパロディというわけではないようだ。台詞にある『刑事くん』は、1971年9月に始まり、1976年11月までシリーズが続いていた長寿番組で、健全そのもの、という内容だったと記憶する……。



非常識麻雀教室

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(トップコミック 1976年6月8日号)

"Hijohshiki mahjang kyohshitu (meaning : Absurd mah-jong class)"

4 men gather to play moh-jong game, but they start unrelated things to it, and what is worse ...

 「雀荘 かわかむり」へ集まる、4人の男たち。さて麻雀を……と思いきや、全然関係ない話題と勝負が始まる。雀荘の娘にも呆れられる彼らのクレージーな遊びぶりはやがて……。

*家庭用ゲーム機などが存在しなかったこの当時、大人が集まって遊ぶとなると、麻雀は定番の娯楽の1つだった。ために、そのルールを知っている人もたくさんいたものと思われる。
 なお、ここでも「アグネス」がちょこっと話に登場。
(単行本『アニマル・カンパニー』は、ここで終わっている。)



人間失格

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(平凡パンチ 1976年2月15日 春の増刊号)

"Ningen-shikkaku (meaning : Disqualified for a human being)"

A man who wears sunglasses, sprawls at his dirty-looking room. He falls behind in his payment for 6 months, so that a woman presses him for a house rent. Then he takes out an envelop ...

 狭苦しく、薄汚れ、おまけに何の家具も無い部屋の中央で、室内だというのにサングラスをかけた男が独り、ボロい布団に寝ている。
「ちょっとアズマさん お金できたんですか? 家賃が6か月もたまってんですからね 今日払えなきゃ出てってもらいますよ」
 大家か管理人か、やってきたエプロン姿の若い女にそう言われ、男は封筒を取り出すけれど……。

*ご存知の通り太宰治の小説に同じ題名のものがある(その主人公はマンガ家!)のだが、特にパロディというわけではないだろう(?)。徹底的にカッコ悪い男の、奇妙で孤独な経験が展開してゆく。とはいえ作者は太宰治が好きで、評伝をいつか描きたく願っているという趣旨の発言が単行本『エイリアン永理』のあとがきにあるので、ヒントにはなっているのかも知れない。なお主人公「アズマ」は、この単行本『人間失格』の巻末にある『連想100』では作者自画像(?)をつとめているようだ。
 ちなみに、掲載された「平凡パンチ」は伝説的な成人男性向け週刊誌で、増刊号とはいえここで作品を発表したということは、作者の創作史上に重要な里程標となっているのではないかと思う。



となりの女の巻

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(コミックギャング 1977年3月号)

"Tonari no onna (meaning : A neighboring woman)"

A young man becomes aware that there is a hole on a wall. He peeps into it, then ...

 おんぼろアパートの一室、せんべい布団に寝そべり、長髪の青年がエロ雑誌を見ている。彼がどうやら主人公・プランコ君であるらしい。ふと、壁にある穴に気付いた彼は、それを通して隣の部屋をのぞいてみるのだが。

*文学作品のパロディがあり、してみるとこのお話の全体は、アンリ・バルビュス(Henri Barbusse)の『地獄』(L’Enfer 青年が宿の壁にあった穴から隣室をのぞき、さまざまな人間模様を目撃する話)がベースになっているのだろうか? 
 この『プランコ君』について作者は『失踪日記』のp.141で、「色々実験的なことをや」(った)と回想している。性描写のみならず海外文学にひっかけたギャグがあったりする点、大人向きのシリーズになっているようだ。



定食屋の娘(おんな)の巻

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(コミックギャング 1977年4月号)

"Teishoku-ya no onna (meaning : A woman of a restaurant)"

Puranko-kun the young man has poor meal. Azuma the man who lives his next-door, treats him. They go to a small restaurant of a set meal, a lovely young woman manages it alone ...

