スクラップ学園(下)

(2018年3月20日初版発行)

 *奥付けにはこう記されているけれど、実際にはもう少し早く世に出ている。
  上・下そろって版元の復刊ドットコムへ直接注文すると、特典があった。
  本のサイズはおよそ 180 × 130 mmで、360 ページ。


この下巻では、最初のシリーズが雑誌連載された時の話である『クラークは偉かった』(1981年8月27日号)から最終回『じゃあ、またね』(1983年4月28日号)までの他に、以下の作品が収録されている。

*ミャアちゃんギャラリー
*ミャアちゃん官能写真集part3
*-2001-4コマ篇
*グリーンディステニー篇
*シークレット・フィルムの巻
*ふしぎもの

『ミャアちゃんギャラリー』および『ミャアちゃん官能写真集part3』は、書籍『ミャアちゃん ラブ ワールド』(秋田書店 BEST HIT SERIES 1983年7月30日初版発行)に収録されていた作品(1冊丸ごとそのまま、というのではなく、カラー原稿だったものを主体として抜粋し、再録)。初出ではもっと版型が大きかった(およそ 295 × 210 mm)のだが、色の再現性はこちらのほうが勝っている。


また特筆すべきは、書籍で赤黒2色刷りだった「撮影日記」や「NG写真集」が今回はフルカラー印刷になっている事だろう。


とりわけ後者では、スミ塗りされている箇所が(以下自粛、現物を見ればわかります)


また、書籍では黒1色だった「氷の世界は冷たい」の冒頭4ページも今回、フルカラーで収録。

で、最終回のあと、21世紀になってからの後日談(?)が読めるようになっている。

-2001-4コマ篇

(産直 あづまマガジン 1 2001年7月)

下校し帰宅する途中なのか、ミャアちゃんは、大きな卵が地面に落ちているのに気づいて、これを拾い上げる。すると不思議なことに、卵から何か聞こえるようだ。そこで耳を近づけてみるのだったが……。4コマ漫画を複数つなげたようなオムニバス構成のお話。

*この作品が発表された同人誌(自費出版の個人誌)である『産直あづまマガジン1』は、こっそり(?)発売された創刊号だったので、年季の入った吾妻ファンでもそれが上梓(じょうし)された事を知らず、入手し損ねてしまい、ずっと読めずにいた人が沢山いるのではあるまいか? こうした事情からしても今回の収録は大変貴重であろうと思う。

グリーンディステニー篇

(産直あづまマガジン4 2004年7月)

「平和の種 いかがですか 無料です」
ミャアちゃんと中島くんの2人が並んで歩いていたら、路上で何やら配布している男がいる。並外れた度胸の持ち主であるミャアちゃんは、何のためらいも無く彼から種を受け取って、すぐさま食べるのだった。男はくわしい説明をするのだが、それによれば……。

*『スクラップ学園(上)』の巻末に収録された『著者解題』では本作品について、「絵が少し昔に戻って、ストーリーも整然としています」(p.367)と語られている。たしかに、たった10ページで物語がまとまっており、前衛的な実験は抑えられ、正攻法なつくりになっているようだ。
 この年、2004年には3月から『便利屋みみちゃん』を連載開始し、7月には『うつうつひでお日記』の執筆が開始したのだったが、そういった状況も作風に関係したのだろうか。そして翌年、2005年3月には、かの『失踪日記』が発売されている。

シークレット・フィルムの巻

この作品は旧サイトで紹介済みなので割愛。商業誌で「没」になったらしいのだが、そのゆえなのか、この作品(2003年)だけ「執筆順」にはならず収録されているようだ。

ふしぎもの

*いくつか収録されている不可思議なカットは、描き下ろしであるらしい。いずれも架空生物であろう点、歳月を経ても変わらない、作者の個性がうかがえると言うべきか。

これら2冊の書籍の予約特典は、ピンナップだった。大きさおよそ 255 × 180 mm の色紙を4枚結合したような形状で、サインに記されている日付からすると2005年に描かれたミャアちゃんである。


切り離せば4枚になるが、もったいなくて、そんなコトできない!