パラパラ漫画(しん・のた魚/ミャアちゃんとお風呂)

 吾妻ひでおは自費出版の同人誌により『産直あづまマガジン』等を世に送り出しているが、これはそれらの中でもたぶん前例が無い珍品で、パラパラ漫画(手描きアニメーション)になっている。


(2016年12月29日)


(2016年12月29日)

 どちらも「奥付け」が無いのだが、コミックマーケット91(東京国際展示場 (東京ビッグサイト)で2016年12月29日(木)~31日(土)に開催された同人誌即売会)において頒布(はんぷ)されたようだ。この後、復刊ドットコムで通信販売も行われ、現地へ行けなかった人でも入手が可能になった。

 サイズは両方とも約 256 × 183 mm で、138 ページから成る。あまりにも原稿枚数が多いゆえか(2つを合わせてほぼ 276 枚!)鉛筆描きのようであり、他の諸作品のようなペン入れやトーン貼りは施されていない(鉛筆描きの原稿がそのまま印刷できるようになったあたり、再現精度の向上は昔日に比して全く著しく、技術の進歩に驚かされる)。このことはまた、「生原稿の複製」としての面白さも醸(かも)しており、1枚ずつじっくり見ても楽しい。

 もしも僕の知る所が正しければ、吾妻ひでお自身によってアニメーション作画が行われるのは、『ななこSOS』第2巻(JUSTCOMIC増刊 1983年7月5日 光文社)のとじ込み付録だった描き下ろしピンナップ以来のことで、ここから起算するなら実に33年ぶりとなる。