 プランコ君の食生活があまりにもムチャクチャなので、となりの部屋に住むアズマ君が見るに見かねて、
「めしおごってやるから来い」
と誘ってくれた。2人して出かけた定食屋は、かわいい娘が1人で店を切り盛りしていて……。

*「恋なんだろうか?」
「欲求不満つーの」
などという台詞のかけあいは、いかにも若者らしく苦笑させられる。

(注:以下は単なる思い出です)
 沖由佳雄さんの下宿へお邪魔し、何度か氏と外出もしたのでしたけれど、いつだったか沖さんの下宿の近所にある定食屋へ一緒に入った事があります。当時まだ学生だった僕はカネの無いのも一因で、外食というのを殆どした経験がありませんでした。しかし沖さんは一人暮らしに慣れてきていたのか、店に入るなり全く迷わず、
「マーボー定食」
と注文されました。僕は『ふたりと5人』で「大好きなマーボードーフ」というのが"吾妻ひで子"の台詞にあったのを反射的に思い出し、
(あっ、吾妻先生の好み(?)に影響を受けてるな!?)
などと考えたのでした。僕は「マーボードーフ」というのが一体どんなものなのか実際に見たことは無かったので、沖さんの前に運ばれてきた料理をチラチラ観察(?)しました。それが僕の人生で最初に見た「マーボードーフ」だったのです(←おおげさ)。で、それがあんまり強く印象に残ったゆえか、自分はその時なにを注文して食べたのか、どうしても思い出せず、今日に至っているのであります……。



メカ・セックスの巻

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(コミックギャング 1977年5月号)

"Mecha-sekkusu (meaning : Mechanical sex)"

Puranko finds a vending machine of sex trade. He tries it as its low rates ...

 自動販売機できつねソバを買い、食べるプランコ君。そこにはなんと「新機入荷! 自動トルコ」などと書かれた販売機(?)も置いてあった。
「わりと安いからためしてみるか」
と、金を入れるのだったが……?

*24時間ないし深夜営業をしている店というものはこの当時まだ多くなかったので、いろいろな自動販売機が活躍していたと記憶する。"SF者"の作者はここに近未来の悪夢(?)の萌芽(ほうが)を見たのだろうか。
 「トルコ」というのは今現在「ソープランド」と称されている風俗店の事で、この頃にはかように呼ばれていた(トルコ共和国から来日していた人がこれを知って驚き、頼まれて、業界は名称を変更したようだ)。
 スタンリー。キューブリック(Stanley Kubrick)の映画『時計仕掛けのオレンジ』(A Clockwork Orange 1972年日本公開、原作:アンソニー・バージェス(Anthony Burgess))では、裸婦を模した機械から飲料を器に受けるといった場面があったように思うのだけれど、このマンガのヒントとなったかどうかは分からない。



カミナリ娘の巻

031

(コミックギャング 1977年6月号)

"Kaminari musume (meaning : The thunder woman)"

Puranko stares at a television. To tell the truth, the power is not on (because he can't pay rate of electricity). He flies a kite in the rain ...

「雨ばっかしで退屈だなー プランコいるか」
とアズマ君が部屋へ入ったら、当のプランコ君は何も映っていないTVの前でじっとしている。
「お前んとこテレビうつるんか 電気止められとるくせに」
とアズマ君は苦笑するが、なぜかこの雨空に、タコをあげてあって……。

