はじめに
(WARNING : This is a comedy for adults only)
"Yakekuso Tenshi (meaning : angel who is in her desperation)"
Heroine of this series seems a person with preternatural power, or a kind of superman. But she is not a corrupt "angel" or something. She is (was) a nurse, and nurse is commonly called "an angel in a white robe" in Japan, so that she is called "angel" in this series. Heroine's name is "Asoko (a family name) Soko (given name)". This name reminds Japanese grown-up people, of words that woman tells where is her erogenous zone in the middle of sexual intercourse. This absurd name is suitable for her very much, because the heroine leads a awful dissolute life for inquire into "freedom". (It might be next to impossible for any adult film company on this planet to make a movie of this crazy series, you bet.) Asoko the heroine wins her freedom from all authorities, all sorts of physical laws and even death ! Nevertheless, Asoko has an experience of depression for once. Did freedom have nothing to do with happiness for her ...... ?
And there are various parodies of science fiction. This is another property of this series.
この作品は秋田文庫から発売中で入手に困難は無いと思われる。とはいえ「失踪日記」でも何度か言及があり知名度も高いようなので当サイトでも扱ってみることにした。
連載当時、確かとある雑誌(みのり書房「OUT」昭和53年7月号?)はこの作品のヒロイン"阿素湖素子(あそこそこ、と読む)"を「超人」の1人として紹介していたようだ。実際シリーズが進むにつれて阿素湖は超能力者のような活躍(?)を始め、はては不老不死になってしまったりしている。これがために途中からこの作品を読んだ人は、主人公が人間ではなく"堕天使"か何かの超人間的なキャラクターという設定なのだろうかと考えるかも知れない。しかし連載第1話を読む限りこのヒロインは、美貌の持ち主ではあるが常軌を逸して好色な看護婦さん(=白衣の天使)といった普通の人間として登場しているようだ。連載が続くにつれて構想がふくらみ、設定が加筆修正されていったのではないかと思われるが、定かではない。作者としてはこのヒロインの"正体"を『メチル・メタフィジーク』シリーズ、『⑨アララテ山のむこうに恐山』で解明を試みたようで、合わせて読んでみるのも一興かと思う。
何でもあり、で盛り込まれた要素の中にはSF小説に関するギャグやパロディが多くあるようで、連載当時に出た単行本の表紙にはそうしたSF色を前面に出し、武部本一郎による「火星シリーズ」の挿画を模したようなものも出現した(画像参照。そしてこの表紙画は秋田文庫版第1巻の口絵となり収録されている)。マニアでないと見抜けないSFネタについて解明するのはとても僕の力の及ぶ所ではないのでそこに言及するのは一切敬遠し、このブログでは普通にあらすじのみを紹介してゆきたい。
なお、無敵と見えるヒロイン阿素湖素子ではあるが、終盤では虚無感にとらわれて一度「うつ状態」になっている(「阿素湖たんたんファンタジー」)。彼女のこのきわめて人間くさい部分は特筆されるべきではないかと思う。また最終回では、阿素湖が(血のつながりは皆無だが戸籍上は家族となっている?)進也を抱く、という禁断の世界を描いたくだりがちょっとある(画像参照)。仮に"ボーイズラブ(少年たちの同性愛)"マンガの起源が竹宮恵子あたりにあるとすれば、"ショタ"(まだ年端もゆかない少年)と"おねえさん"が登場するマンガの起源は、この作品にあるのだろうか……?
ちなみに、『やけくそ天使』は他にも、プレイコミックシリーズスペシャル(秋田書店)でA5版の単行本が存在する。1986年に発行されたこれは2巻から成るものなのだが、別に「選り抜き」編集をしているわけではないらしく、収録内容からみると刊行が途中で中断したかのような印象をうける(詳細不明)。カバーを飾るヒロインの肖像は連載当時よりもいくぶん写実的な容姿になっており、連載終了から6年後、この単行本の為に描き下ろされたものらしい。