*(注:以下は単なる思い出です)
 カミナリ娘の台詞に、
「今度は鶴光の家に落してやろう」
とありますけれど、これは落語家・笑福亭鶴光を指しているようです。なぜ鶴光かというと、このころ無気力プロでは仕事中に深夜放送のラジオをつけっ放しにしており、それらの番組でディスクジョッキー(当時はそう呼ぶのが一般的だった)をつとめていた1人が鶴光だったからではないかと思われます。
 いつだったか、お手伝いさせて戴きに行った時にも鶴光の番組が流れていました。そのコーナーの1つに、視聴者からのハガキを選んでスタジオから電話をかけ、もし眠らずに起きて番組を聴いていたらその日の合言葉を言い、クイズに答えるというのがありまして(歌謡曲のイントロを一瞬だけ聴き、その曲名を当てられたら賞金をもらえる)、鶴光と女性アシスタントが電話したら、相手は電話口に出たものの、ひどく眠そうです。
「完全に寝とったな」
と鶴光がガッカリし、
「ハガキ出したやろ!?」
と念を押し、相手の名前(**秀樹)を確認しました。すると、
「……? 僕は西城ですけど?」
という返事。なんと歌手である西城秀樹が眠っているところへ真夜中に電話をし、たたき起こしてしまったのでした。
 スタジオの鶴光と女性アシスタントはびっくりしていましたが、これを聴いていた吾妻先生も僕らも驚き、みんなで笑ってしまいました。結局、西城秀樹は怒りもせず、あえてクイズに挑戦し、おまけにちゃんと正解。さすがにプロの歌手だなあと感心した記憶があります(今にして思うとイタズラ投書によって起きた事件ではなく、演出だったのかも知れない?)。
 なお、無気力プロでは他に、タモリの番組も聴いていました。一時期は吾妻先生が気に入っておられたのかコピー新聞「アリス」のインタビューで、好きなのは「タモリ聴く事」と答えておられたようですが、のちの号で「ラジオはタモリよりやっぱ鶴光とのこと」という一文があったようです。当時のタモリは片目だけの眼帯をし、「ハナモゲラ語」や数ヶ国語マージャン大会など前衛的なギャグをTV番組『モンティ・パイソン』(Monty Python's Flying Circus)などで披露していたと思うのですけれど、それらの芸が吾妻マンガへ何かしらの影響を与えたかどうかは良く分かりません……。



恋がいっぱいシンデレラの巻

032

(コミックギャング 1977年7月号)

"Koi ga ippai Shinderera (meaning : There is a lot of love, Cinderella)"

Azuma and Puranko drink a cup of beer. They want something to go with a drink. So they go to a park at night ...

 アズマ君が部屋で1人ビールを飲んでいると、それに気付いたプランコ君がコップ持参でやって来た。しかし酒の肴が何か欲しい。かくて2人は夜の公園へ出かけ……。

026a

*「ネリワサビつけて」
「あとオショー油」
というやりとりがありますけれど、この単行本『人間失格』で巻頭口絵に収録されているイラストを使った月刊OUT(1978年8月号)の表紙を見て沖さんが吾妻先生に、
「ワサビ醤油ってところが芸が細かいですねえ」
と感想を述べておられたのを覚えています。僕はこの絵では、後方左側に泳いでいる「超人ロック」のほうへ目が行っていたのですけれど、「ロック」のファンでもあった沖さんがその事よりも、そうした細部の描き込みに注目されたのがちょっと意外でした。吾妻マンガにグルメなこだわりが散見されるのに僕が気付くのはずっと後になってからなのですが、無気力プロで直接、吾妻先生に師事していた沖さんは、もうこの時にいち早くそれを見抜いていたのかも知れません。



Oh!!ゆ~れい娘の巻

033

(コミックギャング 1977年8月号)

"Oh! Yuhrei-musume (meaning : Oh! Ghost-girl)"

Pranko is surprised when he hears woman's voice from Azuma's room. He goes there, finds that Azuma is frightened by a woman. Pranko pushes down her, but she has no legs ...

* Many Japanese people imagine the ghost that has no legs.

「めづらしく吾妻の部屋から女の声!」
と驚いたプランコ君が部屋へ入ってみたら、そこには怯える吾妻くんと、女が1人。プランコ君はすかさず女を押し倒す。が、彼女には足が無かった……!



氷娘がナイチッチの巻

034

(コミックギャング 1977年9月号)

"Kohri-musume ga naichitchi (meaning : Ice-girl cries)"

Pranko is in the business of a shaved ice. When a young woman comes into his store, she can enjoy the cool air. But ...

 なぜか氷屋を始めたプランコ君たち。
「開店大サービス中ですよ」
と言われ、暑さにまいっていた若い娘は店に入る。確かに店内はすごく涼しかった。しかし全てはウラがあって……。

*書き文字の「しゃっこい~」というのは北海道の方言であるらしい。アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Miller Hemingway)『キリマンジェロの雪』(The Snows of Kilimanjaro)がパロディのネタにされている(こうした点、如何にも大人向けギャグというべきか)。



七人の小人娘

035

(コミックギャング 1977年10月号)

"Shichi-nin no kobito-musume (meaning : 7 dwarf girls)"

A man comes to Puranko's room to collect rent. To his surprise, Pranko disguises himself as a woman, and welcomes him. After all, Pranko is demanded to leave the room ...

「プランコさん 部屋代もらいに来ました」
と言われ、女装してこれを出迎えるという奇策を用いたが、
「明日までに払ってくれなきゃ出てもらいます」
という返事。はてさて、どうしたものやら……?

*なぜか今回からサブタイトルに「……の巻」という表記が付かなくなっている。



無題

036

(コミックギャング 1977年11月号)

"Mudai (meaning : No title)"

Puranko invites a girl who takes shelter from the rain, under his umbrella, at a train station. It looks lyric, but ...

 雨の降る中、プランコ君は駅前で、雨宿りしていた1人の娘を傘に入れてやる。なんとも叙情的な展開になる2人だったのだが。

*いかにもマンガらしい(?)、実験的なギャグ。



よい子の童話

037

(コミックギャング 1977年12月号)

"Yoiko no dohwa (meaning : A fairy tale for good child)"

Pranko hungers and tries to eat his foodstuffs, but it was eaten up by rats already. He gets his revenge on them ...

 空腹を感じたプランコ君が「かっぷらーめん」を食おうとしたら、ネズミに食われてしまっているのを発見する。かくて彼はネズミに報復を試みて……。

*可愛らしい絵柄と語り口調、そしてそれらと全く正反対に残酷で倒錯した内容、という対比による強調を手法として用いたブラックなギャグ。タイトル部分以外は全てのコマを同じ大きさにするなど、視覚上の実験も行なわれている。「天使のはらわた」というのは石井隆による劇画(1977年発表、翌年には映画化された)の題名。



チマチマまんぐわ!!

038

(コミックギャング 1978年1月号)

"Chima-chima manguwa (meaning : A minute comic)"

The globe explodes all of a sudden, an apartment house where Pranko resides is blown away to outer space. Will he be saved, and mankind !?

 いきなり地球が爆発し、プランコ君の住むアパートは宇宙へ飛ばされてしまった。彼らは助かるのか? そして地球人類の運命は!?

*1ページ最高36コマも詰め込んで、何ともヘンなマンガになっている。しょーもない行動をする主人公たちに笑わされるが、ちゃんと物語としての起承転結もあり、冒頭に出てくる地球の爆発がなぜ起きたかという説明の種明かしも結末になされ、かつ意外な方法でこれに立ち向かいめでたく解決(?)している。バカ笑いしてしまう一方で、きちんと構成されている点に感心もさせられる。大変良く出来た一品なのではないだろうか。
 「真空切り」というのは『赤胴鈴之助』(1954~)に出てくる技の名称。



ファンタジア

039

(コミックギャング 1978年2月号)

"Fantajia (meaning : Fantasia)"

Pranko evacuates the bowels at a bathroom, but his pooh runs away likes a living thing. He chases and drives it into a corner, then ...

 トイレへ入ったプランコ君。ウ~ンと出したら、それはなぜか生物のように動き、逃げ出した。慌てて追いかけるのだったが、逃げ場を失ったそれは、何と……。

*台詞の全く無いサイレントまんが。最もイヤなものが、最もイイものへと姿を変えた時、人はどのように反応するかという、哲学的な人間描写になっている!?



夜がまたくる

040

(コミックギャング 1978年3月号)

"Yoru ga mata kuru (meaning : Night falls again)"

Pranko finds a signboard of cabaret at a corridor of an apartment house where he lives. His neighbor calls to him as a barker ...

 共同トイレから出てきたプランコ君は、廊下を歩いていて「キャバレー 3号室」という看板を見つける。
「どーゆーアパートなんだここは………」
と驚いていたら声をかけられた、
「プランコさん およりになりませんか 同じアパートのよしみで安くしときますから」
というわけで店(?)へ引き込まれ……。

*サブタイトルは小林旭の『さすらい』という曲の歌詞からきているものと思われる。
 『まんが王』以外にも、吾妻ひでおは友人である「きくちゆきみ」(『失踪日記』p.127などで登場)と同じ雑誌で執筆・発表した事があり、僕の覚えているところがもし正しければ、きくちゆきみは以下のような物語を描いていた(おそらくこれは、週刊少年チャンピオンで1972年3月の12号から連載開始した「ファイティング凡太」のエピソード)。

 ……ボクシングジムで、洗濯などの下働きを独りで引き受けている、坊主頭の主人公。彼は陽気な男で、嫌な顔一つせずに命じられた事をこなす。が、同じ修行中の身でも彼とは対照的に、粗暴で尊大な若者が同じジムにはいた。心優しい主人公をさえ「ふんどしかつぎ」と呼んでバカにし、誰とも打ち解けようとしない。
 実は彼は、家庭が恵まれない環境にあり、家族のためにボクシングで成功し金を稼ぐ必要があったのである。主人公の親切さは、すさんだ彼の心をやわらげてゆく。励まされても相変わらず、
「うるせえぞ ふんどしかつぎ!」
と憎まれ口をたたきはするが、笑顔で返答してくるまでになった。
「ハハハ あいつ 根はいいやつだな」
と主人公は安堵する。
 しかし運命の暗転する日が来た。真面目に練習していたのに、若者はジムにいられなくなる。歳をごまかしていた、というのがその理由だった。主人公は驚き、
「先輩 歳のことくらい 何とかならないんですか?」
と問うのだが、
「年少者のボクシングは法律で禁じられている!」
というのがジム側の返事だった。
 後日、主人公は路上で、ひねくれ者だったあの若者が、不良たちを引き連れて歩いているのを見つけ、立ち直らせようとして声をかける。しかし若者は拒んで言う、
「おめえは練習にはげんでりゃいいんだ オレの分もよ……」
そうつぶやく彼の目には涙が光っていたが、主人公にはどうしてやる事も出来ない。若者は不良たちと共に去って行き、歌を口ずさむ、
「よるがまたくる」
と……。

 哀しみを含んだ余韻を残して幕になるのは、「きくちゆきみ」の作風にある特徴のひとつだったのかも知れない。いい味を出しているギャグドラマを描ける人だったのではと思うのだけれど、『逃亡日記』によればペンを折ってしまったらしい。大変残念な事ではある。



不幸な王子

041

(コミックギャング 1978年4月号)

"Fukoh na ohji (meaning : The unhappy prince)"

* This is a parody of Wilde's "The Happy Prince".

「町の空高く 高い円柱の上に 不幸な王子の像が立っていました」
 その王子は、通りかかった一匹のつばめに頼み事をして……。

*言わずもがな、オスカー・ワイルド(Oscar Fingal O’Flaherty Wills Wilde)『幸福な王子』(The Happy Prince)のパロディ。



神様もつらいが人間もつらい

042

(コミックギャング 1978年5月号)

"Kamisama mo tsurai ga ningen mo tsurai (meaning : God is in a difficult position, so human being is)"

There is a god who looks exactly like Azuma. Then a man who looks just like Puranko. He seems want to ask a god a favor ...

「神様ってすんごくいいんでないかい」
と北海道弁で独りごちる神様(アズマ君)がいた。そこへ人間(プランコ君)がやって来る。どうも頼み事があるらしいのだけれど?



にきびがわななく

043

(コミックギャング 1978年6月号)

"Nikibi ga wananaku (meaning : A pimple trembles)"

Pranko is sick in bed.
"Do you catch a cold ?" : Azuma inquires after him, and watches his forehead. Then ... !

 何やら寝込んでしまい、プランコ君が苦しんでいる。
「カゼでもひいたのか」
とアズマ君が部屋へ入ってみれば、プランコ君の額には……!
「大きいニキビができたなーと思ったら こんなんなっちゃって」
と言うのだが?

*松浦理英子『親指Pの修行時代』が発表されたのは1991年、よって、別にそのパロディとかではない。



乱れスライム

044

(コミックギャング 1978年7月号)

"Midare suraimu (meaning : A disordered slime)"

One morning, when Pranko gets up, he finds his body has changed absurdly, likes a clay ...

 ある朝起きてみたら、プランコ君の肉体は「不条理」に変化していた。頭のてっぺん以外は殆ど形が定まらず、まるで粘土みたいなのだが……?

*ここで「スライム」というのは、けだし玩具(この年にツクダオリジナルから発売されたらしい)のそれを念頭においているものと思われる。



四畳半の地平線

045

(コミックギャング 1978年8月号)

"Yojoh-han no chiheisen (meaning : The horizon of a 4.5-mat room)"

Pranko acts as if he is in a very small room. Azuma sits vacantly next to him, but, to tell the truth, they are ...

 カップラーメンをすすり、寝そべってタバコをふかし、本を見ながら××××しているプランコ君。その隣にはアズマ君がいてぼんやりしているのだったが、実は彼ら2人がいる場所はというと……。

*これがシリーズ最終回。やっぱりSF(?)に落ち着くというあたり、吾妻マンガの宿命というべきか!? 台詞にある『ミュータントサブ』は石森章太郎によるマンガ(1965~66)の題名、『妖怪人間ベム』はTVアニメ(1968~69)のそれである。ウスラバカゲロウというのは、ウスバカゲロウのもじりだろう。
 部屋代の集金に現れる人物の顔は前回出演の時と異なるが、これはプランコ君たちが以前いたアパートをおん出されたゆえと見るべきか。しかし彼らのことだ、どこへ行ってもたくましく生き抜いてゆけるだろう。



スワンちゃん

046

(平凡パンチ 1975年12月10日 冬の増刊号)

"Swan-chan (meaning : Ms.Swan)"

There is a beautiful woman by the name of Swan. She is so lustful that nobody can satisfy her. Presently a handsome young man gets lost in her wood ...

 「ウフーンの森」で、ゴリラ(?)と、全裸の美女があれの真っ最中。美女の名はスワンちゃん、相手の動物たちは次々と交代するのだが、彼女を満足させてくれるものはいない。と、そこへ1人の美青年が森へ迷い込んで来て……。

*西洋おとぎ話ふうの艶笑マンガ。「ウフーンの森」というのは『ウィーンの森(の物語)』(Geschichten Aus Dem Wiener Wald ヨハン・シュトラウス(Johann Straus II))にひっかけている? 『あしたのジョー』(1967~73)、『クレクレタコラ』(1973~74)など当時のTV番組をネタにした台詞がある。「新大久保」は東京都新宿区に実在するJR(この時はまだ国鉄だったが)の駅名。「グ」というのは桂三枝が("good"の意味で)やっていた仕草からか。



タバコを買いに

047

(ビッグコミック 1975年1月15日 増刊号)

"Tabako o kai-ni (meaning : Go out to buy cigarette)"

A man who lives alone, becomes aware of that he has no cigarette. So he goes out to buy it from a vending machine at midnight. But he happens to meet strange fellow one after another ...

「チェッ タバコがきれた」
 何の家具も無い6畳の部屋で、ボロ布団に寝そべっていた主人公はひとりごちる。しかたなく、彼はタバコを買いに夜の戸外へ。しかしそんな彼の前には、次から次へと怪しいやつらが現れて……。

*誰もが夜更かしする世の中になった(?)が、このころにはまだ、夜になると都会でも殆どの人たちは寝静まってしまい、戸外に人けは無かった。そんな夜の町は、いろいろな空想を引き起こす独特なものを持っていたようだ。



我、マンションに赴く

048

(プレイコミック 1974年7月13日号)

"Ware, manshon ni omomuku (meaning : I, leave for an apartment)"

A young man, Waruyoi, has inherited a dilapidated apartment from his father. He tries to collect rents from difficult tenants ...

 崩壊寸前といった外観の建物を前にして、
「ひでえアパートだなあ……」
と1人の若者がつぶやく。実は彼、「悪酔」くんは、父からひきついでここの大家になったのだった。タチの悪い店子(たなこ)から、何とかして家賃をもらおうとするのだが……?

*『ゴタゴタマンション』第1回。貧乏な下宿人ではなくて大家のほうが主人公(?)というのは、吾妻マンガではこのシリーズが唯一の作品かと思われる。連載発表されたのは『アニマル・カンパニー』の後、『やけくそ天使』の前になり、そのへんから考えると「青年誌なのだから主人公は読者に近い"青年"」といった雑誌編集上の定石(?)は、このシリーズあたりでいったん終息しつつあったかに見える。男が読むマンガでも主人公は女、という様式は吾妻マンガの場合、少年マンガだった『セクシー亜衣』(1974)が、青年マンガの『やけくそ天使』(1975~80)に先んじているようだ。
 「悪酔(わるよい?)」くんはずっと白目なのだが、これは『二日酔いダンディー』の主人公にも通じ、かつ酒がらみな名前からしても、ひょっとすると彼らは遠縁にあるのだろうか?

(注:以下は単なる思い出です)
 COPY新聞の『アリス』は「不滅のキャラクター特集」といった記事を載せた事があるのですけれど、吾妻先生がその原稿を執筆していた時だかに、先生のお友達のどなたかが来ておられたらしいのです。その場に居合わせた沖由佳雄さんが後日教えて下さったところでは、ダンディーの説明に「黒目が無いので表情がむつかしい」と書いてあるのを読んでその人は、
「表情なんかありゃしねぇじゃねえか!」
と吾妻先生に言っておられたそうで。
「先生の友達はコワイ」
と沖さんが苦笑しておられたのを覚えています。
 友人たちから歯に衣着せぬキツーい事を言われる、というのは吾妻マンガで時々描かれるシチュエーション(状況)のように思えます。吾妻先生にとってそうした経験がトラウマ(心の傷)になっている部分があるのか、それとも自分を鍛え上げてくれた貴重な財産となっているのかは知る由もありません。ともあれ、そういう同志たちと生きた若い日々はきっと、吾妻先生にとって青春の思い出になっているのでしょうね。



我、入居者を求む

049

(プレイコミック 1974年7月27日号)

"Ware, newkyosha o motomu (meaning : I, recruit new tenant)"

One day, a young beautiful woman comes to see Waruyoi. She seems want to rent a room.

「大家さん ここかしら?」
 悪酔くんのもとへ若い美女がたずねてきた。
「部屋あいてたらお借りしたいんですけど」
 やっとまともな入居者が現れたと悪酔くんは大喜びするが。

*このシリーズで登場する「三蔵」は、『きまぐれ悟空』でレギュラー出演していた時からほぼそのままの容姿で、頭に冠が無い点をのぞけば、非常に良く似たオッサンとなっている。また「無気味」(ここではまだ「不」気味という表記ではない)もこのシリーズで毎回登場するようになるのだけれど、まさか彼らがのちに有名(?)になり、吾妻ギャグの"顔"となる日が来ようなどとは、このころ誰が予測していただろう……?
(このあとに第3話が、プレイコミック1974年8月10日号に発表されたようなのだが、この単行本では未収録となっている。)



我ら、少女を愛す

050

(プレイコミック 1974年8月24日号)

"Warera, shohjo o aisu(meaning : We, love the girl)"

Waruyoi and tenants come to a park. Presently they find ...

 公園へやってきた、悪酔くんと店子たち。顔ぶれが顔ぶれなものだから、リフレッシュのための散策とはならない。そんな彼らが公園で出くわしたのは……。

*無気味くんが何とも浮世離れした服で出てくるけれど、こうした格好はのち、"ロボット・ブキミ"にも引き継がれ、やがて襤褸(らんる)の如き装束にまでなってゆく。吾妻マンガのキャラクターが独特のコスチュームをあてがわれている例は多くはないのではと思うのだが、彼は珍しい例外と言えようか?
 舞台となっている「石神井こーえん」は、東京都練馬区に実在する「石神井(しゃくじい)公園」がモデルか。手書き文字にある「淳子ちゃ~ん」というのは歌手の桜田淳子のことらしい(『花物語』という歌の冒頭に「この花は私です」という台詞がある)。



我ら、夏をゆく

051

(プレイコミック 1974年9月14日号)

"Warera, natsu o yuku (meaning : We, live through summer)"

Azuma gets upset when he becomes aware of that his flesh is going to rot in terrible heat. He rushes into other's house to cool. There is a beautiful woman who lives alone ...

 あまりの暑さに××××がくさりかけてる、と気付いたアズマくんは大慌て、冷却のため、他人の家へあがりこむ。そこの住人は独り暮らしをしているらしい美女だった……。

*扇風機が登場するが、このころはまだ第一線で活躍する夏の家電の代表格だったようだ。台詞にある「六本木(ろっぽんぎ)」は、東京都港区に実在する地名および駅名。
(このあと第6話、第7話、第8話が発表されているのだが、この単行本では未収録となっているようだ。)



我ら、敗北す

052

(プレイコミック 1974年11月9日号)

"Warera, haiboku-su (meaning : We, are defeated)"

A beautiful refined young woman comes to Waruyoi's apartment. It seems that she wants to rent a room, but she looks innocent and knows nothing of the world. All men conspire with great pleasure.

 上品ないでたちの美女が、悪酔くんのマンションへやってきた。部屋を借りたいらしいのだけれど、ひどく世間知らずでウブな様子。男どもは大喜びで悪巧みを始める。はたして美女の運命は!?

*この回あたりで悪酔くんは、もはや大家というよりも、すっかり住人の一味として溶け込んでしまっているようだ。



我ら、買物す

053

(プレイコミック 1974年11月23日号)

"Warera, kaimono-su (meaning : We, do the shopping)"

4 men go to a shopping district. They are to buy something for their supper, but they are apt to do things that have nothing to do with it ...

「さーて バンめしのおかず何にするかなー」
と、アズマくんに率いられて(?)、男たち4人組が商店街を行く。しかしどこの店へ入っても脱線ばかり、買い物はさっぱり進まず……。

*台詞でもし本当の事を喋っているのだとすれば、各人の出身地は以下の通りらしい。アズマ=北海道、三蔵=岩手、悪酔=九州、無気味=大泉学園(東京都練馬区)。



我ら、まーじゃんをす

054

(プレイコミック 1974年12月14日号)

"Warera, mahjang o su (meaning : We, play mah-jong)"

Waruyoi found mah-jong at a dump yard, and brought it back. His gang begin to play with it, but ...

「裏のゴミ捨て場でこんなもん拾った」
と、悪酔くんが持ってきたのはマージャンパイ。これを見た三蔵が乗り気になり、4人いるのだからマージャンをやろうという事になった。しかしパイはひどく傷んでおり、おまけに……。



我ら あっしゃー家をす

055

(プレイコミック 1974年12月28日号)

"Warera Asshar-ke o su (meaning : We follow the Ushers)"

Waruyoi has a cold winter. But there is no heater in his apartment. He and his gang try to warm themselves ...

 寒さに耐え切れず、コタツに入ろうとする悪酔くん。しかしアズマがそのコタツを質に入れてしまっていた。
「なんてことすんだー わがマンションただひとつの暖房器具を!」
と悪酔くんは怒るが、どうしようもない。なんとかして身を暖めねばと思った彼らは……。

*これが最終回。サブタイトルにあるとおり、エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)『アッシャー家の崩壊』(The Fall of the House of Usher)のパロディがあるようだ。消費者金融が普及していなかったこのころ、カネが無くなると人は物品を質屋(しちや)へ預けてカネを借りるのが一般的だったらしい。ここへきて台詞にある人名が「不気味」となっており、これ以降はこの表記が定着したのかも知れない。

巻末には、以下のページがある。
●吾妻ひでお調書(略歴や日常についての手記)1p
●吾妻ひでお作品完全リスト(デビュー作から『午後の淫荒』までの年表など)2p
●連想100(一言での質疑応答の100連発)2p
●不条理な理性(川又千秋による解説あとがき)1p
(単行本『人間失格』は、ここで終わっている。)





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